ドラゴン、少女の力に驚く
オレがファルファルの森で眠っているとオレの横を誰かが通っていく気配がする。オレは目を開け、気配の方を見ると制服を着た男女複数人のグループがいた。
「ひっ」
その中の一人と目が合う。
こちらにばれたのが怖いのか、全員動かなくなった。だがしかし、一人の男性が剣を構える。
「俺が囮になる。逃げろ!」
「で、でも…」
「いいから!」
いや、殺すつもりはないんですがね。
そう思いつつ眺めていると女生徒が転んだのだった。パンツが丸見えのスカート姿で転び、起き上がらずこちらをみて顔を固まらせている。
オレはただただじっと見てるだけだが。
「いやああああ!」
女生徒はそう叫んだ瞬間、突如女生徒から魔力を感じる。
「なっ…」
オレは魔力を消そうと腕を伸ばした瞬間、オレの腕を女生徒の魔法が貫いたのだった。腕に風穴があき、オレは女生徒を見る。
なんだこの女。何者だ? こいつは排除しておいた方がいいと思うが…。このオレを貫く魔法を放つなんて早々いるもんじゃない。しかも人間の中では希少な光属性を持つとは。聖女…か?
どうする。今殺しておけばオレが殺される心配はないだろうが…。今のはただの自己防衛で自らの意思で放ったわけではなさそうだし、攻撃する意思も感じ取れなかった。
「な、何今の…」
「……」
ただ厄介なのがこいつが今の力を自分で操れるようになってオレを倒そうとするのが厄介だ。多少の傷を負ってでも殺す、不安の芽を摘んでおくというのも一種の手。
「大丈夫か君たち!」
と、森の入り口の方から大人の男性の声が聞こえる。
大人は子供の間に割って入った。オレに驚いていたが、子どもたちを守ろうとこちらを睨んでいる。攻撃はしないでおこうか。
それにしても…。あの少女…何者だ?
「あ、ヘヴンドラゴン! いいところに!」
「…アリィ?」
「ちょっとこれ飲んでみてください」
と、出してきたのはなんだか禍々しい液体。
いや、あの、今ちょっと交戦中…。
「君、逃げろ。ヘヴンドラゴンは殺気立っている」
「大丈夫ですよォ。私との信頼関係はありますからね!」
オレはお前の事頭おかしい奴としか見てねえけどな。
「なんだよそれ…」
「えーっと、私特製毒薬…」
オレは前足で瓶だけを攻撃した。
「危ない!」
「お前本当にオレを殺す気か? 本気で信頼関係あると思ってるのか?」
「しゃ、喋ってる?」
「気づくの遅えよ。ってかアリィ。お前ほんと頭大丈夫か? お姉ちゃんはあんなにまともなのに…」
「ドラゴンにも毒は効果あるのか知りたくて…」
「馬鹿なの? お前馬鹿なの?」
頭が痛い。
それに、貫かれた前足。まだ傷がいえないのに。
「お前今度それ持ってきたら殺すからな」
「むうう。じゃあ今度は普通のポーションです」
と、緑色の液体を出してきた。オレはそれを飲んでみる。
「薬草ってこんな味がするのか? すげー爽やかなんだが」
「むふふー。すりつぶすと匂いはすごいんですが味は結構爽やかなんですよー。薬草も奥が深いでしょ? まだまだ薬草の研究はしますからね」
「ほんとなんで薬草の専門家にならないのお前」
冒険者なんてやめちまえよ。
「…ああ、お前ら。もう帰れよ。じゃないとこいつの頭のおかしさに飲まれるぞ」
「失礼な。私はマトモですよ!」
「まともなやつがいきなり毒薬のませようとするかよ…。ほら、オレはなにもしねーからさっさと帰んな。オレは傷をいやすからよ…」
ほんと、なんなんだあの少女は。




