第3話 満腹な猫、素直になる。
LUCIOLEと言います。右も左も分からない、初心者です。よろしくお願いします。
『豆太郎とボク』~異世界転移!? 勇者豆太郎と巻き込まれたボクの物語~
豆太郎の犬種も変更して、『豆太郎とボク』リスタートしました。
「むにゃむにゃむにゃ・・・」
むくりと体を起こして、顔を擦りながら起き上がる大きな猫。
「大丈夫か?ご飯食べれるか?」
「ごはん!」
ピキーンと目が光ると、桶の水を一気に飲み干し、横に置いた皿の大きな魚に飛び付きガツガツと喰らい付く。
20㎏は有りそうな魚をぺろりと食べ、更に兎の干し肉も2羽平らげた。
「まぁ、これだけデカイんだからそりゃ食べるか」
ボクはワンボックスカー程も有る猫を見上げて呟いた。
「ふにゃ~、食べた、食べたにゃ~」
満足したのか、座って体を舐めて毛繕いをする大きな猫。
【本当に、良く食べましたね。人様の食料を】
「水もだいぶ無くなったな・・・補給しておかないと」
猫は、ピクッ!と体を震わせ、自分の食べた物が乗っていた皿を見た。
冷や汗が流れてる気がする。
「す・・・」
「巣?」
【酢?】
「すまなかったのにゃ」
本当に申し訳無さそうに頭を下げ、しょげている。
これは、これでかわいいな。
ボクは豆と顔を見合わせて、お互いに呆れ顔で少し微笑んだ。
「良いよ、気にしないで」
「本当にゃ!?」
「うん、お腹すいてたんでしょ?それに、そのままだとかわいそうだし、何より・・・」
「何より?」
大きな顔でボクを覗き込む。
「大きいけど、可愛いしね。ボク猫も好きなんだ」
ボフン!
なんだか、猫の顔が赤くなった気がした。
「にゃ、にゃ、にゃ・・・」
手を伸ばしても頭に手が届かないので、デカイ鼻を撫でた。
【ご主人は甘いです】
「そう?かわいいじゃん」
【そんな事を言ってると、大変な事になりますよ】
猫好きで大変な事って。
「まぁ、犬猫での苦労なんて、飼い主にしたら苦労でもなんでもないよ」
ボクは豆に笑いかけて、わしわしと頭やお腹を撫でてやった。
我を忘れ、嬉しがってお腹を見せてる豆だったが、そういう意味では無いのですよご主人、と豆は思っていた。
食事の片付けも終わり、寝床も用意したボクは腰を下ろしてぼんやりと正面の草原と遠くの山を見ている。
「なぁ、豆」
【何です、ご主人?】
「凄く膝が重いんだけど」
【それを僕に言いますか?ご主人の膝を取られて悲しいのは僕です】
デカイ猫が膝の上に顎を乗せているのだ。
「おい、猫。満腹で寝るのは良いけど足が潰れちゃう!」
「んん~、ならこれで良いにゃ?」
巨大猫は一度顔を挙げ伸びをする様に体を震わせた。
すると、その体は徐々に小さくなり変化する。
体毛が減って、体型が人のそれになっていく。
【ご主人・・・】
「豆、これって・・・」
そして、デカイ猫は少女の姿に変わったのだった。
翌朝、目が覚めると元猫少女はボクの横でまだ寝ていた。
ボクは起こさない様に毛布から抜け出すと顔を洗って、体を動かす。
こんな世界に来たのだ、豆が居れば安心だが、何時も必ず側に居るとは限らない。そこで少しでも体を鍛える事にしたのだ。
貧弱な現代人の子供が突然そんな事を始めても、大した役には立たないだろうがやらないよりマシだろう。
「豆、行くよ」
【はい、ご主人!】
豆のリードを持って近くを走る。緩急を付けて軽く一30分。間にストレッチや筋トレもしている。
帰ってくると、テント内で汗だくになった体を拭いて、朝食を食べていたら猫少女が起きてきた。
「ふ、にゃ~・・・」
伸びをして、目を擦り此方を見た猫少女の動きが固まる。
ボクと目が合った猫少女は、ボクを指差しわなわなと震えていた。
「にゃ、にゃ、にゃ・・・・・・」
盛大にやらかしたのだろう。
「朝ごはん食べる?」
ボクは持っていたサンドイッチを差し出すと、食べたそうに一歩前に出たが、頭を振ってまた指差した。
「お前!勇者だにゃ!」
「いや、違うぞ」
猫少女の指はボクを指していたので、否定しやると疑わし気にボクを値踏みする。
「確かに、お前じゃ無さそうにゃ」
そうそう、ボクは悪い勇者じゃないよ~。とかボケていたら豆がずい!と前に出た。
【勇者は僕です!ご主人には指一本触れさせません!】
ぎゃー!
豆、なんて事を!?このまま誤魔化せたかも知れないのに。
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