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俺が幼馴染とカフェでお悩み相談を始める話。  作者: 綾瀬由奈
プロローグ
1/4

はじまり

初めまして、綾瀬由奈です。

こちらの小説は初めての連続小説となります。

少しずつ執筆して参りますので、どうぞよろしくお願い致します。

 

(るい)くん、お皿洗い終わったよ! テーブル拭き手伝う?」


「いや、もうすぐ終わるから休憩していていいぞ」


「はーい」



 華月町(かづきちょう)にあるカフェ『コンソレ』でお手伝いとして働いている、店長の息子の俺と幼馴染の小浜萠(こはまめぐむ)は、今日の営業終了後、二人で手分けして後片付けをしていた。俺は掃除を手伝おうとする萠に休憩を促し、最後のテーブルを布巾で拭く。最後のテーブルを拭き終わって少しすると、カフェの厨房から俺の父の佐野嶺(さのれい)と母の佐野都(さのみやこ)が出てきた。


「塁、萠ちゃん、今日もお疲れ! 本当に二人はいい仕事するなぁ」

「さぁ、片付けも終わったことだし、休憩にしましょうか」


 父さんは上機嫌で俺達を褒め、母さんは微笑みながらテーブルにコーヒーとオレンジジュースを置く。


「わーい、休憩だ!」


 萠は小さな子供のようにはしゃぎながらオレンジジュースが置いてあるテーブルの前に座った。


「オレンジジュース美味しいー!」


 席に着いて間もないうちに、大喜びでオレンジジュースを飲む。お前もう高校二年だろ。


「お菓子もあるわよ」


 都はチョコレートやクッキーが入っている木の皿をテーブルに置いた。


「チョコだ!」


 萠は好物のチョコを見つけると、獲物を見つけたハイエナの如くチョコレートに飛びつく。


「お前は本当に子供みたいだな」


 目を輝かせながら美味しそうに黙々とチョコレートを食べる萠の姿を横目に見ながら、俺は席に座ってコーヒーを飲む。


「改めて、二人ともお疲れ様。今日も大盛況だったよ!」


 父さんは再び二人を褒める。


「そうだ、今日は二人にお願いしたいことがあるんだ」



「お願いしたいこと?」


「えっ、何だろ?」


 いきなりの父さんの言葉に俺と萠は動かしていた手を止める。お願いしたいこと?何だろうか。


「実はね、一週間後くらいに『お悩み相談所』をカフェ内に開設しようと思っているんだ。」


「お悩み相談所?」


 俺と萠は声を合わせて父さんに聞いた。


「うん、このカフェのコンセプトは『心の傷も癒える幸せな空間』なんだ。だから、人の悩みを聞いてあげて、解決に導いてあげたらお客さんが幸せな気持ちになるんじゃないかなと思ってね」


「わあ、素敵!」


 萠は胸の前で手を叩いた。


「だが、父さんも母さんも忙しくなるんじゃないか?」


 俺は単純な疑問を抱いた。ただでさえ忙しいのに、そんな大きなことをやって体は大丈夫なのだろうか。


「そうなんだよ。だから、二人に相談所をやって欲しいんだ」


 あぁ、それなら安し……

 え?今『萠と二人で相談所やれ』って言ったか?


「塁くんと私で相談所やるの?すっごく楽しそう!」


「そう言ってくれて嬉しいよ。塁はどうだ?」


 やっぱりそうか。俺は深いため息をついた。


「俺も別にいいけど、俺達が人の相談に乗れるのか? 俺達はまだ高校生だぞ」


「それは大丈夫、話を聞くだけでもいい。もっと気楽になれよ、塁」


「真面目なのは良いんだけどねぇ」



「塁くん、もっと柔らかくなろうよ」


 父さんと母さんが俺の真面目さを指摘すると、それに便乗して萠が俺の肩を軽く叩く。俺が何をしたっていうんだ。そして萠、お前はもう少し真面目になれ。


「まぁ、話を聞くだけなら大丈夫か」 


「よし。塁の了解も得たということで、俺はオールで詳しい計画を練るぞ!」


「お父さん、あまり頑張りすぎないでね。まだ一週間もあるんだから」



 意気込む父さんを見て母さんがくすりと笑う。



「俺は萠を送りに行ってくる」


「ああ、頼むよ」


「気を付けてね」

 

俺はそう一言と父さんと母さんに告げると、萠を家まで送りに行った。萠の家はカフェからはそんなに遠くはないが、外が真っ暗で危ないのでいつも送っている。


 カフェを出て、星空の下を二人

 で歩く。


「塁くん」


 萠が俺の名前を呼んだ。


「どうした、萠」


「相談所のお仕事、一緒に頑張ろうね!」


「あぁ、そうだな」


 俺は萠に優しく微笑んだ。

 俺と萠の新しい物語が今、始まろうとしている。



























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