038運命の木
「ちーっす。お待たせ」
由比が座敷の扉を開けると、既に由比達五人を除いた旧三年一組の全メンバーは酒盛りを始めていた。時刻は予約の時間から一時間が経過していたため、先に開始していたのだろう。
「主役の五人が遅れすぎだろ」
由比たちが主に遅れた理由は治療のため。満身創痍の由比と茜と裕太。移植手術の影響を確認するために那美。そして、刀傷などの事情をうまくまとめるために強子の五人は遅刻が余儀なくされたのだった。
「しゃーない。あーしらが悪いわけじゃない。医者が悪い」
那美の愚痴は苦笑で流され、由比たちは先導されて奥の席へと着く。
「生で良いか?」
「おう」
由比は了承するが、そうは問屋が許さない。
「ちっこい方の比良坂。お前はウーロン茶な」
「ステイ。俺の心は二十歳だ」
否定しながら振り向いた由比の前には包帯塗れの吉田 海王星。あれからマチェットにやられたのだろうか。居場所を伝えた由比は思わず目をそらす。
「いや、それなら十八歳とちょっとだろ」
「だったら茜はどうなる?」
「おい、こっちに飛び火させるな。今の俺は二十一歳で免許証もある」
話題に出されるも自分は関係ないとばかりに茜は受け流す。由比は精神的には同じなのにと悔しがっていた。
「カミュかレミーマルタンをボトルで」
「お客様すみません」
「小泉氏……」
「無茶言い過ぎ」
無理を通そうとするのは何も由比だけではなかった。強子は居酒屋で高級酒を頼みだす。先に始めていた城島とワン・フーは呆れてツッコミを入れていた。
「……では、ハイボールで」
「あーしはカシスソーダ」
「僕はジントニックでお願いします」
「気取ってやがるよ、このイケメン」
メニューにあるものを注文しても文句を言われる裕太。顔の良い男は人類の約半数から見ると問答無用で敵となるのか、男子連中はコクコクと同意を示した。
「生、こっちこっち」
「だからお前はウーロン茶だっての」
由比はお酒の奪取を再三試みるが、女子中学生の姿では誰も飲酒は認めてくれそうもなかった。
「じゃあ、主役たちにもグラスが行き渡ったので改めまして」
「「乾杯」」
音頭とともに生ビールとハイボールが入ったジョッキ、カシスソーダ、ジントニック、ウーロン茶が入ったグラスがカチャンと音を立ててテーブルの真ん中で合わさる。
「ちんちくりんも駿河だよね」
「一人でもあれなのに、二人とか」
昔の恋人をちんちくりん呼ばわりする那美。親友を厄介者扱いする裕太。由比はちょっと仕返ししてやろうと過去の話を口にする。
「そうだよ。証拠にお前の持ってたAVとか言えるぞ。たしか、女子こうせ」
「わかった。この話はやめよう」
裕太が即降参したためか、茜も暴露話に参加しだす。
「そうだな。俺に告白してきた女の子の名前言ってみろ」
「何それ。あーし聞いてない」
「もちろん言えるぞ」
食いついたのは那美。
強子は答えようとした由比を止めようとする。
「それについては、先日、比良坂……由比ちゃんの方のから聞きましたわ」
「……なるほど。どうりで強子がお前を俺と認めたわけだ」
「で、誰?」
「菊理さん、グラスが空いてますわ」
話題を変えようとしない那美の目の前に、強子はドリンクメニューを掲げる。
「そっちの駿河は、何でわたくしに連絡入れなかったのかしら?」
「お前が移植手術したから敵だと思ったんだよ」
「小泉は良かったとしても、小泉家がねえ」
強子は自分に助けを求めてこなかった茜を非難するが、比良坂駿河の臓器が強子に移植されたことを知っていたためと茜と裕太は弁明する。自分の家に非があるため強く出られない彼女は無言でグラスに口を付けた。
「で、そっちの駿河は何であーしに連絡しなかった」
