ドラゴン、治る
誰かが騒ぐ声が聞こえる。
オレはそれで目が覚めてしまい、周りをキョロキョロと目だけ動かして確認したが誰もいない。
誰が騒いでるんだろう。と、思うとある考えに行きついた。
「オレの上で騒いでんのかよ」
声を聞くに子どもだな。
ったく、気持ちよく眠っていたのに邪魔しやがって。少しムカつくな…。寝るの邪魔しやがって。
すると、一人の男の子が器用にオレの背中から降り、木の棒を持ってきた。
男の子はまた登ろうととてとてと走ってくると転んでしまったのだ。
やれやれと思っていると転んだ時に手を離したのか木の棒が空を飛ぶ。
そして、オレの傷口にピンポイントに突き刺さった。
「ガアアアアアア!」
「ひっ…」
超痛え!
このガキ…。マジで殺すぞ。ああああ、普段ならまだしも今回は傷が深いんだよ! 何かが突き刺さっただけでも痛いんだよ!
「わわっ!」
「ガアアアアアア!」
「た、たすけてえええ!」
痛みで悶えていると竜舎の扉が開かれた。
息を切らしている大人たちが数名。
「なっ…ユウリ!」
「マルコ!」
「ユータ!」
こいつらの親かよ!
てめえ、どういう教育してんだコラ…。てか、刺さったままで超痛え!
傷治ってねーのに!
「パパー! たすけてえ!」
「なにしてるお前ら! 近づくなと言っただろうが!」
「だってぇ…」
「あの木の棒が突き刺さって痛がってるんじゃねえか…? とってやりたいが…」
「こうも暴れてちゃ…」
痛いんだよ! 体動かして痛みを和らげたいんだよ!
だがしかし取ってもらうこともできないか。くっそ、我慢するしかないか…!
オレは動くのをやめる。
木の棒が刺さったところから血がぽたりと垂れる。
「暴れるのをやめたぞ! 引き抜いてやるからな…!」
お手柔らかにな!
男たちは近づいて木の棒に手をかける。すぽんと木の棒は引き抜け、痛みも治まった。
そして、子どもたちは降りてきて親のもとにいくと三人は叩かれていた。
「ヘヴンドラゴンは怪我しているんだぞ! お前らなにしたかわかってんのか!」
「ごめ…なさい…」
「悪かったヘヴンドラゴン。怪我してる時に」
オレは首を横に振る。
い、痛かった…。オレは突き刺さっていたところを見ると、不思議なことが起きていた。
お腹の傷が完全に塞がっている…?
針金を取ってみるとやはり傷が完治しており鱗が生えていた。
な、なんだこの木の棒は。不思議な木の棒…。オレの腹部の傷は一眠りしただけで治るようなものじゃないしさっきまであったのに…。
「…なあ」
「しゃ、喋った?」
「喋ったのはいいけど、そのさっき突き刺した木の棒はなんだ? どこにあった?」
「え? そこにあったよ…? 置いてあった…。ワラの中に…」
「…そうか。その木の棒をオレの胸の傷に突き刺してくれないか」
そういうと大人たちは不思議な目を向ける。
オレの予感がただしけりゃその木の棒は…。なぜこんなとこにあるから知らねーけど。
大人は先ほどの木の棒を拾い、オレの傷口に突き刺した。
すると、先ほどと同じような痛みがやってきた。
「ガアアアアアア!」
痛い! 木の棒を突き刺しただけなのになんでこんな痛いんだよ!
オレは痛みに耐えながら傷口を見るとなんと傷口が塞がっていくのだった。
「や、やっぱりこれは妖精樹の枝か…」
「よ、妖精樹?」
「妖精が宿るとされる木の枝だよ。その木の棒に突き刺されたりとか体内に入れたら傷が治るってされてるって昔から言われてんだぜ…。こんな痛いのは予想外だ」
だがしかし。
「もう引き抜いてくれ」
「わ、わかった」
男は木の棒を引き抜く。
オレの傷は完璧に塞がっていた。翼も自由に動くし歩いても痛くねえ。
なんと…。なんと治った!
「治ったァ!」
それにしても妖精樹の枝よくあったな。ファルファルの森でも少し見かける程度で一つの森にあるかないかくらいなのに…。
なぜその枝を…。ま、いっか。治ったし。
「なっ…」
「いやぁ、ありがとな。木の枝を突き刺してくれなかったら治らなかったぜ。もういっていいぞ」
「は、はい!」
親子たちは出て行った。
オレは人化する。人化しても問題ないな。痛みもない。
「治った記念に遊びにいこーっと」
ドラゴーラにせっかく来たんだしドラゴーラの観光でもしようかな。
オレは扉をあけ、外に出たのだった。
外に出て、オレは適当に町に繰り出した。
竜の国と言わんばかりに竜に関するものばかりを売っている。
竜の実とかなんだよ。ペットの小竜て…。
「竜をペットにするのかよ…」
オレはそう思いながら町を歩いた。
多分この作品そんな長続きしないかも…。
100話いくか行かないかで完結するかもしれない…




