(過去)2度目の人生①
神様のおかげでヒカリと再会できた俺は最初の人生のときよりもヒカリを可愛がった。
そしてそれに並行して神様に言われた通り必死に善行を積もうと努力した。
しかし2度目の15歳の誕生日までに集めることができたポイントは6000と数十ポイントほどで、10000ポイントには遠く及ばなかった。
善行ポイントというのは簡単に貯まるものではないことをこの時の俺は知らなかったのだ。
例えば家でお手伝いをしたとする。
おつかいやお風呂の掃除など何でもよいが、これらで得られるポイントは0。
つまり善行には含まれない。
『善行ポイント』の声によると、これらは結局自分の家のため、つまり自分のためになるのでポイントとして加算されないらしい。
なので次に外で困っている人を助けることを考えた。
しかし、困っている人というのはそう簡単に見つかるものではなかった。
まして10代前半の子供に助けられることなどそうそう起こらないからだ。
さらに厄介なのは助けた人間が悪人だった場合だ。
一度あったことだが、助けた相手が少女好きのロリコンだったことがある。
小学生のころ学校の前で困った顔をしていたので声を掛けたところ、その男は「娘がお弁当を持っていくのを忘れていたので届けに来たのだが、なかなか学校の中に入りづらくて困っている」と言ってきた。
そこで俺が善行ポイントのために「案内するよ」と言って一緒に校門をくぐってしまった。
その瞬間、『善行ポイント』の声が『悪行ガ行ワレマシタ。善行ポイントガ500ポイント減少シマシタ』と言ってきた。
俺は慌ててその男を校門の警備員さんのところに連れて行った。
そこで抵抗を始めた男は取り押さえられ持ち物が確認されると、カバンの中からたくさんの小型カメラが見つかることになる。
この男は学校に忍び込み、隠しカメラを設置して女の子を盗撮するつもりだったのだ。
この時分かったことだが、悪行に加担してポイントが減らされた場合、すぐに挽回しようと行動してもポイントは戻ってこないということだ。
そして最大の問題点は、人を助けてもらえるポイントがあまり多くないことだった。
ほとんどの人が100ポイント程度しかもらえず、これまで一番ポイントをもらえたときも700ポイントが最大だった。
たとえポイントを使って人を助けても、決して収支がプラスになることはなかった。
こうして何度も失敗した俺は、結局2回目の人生ではヒカリを助けるために必要なポイントを集めきることができなかったのだ。