「後回しにしたら、殺人現場で遭遇しちまったんだよ」
「なんで後回しにした」
「い。痛っ。ごめ」
飛び火した小さい方の由比。こちらの弁明は失敗のためかヘッドロックを極められ軽くこづかれていた。
「そういえばシェアはいつ打たれたのでしょうか? 事件前ですよね」
「そう。二年前だよ。吉良に打たれた」
いつの間にか席に近づいていた城島の疑問に茜が答える。
「ちょっと、こっちの駿河。あなた黙ってたのですか?」
「覚えてなかったんだよ」
「そう言えば、刺された事も覚えてなかったですわね」
強子の追求は最もだ。それらを覚えていたら一連の騒動で右往左往することもなかった。対して、情報があったのが茜ということだろう。
「吉良の作った薬だからなんじゃない?」
「黒幕が吉良に失敗作って言ってた気がするな」
そう言えばと自分が比良坂駿河ではないことを説明し忘れていたことを思い出した由比。彼は流石に酒の席で話すことでもないかと話題を変える。
「いや、アーイシャを聖母にしようとした黒幕ならナジュムの方かな」
「何でそうなる?」
「あれやってあれ、じっちゃんのナニかけて」
発音が変だった気がするが、まあいいやと由比は流して要望に応じることにした。
「第一の事件、比良坂邸での中西殺害事件は富士崎由比が侵入したことがトリガーになっている。家の扉を開けたときに比良坂静香と吉良康介に連絡が入った。この連絡自体は裏取りが取れている。それで両者が実働部隊を率いて比良坂邸に集結。竜胆茜が富士崎由比を吉良の一味だと誤認して気絶させる。侵入者を全て排除したと思った静香は中西と接触。富士崎由比が一人だけだったことから疑問に思い、とりあえず放置した。帰ろうと扉を開けたところを吉良達が強襲。中西が死亡、茜が負傷、そして彼女達は何とか逃げ延びた」
「追加。このときに那美が捕まった」
茜が補足した。那美は下を向いて目を逸らす。裕太は悔しそうにグラスを見つめた後、それを飲み干した。
「その後、吉良は気絶した富士崎由比を発見する。彼の携帯電話には二回の開閉記録が入っており、一回目が比良坂駿河、二回目が比良坂静香となっている。このため、一回目の扉の開閉を富士崎由比が行ったと推測した。ところで、富士崎由比は吉良の薬の被検体であり、上手く行けば比良坂駿河の記憶があるはずだった。しかし、虹彩の認証などは比良坂駿河の身体が必要であり、記憶があろうが富士崎由比の身体では不可能だ。だが、二年前に比良坂邸に侵入した警察記録がある」
「俺らのことだな」
「そうだよ。だから比良坂駿河の記憶を持った富士崎由比が旧友の協力を得て忍び込んだと思われた。というかこれがほぼ正解なんだが。だけど、そこでアーイシャが第三の可能性を言い出した。富士崎由比の目の元の持ち主であった朝霧 蜃の可能性を」
「連続殺人犯じゃん」
「そのとおり。原理はさておき、朝霧であれば頭脳を活かし、一人でも侵入した可能性が考えられた。先の比良坂駿河説だと試薬Pを投与してから富士崎由比は半年もの間、富士崎由比そのものであったことに無理がある。演技の天才でもある朝霧なら納得がいく。だから揉めたんだよ。過去に移植歴があった被検体がもう富士崎由比と竜胆茜の二人しかいない上に、二人共試薬Pを投与済みだから確かめようがなかった。中東組はとても慎重になっていた。だから、彼らは朝霧の殺人現場を模倣して反応を確かめた。それがあの遺体の偽装の真実だ」
「何か凄いね」
「その後、吉良が富士崎由比に接触。おそらく朝霧 蜃の本を慌てて読んだのだろうな。まともな質問も出来てなかった。対して、アーイシャは転校してまで積極的に確認しにきた。その後、彼女は一言一句、富士崎由比の言動を確認していく。可能性は三つ。富士崎由比か、比良坂駿河か、朝霧 蜃か。比良坂駿河の好みの味のクレープを渡したり、テニスの経験をどこで積んだのかの聴取等、事細かに」
