ハッピー
「ご主人様、お帰りなさいませなのです❣️」
そう言った少女はこの物語の主人公であり、この世界の主人公でもある。
その少女の名は石崎 風花。
金髪ロングで、メイド姿、腕には意味ありげに包帯と絆創膏がある、そんなごくごくありふれた可愛げのある女の子。
君の瞳に映るそのハートは誰に向けたものなのだろうか?
その煌びやかなハートは、魅入られた者にはどれほど美しく、輝いて見えることか?
瞳の中にはハート2つ。そして、お手てで作ったハートが1つ。
すべて合わせて3つのハートがきらびく。
彼女の笑顔は誰もをすくう。
当然、彼女自身も。
「みんな!私はさ、蝶みたいなものなんだよ。私は誰もを惹き付ける。ただ、その魅力に魅せられた者は私が嫌でも関係なしに私を食べようとするんだ。」
『だから、、仕方なく、私は私を呪い壊して、君らみたいな、犬のフンに群がるハエをプチプチ潰していったんだ。』
少女は笑う。ただ、その笑顔は誰かを笑顔にさせる、『優しい笑顔』だ。
「──犬のフンより。」
てーーてーてってー!てーー、、てーー、て!てー
曲が流れ始める。
、
、
。
ーー
カラン。
お客さんだ!
風花「ご主人様、お帰りなさいませなのです❣️」
お客「ふうかちゃ〜ん、こんにち〜。」
風花「あ、こんにち~。」
風花は笑顔でご主人様に返したの。
風花「ご主人様❣️今回はどのような愛を食べるのですか❣️」
お客「そうだね〜、、、あ、この鬼のカタチ(極)・ペペロンチーノがいいかな~。」
風花「ご主人様は鬼のカタチ(極)・ペペロンチーノをご所望なのですね❣️」
風花*ちなみに、、ちなみですよ、、分かってると思いますけど、「愛」というのは料理のことですからね。間違えないように❣️
風花「そんなことはどうでもいいわい。(ボソッ)」
お客「ふうかちゃん、なんか言った?」
風花「はい?何も言っておりませんよ〜❣️今日も私はご主人様を見れて元気ハツラツでございます❣️」
風花はご主人様にイェイのポーズをしたかも!
先輩「風花ちゃん、ペペロンチーノできたよ、7番テーブル出しといて~。」
風花「分っかりました❣️村紗先輩❣️」
風花はペペロンチーノを手のひらに乗せたのかも!
風花はこの鬼のカタチ(極)・ペペロンチーノを改めて見...た...かも?
え、、なに、、このペペロンチーノ、、名前から思ってたけど、メイドカフェで出す商品じゃないきがするんだけど、、、?
風花「この禍々しきオーラは何?、なんでこんな毒々しいの?なんでご主人様はこんなのを頼んだの?、、、はっ!、もしやこれは────『ギャップ萌え』───か?
私みたいな可愛い女の子がこのペペロンチーノを出すことでギャップ萌えを狙っているんだろう?そうに違いない!(ボソッ)」
風花「ご、、ご主人様❣️」
お客「お、きた?」
風花「こちら、鬼のカタチ(極)・ペペロンチーノです❣️注意点がありまして、こちら、本当に、本当に、ほんっとうに辛いので、注意して、気をつけて、召し上がってください❣️」
お客「は〜い。」
風花「では、この鬼のカタチ(極)・ペペロンチーノが美味しくなるよう、おまじないをかけたいと思います❣️❣️❣️」
お客「はい!」
風花「萌え萌えきゅん❣️❣️」
お客「あ〜〜〜〜(昇天)」
喜んでくれてる!良かったぁ。
私は今、楽しいよ。この人の気持ちが分かって、すっごく、うれしいよ!
「ガタッ」
わわ!ご主人様が立ち上がった⁉️
お客「ふうかちゃん!」
ご主人様は何やら覚悟を決めたような顔付きだ。
風花「は、はい!」
お客「バイトの後、時間、、、無い?」
風花「は、、はは、、、ありますよ。」
私は少し、笑ったかも!
私は、1度、お客の元から離れる。
風花「、、そろそろ、潮時かな〜。」
私の目はきらびやかに光って見えるんだろうね。
カラン。
風花「あ、ご主人様❣️お帰りなさいませなのです❣️」
ーバイト後ー
空は随分と暗くなっていらっしゃるようで。
今日もバイト頑張ったな~。
外に出ると、さっきのご主人が立っていた。
風花「何か、、ようですか?」
お客「ふうかちゃん僕達、付き合わない?」
風花「あはは、、すいません。店の都合で付き合うことは禁止です。」
お客「そ、そんな、、」
ご主人様は私と目を逸らした。
、
、
風花「でも、風花は思いますよ。そんなことっておかしいですよね?」
私を見てほしい。
お客「え?」
ご主人様は私の目を見る。
風花「ご主人様達は風花が楽しい毎日を過ごすことを望んでいるはずですよね。なのに、なぜ、私はご主人様達のために、付き合うことが禁止されて、楽しい毎日を過ごすことが出来なくなっているのでしょうか、、、おかしな話ですよね。」
かわいい私を見てよ。
お客「な、、、なら、、」
風花「少し、場所を変えましょうよ。外だと聞かれますよ?」
そう、君の心を弄ばせて。私だけを見て。
移動中、私を見て、歩いて。
私だけを考えて。
私の目が血走る。
ムキになっていたようだ。
「あはは。」
でも、ほら見て。
ご主人様ったらすごい私を見てるよ。
だから
、
、
、
私はお客の首を絞める。
そのまま、、ずっと、、私だけを見ていてください。
風花「そうだよ。私を見て、私が君のすべてになって、そのまま、死んでいって。」
ご主人様は暴れる。
しかしそれは、ゆっくり、ゆっくりと収まっていった。
『ハッピーブラック・グラートイリュージョン』
風花は君にみられないようにドヤ顔をした。
「ふーーふーふっふー!ふーー、、ふーー」
私は鼻歌を歌いながら、君の目をくり抜いた。
血は見たくなかったから、血を私の視界に入れないようにがんばった。
私は帰って、私の展覧室に君の目を飾った。
「あはは、目が血走ってて、こっわいなぁ、、これ。」
少し、冷静になる。
こんなにも楽しい楽しい時間。ずっと流れ続ければいいって思ってる。
のに。
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私は
毎週土曜日午後9時に出します。全4話です。よろしくお願いします。