第5話 タータリア・ミティリス・マリューシア
『豆太郎とボク』~異世界転移!? 勇者豆太郎と巻き込まれたボクの物語~
1話1話が短いお話として書いてましたが、そこそこの分量に変更しました。
序に豆太郎の犬種も変更しました。
『豆太郎とボク』リスタートです。
「そんな・・・」
「やった、にゃ?」
駆け寄るボクと、疲労困憊ながら勝利に喜ぶ魔王。
「豆!?豆ーーー!」
「ふ、あの犬っころの防御なら死んでは無い筈にゃ。でも私の勝ちにゃ」
【以外ですね、まさか貴方も手加減してたとは】
バッと後ろを振り向いた魔王は突然の衝撃に、一瞬で意識を飛ばされたのだった。
【勝った。そう思った瞬間が危険なのですよ。後、さっきのは死亡フラグです】
どさりと倒れた魔王。その後ろに立つ豆にボクは安堵して涙が溢れた。
「豆ー!」
涙目で駆け寄るボク。
【ご主人!】
そのボクに嬉しそうに駆け出す豆。
1人と1匹が抱き合う。そして、豆の頭に衝撃が走った。
ゴン!
【なっ、なにをなさるのですかご主人!?】
「やられたのかと思って、心配したじゃないか!?」
【うっ、それは魔王の隙を作る為の・・・】
「それに女の子の顔を殴ったらダメ!」
【いえ、あれは魔王で・・・】
「豆が本気出せば、そんな事しなくても無力化出来たよね?」
ぐぬぬ・・・。
出来た、出来たのだ。豆は精神系の魔法も使える。睡眠や麻痺の魔法が使えるし、拘束系の魔法も色々有るのだ。
「豆、魔王を回復してやってね」
ただし、拘束魔法を掛けてからと、念の為の対策だけはしておいた。
むっす~。
魔王は盛大に膨れていた。そりゃもうフグか頬張ったハムスターかってくらいむくれている。
「まさかこんな犬っころに負けるにゃんて」
【本気を出せばもっと簡単でしたよ】
「屈辱にゃ!」
結局、豆は実力で圧倒してしまったのだが・・・。
「豆を傷付けない様に、手加減してくれたんだろ?」
「その所為で負けてしまったにゃ。最初から全力を出してれば・・・」
【それでも僕が勝ちましたけどね】
「!?」
ぎゃーぎゃーと言い合う2匹。これでは話が進まない。
豆の口を鷲掴みにして押さえると、ボクはにこやかに微笑んだ。
「静かに・・・」
ブフ。
口を塞がれたまま、怯える様に返事をする。
魔王も、恐怖で身を縮み込ませた。
「こっちは勇者の豆太郎。で、俺はその飼い主だ。君の名前は?」
ぷいっ!
「お名前は?」
笑顔で迫るボクに、たじろぎ、魔王は視線を下に向けたまま呟いた。
「魔王、タータリア・ミティリス・マリューシアにゃ」
名前長っ!
「では、タータリア。何故俺達の前に?」
「決まってるにゃ!魔族を殺して回る悪い奴を倒しに来たにゃ!」
豆とボクに衝撃が走る!
【ご、ご主人、この魔王はセオリーを知らない!?】
「そうだな、まさかこんなに早く出て来るなんて」
わなわなと慄くボク達。
「何の話しにゃ?」
「いや、普通弱い奴らから嗾けて、失敗する度に徐々に刺客の強さを上げるものなんじゃ?」
【そうですよ!そうやって勇者を殺さない様にレベルを上げさせるものなのでは?】
「なんで、そんなバカな事しなきゃいけないにゃ!?弱い内に確実に倒すに決まってるにゃ!」
「いや、ゲームでは・・・」
【魔王とは最後の最後に自分で育てた勇者に倒されるものなのでは?】
「意味が分からないニャ!?」
魔王は変なものを見る様にボク達を見るのだった。
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