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ねこの手、貸します。 夏  作者: 白月 仄
にゃん三章 忘却領域
17/22

三章 おまけ

  ───『珈琲タイム』───


 音…音恋/店長

 き…きび

 マ…マスター/九十九神



 ──コロンカラン~♪

き「ただいま、戻りました」

音「おかえり、きびちゃん。お疲れさま」

き「……(クンクン)あれ? これ珈琲の香りですよね」

音「そうよ♪」

き「でも、『うち』で提供してるのは他のドリンクと同じ市販品でしたよね?」

音「ふっふ~ん♪ 今日から、本格珈琲をはじめるのよ♪ その為に新しく人も雇ったし」

き「はい? 新しい人ですか!?」

音「そ、紹介するわ。『我らが店』のねこカフェで、この街での後継者が出来るまで珈琲を淹れてくれる、──九十九神のマスターさん」

マ「ご紹介に与りました、九十九神のマスターです。これから、お世話になります」

き「あ、はい、こちらこそ、よろしくお願いします。マスターさん──…………へ?!」

マ「あの、どうかなさいましたか? わたくしの顔を見つめられて。もしや、顔に何か付いてますか?」

き「……い、いえ、そうではなくて……、…………えっと、……その……言いにくいのですが……──」

音「“先日、大往生されたはず”かしら、きびちゃん?」

き「……(コクコク)」

音「詳細は省いて説明するけど、現在ここにいるマスターさんは、ご近所にあったコーヒーショップのマスターの心残りとそのマスターが長年愛用してきた珈琲を淹れる器具に宿った付喪神が合わさった存在──紛うことなき、コーヒーショップのマスターの分身なのよ」

マ「はい、私は彼が自身の天命が尽きるのを間近に感じた際に生じた『心残り』なのです。彼には彼の珈琲を淹れる技術を受け継いだ弟子が全国各地にいますが、地元であるこの街には一人もいませんでした。それ故に彼に生じた『自身の店を継ぐ者を』との想いが実体を伴って顕現したのが私なのです」

き「……そうなんですか。(もう、この街はなんでもアリね……)」

音「それでね、いま丁度、お客さんに提供する前の試飲をしようとしてたんだけど、きびちゃんも一杯どう?」

き「──えっと……じゃあ、お言葉に甘えて頂きます」

マ「はい、かしこまりました」




  ───三章 おまけ 了───

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