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05

 俺は戦闘終了後、最後に倒したゴブリンが逃げた方向に進んでいた。

 魔力総量が半分以上残っていたので、あと一回くらい戦闘が起きても平気だと判断し、多少リスクを承知で向かう事にしたのだ。

 理由はゴブリンの巣の特定。

 可能性の段階だが、上位種のボブゴブリンがいたこと、ゴブリンが逃げた方向に巣ができているのでは?と予想した。

 もしも本当に巣を発見できれば俺の冒険者ギルドの評価は多少上がる。

 移動を続けて数分、草木を気配をできる限り消して進んでいると、そこには大きくはないが、人が出入り可能な洞窟があった。

 俺はすぐにその場に止まり、観察を続けた。

 よく見ると洞窟の入り口には何かの足跡が複数発見した。

 それから数分、その場に待機していると一匹のゴブリンが入っていくのを発見できた。

 俺はそれが分かると即座にその場を後にした。

 

 

 

 

 俺が撤退後、冒険者ギルドヘ向かった。

 冒険者ギルドの支部はいくつもあり、クロスフォード領にもある。

 と言うよりも、領内に必ず一つは冒険者支部と義務教育学校を作る義務がある。

 それは領民が他領に移動をせずに教育を受けられるように、領内の治安を守るためでもある。

 しっかりとした基準があり、偶に抜き打ちで王国のものが訪れたりする。

 その為、手を抜く、不正などはできない。

 俺はクロスフォード支部のギルドに到着すると、すぐに受付に向かい報告をする。

 

「すいません。依頼報告をしたいのですが」

「わかりました。では、冒険者カードと依頼書、依頼の物の提示をお願いします」

「わかりました。……これが魔石になります」

「はい。確認します」

 

 俺は言われた通りに提示する。

 すると受付の人が何故か困った戸惑った表情をし、話しかけてきた。

 

「あの、依頼内容はゴブリンの魔石三つとあっていたはずですが……何故ボブゴブリンの魔石があるのですか?」

「え……倒したからですけど」

「倒したのですか!一人で?」

「はい。時間もなかったですし。……一応個数は足りてますし、依頼達成ではダメでしょうか?」

「はぁー。別に依頼は達成です。ただ、ボブゴブリンは討伐ランクはEですが、Dランク寄りです。今度からは見かけたらすぐに逃げてください。今回は運がよかっただけだと思ってくださいね。いいですか!冒険は命の危険が伴う物です。今度からはランクに見合う行動にしてください。いいですね」

「す、すいませんでした」

 

 怒られてしまった。

 でも、それはわかっていたことだ。

 冒険者は基本、ランクに応じた行動をするのが普通だ。

 今回のような行動は褒められたことじゃない。

 でも、俺は原作開始前までにランクをCまで上げるつもりでいる。

 冒険者ランクは上からS、A、B、C、D、Eの6段階に分かれている。

 ちなみに冒険者の殆どがCランクで終わる。

 Cランクは常人の領域、そしてそれ以上は超人、達人の域と言われている

 そこそこ評価されるランクであり、信用もつく。

 そのため俺は多少のリスクを負ってでも、行動にしなければならない。

 

「わかりました。次からは気をつけたいと思います」

「そうしてくださると助かります。新人冒険者が死んでしまう事例は少なくありません。ただでさえ冒険者は不足しています。安全第一でお願いしますね」

「はい」

 

 この受付嬢の人には申し訳ないが、従うことはできない。

 でも、できる限り安全マージンを取る事を心がけよう。

 

「では、こちらは報酬になります。ボブゴブリンの魔石がありましたので多少上乗せしてあります。金貨四枚です。確認してください」

「わかりました」

 

 この世界の金の価値は

 

金貨=一万円

銀貨=千円

胴貨=百円

鉄貨=十円

銭貨=一円

 

 となっている。

 それにしても四万円か。

 もともとの報酬が金貨二枚だったから、相当ボブゴブリンの魔石価値があったんだな。

 

「ほかに何かありますか?」

 

 俺がそんなことを考えていると、受付の人が話しかけてきた。

 おっとゴブリンの巣のことを報告しなくては。

 

