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08

 ワイルドウルフ討伐依頼を受けた俺は早速準備を行い現地へ向かうべく、カインさんと共に馬車で移動していた。 

 道中では、ワイルドウルフをどのように倒すか、打ち合わせをした。

 その結果の作戦はシンプルで、俺がワイルドウルフを誘き寄せて、カインさんの炎魔法で倒すというもの。

 俺が言うのも何だが、こうもあっさりしてるとすごく心配になる。

 先程ギルドで俺はカインさんから、俺がワイルドウルフ相手に数秒時間を稼げるか確認された。

 そのため、俺が時間を稼いでカインさんが魔法でとどめを刺すのかと思ったんだけど、どうも違うらしい。

 俺がそのことをカインさんに聞いてみた。


「確かカインさんは俺に、ワイルドウルフ相手に数秒時間を稼げるかと確認されましたよね?なんで俺が時間を稼いでカインさんの魔法で倒す、と言う方法にしないのですか?」

「今アルト君が言ったことはあくまでも最終手段。冒険者にとって戦闘は最小限に留めるのがベストだ。私の言った作戦はシンプルだが最小限の戦闘で済ませられる。ただ、アルトの負担がかかるが……」

「なるほど」


 確かにそうだ。

 プランは一つだけ立てるものじゃない。

 その状況に応じて対処できるようにいくつか予備の作戦を考えるものだ。

 考えが甘すぎた。考えを改めなくてはいけないな。

 俺はそう思い、一度頭をクリアにした。

 作戦自体はカインさんのワイルドウルフを一撃で倒せることが前提だが、それについては出発前に一度カインさんの魔法を見せてもらった為問題ない。

 カインさんは俺の目の前で本当に五秒で倒すくらいの魔法を見せた。

 俺は驚いたが、目の前で見せられた感想は才能の差は妬ましいということ。

 俺はそう考えるが、今更だなと一人納得。その後はカインさんと作戦の詳細を話し合い、現地まで過ごした。
















 俺とカインさんが現地に到着するとまずは討伐するための場所を探す。

 もちろんワイルドウルフの縄張りに入るため警戒は怠らずにだ。

 カインさんが周囲探知無属性魔法『サーチ』を使い、いつ現れても平気なように慎重に行動した。

 俺はそんなカインさんをみて本当にすごいと思う。

 魔法の威力もそうなのだが、魔力量が異常、依頼一人でもこなせるんじゃないか、俺は足手まといなんじゃないかなと考え始めてしまう。

 でもとりあえずこの考えは今はやめよう。

 カインさんは俺を必要だと言ってくれたのだ。

 何かあれば指示があり何もない。

 だから今は依頼に集中しよう。

 俺は考えを切り替えて依頼に集中する。

 それから俺とカインさんは森を進んだ。














 俺とカインさんは森に入って数十分歩いたところに木々がなく、透き通るような綺麗な湖を中心に芝生が広がっている場所を発見した。

 お互い了承しここを討伐の目標地点に決めた。


「ここがいいだろう。ここならば炎の魔法を使っても火災は防げるだろうからな。あとはワイルドウルフをアルト君が誘導できるか否かにかかってるな」

「わかりました。精一杯頑張ります」


 俺はカインさんの提案に了承、頑張る旨を伝えた。

 実を言ってしまえば俺にはこの作戦遂行には自信がある。

 事前にワイルドウルフについてはギルドで学び、カインさんから情報をできる限り聞いた。

 俺は情報を整理し、どうやって対象を誘導するかを考える。

 ポイントは俺が湖まで逃げ切れるか、湖周辺で魔法を準備し待機するカインさんが魔法を放てるようにすること。

 今回は俺は直接戦闘はしない。

 もちろん試したいと思うこともあるが、依頼達成が最重要項目。 

 そのため、役割に徹することにした。

 俺とカインさんはそれぞれ作戦決行のための準備をし始めた。













 俺は今、森に慣れるために軽く走っていて、作戦の準備をしている。

 俺の役割はワイルドウルフを目標地点に連れて行くこと、森道を慣れるためにカインさんの経験から指定されたワイルドウルフの縄張りに入るギリギリのところを走っている。

 もちろんこの行動に理由がある。

 一つはワイルドウルフに縄張りに侵入した者がいることを伝えること。

 もう一つワイルドウルフから逃げる最短ルートの発見のためだ。

 俺の考えでは今回、『見切り』と身体強化を使えば逃げ切れると思っている。

 でも、もしもダメでも別の手段を使う。

 仮に誘導に失敗をしたとしても一体ーでも勝機はある。

 でもそれはあくまで最終手段、最善はカインさんの作戦。

 俺は作戦開始時間ギリギリまだひたすら森にいてルート詮索をし続けた。














 俺が作戦結果後準備をし始めて時間が経ち夜となった。

 俺は自分の持ち場に向かおうとするが直前にカインさんから話しかけられた。


「アルト君」

「はい、なんでしょう?」

「君にこれを渡しておこうと思ってな」

「これは?!」


 一瞬驚いてしまった。

 カインさんが俺に渡してきたのは魔力ポーション。

 魔力ポーションは貴重で、生成が難しいため高額。

 仮に平民三人家族で一月金貨二十枚あれば多少贅沢な暮らしができる言われている。

 魔力ポーションは一本でその生活を十ヶ月ほと余裕に続けられる額だ。


「こんなの受け取れません!」

「いや、アルト君にはこれを受け取ってもらいたい。ただでさえ危険な依頼だ。気休めにしかならないけど、受け取って欲しい」

「…………わかりました。いただきます」


 流石に躊躇う。

 こんな貴重なものをもらうわけにはいかないが命の危険が伴うのは事実。

 もらえるものはもらっておくことにする。

 それに使わなかったら返せばいい、そう判断し受け取ることにした。

 俺はカインさんから魔力ポーションを受け取ると森を歩く。

 心臓が高鳴り、縄張りに近づくにつれて鼓動が速くなるのを自覚しながらゆっくり歩いていく。


グオーー!


 その鳴き声を聞いた瞬間一気に緊張感が増す。

 それはワイルドウルフの咆哮。俺はすぐに体に魔力を流し身体強化を発動。

 カインさんとの約束の場所へ走り始めた。


 作戦決行だ!

お読みいただきありがとうございます。


次回は明日7時に投稿します。


もし、少しでも面白い、続きが読みたいと思って頂けましたら差支えなければブックマークや高評価、いいねを頂ければ幸いです。


評価ポイントはモチベーションになります。


よろしくお願いいたします。


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