第2話 お散歩
LUCIOLEと言います。右も左も分からない、初心者です。よろしくお願いします。
『豆太郎とボク』~異世界転移!? 勇者豆太郎と巻き込まれたボクの物語~
1話1話が短いお話として書いてましたが、そこそこの分量に変更しました。
序に豆太郎の犬種も変更しました。
砦を後にして数日、ボク達は街道をとぼとぼと歩いていた。
【お散歩楽しいですね、ご主人】
「ああ、そうだな~」
この世界に来て、豆の戦闘にも慣れては来たが、それでも沢山の命が奪われる場面を見るのは心に悪い。
こっちも命を狙われてるのだから、仕方が無いのは理解しているのだが、やはり子供なのだと強烈に現実を突き付けられてる。
ただ、豆は確実に手を抜いている。実は魔族達の死亡率は低いのだ。その殆どは骨を折る等の怪我はしていても死んでいない。1割にも満たない。
この間の砦での戦闘も、死んだのは8~10数名と行ったところだ。
【ご主人、お疲れですか?】
「ああ、そうだね。早く宿に行ってゆっくりしたいよ」
本当はさっきの砦で休ませて貰うつもりだったが、あの状況ではとても休まるとは思えない。
そして、次の町まで歩いて6日と聞いているので当分無理な話だ。
が、そんな考えを余所に、豆は分かりましたと返事をした。
【それ!フロート】
豆が魔法を使うとボクの体が浮き上がった。
「豆、これは!?」
【行きます!リードを離さないで下さいね】
なに?と、言った瞬間景色が置き去りにされた。
豆はその身体能力を遺憾なく発揮して街道を駆け抜ける!
「うわ~~~~~~~!」
【散歩楽しいです】
(いや、これは散歩じゃない!)
そう叫びたかったが風圧で吹き飛ばされないのがやっとだ。
【わーい!】
風船を引っ張る様にボクを引っ張って走る豆!
その街道の先に巨大な猫が寝てるのが見えた。
「豆、前!?」
【大きな猫ですね】
遠くに見えた猫はその大きさで距離感が狂う程だ。
そして、その猫がむくりと体を起こすと喋った。
「ふふふ、やはり此処をとおおぉぉぉーーー・・・・・・」
一切の躊躇無く、巨大猫の前を駆け抜ける豆。
「豆、あいつ何か喋ってた!」
【ご主人、あれは迷惑事、いえ面倒事しか持って来ません。そんな匂いがします】
「おお、流石は犬!匂いでそんなのが分かるのか!」
【いえ、分かりません】
「ん!?ん~ん・・・まぁ、良いか」
「良くないにゃ!」
声のした後方を見れば先程の猫が追いかけて来ていた。
「凄い、豆の足に付いて来てる」
「ふん、我を誰だと思ってる。我は・・・」
【ご主人、しっかり捕まってて下さい】
更に加速して、大きな猫を振り切る豆太郎、容赦無い。
「ま~~つ~~にゃ~~~~」
あっという間に遠のく猫に心の中で合掌しつつ、高速でボク達は次の街を目指した。
「にゃーーーーーー!」
スン・・・。
大きな猫を振り切って少し、豆は急に走るのを止めて動かなくなった。
「どうした豆。疲れたのか?」
【いえ、そうではないのですが・・・何と無く?】
何故に疑問形?首を傾げる仕草は可愛いけど。
仕方ないので近くの大きな岩を背に、早めの夕食の準備を始めた。
「ほら、豆~ご飯だぞ~」
【はい!】
尻尾を盛大に振って駆け寄ると、皿の前でピタリと止まりボクを見る。
ハッ、ハッ、ハッ、ハッ。
舌を出して、尻尾を振り、期待に満ちた目で見つめてくる。
かわいい。こうしていれば普通のコーギーだ。
「待て」「お座り」「お手」「お代わり」
一連の指示をそつなく熟す。流石は勇者。
そして暫くの沈黙の後よし!の指示でご飯にがっつくかと思いきや、シャクシャクと大人しく食べる姿は実に落ち着いている。
「豆はご飯をゆっくり食べるよね」
【はい、大好きな一時なので、幸せを噛み締めてます】
なるほど、子犬っぽくない!
まぁ、大人しくしてくれるのは良い事なので文句はないけど。
ボクも作り置きしておいた料理とスープにパンを浸して食べてたその時だった。
ざ、ざ・・・。
随分弱々しい足音。豆も気が付いてる様でボクに注意を促すが、ここまで警戒心も隠す気も無い足音ならボクでも気付く。
「や・・・」
「や?」
「やっと・・・ぜいぜい、追い・・・付いた・・・にゃ~・・・」
バタン・・・。
今までずっと追い掛けてたの!?
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