第1話 その名は豆太郎
『豆太郎とボク』~異世界転移!? 勇者豆太郎と巻き込まれたボクの物語~
1話1話が短いお話として書いてましたが、そこそこの分量に変更しました。
序に豆太郎の犬種も変更しました。
『豆太郎とボク』リスタートです。
【フェンリル・スラッシュ!】
【魔狼の咆哮!】
【天狼のブレス!】
たった3つのスキルで100は下らない魔物を倒した勇者。残った魔物も負傷者を担いでちりじりと逃げて行く。
「さて・・・」
『クソッ!勇者め。だが俺は所詮おと・・・』
バキッ!
北の砦を襲い、陥落まで後1歩と云う所まで来ていた魔族の武将は討たれた。
「なぁ、豆。あいつ何か重要な事言おうとしてたんじゃないか?」
倒された魔族の悲惨な扱いに、少し同情してしまう。
【あんな在り来たりなセリフを吐く奴が重要な事を知ってる訳ないです、それより散歩の時間が無くなるじゃないですか!】
「確かに・・・所で本当に殺してないよな?」
【勿論です!悪意や殺意のある者しか殺してません!】
「そうか、なら良いんだけど」
【ちゃんと死なない程度に傷を負わせ、治り難い様にしてます】
ボク達は訳あって出来るだけ相手は殺さないようにしている。倒して良いのは基本、直接悪意や殺意を向けた敵だけと決めたのだ。
「そうか・・・じゃあ行くか?散歩」
【わ~い散歩だ~♪】
豆太郎、ウェルシュ・コーギー・ペンブローク6ヶ月。称号:勇者。
ボク、東雲昴 人間13歳。称号:異世界の中学生。
これは勇者召喚された、ウェルシュ・コーギーの子犬、豆太郎と巻き添えでこの世界に来たボクの物語・・・。
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【散歩♪散歩♪】
嬉しさのあまりその場でぐるぐると周ってる豆は可愛い。
「あの、勇者様?」
興奮して回っている豆を掴まえて、リードを付けている所に砦の騎士がやって来た。
【何ですか?今、僕は忙しいのですが】
「はい、なにですか?」
豆は人間の言葉を理解はしているが話せない。なので通訳がボクの役目だ。
「おお、やはり勇者様でしたか。この度は砦崩壊の危機を救って頂き真にありがとう御座います!」
砦の指揮官らしき年配の騎士が、膝を付いて頭を下げている。ていうかボクに羨望の眼差しを送るの止めて。
【あの程度の魔族に遅れを取るなんて、僕の散歩時間の為にも、もっと強くなって下さい】
当の豆太郎は隊長さんの膝をぺちぺちと叩いて、そんな事を言っている。
「いえ、たまたま近くを通っただけです。もっと早く来れていれば・・・」
崩壊した砦の壁を再建するには長い日数が掛かるだろう。其れまでにまた魔族が攻めて来たら・・・。
ボクの気持ちを悟ったのだろう。豆がボクの所に来ると脛に頭を擦り付けてきた。
「豆・・・」
【御主人、散歩!】
全く悟っていない!
「ま~め~!」
豆を抱き上げ小声で豆に話しかける。
【わ~い、抱っこだ~】
ブンブンと振られる尻尾もかわいい。
「うん、そうじゃなくて・・・」
ボクが豆にお願いすると、豆はワン!と答えて魔法を使ってくれた。
【クリエイション!】
豆の魔法で砦の外壁に分厚い岩の壁が現れ壊れた部分を塞いでしまった。しかも扉は頑丈な鉄製で、その両サイドには5m程の西洋鎧を着た阿吽の像が睨みを利かせてる。
「おお~!さすがは勇者様!」
「神の奇跡だ!」
「使徒様ー!」
奇跡の様な光景を見た騎士達は、まるで神を見る様な眼差しでボクを見た。
「貴方こそ神様が遣わした勇者様!」
「いやいやいや、ボクじゃないから!豆だから!」
ボクは豆太郎と抱き上げたまま騎士達に見える様に前に出した。
尻尾を振って、ハッハッハッと舌を出して喜んでる。
そんな豆を見てボクの言葉に、呆然としている騎士達。
【そうです、僕がやりました!】
うん、豆はドヤ顔やめような。
そして、何かに気が付いた様に兵士達の表情が輝く。その目をやめろ。
「なんと奥床しい。自分の功績を誇負せず我々に気遣い、犬がやった等と・・・」
涙を流して頭を垂れる騎士は今は碌なお礼も出来ませんがと、数枚の金貨とこの事を国王に報告する事を約束してくれた。
「だから、ボクは勇者じゃないんです~!」
ボクは居た堪れなくなって、走って砦を後にしたのだった。
【やっと散歩ですね、御主人!】
「違う!」
『豆太郎とボク』リスタートです。
犬種まで変わってしまいましたw
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一応一章が終わった『アストラル・ライフ』も、よろしければ読んでやって下さい。