3度目の15歳の誕生日③
「どうしてお前はヒカリと一緒にいてやらなかったんだっ?」
「私のせいにしないでよ。ずっと一緒にいるなんてできるわけないでしょっ。」
ヒカリを失った日の深夜、両親は喧嘩を始める。
俺は自室で彼らの声を聞きながらも、それに対しもう何も感じることはない。
俺は知っている。
この半年後、母は家を出ていき二度と会うことはない。
俺を育てることになった父もすぐに再婚し他の女性と子供を設ける。
そして俺はいないものとして扱われるようになる。
それはもういい。
すでに彼らの3倍近く生きている俺は彼らに何も期待していない。
俺は明日から次の回に行くための準備を始めなければならない。
『善行ポイント』のスキルで《転生》を使用するために必要な善行ポイントは10万ポイント。
《転生》を使用することで10歳の誕生日の時点の自分自身に転生、いやタイムリープすることができる。
前回10000ポイントを貯めるために大体5年かかった。
つまり10万ポイント貯めるには約50年間善行を積む必要がある。
これから50年、俺は助けたくもない人間を助け続けて善行ポイントを貯めなければならない。
・・・少しでも効率よくポイントを集める必要がある。
俺は机からノートを取り出すと、前の回で善行ポイントを稼ぐことのできた『イベント』を書きだしはじめた。