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ねこの手、貸します。 夏  作者: 白月 仄
にゃん三章 忘却領域
13/22

さんのに

「──……やった♪ ビンゴっ♪♪」

 店長たちを先回りして数分。

 推測した通り、店長たちは南エリアからココ──ドームエリアへとやってきた。

 アタシはドームエリアを囲む林道に植えられている大きめの木の陰に身を隠し、普段は手先の細かい作業をするの用いている片眼鏡型の拡大鏡の望遠機能を用いて店長たちの動向を少し離れた所から観察。

 店長たちの目的地は解明出来たけど、この意味不明な謎のドームに何用なのだろうか? もしかして、最近小耳に挿んだオカルトな噂話の調査? でも、そうなると、副店長にとってはそのオカルト話が前以てからの約束事より優先される事なの……???

 ──いや、早計に結論を出すのは早とちりの素。ちゃんとこれからの全貌を目撃して、真実を見極めなくてはっ。

 木の陰からそーッと顔を出して、店長たちの観察を開────ッ!!!? ──見付かった?!!!──

 ……

 …………

 ……………………

 …………………………………………あり??

 顔を出したときに、一瞬、副店長と目が合ったような気がしたのだけど……………………──ふぅ~……、どうやら気のせいだったみたい。しかし、副店長が急に振り向いたのには驚いた。

 それから、副店長は店長がドームの壁に触れて何かをしている間、周囲に注意を払っていて、おいそれと店長の細かな動きを観察出来ない。無理して下手に顔を出そうものなら、十中八九副店長に見付かってしまうだろう。

 ──でも、どうして副店長はあんなにも周囲に注意を払っているのだろうか? いや、寧ろ警戒してるといった方が正しいかも……。眼前に見えるドームを調査する事はそんなにも危険な事ということ?

 これは、もしかして、もしかすると、──

「これ以上は止めておいた方が────いゐぃぃぃーーッ?!!?」

 え? ゑ? エ? ヱぇェェぇーーーーーー!!??

 イマ、ナニ、ガ、起キタ、ノ???

 それは────────────────此迄のアタシの常識を裏切る光景だった。


 人間が────、



 店長と副店長が────────、




 ────────壁の中へと消えていった?!!!?!!??!!?!!!?────────




 まるで……………………──そう──まるで、この前テレビで視た“壁を通り抜けるイリュージョン”さながらに…………────────────────ン? ンン~?? んんん~???

「────────ま・さ・か!?────────」

 それは、天啓の如き閃き。

 例えるなら、某推理探偵漫画の歩く死神な主人公が謎を解いた瞬間のような感じ。

 アタシは自身が閃いた事で生じた昂ぶりを抑えられず、堪らず身を隠していた木の陰から飛び出して自分の閃きが合っているかの証明をする為、先程、店長たちが壁の中へと消えていったドームの外壁の前に躍り出る。

 ──コツコツ。

 案の定、店長たちが中に消えた壁を叩くと、予想通りの反応が返ってきた。

「──……確か店長は、この辺りを────」

 副店長のガードで店長の手元は観れなかったけれど、店長の手が触れていたヵ所は記憶している。

 そこを探れば、壁を通り抜ける為の仕掛けを作動させる何かがきっとある筈。


  ──Magia vastare,──


 ──っ!? ──空耳──

 以前に『星見の塔』で聴いたのと同じ幻聴。

 そして、眼にしている光景に変化が生じる。


 ──右腕にしている木の腕輪に記号みたいな幾何学的文様が浮かび、同時に手の平の先とドームの外壁の間にも円を伴う幾何学的紋様が顕れた──


 眼に見える変化はそれだけにとどまらず、顕れた幾何学的紋様が消えると、今度は触れている壁に揺らぎが生じて、隠されていたモノの姿が露になった!

「──コレって、アレ……だよね? ……たぶん……」

 あやふやでかたちが定まらない光りの輪の内側に姿を現したモノは、アタシの識る中ではセキュリティシステムの──


 ──『認証スキャナー』──


 ──だった。

 指紋・静脈・虹彩・顔etc...をロック解除のキーとする際に必須の、あの認証スキャナー。

 それで間違いないハズ……。

 でも、そうなると、

「…………………………………………お手上げだよね?」

 だって、眼前にある認証スキャナーはロック解除用。つまり、何処か別の場所で認証登録をしないといけない。勿論、アタシは目の前にある認証システムに認証登録する設備がある場所など、全くこれっぽっちも知らないし見当も付かない。

 ──なので、

「MISSION inCOMPLETEか…………………………………………ア?!」

 まー、これじゃ諦めるしかないと思った、矢先。認証スキャナーを曝け出していた不安定で歪な光りの輪が、みるみるうちにその大きさを縮めていき終には光りの点となって消えてしまった。

 それに伴って認証スキャナーがあったヵ所は元の壁と見分けが付かなくなった。

 ──あ~あ、ホントにGAME OVERって感じになっちゃった……。まあ、でもそれでよかったと思っている。

 店長たちを尾行しだしてから、アタシの心の中には『ナニかスゴい事件が起こるんじゃないか』と期待していたアタシとは別に『好奇心で危険度の不明な事柄に首を突っ込むべきじゃない』と冷静で堅実なアタシがいた。

 結果論だけど、ココは後者のアタシに従うべきだろう。ただ────

「さっきの不可思議現象はいったい……────?」

 『星見の塔』では初めてだった上に肉体的精神的にも疲れていたから捨て置いたけど、もしかしてもう1回ドームの壁に触れたら──又、起きるカモ?

 ──ぺた。

 ……………………。


 ──し~ん。──


 ナニも、起きない……。

 なんだろうか……。傍から見たらアタシはイタイ事をしてるように見えるよね、多分。今じゃ、猿回しのサルでもやらない『反省のポーズ』をしてるんだから……。

 ──何か、涙腺から体液が溢れてきた……。


 ──ピッ、ピーッ。プシュー……。


「──は? へ? なんで……? なんで、開いたの???」

 ドームの外壁には変化は見られないけれども、認証スキャナーが壁の幻で隠されていたのと同じく、壁の幻で隠されているドームの中に入るためのドアが開かれた事は安易に推測できた。

 でも、何で? 中から店長たちが開けてくれた?──いや、それだとさっきのロック解除と思われる電子音が謎になる。

 ……

 …………

 ……………………

 …………………………………………ゴクリ。

 舌の根が乾かない内だけど、前言撤回。やっぱ、冒険心に溢れた前者のアタシに賛同。

 意を決し、いざ、未知なるドームの中へ────────

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