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進撃の神災者の前に立ちはだかる最強


 某日――午前の試合を消化し会場の熱気が高鳴り始めた。

 才能が開花した彼女は順当に二試合目を勝利で終えた。

 その立ち振る舞いは師匠にそっくりだとある者は呟いた。

 若き日の天才少女が世代を超えて復活したように、相手の僅かな反応や表情の変化更には戦いの中で通した相手の実力から相手の動きを予測する未来予知を前にまた一人落ちた。

 誰もが目を奪われる完璧な戦闘スタイル。

 それは師匠の力と同じもの。

 相手が完璧であればあるほど力を発揮する才能は最早神々の挑戦においては大衆の眼を引き付ける一番星のように明るく、これだけでも若い者に挑戦権を与えた竹林の森イベントでの収穫があったとゲームの経営陣たちは喜ぶ。


 急成長のきっかけは?


 秘密。


 神々の挑戦で最も警戒する人物は?


 それも秘密。


 そんな彼女の視線は師匠が写っているモニターへ向けられた。

 最強無敵とも思える師匠。

 そんな師匠を脅かす存在がもうすぐやって来る。


 自分の戦い時間が迫った朱音は開いてはいけない扉を開けた。

 今までこの先に行けば誰も付いては来れない、そう思い無意識に見てみぬ振りをしていた何層にも連なる鋼鉄の扉の数々。

 その最奥にあるとても重くて分厚い鋼鉄の扉。

 自分一人だけでは決して開けることができない扉は外部からの強い刺激を受けることによって意図せず開くこととなった。


 数多くの人々に善悪を問わない影響を与える男。


 その男に感謝の意を込めて、最強は一年振りに入念な準備をしてからこの舞台に立つのであった。


「では只今よりF試合朱音VS――」


 その言葉に会場全体が熱気に包まれ最高のボルテージを見せる。

 司会者による言葉は他の試合を観戦していた者たちの耳にも入り意識を向けさせる。


「――進撃の神災s……し、失礼しました。紅の試合が開始します。選手のお二人は専用フィールドに転送されましたら最後の準備をしてください」


 二人の選手が専用フィールドへと転送された。

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