「十歳なんだっけ、恐ろしい十歳だな」
「その感想はもう少し待っとけ」
まだ不十分だと由比は茜を嗜める。
「七瀬誠は富士崎由比に試薬Pを打つ前の事前段階の被検体だ。富士崎由比に試薬が打たれたということは、彼の中身は比良坂駿河だ。七瀬で駿河になってなければ、由比が打たれることはない。彼の死因は自殺だと思う。死亡の直前に腕にスルガと掘っていたから」
「まじで? あーしの姿を見て発狂したんだけど。あの人」
「なるほど、捕らわれた那美を見て、意趣返しのつもりか。それとも何かの手がかりを残そうとしたのかもしれないな。実際は比良坂駿河の腎臓を那美に移植する羽目になったようだが。たぶん、このあたりでアーイシャは俺が朝霧 蜃だと確信を持っている」
「大外れじゃん」
「いや、当たりだよ」
「え?」
「これについては後で説明する」
「二階堂と新藤を殺した理由だけど表向きは追加実験の準備として臓器を集めるため。遺体の装飾は中西と同じ理由。中西は七瀬死亡と同日の昼過ぎに殺害、胃を交換して死亡時刻を操作しているのは、遺体の発見場所をアーイシャが通う中学校にしたから。あの日は裕太の家に行くために部活を休んだが、それがなければ第一発見者は俺になる予定だったんだと思う。その様子をアーイシャが直に確認するために。新藤は大人と子供の麻酔ガスの必要量の差と音響攻撃による密室殺人。密室を作ったのは新藤で、アーイシャ達は新藤を殺すことだけを目的に動いたら自然に密室になっただけなのだろう」
「表向き?」
「ナジュムはその表が目的。言いくるめたのは多分アーイシャ。彼女の目的は駿河の臓器を富士崎由比の関係者に集め、俺が引くに引けない状態を作ること。そもそも学校での探りもかなり雑に思える。疑われるのも目的の一つだったわけだ。彼女は引けない状態で、富士崎由比と一対一になることを目的としていた。だからわざわざ、那美の手術映像を映した。あのとき学校を目指す理由を作ったのもアーイシャだ。おそらく彼女は音声だけで状況を確認しながら、全体の動きの調整をしていた。正直に言うと、心理戦は惨敗だ。だから最後に巻き込んだ腹いせに思いっきり殴ってやった」
「一対一? 何のために?」
「いよう。比良坂」
背後から呼ばれて振り向く二人の駿河。
「やっぱり美人だよな」
「やっぱり美少女だよね」
容姿について改めて感想を述べる霧ヶ峰 悶舞蘭と早坂翔。前者はレズ疑惑が、後者はロリコン疑惑がかけられている。彼らが現れたため、真相の話は一旦中断になる。
「お前らは危ないから、どっか行くべき」
「そうですわ」
邪険に扱う紅二点。恋人を取られまいとする意図と真相の続きを聞きたいという思いの二つが込められた全否定だった。
「胸揉み放題忘れていないから」
「明日になったらな」
「そうだ。皇の尻に指を入れたらしいな」
「入れてないから、入れたのは強子のところの男ボディーガード」
「待って、なにそれ。僕知らないんだけど」
茜と由比も二人をあしらう。その過程でとばっちりの情報が裕太にもたらされた。真相を知る二人は目を逸らす。
「お前でかくなりすぎ。あとイケメンになりすぎ」
「そう?」
酔いが回っているのか適当に誤魔化される裕太。彼の二年間の変化に対しては他の面子も思うところがあったのか話に花が咲く。
「それ俺も思った。てか、イケメンの余裕かよ」
「あーしもイケメンだと思う」
「駿河の方が (ゴニョゴニョ)」
「「ん?」」
「皆さん、グラスが空ですわよ」
約一名の自爆者は再度メニューを掲げて注文を促した。
