ドラゴン、後悔する
ドラゴーラの国は竜に力を入れているらしい。
小さな竜を連れて歩いている人などもいる。だが竜は賢いのか、オレのオーラが隠せていないのか竜はびびっていた。
「ん、竜のビスケット?」
「お、お嬢ちゃん。それは竜のオヤツだよ。いるかい?」
「くれ」
オレはあることに気づく。
「金持ってねえ…! 悪い、やっぱなしだ!」
オレは金は持たねー主義なんだ。
ギルド以外で金使わねーし使うときはギルドからもらって全部使うからな…!
オレとしたことが誤算だった!
「見つけたぞ」
「え、なんでいるんだ」
「それはこっちのセリフだ。傷はもういいのか?」
ヘルがそこには立っていた。
オレは逃げ出したのがまずいと思い小言が来るかと思っていた…が。
「あ、あはは。なんか妖精樹の枝があったみたいでさ」
「妖精樹…? 珍しいな。運がいいというべきか」
「まったくだ。なあ、金持ってないか? このビスケットを食べてみたい」
「わかった」
「やけに素直だな…。小言言いそうなのに」
「まあ、引け目があるからな…」
ということらしい。
オレはそんなの気にしてねーし治ったからもういいんだけどよ。
すると、ヘルが金を払ってオレにビスケットを渡した。
オレは口に含んでみる。ヘルも食べてみるようだ。
「うええ、こんなの食ってんの竜…」
「人間用じゃないっての! 竜用だ竜用!」
「…………」
ヘルも不味かったのか顔をしかめている。
「悪かったな。じゃ」
オレらはその場から離れ噴水広場の前にあるベンチに座る。
こんなビスケットに興味持ったオレをぶん殴りたい。不味い。味がないわけじゃない。いや、むしろありすぎるのだ。ものすごく甘い。甘ったるさで胸焼けがしそうだ。
「オレら本当に竜なのかな…。人間なんじゃねえかな…」
「竜、なはずだ。だがこれはない…」
「人化してるから味覚が変わったってこたぁ…」
「味覚は同じだ。ドラゴンはデカイからこんなに味を…」
「オレの膝くらいしかねー竜も食べるらしいからそれはねーんじゃね…」
「だな…」
オレらの味覚がおかしいのか…。
「なあ、このビスケット…」
「私はもういらない…」
「オレもいらねえよ…」
まだこのビスケットの甘さが襲ってくる。これを竜は食べるなんて驚きだ。オレと同じ種族なのだろうか。オレとは違う種族なのではないだろうか?
「あそこに竜がいる。あげようぜ」
「そうだな。オレらはいらねえ…」
オレらは小竜に近づいていく。
小竜はビクビクしていたがオレらの手に持っているビスケットに気づいたのかうれしそうに近づいてくる。
「ほら、ビスケットだよ〜」
と、小竜が口を開けてオレの腕ごと齧り付いた。牙が腕に突き刺さるがパワーが弱くオレの体を傷つけていない。
それが意外だったのかその竜は驚いてる表情だ。オレの腕ごと行こうとしたのは許せんが。
「ああ! ヘイル! なにしてるの! すいません、すいません!」
「ああ、飼い主?」
オレはまだかじりつかれながら飼い主か聞くとうなずいた。
飼い主はぺこぺこ頭を下げている。
「ち、治療費は払います!」
「気にするな。この程度は痛くもない」
オレは少し殺気を放った。すると小竜はビビリオレから口を離し距離を取る。
近くにいた小竜も恐怖を感じたのか暴れ出した。逃げようと必死のようで。
「ヘヴン、流石に…」
「あはは。ま、勉強になったろ。これで噛まなくなるんじゃね?」
「はあ…」
ビスケットも消費できたし嬉しい。
「こちらこそすいません。ヘヴン、ほら行くぞ」
「へーい」
「ほ、本当にすいませんでした…」
オレはヘルに連れられて移動した。
移動したところにあったのは冒険者ギルドだった。
「へえ、この国にもあるのか」
「ここも魔物は出るからな。入ってみるか?」
「そうだな。違いが気になるし」
「そうか。なら入ってみるぞ」
オレらは冒険者ギルドの扉を開けた。




