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ねこの手、貸します。 夏  作者: 白月 仄
にゃん三章 忘却領域
12/22

さんのいち

 ────相も変わらず、今日も今日とて夏の陽射しは燦々と降り注いで、大気を熱する。

 今日は仕事がお休みの日。

 大学時代までのアタシなら、こんな日には冷房完備な室内で、休日返上とばかりに将来使えそうな技能の資格や免許を取得するために教材とにらめっこをしていた。

 まー、そのお陰で『にゃんてSHOP』に就職できたのだけど。

 さて、意識を今現在に戻して、

「ふぅ~……」

 と、一息。

 いつもの休日であれば、部屋で“ぐて~”としながらごろごろ過ごすのが主。大学時代までのアタシと比べると、なんと体たらくの事か。でも、それだけ何かに打ち込まなくても過ごせる余裕が出てきた証なのだろう。

 だけど、今日は違った。

 大学時代からの知り合い──現在は友人──から、遊びの誘いがあったのだ。

 それで、今日の午前中からつい先程の昼過ぎまで、その友人と遊びに興じていた。

 そして、前日までの予定なら、その後に友人が大ファンの詩音さんに生唄で何曲か披露してもらう筈だったのだけど、詩音さんに急用が出来てしまった為に取り止めとなってしまい、やむなくお開きとなった。一応、友人にはフォローとして、詩音さんから直筆のサインが付属ブックレットに入ったCDが贈られた。ただ、そのCDを渡した時の友人の昂奮ぶりときたら、周囲に居合わせた人達が何事かと注目の的になったほどで、すぐ隣にいたアタシはスゴく恥ずかしかった。

 そういえば注目の的で思い出したが、東地区のグルメストリートを友人とブラついていたときに人集りに遭遇したのだけれども、あれは一体何なんだったのだろうか? 有名人が居たのだろうか? 結局、アタシと友人は人集りには近寄らず迂回したので、少し気になる。

 ──人が通れそうにないほどの人集りだったのだ。もう、ネットにナニか上がってるかも……──ん?

 ケータイを取り出そうとした腕が、脳内に新しい情報が入ってきたことで、その動きがキャンセルされる。

「あれは────」

 ふと上げた視線の先に、2人組みの男女がいた。

 両者とも上依は、襟と袖口にカラーラインが入った半袖シャツ、シャツのカラーラインと同色のネクタイ、その上に夏仕様のベスト姿。

 そして下は、男性の方は夏仕様のスラックスで、女性の方は普段は見掛けない膝上丈のスカートと脚保護のストッキング。しかもスカート丈がいつもより短いことで、普段は見えないストッキングを留めているガーターの留金と絶対領域までもが覗いている。

 一部の諸兄や諸姉の方々には垂涎モノだろう。

 さて、それらの服装にアタシは見覚えがある。

 ──『お店』の制服だ!──

 詰まるところ、2人組みの男女とは──店長の音恋さんと副店長の詩音さんだった。

 しかし、店長が『お店』の制服で膝上丈のスカートを穿いている姿なんて初めて視た。いつもはアタシと同じ膝下丈かロングのスカートを穿いているのに。

 ちなみに余談をすると、希ちゃんと叶ちゃん……それと彼(?)は膝上丈と、なんとも若さ全開なことか…………。

 ──よく、平気でそんな服装を出来るなんて、なんてうらやま……………………オホン。

 話を戻すと、音恋さんと詩音さんは一体全体何をしているのだろうか? しかも、詩音さんが前々からの予定を反古にして迄手伝う依頼って…………???

 ──実に気になる。

 ……そうだ! 今日の予定はもう無いから、2人を尾行してみよう。

 ならば、早速行動開始。

 付かず離れず気取られず。加えて、周囲から不審がられないよう挙動は極力自然に。尾行の鉄則に則ってMISSIONスタート。

 さてさて、さてさて、店長たちは何処に向かっているのだろうか?

 清美市の現在唯一の玄関口である駅の前の、駅前広場を通過して店長たちはバスターミナルの方へ。

 ──うわ、いきなりバス移動とか難易度高過ぎ……。

 けれども、見失うわけにもいかないし、見付かる危険を冒してでも同じ車両に乗らないと。


 ──ふゐぃ~……。乗客が思った以上に多くて助かった~。おかげで人の陰に身を隠せて、無事に店長たちに見付かることがなく、同バス乗車MISSIONをCLEAR~♪。

 ちょっとした達成感に浸りつつ、店長たちの尾行を続行。

 駅前からバス移動した店長たちがバスを降りた場所は、────

「──中央地区中央公園──」

 ────の、南側入り口前。

 店長たちはバスを降りて、そのまま迷う事無く中央公園の南側入り口から公園内へと入っていく。

 アタシも店長たちと程よい距離を保ちつつ、後に続く。

 中央地区中央公園は大まかに5つのエリアに分かれていて、東エリアは森林・西エリアは様々なオブジェが並び・南エリアは日当たり良好の芝生が広がり・北エリアは池や凝った仕掛けの噴水などの水辺が多く・中央はそこにずでんと存在するドーム以外は特徴のないドームエリア、となっている。

 ──それにしても……、南エリアか……。隣接している東西エリアとドームエリアを囲んでいる林道までを入り口からも見渡せる開けたエリア。隠れられる場所はほぼ皆無で、平日であれば振り返られたら即アウトの高難易度。

 しかし、今日はカレンダーの上でも休日で、人出は沢山。これなら、振り返られても容易には発見されないだろう。それに、店長たちの目的地も────、

「なんとなく、見当も付いたし」

 もし、間違っていたとしても、此処なら直ぐに見付けて追い付けるだろう。

 さぁて、それじゃ自身の推測が間違っていない事を祈りつつ、店長たちの目的地に先回りだ!


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