(過去)2度目の人生④
急げばまだ間に合う。
そう思いヒカリのいる小学校へと全速力で走る。
俺の通っている中学と小学校は大して離れておらず、歩いても10分程度しかかからない。
全力で走ったおかげで5分もかからず到着したのであった。
よし。ちょうど授業が終わるタイミングだ。
俺は乱れた息を整えながら、小学校の建物に取り付けられた時計を確認した。
するとすぐに授業終了のチャイムが鳴った。
かつて自分も通っていた小学校だ。
チャイムの音を聞き、少し懐かしさを感じながらも、勝手に入るわけにもいかないのでどうしようかと考える。
俺が悩んでいると、見覚えのある女の子が学校から出てきた。
「ごめん。ちょっといいかな?」
声をかけられた女の子は俺を見て少し警戒する様子を見せる。
俺は笑顔を作って話しかけることにした。
「君はたしかヒカリの友達だったよね?」
「えっとヒカリちゃんのお兄さんですか?」
「そう、兄の翔だ。」
「こんにちは。えっと、どうされたんですか?」
「ヒカリに用があって。まだ学校にいるかな?」
「ヒカリちゃんでしたら1時間前に帰りましたよ。」
「えっ! どうして? 授業は今終わったんだよね?」
「いえ。今日は昼から警報級の大雨が降るとかで、早めに下校することになったんです。
「なんだって!」
確かに1度目の人生でヒカリが死んだ日は大雨が降っていた。
今も雨が降り出しそうなほど天気が悪い。
でもどうして今日に限って!
「私は友達とおしゃべりしていて今帰るところですけど。」
女の子は照れくさそうに何か言っているが、俺の頭に入ってこない。
「お兄さん?」
「あ、ああ、ごめん。すぐヒカリを追いかけないと。教えてくれてありがとう。」
そう言い残して俺はヒカリを探すため走り出した。