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全ては8年前のあの日から始まった

8年前のあの日、僕は……いや私は……


目の前に現れた悪に対して何も出来なかった……。


愛する家族を人質に取られ、忠義を尽くす臣下と側近達でさえ守れず……ただ命だけは見逃して欲しいと訴えるしかなかったんだ。


彼等を助命する代わりに、私は王位を捨てて研究者となり、8年の月日が流れた今が……全ての実を結ぶ時。


……こっちも……こっちにも……小人達が居ますね。


来る日も、来る日も海を渡って来た小人商人達が疲れた顔をしつつ王宮に向かって、沢山の商品が積まれた荷馬車を運んで居た。


小人達の国がある小人大陸には、幾つもの小人の国があり、その中でもエマール王国は大国として知られている。


聖王である父が倒れた今、本来なら国税を代行する筈の私の母、王妃エリュミーゼはエマール王国から嫁いで来た第一王女だ。


8年前に現れた悪によって母も人質として幽閉されており、事実を知るエマール王国も、母の命を守る為……悪の命令に逆らえず、ずっと小人商人達が休む暇さえ無く、両国の間を行ったり来たりの往復をしている。


だから私はずっとこの時が来るのを待っていた。


悪を倒すためには、迷宮の謎を解かなくてはならない。


研究所で私はずっと迷宮品を研究しながら悪の正体をずっと調べてきた。


……遂に判明した今こそが好機。


だから私はあの日、彼等に約束したんだ。


『冒険者として生きてくれたら……絶対に私がお前達を見付ける!!だから約束してくれ!!』


必死に私は背を向け、王宮から出て行く彼等に向かって叫んだ。


あの四人は私に振り返ると、困った顔をしながらも頷いてくれた。


季節外れの雪が降る中、別れたあの日を私は一度も忘れたことは無い。


だから私は……どうしても冒険者達が集う場所へ行きたかった。


中心の大通りを左に曲がると、武器屋や防具屋が建ち並ぶ職人街へと出る。


如何にも職人と言った感じの店主達が金髪の青年に気付くと、疑いの眼差しを向けてくるが、今の金髪の青年は誰が見ても若い商人なので気にせず通り過ぎて行く。


……大体、8年前から私は表舞台に一度も出ていない。


8年後の私を見ても、きっと誰も私の事が分からないだろう。


そうして金髪の青年は暫く歩いた所で、とある建物の前で立ち止まる。


周囲の建物より、一際大きい其処は三階建ての建物で剣と盾が描かれた大きな看板が付けらており、先程から武装した男や女が代わる代わる入れ替わりながら行き来している。

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