一件落着(4)
ボスとアクル、ニールの三人は、ラインの部屋に向かった。ギルとミクロ、マクロ、アズムとルークは、ニールの部屋に置いておいた。部屋の後片付けをするためだ。ニールの部屋は、布団が引き裂かれ、かけた武器が飛び交いと、たいへんな騒ぎになっていたからだ。
「ほとんどアニータのせいだろう?」
と、ギルは苦笑していた。その言葉に、ふん、とアニータはそっぽを向いただけだった。
ラインの部屋には、十数人の子供たちが、正座をして座っていた。ボスの登場に、ラインは目を輝かせた。
「ボス、待ってたよ。もう俺何話していいのか分かんなくて、取りあえずお茶入れて、世間話してたんだよ」
「お前、実は面倒見いいよなぁ……ありがとう、ライン」
ボスは、仏頂面でボスを睨みつけてる子供たちに、微笑んだ。
そこからも、説教タイムだった。さすがに組織のトップだった子供たちだけあり、ボスに啖呵を切り、喧嘩を売る少年少女もいたが、全てボスに論破されてしまった。論破されてしゅんとなる子供たちは、本当にただのかわいい少年少女であった。
最終的には、やはり招待状を配り、ラインに子供たちを引き連れさせ、屋敷を後にさせた。
「おわり」
ボスは、ラインの部屋のソファにどさりと腰をおろし、言った。
「疲れたー!」
目をつむり、数秒動かないでいたが、すぐに目をあけ、立ち上がった。そして、ニールに向き合った。
「お前は、リッツのメンバーがどうなったかを、ちゃんとその目で、耳で、確認したな?」
「はい」
ニールは、ボスから目をそらさず、頷いた。
「リッツは崩壊したな」
「はい」
「今日からお前の帰る場所は、エストレージャだ」
「はい」
「不満や疑問は?」
「ありません。感謝しかありません。これからよろしくお願いします」
ニールは、少年とは思えぬ口ぶりで、堂々と言った後、頭を下げた。その姿に、思わずアクルとボスは、一瞬言葉を失った。しかしすぐに、ボスはにやりと満足そうに笑った。
「よし。じゃぁ正式に、エストレージャへの入団を許可するよ。ついておいで」
ボスはそういうと、踵を返し、ラインの部屋から出て行った。
ニールは首をかしげ、不安そうにアクルを見つめた。アクルは。ニールの背中をぽんと押した。
「一緒に行こう。今から、正式にエストレージャの一員になるために、エストレージャの一番偉い人に会いに行くんだよ」
「え? 一番偉い人?」
「そう。エストレージャで一番偉いのは、ボスじゃないんだ。さらにその上が、いるんだよ。この人に会って初めて、ニールはエストレージャの一員として認められるんだ」