ドラゴン、感謝される
サリィはアリィを守るようにアリィの前で手を広げる。
オレは腕を戻し、地面に座る。
「お前…なんなんだ? その白い竜の腕…。白い竜は世界に一体しかいない」
「はあ…。ま、誤魔化せねえか。そうだよ、オレはヘヴンドラゴンだ。人化してるがな」
バレてしまったらしょうがないだろう。
オレは素直に白状することにした。つっても、信じるかは知らんがな。
「それでオレがヘヴンドラゴンでどうする? 戦うのか? それとも報告するのか?」
「……」
「オレは騒がれるのがそんな好きじゃない。できれば報告はするな」
「…わかったわ」
と、素直な反応だった。
「リザードから私たちを守ってくれたもの。悪い奴じゃなさそうだとは思うわ」
「そうか」
「…お姉ちゃん、助けて」
と、アリィの方を見ると茂みに突き刺さっていた。突き飛ばされたとき茂みに刺さったらしくずっとそのままのようだ。
オレは足を引っ張ってやる。
「ふぅー、助かりました。ヘヴンさんありがとござますぅ」
「私からもありがとうございます」
「よせやい」
すると、ぐうううとお腹の音が大きくなる。そういえば今日は何も食べてないな。雑食だからなんでも食うが…。ちっさい果物とかだとどうも腹が満たされない。
「帰りましょうか。ご飯にしましょう」
というのでオレらは冒険者ギルドに戻ることになった。
冒険者ギルドの酒場。オレは樽に手を置いて、目の前の男性と手を取り合う。
そして、睨み合った。
「この俺に勝負を挑むとは大したFランクだ」
「負けるわけがない」
腕の部分だけドラゴン。服で隠れているために見えないだろう。この服の下は鱗がついた竜の腕だ。金稼がせてもらうぞ。
オレと男性の手にレフェリーというものを務める男性の手が置かれる。そして
「ファイっ」
オレは力を込めた。
男性はビクともしないオレに驚いている。オレは余裕綽綽の顔を見せ、笑ってやる。
「こなくそがぁ!」
「オラァ!」
オレは一気に倒してやった。
オレは腕をもとに戻し腕を天に掲げる。必勝法な。人間は竜の力には敵わねえ。
「俺の負けだよ…。ほらよ、金貨」
「ありがとな」
今日の宿屋は取れそうだ。
アリィは自分の分しか出せないようで野宿してくれないか?と言われたが部屋というのが気になるからな。それに人間だと野宿はキツそうだ。寒い。
「お前、名前は?」
「ヘヴン」
「覚えておく」
「ああ。また金をくれ」
腕相撲で金を巻き上げるってのもいいな。実質オレは勝てるし。
こんな細い腕を竜にしても力はそのままのようだ。なんとも不思議だ。
「薬草採取は終わったから後は討伐か。骨のあるやついねえしぱぱっと終わらせてもいいんだが」
今日はもう日が沈む。
魔物は夜は大人しいからな。今日は宿に泊まった方がいいだろう。
おすすめの宿をアリィから聞いているのでそこに向かうことにした。