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022記憶にございません

 「ママ、パパ。私の小学校の頃の写真ってないのかな?」


 改めて富士崎由比の素性を洗うため、富士崎邸で由比の過去を調べた駿河。しかし、彼の予想を覆し、調査は難航する。理由は記録が何もないこと。


 二年前を堺にそれ以前の富士崎由比の情報は、写真一枚もなかった。




 昨日、駿河は強子に調査を依頼した。

 結果は『調査の拒否』。

 祖父に激高する強子は、逆に強く戒められる。


 「ごめんなさい」

 「気にするな」


 沈んだ表情の強子に駿河は簡単な慰めの言葉をかけることしかできなかった。




 行き詰まった駿河が調べたのは中学校の友人。

 しかし、吉原しずく、永田弥生も中学校に入ってからの友人らしく、それ以前の富士崎由比を知らなかった。

 聖フォレスティア女子学校はエスカレーター式。

 一人くらいは知っているはずと対象を広げようとした駿河を迎えたのはアーイシャの疑問の声。


 「何故、探す」


 その場を取り繕った駿河は最後の手段を取ることにした。

 それが両親への質問である。




 質問の回答者で一番好ましいのは、見ず知らずの他人である。

 なぜなら、赤の他人は質問内容に違和感を感じにくいからである。また違和感があっても脳が勝手に改変する可能性が高い。親しい間柄であればあるほど、些細なことにそれを感じる。



 「な、何を言い出すんだ一体」


 やはり、取るべき手段ではなかったかと駿河は後悔する。


 「可愛く撮れている写真とか一枚でもあれば……」


 懇願する駿河に対して、戸惑った顔で、顔を見合わせる由比の両親。


 「ごめんなさい」


 これ以上は無理だと判断した駿河は、一言誤り自室へと戻った。





 駿河はゴロリとベッドで横になる。


 時刻は17時。

 美術部もテニス部も休み、久々に自宅で迎える日の入り。





 駿河は目覚めた当初、富士崎由比のことは転生先という程度しか認識してなかったことを思い出す。




 何故、比良坂駿河の精神なのか?


 何故、富士崎由比の肉体なのか?


 深く考えなかった二つの疑問。

 

 この答えが、バラバラになったすべての情報を繋げる架橋なのではないかと。





 そして、同じく転生時にそれほど深く考えなかった数字。『二年』。


 二年前に比良坂駿河は死亡する

 二年前に比良坂静香は失踪する。


 ここまでは良い。

 この二つは連動している推論を立てることができるからだ。


 二年前より以前の由比の記録が一切ない。


 この事実は先の二つと結びつけることができない。



 この『二年』という数字。これは偶然だろうか。




次回『023皇裕太』

 「おいーっす。元気してる?」

 駿河を迎えたのは、竜胆茜の唖然とした顔だった


あなたの脳裏に神戸の妄想が焼き付く


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