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ドラゴン、言葉を残す

 魔王は衰弱し切っていた。

 息を切らし、オレの攻撃をいなしているがもう長くはもたないだろう。


「よしよし、トドメえええ!」


 オレは爪で切り裂こうとしたその瞬間だった。

 オレの意識が一瞬飛びかけた。一瞬だけ目の前が真っ暗になる。

 なんだ?何が起きてるんだ? オレの体に…。


『ヘルドラゴンがオマエの体を瀕死にまで追いやってるんだあ! しょうがない! この身体を乗っとるつもりだったがっ…! やめだ!』

「現実でオレは死にかけてるってことかよ…!」


 そろそろ決着をつけないとまずい。

 オレはふらふらとする意識を保とうと全身に力を込める。

 ああ、死が近いのかもしれない。生き延びてるかはわからねえな。


「なあ、魔王よ」

『なんだ?』

「オレが死んだらお前はどうするんだ?」

『無論、次の体を探しにいく。オマエと私は一心同体じゃないからな』


 なるほど。オレが死んでもいつかは魔王が復活する、ということか。

 ならば尚更ここで殺さなくてはならない。勇者が誕生している、というわけでもねーのにさ。


 辛い。こんな戦いはオレはしたくない。

 だが、死にたくもない。初めて感じた死への恐怖。こんな輩のために死ぬのはごめん被る。


 ああ、オレは死ぬのかな…。


『もう限界近いだろう? 現実のオマエはまだ戦ってやがるからなあ! ドラゴンの本能というのは怖いねえ。死ぬまで戦い続けるからなあ〜』


 そういうもんだからな。

 オレは腐ってもドラゴンだ。戦って死ぬのが当たり前なのかもしれない。

 でも、死にたくない。オレは助けてもらいたい! 本能で死ぬなんてのは嫌だ。


『お、いいねえ! 圧倒的強者だったヘヴンドラゴンが必死に抗うその表情!』

「バカにするなよ。オレ様を!」


 オレは距離を詰めた。

 学習しない。オレは魔王をぶん殴った。魔王も魔王で衰弱していたのか、黒いモヤがどんどんなくなっていく。


『…な、なんだお前のこのパワー! き、消えてしまうぞ!』

「…なんだろうなこのパワーは。ま、お前を倒せた」


 黒いモヤがどんどん消えていく。

 そして、全てなくなるとオレの意識が体の方に戻った。

 ヘルが腕を振り下ろそうとしているときに戻った。オレは吐こうとしていたブレスを空中に向かって吐き出す。


「はぁ…悪いな。マジで」

「そ、そこで意識戻るな! まずい、当たる…」


 ヘルの足がオレの頭に当たる。

 オレは地面に墜落した。ギルマスが魔法で追撃しようとすると、ヘルがオレの目の前に立つ。


「おい、もう意識が戻ったようだ。うつな!」

「そ、そう! わかった!」


 ギルマスは魔法を撃つのをやめ、こちらに駆け寄ってくる。

 意識が朦朧としてきた。目を瞑ったら意識が飛びそうだ。痛い。苦しい。オレの体はボロボロだ。


「悪かったよ。魔王にどうやら操られてたみたいでさ…。さっきまで戦ってた」

「ヘヴン…」

「あの魔力は魔王だったのか?」

「長年の年月をかけて蘇ったみたい。ま、なんとか倒せたよ」


 オレはそういうとヘルは喋るなといった。

 オレの体からは血が吹き出している。体を動かそうものなら血が一気に吹き出しそうだ。


「オレ、もしかしたら死ぬかもしれん」

「…この傷だからな。私との戦闘もあった分血が少ないだろう」

「それもあるね。ま、これも運命かなって受け入れるよ。死にたくないけどな」


 オレはそういうと、目を瞑る。

 オレは死ぬのかもしれないな。死ぬってどんな感じなんだろう。

 死んだことがないからわからない…。天国に行けるのかな。いや、天国というものはあるのかな。


 わからない。


 でも、魔王に勝ったという事実だけは残った。

 オレは人間のためにここまで頑張ったんだな。


















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アンダーワールドクロニクル
新作です。VRMMOものです。
読んでもらえると嬉しいです。
― 新着の感想 ―
[良い点] ま、マジか〜…ヘヴン今度こそダメか……。 今後、この国にどういう風にヘヴンの事を伝えるのかな。
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