「あーし、酔ったみたい」
強子がボロを出すたび飲まされていた那美は最初にダウンする。
「お待たせしましたー」
「生こっちでーす」
「カシスソーダはどうする?」
「あーしはもういらない」
余ったお酒を狙う由比。彼は未だに、茜が飲んでいるのに自分が飲めないことに納得していなかった。
「欲しそうにしない。未成年の方の駿河」
「薄めるから。カシスソーダの度数は5%くらい。ノンアルコールの定義が1%未満だから、ウーロン茶4杯でカシスソーダ1杯飲める」
「必死だな。気持ちはわかるが」
「気持ちをわかるな。成人した方の駿河」
その後も他の席から面子が入れ代わり立ち代わり現れては、積もる話が盛り上がる。そんな中でも皆は何となく二人の駿河の今後のことについてだけは話題にしなかったこと。それは軽々しく踏み入ってはいけないことだと思われたから。
※ ※ ※
「この木を見るのも久しぶりだな」
「俺は最近ここへ来たぞ」
解散した彼らが向かった場所は四人が通っていた高校の裏山にある小高い丘。そこにある杉の木をポンポンと叩きながら茜は懐かしそうな目をしていた。
「俺はここでお別れにする。お前はどうする?」
「俺は――」
「巫山戯んな!」
話しかけたのは由比に対してだったが、横から応えが返ってきた。
「あーしの許可なく勝手に死ぬな」
「久々に聞いたな、その台詞」
「今度だけで良いから守れ」
涙目の那美。彼女は茜の言動からおそらく今日デリートを使おうとすることを何となく予想していた。対して、彼女を見つめる茜の優しげな瞳は決心の固さを表していた。
「ごめん。茜との約束なんだ。それにこのままだと茜が留年する。薬学部とか無理。教養以外の単位をほぼ全部落とした」
「留年しろ」
あまりの言いように二人の駿河は苦笑を浮かべる。
「あっちは大変だな」
由比はポケットから一本のアンプルを取り出す。
その一挙一動を強子は口を閉じ、じっと見つめていた。
由比はアンプルを軽く振る。濃い赤紫色の液体から、その中に含んだ泡が一斉に浮き出した。泡の正体は炭酸。もちろん本物のデリートにはそんなものは含まれていない。
「飲酒は駄目なんじゃなかったのか?」
言葉を向けられた強子は口を真一文字にして由比に相対する。
「こっちも大変そうだ」
裕太は男女のことだからと傍観者に徹することにして、四人との距離を広げる。
「俺は笑顔の那美が好きだな」
「嘘つき。駿河が好きなのは、あーしのお尻だ」
説得失敗。
「笑顔も好きだよ」
「駿河のまま残るならお尻の穴も好き放題させる」
「まじで?」
逆に懐柔されかかる。
「でも、よく考えたらあれが無いし」
「大丈夫。あーしが女の子の快楽を押し込む」
「何それ。怖い」
笑い話のような会話。その内容とは裏腹に茜はずっと優しそうな瞳で、那美は涙も鼻水も垂れ流しながら見つめ合っていた。
「何を考えているんだ、強子」
「富士崎由比なんかどうでも良いのです。彼女はわたくしにとって、ただの敵です」
こちらは打って変わって緊迫している。狂気を孕む瞳で見つめる強子と、彼女を睨みつける由比。
「本物のデリートを打てば女子高生になるが、これでは殺人鬼になるだけだ」
「すぐになるわけじゃないのでしょう?」
「いつ変わるかわからないだろ。その場にお前がいれば死ぬことに成るかも知れないんだぞ」
「死んだって良い! 僅かな時間だけでも一緒にいられたら」
強子にとっては彼が全てだった。
真実に叩きのめされたときにそれを許し、ともに知恵を振り絞り謎を解き、ときに頼り、ときに頼られ、喜びと悲しみを分かち合い、想いを伝え、それが成就した唯一人の大切な人。失われることを許容できないところまで彼女は彼に依存していた。
