ドラゴン、戦いを知らされる
竜騎士は大層お怒りのようだった。
「ヘヴンドラゴンを討伐しないでもいいとほざくとはどういうことだ?」
と、愚痴ってた冒険者の胸倉をつかんだ。
こいつらはどれだけオレを殺したいのだろうか。なぜそこまでこだわる。竜に乗れるだけで偉いわけではないからな。
オレは肉を食いながらその様子を見ていた。
「まあいい。私どもはあることを伝えに来たのだ。明日、ヘヴンドラゴンを討伐する」
そういうと、冒険者が固まった。
「貴様らには街に被害出さないよう守っていて欲しいだけだ。これは頼みじゃない。命令だ」
「そんな勝手許されると思うのですか? 竜騎士様。我々は協力いたしません。あなた方でどうにかしてください」
ギルマスが果敢にも向かっていった。
「冒険者は国に仕える騎士ではありません。国民に仕える騎士です。あなた方の無謀な作戦に命を投げ出そうとするバカはここにはおりませんよ」
「黙って言うことを聞いていればいいんだよ。もしかするとヘヴンドラゴンが暴れて国民に被害を及ぼすかもしれねえぞ? いいのかそれで」
「暴れさせなければ済む話でしょう。なぜそこまでしてヘヴンドラゴンを刺激したいのですか。これも王の命令ですか?」
「王の命令だよォ」
嘘だな。
ギルマスが言っていたことと食い違う。討伐するつもりは今のところないといっていたらしいからな。
「王の命令なら仕方ないだろ? とっとと動けよ雑魚どもが」
といって帰っていった。
冒険者たちは騒ぐ様子もない。いけ好かない竜騎士がオレと戦うということで一抹の不安を感じているのかもしれない。
ギルマスは重い雰囲気の中口を開く。
「とりあえず動かなくていいですよ。ヘヴンドラゴンに殺してもらいましょう。あいつらを」
「相当お怒りですね…」
「ええ、ヘヴンさん。あそこまでうちの者を侮辱されて、蔑まれてるのはとても癪です。あんな風に嘘までついて本当に私が騙されると思ってるんでしょうかね? 王にもきちんと報告しておきましょう」
ギルマスは大層お怒りだ。
アレは怒っても仕方ないと思うけどな。でも明日か。明日攻めてくるんだろ? こっちから攻めたいがこっちからだと本当に討伐指令出されるかもしれないんだよな。
どうしたもんかなぁ。受け身というもの嫌なんだけど。
「俺らであいつらと戦えねーの?」
「馬鹿言うなよ。あっちは竜に乗るんだぞ。あんな竜でも強い。敵わねえよ」
「そうか…。なんかヘヴンドラゴンに申し訳ないな。応援することしかできないのはよ」
最近、オレに対する印象も変わってきてるようでとても嬉しいですねぇ。その期待に答えてあげるよ。オレは竜騎士を殲滅すると。
あの程度の竜はオレにとっては雑魚だからな。本気で威嚇すればビビるような雑魚だ。竜の特性は自分より強いものには従順なところがある。
だからこそ圧倒的強者であるオレには普通は従順。だが、使役されているということもあり、人間の為に動くしかないだろうな。
「ドラゴンの価値も落ちたもんだな…」
オレはそうごちりながら肉を平らげ、森に戻った。




