鑑定屋の迷宮品に大興奮した
様々な種族が住み、剣と魔法が当たり前の異世界フィーバー。
その中でも、異種族の多くが自由に移住し、平和に暮らす此処は聖王国エクスカリバー。
聖王国と言っても、天使族や魔族、悪魔族も普通に住んでいるし、なんなら聖王国軍にだって属している。
遥か昔みたいに、種族を徹底している訳でも無く、ほぼ今は多民族国家の方が近い。
いつからか、正確には分からないが……世界各地に迷宮が出現し、その迷宮を探索し、迷宮攻略を目指す事で、宝物である迷宮品や魔物の素材を手に入れる事を目的に挑む命知らずな者が居る。
多くの行き交う人々で賑わう城下町の大通りを抜け、裏路地に入った所で、不意に魔方陣が出現すると、金髪の青年が現れた。
「ふむ、座標も僅かな誤差があったが……問題なく城下町に降りられたな。……せっかく城から降りたのだし……口調も変えた方が良さそうかな?」
金髪の青年は白衣を脱いでショルダーバッグに突っ込むと、顎に手を当てて思案する。
金髪の青年は白衣を脱いでショルダーバッグに突っ込むと、顎に手を当て思案する。
「……一人称を私から……俺……う~ん、合わないね。せっかく私服も商人をイメージしてランクダウンさせたのだし……それに見合う口調に変えねば無駄になってしまうし……そうだ、僕にしよう。そして口調は……商人らしく丁寧な敬語にしようか」
金髪の青年は一人で考えて納得すると、頷いて裏路地から大通りへと出た。
赤い煉瓦造りの屋根が建ち並ぶ町並みは、道も煉瓦で塗装されており、多くの人々で握っている。
王都マーリン。聖王国エクスカリバーの中心都市であり、国中の人々が多く集まり、各領地、他国の特産品や商品が集まっている。
……人々が集まるからこそ、商品が集まり流通して富を築く、本当に良い事ですね。
意識して思考の中でも口調を変えた金髪の青年は、人々や商品を見て満足する。
……おっ……これは……
とある店の前に飾られている商品を見て金髪の青年は目を輝かせた。
そこに飾られていたのは、古びた壺だったのだが……金髪の青年はきちんと価値を見極めていた。
……間違いない……この壺は迷宮品です!!おぉ……研究所以外で初めて見ました!!
迷宮に命懸けで挑み、宝箱から出た様々な品々こそが迷宮品!!
その迷宮品が売られていると言う事は……此処が冒険者が迷宮品を売りに来る鑑定屋ですか!!
金髪の青年は他にも外や店の中にある迷宮品を見て興奮する。
……おっと……行けない……行けないですね。
鑑定屋の店主に変な目で見られ、金髪の青年は我に返ると慌て歩きだして店の前から去る。
……荒くれ共と言われ恐れられる命知らずな冒険者……ついに彼等と再会出来るのですね!!
……やっと念願の迷宮に入って調べることが出来る!!
流行る気持ちで金髪の青年は顔を紅葉させると、早足から次第に走り出すのだった。