ドラゴン、竜騎士と出会う
眠い。
オレは冒険者ギルドのテーブルに座り、居眠りしていた。
眠ることは好きだ。寿命がとてつもなく長いドラゴンは暇を持て余す。暇すぎるのが嫌でよく眠るのだ。
すると、冒険者ギルドの中に鎧を着込んだ人たちが現れる。
勢いよく扉を開け、受付の方に向かって行っていた。
「ヘヴンドラゴンが立ち去ったというのは本当か!?」
「立ち去ったのかはわかりませんが冒険者によるとヘヴンドラゴンが見当たらなかったという報告を受けております」
「そうか…。戻って来る可能性は?」
「なくはないでしょう。ヘヴンドラゴンは暖かいところに住みます。この国は適しているので」
「そうか…」
たしかにこの国はあったかくてよく眠れるんだよ。監視されていたから眠れなかったが。
だがよぉ、オレは別に何もしねーよ。アンタらが襲って来ない限りはな。
オレは居眠りをこいていると、女性の声が聞こえる。
「へ、ヘヴンドラゴンさんはなぜ監視されるんですか? 襲って来ないところをみるにもう監視せずとも…。そ、それに私たちの味方に…」
「なるわけがない。ドラゴンはプライドが高い。それに、監視する理由は、ヘヴンドラゴンは私どもの国を簡単に滅ぼすことができるからだ」
そう言われたらサリィとアリィはこちらを向いた。おい、こっち見るなよ。たしかにやれなくもないがやるつもりはないぞ。
それにオレはプライドは高くねえ! そこらの雑魚どもと一緒にするなよな!
「でも…」
「ならお前がヘヴンドラゴンのところに行くか?」
「……」
嫌なやつだな。
鎧にはこの国の紋章が刻まれている。この国の竜騎士だな。
外でドラゴンの鳴く声が聞こえる。
「お前が自分の命を持ってヘヴンドラゴンを説得してみろ。な?」
「い、いや…」
「嫌ならそんな甘いこと言うんじゃねえ!
と、竜騎士が女性冒険者を殴った。
テーブルに倒れ込み、置かれていた料理を頭からかぶる彼女。彼女は泣いていた。
ったく、ろくでもねえな。ムカつくやつだ。
「いくら竜騎士といえどその振る舞いはどうかと思われますが」
「あ?」
「私どもは国が運営する冒険者ギルドです。あなたが見下すことはできないはずですが」
「冒険者なんて誰でもなれるような奴が偉いわけねーだろ。竜騎士は竜に認められなきゃならねーんだぜ? 偉さの格が…」
とのたまう竜騎士を他所にオレは冒険者ギルドを出る。
冒険者ギルドを出るとドラゴンが繋がれており、オレは近づいていく。オレが近づいていくとドラゴンが威嚇してきた。
「何をしている!」
と、ドラゴンの威嚇を聞きつけた竜騎士の一人がオレの肩を掴む。
オレは振り払い、威嚇するドラゴンに近づいていく。ドラゴンの鱗を触り、オレは睨むとドラゴンは怯んだ。
「雑魚が邪魔してんじゃねえよ」
そういうとドラゴンは横に退ける。
ムカつく。オレがドラゴンの横を通ろうとすると竜騎士がまた肩を掴んでくるが、ドラゴンに攻撃されていた。
オレの正体に気づいたということは賢いドラゴンだ。よく調教されている。オレを刺激しないように必死なようだ。
「な、なんだ! やめろ!」
「ガアアアア!」
「な、なんなんだよお前…。お前何をした!」
「何もしてねえよ。帰るから退けつっただけだ」
オレは睨むと、竜騎士は恐怖を感じたのか失神した。
ったく、不快なもん朝から見せんなよ。クエスト行こうと思ってたのにやる気が削がれたじゃねーか。
「しょうがねー。まだ警戒させてやるか」
オレは森に戻る。
森に戻ると地竜に乗った竜騎士たちが森を散策していた。オレは翼を広げ森の開けたところに着地すると、竜騎士の一人と目が合う。オレは微笑んでやった。
「ほ、報告!」
「オレ微笑んだだけなんですけど」
微笑んで逃げられるドラゴン。こんな可愛いドラゴンを前にして逃げるとは…。