ドラゴン、報復を受ける
オレは飛んで村を後にした。
王都に戻り、冒険者ギルドの中に入るとなにやら喧噪が起きていた。受付嬢の胸倉を掴む男性と剣を突きつけている男。
「テメエ! よくもチクりやがったなあああああ!」
「ギルドマスター。あなたは俺を敵に回した」
二人の男がギルマスに剣を突きつける。オレはその剣を手でつかむ。
「人に剣先を向けるな」
「外野は黙っていろ。俺とこいつの問題だ!」
「ああ、なるほど。アルフェリート商会の元会長とシュプレヒタール元伯爵ね」
オレはそれを聞いて納得した。
どうやら報復に来たようだ。だとしてもオレはギルマスを守ってやるさ。一応は味方なんでね。ま、オレが守るまでもねーだろうがよ。
「何のつもり? 私を殺しても王の決定は覆らないわよ」
「貴族に戻るつもりはねえ! 俺はお前が許せないだけだ!」
「私は国側の人間よ。国の不利益になることは報告して当たり前じゃない。逆恨みもほどほどにね」
すると、背後からギルマスをがしっと掴む男がいた。シュプレヒタールに仕えていた者だろう。ギルマスは掴まれて動けない。
剣を突きつけ、男は笑う。
「死ねぇ! あははは! テメエも終わりだァ!」
「ファイア」
と、ギルマスが無詠唱で魔法を唱える。
火の玉が男の顔面にあたった。
「まだ抵抗するか…! っていうか買った魔道具全然使えねえじゃねえか! 魔法を阻害するのによォ!」
「どうりで変な淀みがあるのね。そんなの通じないに決まってるじゃない。所詮は魔道具よ」
「王城に仕える魔導士でも魔法が使えなくなるような代物だぞ! 通じないわけがない!」
「王城に仕える魔導士までの話よ。私の過去を知らないの?」
「勇者パーティの魔法使いだろう? オレはわかってるぞ」
「勇者パーティに入ってた時、魔法使え無くしてくる敵なんかざらにいたわ。そんなの効かなくなるに決まってるじゃない」
そもそも経験が違うというやつだ。王城に仕える魔導士と同じ実力だと思っていたらダメということ。オレもギルマスの実力は把握はしているつもりだ。
こんなのは子供だましに近い。
「もっと罪を重ねてどうするの? あんたらはもう身分もなにもないのよ。どうなるかわからない?」
「ギルマス! 騎士隊が到着しました!」
「随分と早かったわね」
騎士が中に入ってくる。そして剣を抜き、シュプレヒタール元伯爵たちに向けていた。逃げ場がなくなった彼はオレに剣を突き刺してこようとするが、オレの体は硬い。剣が折れてしまったのだった。
「なっ…」
「バーカ。悪あがきはやめろよな」
オレはシュプレヒタール元伯爵の顔を掴む。
竜の腕に戻し、力を込める。頭蓋骨を割らない程度には手加減しているが…。痛そうにもがいている。
「もうこの王都じゃオレの正体を知らない奴なんてほとんどいないぜ。お前のせいで国が終わるかもしれねーな。オレお前のせいで切れるかもしれねえ。国家転覆罪ってことで死刑でいいか?」
「あ、お、お待ちくださいヘヴン様!」
「ま、ここで死ぬか国に殺されるか選べよ。オレは短気だから早く選びなよ」
オレは頭を掴んだままそう問うとシュプレヒタール元伯爵は口を開いた。
「ご、ごめんなさい! 許してください!」
「ま、いいよ」
オレは解放してやるとシュプレヒタール元伯爵は騎士たちのもとにいく。
「早く連れてけよ。周りの奴らもな」
そういうと、騎士たちはこいつらの関係者全員を連れていくのだった。
「つ、疲れた…」
ギルマスがそういって座りこんだのだった。




