ドラゴン、評判を高めようとする
オレは風の便りを耳にした。
どうやら竜騎士がオレを討伐しようとしているらしい。というのも、以前王城に落とした焼死体…。あれのせいで危険だと判断されたという。
あれはあっちから喧嘩を吹っ掛けてきただけなんだけどな。
王はあまり刺激するなといっているらしいが竜騎士は聞く耳もたないんだと。
「ふぅん。教えてくれてありがとなギルマス」
「いいのよ。王はいい王なんだけどねぇ…。竜騎士が馬鹿って言うかなんというか…」
ギルマスは呆れているようだ。
たしかに偉そうにふんぞり返っていたな。だからこそ気に食わんが。交戦するというのならあの雑魚竜を相手どる必要がある。
一匹はそんな強くないが、複数ともなるとこのオレでもちょいとキツイな。
「さて、どうすっかなぁ。あの人数はオレでもきついんだよなー」
ヘルヘイムのやつでも生かしておいて一緒に戦えばよかっただろうか。
「私も国王にヘヴンドラゴンは攻撃するなと伝えたのよ? 国王はわかったといってるけどあの竜騎士共はそんなわけにはいかん、国民が安心して暮らせないだろう。犠牲がいくら出ても討伐するつもりだ、ということをね…」
「国民、国民ね…」
ようするに国民を味方につけりゃいいんだろ?
いいことを思いついた。
オレはドラゴンになってギルマスを待っていた。
ギルマスは大量の親子を連れてくる。びくびくとしながらいるが、子どもたちはオレに興味津々なようだ。
「さ、このドラゴンが背中に乗せてくれるっていってるからみんなで乗ってみようか」
「乗れるの!?」
「だ、大丈夫? 怒ったりしない…?」
「大丈夫! 私が蹴っても怒りませんよ!」
と、げしっと蹴ってくる。
おい、いや、いいんだけどよ。その程度の力なら全然痛くないしな。子どもたちもげしげしとオレの体を蹴ってくる。ほらみろ、真似しちゃったじゃねえか。
「こ、こら…」
親はびくびくしながら子供たちに注意をしている。
子供は恐怖もないみたいで最強だな、たぶん子供がどうしても行きたいっていって負けたんだろうな。
オレは親子のほうを向くと親はひっという声を出した。オレは構わず首を後ろにくいっと。乗れっていうことで。
「乗れ、だそうです。ほら、私が乗せてあげるから」
オレの体はでかい。子供の何百倍もある。ギルマスがふんっと頑張っても乗せられないだろう。
オレは体勢を変える。寝そべるようにぐでーっと低くする。それでもギルマスよりは高いが翼などを踏み台にすればいけるだろう。
親子とギルマスが背中に乗る。オレは立ち上がり、翼を広げた。
「キシャアアアア」
ちょっと棒読み気味の鳴き声だが…。恥ずかしい。喋れるのにこういう声出すのが恥ずかしい。
オレは翼をはためかせ、飛び上がる。
「飛んでるよお母さん!」
「そ、そうね…」
「あれが僕の家かな!? ちっちゃい!」
子供たちは大はしゃぎ、大人は怖い。
とりあえず王都の周りをグルんと回る。翼を大きく広げたオレはとてもでかい。王城も小さく見える。
その光景に思わず見とれているようだ。自分が住む王都はこんなのだったのかと思っているのかな?
「それじゃそろそろ戻りますよー」
というので森に戻ることにした。
オレは森に着地し、寝そべる。親子がオレの背中から降りる。
「楽しかったー!」
と、子どもが言うと親は頭を撫でてそうだねと言っていた。オレは立ち上がり少し身を震わせる。その様子に驚いている親子。
ぼとぼとと鱗が落ちる。
オレはギルマスをみるとギルマスは意図を察したようだ。
「持っていけだそうですよ」
「う、鱗を?」
「売れば結構な金額になりますしお守りとしてもいいですよ」
「な、ならありがたく…」
親が鱗を拾う。オレの鱗はでかいから両手で一枚持つのがやっとだろう。
「案外怖くないでしょ? ヘヴンドラゴン」
「そ、そうですね。意外と友好的っていうか…」
「僕このドラゴンさん好き!」
二組の親子は帰っていった。
これでちょっとは評判良くなる、かな?




