ちょっとした幸せの少女
私はいつも、窓際の席
だって、苗字が若葉だもん
私はいつも、屋上にいる
だって、風が気持ちいいんだもん
私はいつも、空を眺めてる
だって、それが私の幸せ
―――――― ちょっとした幸せ ――――――
「きれい……」
今日は晴れ。いっぱいいっぱい空気を吸い込んで、いっぱいいっぱい、青い世界を見る
屋上でひとり。だれも邪魔がはいらない、はしごをのぼって、一番高い場所へ
ピカって光ってる太陽も、今日は真夏みたいに、元気。コンクリートが暑いって言ってるのに、まだ暖めてくるから、私も暑い
「……はふぅ~」
でも、その暖かさが眠気を誘って、まぶたが、ちょっとだけ重くなってきた
「んっ」
こんなときのために毛布を持ってきて正解だった。床に敷いてよし、上からかぶってよし、陽だまりぽかぽかだから、ここは地面が熱いから下に敷きましょう
「んっふふ~ん」
うん、ちょうどいい
「おやすみなさーい」
まだ昼休みは続くんですよ~
「こら」
「イタッ」
ピチッって、ピチっていった。よりによって三角定規
「昼休みはおしまい。もう授業始まってるから、いくよ」
「ごめんなさぁい」
こんなとき、親切でおせっかいな親友が、ちょっとだけ疎ましいです
「さてと」
放課後に、またこよう。それまで、ふかふか毛布はここでお留守番。お友達に手を引かれて、こうやってはしごを降りていく私
「……」
ふと見上げて、太陽が眩しくて、それでも私は大きく目を見開いて
「えへへ」
こうやって、一日を過ごしていく
―――――― しあわせだなぁ ――――――