「那美。俺を笑って送り出してほしい」
「無理。駿河はずっとあーしと一緒にいるの」
泣く那美をそっと抱きしめ、触れるだけの口づけを一度、二度と交わす。それでは足りないのか彼女の方から、貪るように求め始めた。
唇が離れたとき、二人は自然と見つめ合う。
「ずっと一緒にいるさ。俺はお前の中にいるんだから」
「駿河、するが、するがぁ」
那美は何度も何度も己の想い人の名を呼ぶ。
「いつの間にすり替えたんだ」
「あなたがわたくしのハイボールにこそこそと口を付けていたときです」
由比は今日の小さな冒険を後悔した。
「俺の分のデリートを返すんだ、強子」
「嫌です」
逃げるようにする強子を後ろから抱きしめる由比。強子は少し屈んで、頭を彼の肩に持たれかける。
二人は触れるだけの口づけを一度、二度と交わす。
「愛してる」
「駿河、あなたはずるいです」
頬を膨らませる強子。仕草が可愛いと思ったのか由比は何度も口づけを送った。
「デリートは?」
「そ、その……」
言いよどむ強子に対して足りなかったと判断した由比は更なる口づけの嵐を送る。首筋に耳に、頬にと。
「あん、ちょ、やん……言います。言いますから」
息を乱す強子。
勘弁とばかりに早口で示した場所は。
「す、皇のお腹の中です」
「えっ?」
突然の告白に傍観者を決め込んでいた裕太は不意を付かれて声をあげる。
「空のグラスに移したのですが、皇がそれを飲みました」
「えっ?」
「じ、じゃあ、俺は逝くよ。裕太、後はよろしく」
不穏な空気を感じ取ったのか、茜はプシュっと音を立ててアンプルを首筋に打った。
「ちょ、雑」
抗議の声を上げた那美は、振り返ると由比と強子の前に歩を進める。
「ずるい。そっちの駿河よこせ」
「あ、あなたも皇に飲ませれば良かったのです」
「やめて。ってか、僕大丈夫なの?」
裕太に薬を飲ませることが正当化される。
裕太だけがそれを否定する。
「そもそも、茜と違って俺は二年くらいの間は、このままの予定なのだが」
「わたくしの想いを受け止めてくれるのですね……二年?」
「ずるい、ずるすぎる」
「じゃあ、何でデリートを寄越せって言ってたの? というか先に言っといてよ。そのせいで飲まされたんだよ」
駿河の暴露に様々な反応を見せる面々。そこへ新たな火種が現れる。
「あの。比良坂博士の関係者でしょうか?」
「「誰?」」
声をかけてきたのは竜胆茜だった。駿河の精神がいなくなったからか、どことなく表情も異なる。口調は完全に別人だった。
那美はその姿を見ると、顔を背けた。
彼女は、もう駿河はいないのだと自覚させられるのが嫌だった。
逸らした瞳から止め処なく流れる涙。
「茜、じゃなかった。比良坂駿河君から伝言なのですが……前期の単位はほぼ全滅したそうです」
「なっ!」
要点だけ伝える由比。
裕太は確かにそう言ってたけど、それはこの場で伝えることかと心の中で非難していた。そのため、口調が荒くなる。
「そんなことより、二年って殺人鬼化はどうするんだよ」
「そんなことより!?」
「あ、いえ、すみません。って、それはさておき」
「それはさておき!?」
「あー。もー。なんで駿河以上に厄介なの!」
竜胆茜の追求から逃れられない裕太。
外野になった由比はここぞとばかりに笑い声を上げる。
「前例もあるし何とかなると思う。強子の協力さえあれば」
「愛の、愛の力ですか?」
「それだったら、あーしの方が」
「いえ、金の力です」
その一言はありえないだろうと、由比を除く全員がしかめっ面をした。
次回『039エピローグ』
「あのとき一発殴ったが、もう一発いいか?」
「やめろ。聖母様のご尊顔だぞ」
あなたの脳裏に神戸の妄想が焼き付く




