第3話:どうしろっていうんだよ(後編)
もともと1話にまとめるはずのものが3話になってしまいましたw
なんせ初めて執筆に手を出したもので時間配分などダメダメです。
至らぬ点が多いでしょうがよろしくお願いします
まぁ、そういうわけでいま、この部屋で異世界転移するための準備をしているというわけだ。
「うギャーー!血が〜血が抜けていく!」
恭雅はすごく大袈裟に騒いでいる。
いや、痛覚麻痺させているから全くわからないからな!
異世界転移するのならそれなりの媒介が必要である。なので全員の血で一つの巨大魔法陣を描いている最中である。
「ふ〜終わりました」
さすがに祐歌は早いな。増血の魔術でも平常して行っていたんだろう。
「終わったら言ってくださいね♪増血しますから」
祐歌は笑顔でみんなに言った。
やっぱり心優しいなぁ祐歌は。
「よし俺終わったわ。祐歌ちゃん頼む」
お、凱飛も終わったみたいだなって!傷口デカ!流石に祐歌も顔を引き攣った笑顔を見せつつもすぐに治療兼増血をしている。
その後は他の人も順々に終わらし治療してもらった。
「それじゃあ、魔法陣に魔力を込めようか」
全員で自分の血の部分から全体に広げるように魔力を込めていく。
「そういえば柊君。転移するのはいいけど行き先はどうするの?」
「.....考えてなかった」
そう。そんなことすっかり忘れていたよ。
「行き先って言っても、どんな世界があるのかわからないのに決めれるんですか?」
琴乃葉の言う通りだ。そもそも何もわかっていない。
「まぁ、未設定でいいんじゃないか!どこに行こうが我らの闇の力で切り抜こうじゃないか!」
闇の力ってなんだよ...普通に誰もが使えるものを極めているだけじゃないか。
「まぁ、それでいいだろう。恭雅のいうように俺らの力とチームワークでなんとかなるだろう」
「気に入らなければまた転移すればいいしな」
また凱飛らしいな。確にできなくはないがさすがに適当な気がする。
「「どうせなら楽しみましょうよ〜」」
琴乃葉と祐歌の声が被った。あ!その後ろで時雨も頷いている。
「そのへんのことは転移してから決めればいいさ」
とまぁいつまでも続きそうなので後回しにしておく。
いろいろと話しながらしていたが、
「みんな、もうすぐ隕石が落下してくるわ。あと40分ぐらいかしら?」
どうやらあまり時間がなさそうだ。
✦
その少し前、俺達が投獄された時、上層部はというと。
「ハッハッハ」
「ざまぁみろ!」
シエル・ツァーリが投獄されたことによって随分ご機嫌のようだった。
そりゃそうだろう。彼らからしてみれば20歳も年下のガキ同然の集団に見下されているような感じだったのだ。
ちなみにシエル・ツァーリの年齢層は1席、5席、6席が17歳。2席と4席が18歳。3席と7席が16歳である。
「そもそもあの被害はなんだ!」
「ああ。物理的被害は0なのに上から降ってきたという高熱の空気か」
「あれのせいで少なくない被害が塔周辺に住んでいる住民にでておる」
「まぁ、それもあいつらを投獄できたんですからいいじゃないですか。」
「確にそうだが、これからのことも考えなければならん。あと3時間もすれば隕石が墜落する」
うわ!なんとまぁひどい人達だ。
「そうですね。悠長なことはしていられませんね」
その時、総理大臣は面白いことが思い浮かんだみたいな顔して
「いい考えが浮かんだぞ!」
「総理大臣、それは勝算があるものなのですか?」
「当たり前だ。しかも奴らの処刑も同時に行えて一石二鳥だ!」
「まさかあの『デスイーター』のことですか?」
「おお、よくわかっているじゃないか。あれは、純度の高い魔力を糧になんでも貪り尽くすものだ。」
「確にシエル・ツァーリの攻撃であっても破壊しようすることができなかったものですからね。それくらいの代償は必要かと」
「あれ?でもあの方達なら死なずとも使えるのでは?」
総理大臣は呆れながらも
「忘れたのか?処刑も含めると言ったはずだ」
「忘れていました...。ですがどうして彼らはしなかったのでしょう?確実にこの魔術の方が効果は絶大なはずでしょうに?」
「さぁな、わからん」
総理大臣はどうでもいいようで話を進める。
「では、奴らの処刑を含め『デスイーター』の魔法陣の制作にあたれ。落下30分前になったら奴らを亜空間牢獄からだし全員を糧に行う」
「「はっ!」」
総理大臣は笑う。
しかし彼らが『デスイーター』を使わずに『The end』を使った理由は明確で1番最前の手だったことに総理大臣は気づいていない。
『デスイーター』=『死の捕食者』。純粋な質の高い魔力を持った人の生け贄が必要で、それがあればこその最強の力なのである。
そして2つの1番の違いの理由は。『デスイーター』は『捕食』。『終焉』は『末頃』。そもそもの与える意味の深さが違った。
✦
さぁそんな上層部がことに出る10分前。
「さぁ...そろそろこの世界ともお別れだ」
そういうとやっぱりいろいろと思うところがある。
だが
「私達にはもう既に家族などもいませんしね」
祐歌が悲しそうに言い
「えぇ、別れを思う相手がいませんものね...」
時雨もそう呟く。
恭雅だけは
「我が降臨しとこ、最強の英雄譚あり!」
などと言っている。
「みんな、思うところはあるでしょうがここで終わるよりは新しい世界に出て楽しく過ごしましょう!」
珍しく琴乃葉の出番を初夏が奪った。
琴乃葉というと出し抜かれたような顔をしていた。めずらしい!
そして
みんなは覚悟を決め魔法陣に入る。
そして新しい世界へ向けてスペルを唱える
『我らは新たなる未来を望むもの』
みんなは目を合わせ合い唱える
『different Would transition』
光が7人を包み込み消えた。
✦
シエル・ツァーリが転移して10分後。
30分前になったので総理大臣が亜空間牢獄へと笑みを浮かべながらやってきた。
「お前達、喜べ!人類に貢献できっ!」
総理大臣は固まった。
そこには消えかけている魔法陣しかなかったのだ。
総理大臣は一瞬固まったが
「どうやって!亜空間牢獄から脱獄したのだ!」
といいながら呆然とその場に膝を着いた。
なぜ魔法陣があるのかさえ気づいていなかった。
なにもかもその状況を見ただけであった。
その後『デスイーター』を使うことも無く元の世界は滅んだのであった。
1部変更しました。
・1番最善の手だったことに気づいていない→1番最善の手だったことに総理大臣は気づいていない
・死あればこそ→死の糧があればこそ
・そして1番の理由は意味→そして2つの1番の違いの理由は。
・終わりに近い方は『終焉』だからだ→そもそもの与える意味の深さが違った。
・ガキ当然→ガキ同然
です。
ご迷惑をおかけしました