「はい、一点報告があります。実はゴブリンとの戦闘が終わった後、たまたま巣を見つけました。規模は分かりません」

「?!それは本当ですか?場所はどこですか?」

 

 受付の人は驚きながら聞いてきた。

 俺は地図をだし、巣の場所を指先答えた。

 

「ここになります。洞窟の入り口に複数の出入りの跡、そして一体ゴブリンが入っていくのを見ました」

「……わかりました。後日、確認のための偵察依頼を出しておきます。情報提供報酬は確認が取れ次第、お渡しします」

「わかりました。お願いします」

 

 俺はそう言い、帰ろうとした。

 しかし、受付嬢が俺に話しかけできた。

 

「少しお待ちを。あなたは今回の依頼で実力があることはわかりました。しかし、討伐依頼だけでなく、薬草等の採取依頼もお受けした方が良いと思いますよ」

「わかりました。採取依頼は後日お受けしたいと思います」

 

 受付の人の話を聞き、ニヤけてしまいそうになるのを我慢して、そう受付嬢にそう伝えてギルドを後にした。

 今回の件で俺はギルドに多少実力の証明と名前を売ることができた。

 ギルドランクを昇格させるには条件がある。

 まずは依頼を達成して評価を得ること。

 そしてもう一つはギルド職員が推薦になる。

 受付嬢が俺に依頼を勧めてきた理由はわからないが、もしかしたら推薦などの意味も含めているかもしれない。

 俺はとりあえず次の依頼は受付嬢に言われた通り採取をしようと決め、帰路につく。

 帰宅後は明日ある学校の定期試験のための準備をした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ここはギルド内、ギルド長室。

 一人の女性と男が話していた。

 

「ギルド長、お時間をいただきありがとうございます」

「いや大丈夫だよ。それで至急時間を作って欲しいと言っていたが何かあったのかね?」

「はい。今日登録した冒険者の中に、期待の新人がいましたので報告をと思いまして」

「期待の新人……」

「はい。アルトと言う名前の冒険者なのですが、私は彼がDランクに匹敵する実力を持っていると思います」

「理由はあるのかね?」

「はい。ボブゴブリン1体、ゴブリン2体同時撃破。そしてこれはまだ調査中ですが、ゴブリンの巣の発見。これについては本人から状況を聞く限りほぼ確定です。多対一の状況で勝利する戦闘力と判断力、そして戦闘後にゴブリンの巣を発見する洞察力は新人とは思えないくらい高いです」

「それは聞く限りだとすごいかもしれないが……本当なのかね?」

「はい。同時撃破については魔物の習性、ボブゴブリンは常に数体のゴブリンを引き連れることから同時撃破をしなければいけません。ゴブリンの巣についても、新人とは思えない洞察力で巣の証明となる情報の提供がありました」

「確かに聞く限りだとすごいかね。……この件は一先ず保留にしよう。そんなに優れている新人ならすぐにでも頭角を表す。今後のアルトくんの活躍に期待しようかね」

「わかりました」

 

 そう言い、受付嬢……マリエの報告は終了、退室した。

 

(アルト君か。少し様子を見て、優れている人間なら学園に調査依頼を出してもいいかもしれんかね。もしも支部から推薦者が出たら私の株も上がるかね)

 

 アルトは詳しく知らないが、王立フューチャー学園に入学するために必要な推薦を得る方法はいくつかある。

 その内の一つに、冒険者ギルドのルートがある。冒険者ギルドが優秀な人材を見繕って学園に報告、学園に勤める人が直接面談をして能力が適正だった場合、学園の推薦権を得ることができるのだ。

 アルトの知らないところで話が進む。

 今後、アルトの活躍次第でギルド長からの推薦の有無がかかっている。

 

「ふふふ」

 

 ギルド長は今後の彼の活躍を期待して、一人しかいない部屋で笑った。

読んでいただきありがとうございます。


もし、少しでも面白い、続きが読みたいと思って頂けましたら差支えなければブックマークや高評価、いいねを頂ければ幸いです。


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