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ワーストレンジャー  作者: 小鳥頼人
第一章 時雨月花編
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エピローグ

「なーんか面白い事件ないかなぁー」

 鉄平が鼻と口の間にシャーペンを置いて呟いた。

「そうそう事件なんざ起きねぇだろ」

 鉄平の席の周りには優以外の三人がいる。

 優は相変わらずで、一人で参考書に目を走らせている。

「あらよっと、ほっ、ほっ」

 鉄平は器用にシャーペンを乗せ続けた。

「下品な真似やめろや」

「真紀こそ存在自体がお下品だろぉ?」

「なにおう? 鉄平の分際で生意気だな!」

 真紀と鉄平が言い争いをはじめたので、銀次は月花に話題を振った。

「もう、立川の件は完全に吹っ切れたか?」

「うん」

「それはよかった」

「あと、小沢さんとも、友達になれたよ」

「へー。やるじゃん」


    ●●●


 先日のこと――――

「あ、時雨さん……」

 廊下を歩いていると、小沢が声をかけてきた。

 彼女は非常に気まずそうな、申し訳なさそうな表情で、

「――時雨さん、ごめんね……」

 大きく頭を下げてきたものだから、月花は戸惑った。

「ど、どうしたの?」

「私ね、立川君とは幼馴染で、小学生の頃から交友があったんだ。でも、ウチの引っ越しが決まっちゃって、高校まで離れ離れになっちゃって。それでも文通でずっとやりとりしてたんだ」

「そっか……あの頃からずっと、二人の絆は繋がってたんだ……」

 確固かっこたる絆があったことを知った月花は完全敗北だなぁと改めて感じたのであった。

「本当にごめんね」

「謝らないで。私は想いを伝えられて満足だし、そもそもこっちがごめんだよ。好き合う二人に割り込んで。馬に蹴られて死んじゃうね」

「くすくす。恋路は邪魔してないじゃん」

 大丈夫。

 この数週間で様々な経験をし、たくさんのことを学べた。

 もう私は吹っ切れたんだ。

「でも、私は図書室に来るのはやめないから。これからも顔を合わせることになるから、よろしくね」

「こちらこそ」

「末永くお幸せにっ。立川君にも伝えといてね!」

「――うんっ」

 こうして、二人は友達になった。

 大平に続いて小沢という友人ができたのだ。


    ●●●


「……ふふっ」

「嬉しそうだな」

「うん、嬉しい」

「今の、自然な笑顔だったぞ」

 銀次の言葉に月花は笑顔で頷いた。

 もう、下を向かない。

 不必要に過去を、後ろを振り向くことはしない。

 一人の少女が、今後の人生に向けて覚悟を誓った。


 こうして銀次と月花を中心とした一連の騒動は幕を閉じた。

 レンジャーを名乗れるほどのことは何もできていないけれど、少なくとも時雨親子と大平を救うことは成功したのだ。

(もう少しだけ、学院生活を続けるのも悪くねぇ)

 何の因果か作られた『嫌いなクラスメイトランキング』。

 けれど、そのおかげでこうした縁で五人は繋がれたのだ。

 今でもガラス職人を諦めてはいないけれど。

 親を本気で説得するのは、先送りでもいいかな。

 そんなことを、銀次は思ったのだった。

 これにて1巻分は終了です。

 読んでくださった方は誠にありがとうございました!


 一応まだ続ける予定ではありますが、一切書き溜めていないので続きは結構先の未来になりそうです……。


 この作品は癖があるクラスの爪弾き者たちが協力し合うお話でした。

 1巻では銀次と月花だけがピックアップされましたが、次巻以降で他の面々にもスポットライトを当てていきます。


 余談ですが、当方の他作品「学内格差と超能力」が少年ジャンプ系列を意識しているのに対して本作品は少年マガジン系列を意識しております。

 なお「平坂アンダーグラウンド」は少年エース(?)、「平原圭伝説」はコロコロコミックと言ったところでしょうか(笑)


 以上です。

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