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エストレージャの願いを  作者: 村咲アリミエ
25/59

  作戦(4)

「ねぇねぇ」

 アクルの部屋を出て少し歩いたところで、ニールは言った。


「なぁに?」

「どうしたの?」

 立ち止り、双子はニールの顔を覗き込む。


「アクルさんとボスって、カップルなんじゃないの?」


 その言葉に、双子はおぉと声をあげた。その反応を見て、慌ててニールは撤回する。


「いや、ごめんなさい。なんか、そう思っただけで、聞いちゃいけなかったかな。でもギルさんとアニータさんはカップルだし、そういうのってあると思ってて。ていうか、会ったときからあの二人は恋人同士だと思ってて……」


「ニール賢い!」

「ニール勘がいい!」


 双子の言葉に、えっとニールは顔をあげる。


「じゃぁやっぱり……」

「でも違うんだなー」

「でも違うんだよー」

「えっ……」

「アクルさんがね、鈍感なの!」


 双子はそう言うと、そろって苦笑した。


「ボスがかわいそうだなって、いつも思ってるの」

「ボスは辛いだろうなって、いつも思ってるの」


 言葉にこそしなかったが、ボスの片思いであることを、ニールは悟った。


「そう……なんだ」

「うん。でもね、このことはボスが解決すべき問題だから、私たちは口出しするなって、ラインさんに言われてるんだ」

「そうなの、このことはボスとアクルの問題だから、子供は口出ししちゃいけないんだよ」

「だからね、ときどき私たちはボスを慰めるの」

「だからね、ときどき私たちはボスの話を聞くの」

「それだけだよ」

「それだけなの」


 双子はそう言うと、またニールの手を引き、歩き始めた。


「大人の世界は難しいね」

 ニールが言った。

「そうだねぇ」

 双子は同時に、小さく笑った。


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