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第一話 お悩み相談所、始めました

 父さんが俺達にお悩み相談所の開設を発表してから約一週間後、ついにオープンの日がやって来た。相談所といってもカフェ内の一角をパーテーションで仕切っただけだ。けれど割と立派だし、父さんと萠が張り切って準備していたのを見ると『まぁ、別にいいか』と思ってしまう。


「塁くん、いよいよオープンだね!」


「そうだな」


 俺と萠は手書きで『塁と萠のお悩み相談所』と書かれた看板を見た。最初は渋々受けた相談所だが、今は少し楽しんでいる自分がいる。なぜ自分が楽しんでいるのかはよく分からない。


 そうこうしているうちにカフェがオープンする十分前になり、父さんと母さん、俺、萠の4人は日課の円陣を組む。


「では、今日も元気に頑張りましょう!」


「おー!」


 店長である父さんが声をかけると、皆で声を揃える。

 相変わらず父さんと萠は元気だな……。

 円陣を解くと、父さんは厨房の中へ入っていった。俺達も相談所へと向かう。


「二人とも、無理しない程度に頑張ってね」


「あぁ、わかった」


「はーい!」


 母さんが俺達に一言声を掛け、俺達は母さんに返事をした。


 相談所に着いてから数分後、開店の時間がやってきた。すでに客が数人待っていたようで次々と店内に入っていく。今の所、相談所の利用客はいなさそうだ。


 開店から一時間が経ち、俺達は退屈していた。いつもは母さんの手伝いをしていたが、今は相談所を担当しているので、その場を離れることはできない。


「塁くん、相談所のお客さん来ないね」


 あんなに張り切っていた萠はしゅん、と落ち込んでいた。萠は退屈なのは苦手だからな。


「そんなに早く来るとは限らないだろ。元気だせって。」


 俺は落ち込んでいる萠の頭に手を優しく乗せる。


「うん、待ってみる!」


 萠は元気を取り戻したのか、笑顔で頷く。


「よし、その調子だぞ」


「あの、すみません。相談したいことがあるんですが」


 後ろの方から急に誰かの声がしたので、振り返るとそこには二十代くらいの気の弱そうな男性が申し訳なさそうに立っていた。


「はい、券は持っていますか?」


「持ってます」



 俺は男性から券を受け取った。この券は、相談所を利用するのに必要なものだ。相談所では、何か一つでも頼まないと利用することが出来ない。なので、店員である母に相談したい旨を伝え、何かを頼んだ上で母から券を受け取ることになっている。


「では、こちらにお座りください」


 俺は男性から券を受け取ると、彼を席へと案内する。



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