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(過去)2度目の人生③


教室から出た俺は下駄箱で靴を履き替えて校門に向かう。

その瞬間聞きなれた声が頭の中に鳴り響いた。


『悪行ガ行ワレマシタ。善行ポイントガ100ポイント減少シマシタ』


おそらく授業をサボったせいで悪行としてカウントされたのだろう。

しかし元からポイントは足りていないので気にすることはない。



そして学校から出るために校門に到着する。


しかしここでも予想外のことが起こる。


そこには校則に厳しいことで有名な生活指導の先生が立っているのだ。


もし見つかればヒカリのところに行けなくなる。

そう考えた俺は別の門から出ることを考え、姿を隠しながら移動を開始した。





結果から言うとどの門も同じだった。

全ての門で先生や警備員が一人以上立っており、校門からの脱出は不可能に思われた。


そこで門以外の脱出経路を考える。

この中学は門以外の場所は基本的にフェンスに囲まれており、よじ登ればどこからでも脱出することは可能に思えた。


だがフェンスに近づこうとすると必ず大人の声が近くで聞こえ始めた。

まるでアラートが鳴り始めるように。


強行突破も可能かもしれないが、この奇妙な状況でそれをすると確実に見つかり捕まってしまう予感がした。


俺は学校の敷地内を見つからないように彷徨(さまよ)い続ける。

すでに20分近く時間をロスしていた。

ヒカリのクラスはあと10分ほどで下校時間を迎えるはずだ。


俺は焦る。

目の前にはプールがあり、プールを囲うブロック塀の向こうには外の世界が広がっている。

しかしその塀は高く、よじ登ろうにも手をかける場所すら見当たらなかった。


このプールの向こうに行ければ、ヒカリの通っている学校の近くに出られるのに・・・。

ん?プール?


そのとき俺は古い記憶を思い出した。

それは1度目の人生のことで、同じくこの学校の生徒だったころ偶然見つけた場所だ。


学校にあるプールの土台部分、多数の水道管が走っておりそこはギリギリ子供が通れる隙間があった。

昔の俺は友人たちとそこを秘密基地にして遊んでいた。


真っ暗で何も見えない中を好奇心で奥まで進んだところ、ブロック塀の向こう側、学校の外に続いていたのだ。



俺は記憶を頼りに学校のプールに向かった。


そして見つけた。

古い記憶の通りギリギリ通れる隙間を。



俺は急いでその隙間を通り抜ける。



「や、やった。出れた。」



薄暗い穴を通り学校からの脱出を果たした俺は、今にも雨が降りそうな曇り空を仰ぎ見るのであった。


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