ドラゴン、才能ある少女と会う
ギルマスの講習が一つ終わりオレは生徒たちに例の少女について聞いてみた。
「あー、その子ならあいつっすよ。名前はサクラ。平民出身の子っすね」
「なるほど」
オレはギルマスに目当ての子が見つかったといい、オレはそいつのところにいくことにした。
そいつの近くは見たことある顔ぶればかりが座っている。
「やあ、みんなお話中のところごめんなさいね。少しいいかしら」
「な、なんでしょう」
「以前ヘヴンドラゴンを攻撃した魔法のことを知りたいのよ。その、サクラさん。少し来てもらえるかしら」
そういうとサクラと呼ばれた女子が驚いたような顔をする。
「あ、あの魔法はなんなのか自分でもさっぱりでしてぇ…。そのぉ…」
「とりあえず来てもらえる?」
「有無を言わせないなギルマスよ」
ギルマスって強引なところもあるよな。そう思いながら側に立っていた。
一方のサクラはというとすごいびびっている。
「失礼だがそこまで強要することもないのではないか?」
「あら、宰相の息子の…」
「マクドウェルだ。サクラさんが嫌がっているのに連れていくことはないだろう」
「あら、ならサクラさんの放った魔法のせいでヘヴンドラゴンが怒っているとしても緊急事態なのではなくて?」
「おい」
そこでオレを出すな。
「攻撃した相手が悪かったわね。話を聞くだけよ。そんな怖がることはないわ」
「は、話だけなら…」
「心配だから俺もついていこう」
「ああ、あなたはいいわ。さ、サクラさん。こちらへ」
と、一人取り残されたマクドウェル。
なんつーかカラ回ってるっつーか。オレが見ても好意を寄せているのはわかるぞ。
まあ頑張れよ若人。
別室でサクラと対面する。
「ヘヴンドラゴンの手に風穴を開けたのはあなたよね。あなたの適正属性は光だったのね」
「た、たぶん」
なんだか妙に自信なさげだ。ギルマスから聞いているが魔法の属性は生まれた時に判別されるらしい。生まれた時に炎属性なら炎の魔法が使えるということだ。
人間もそうだが大抵の生物は魔法の属性は一種類だけ。ギルマスは全種類使えるとはいうがギルマスがおかしいだけだ。
「私家が貧乏で神殿に払うお布施が無くて受けれなかったんです。だから自分がなんの属性なのかはさっぱりで…」
「あー、前王の時はお布施が必要だったものね。となると魔法属性がわからないで入学したってこと…。なんで入れるのかしら…」
それにこいつ才能があるんだよな。
「もう一度あの時の魔法放てるか?」
「む、無理ですよぉ! 私魔法使ったことありませんしあれは咄嗟にって感じで使いこなせてないんですぅ!」
「そうか」
オレはマジマジとサクラを眺める。
光の魔力の気配がする。オレと同じだから分かりやすい。魔力もものすごく多いな。
こんな逸材あまり出会ったことがないくらいだ。今すぐ鍛えればかつての勇者のような魔法使いになれるんではないか?
「ギルマス、コイツ将来有望だぞ」
「あなたがそういうならそうなんでしょうね」
「ああ。オレに風穴開けるぐらいなんだから有望だろう。オレにとっては危険因子に過ぎないがな」
オレにダメージを与えられるのだ。それも結構な。だからこそ本来オレは伸ばせとかいうべきではないが…。
まあ、強い奴が増えたほうがいいということもある。
「光の魔法教えられるのはこの学校にはいないし教えられるのは私ぐらいね。サクラさん。よかったら学校が終わったら冒険者ギルドに来てもらえる? 私があなたの魔法指南をしてあげるわ」
「いいんですか!?」
「ええ。光魔法は希少ですもの。扱いを間違えれば危険になるわ。ヘヴンドラゴンを攻撃してしまったのは私がなんとかします。ね?」
「へーへー。別に気にしてねぇよ」
「ということなので、ぜひ来てくださいね」
そういうと予鈴が鳴る。
オレらはサクラを教室に戻し学校からサヨナラした。




