黄泉還る(デッドフロッグ)
それはいきなり起こった。全人類の常識がその瞬間に書き加えられた。
アジア、ヨーロッパ、アフリカ、オーストラリア、アメリカ、南極の全大陸に三十本の巨大な塔がそびえ立つその瞬間に! いつもの日常のように、昔からそこにあったようにその塔達はいきなり現れた。その塔達の知識は人々には新しいはずが、代々継承してきたように混乱なく理解させられていた。
塔達の名は『王座の塔』であり、その頂にはボスであり王座の名の通り王が存在している。そして、王座の塔には各々に『眷属の塔』を生み出すと言うことがまず最初に理解させられた。そして、理解したあとにどこにいようと強制的に玉座に座った黒ローブを着た人物の映像が流れる。
『さて、ご機嫌よう翼も牙も持たない皆様! 私は私達の中であなたたち『日本(地区により違う)』担当の塔の王となりました王でございます。
混乱していませんよね? 私達の魔法は完璧でしたからね。前提となる知識は植えましたから。ああ、大丈夫ですよ。記憶を改竄とかそんな公平じゃないことはほかの私達はわかりませんが、私は最低限のルールに引っかからる事はしませんので。
じゃあルール説明を行います!
一つ、この世界の全ての生き物は私達がいる『玉座の塔』への挑戦権を持ちます。
一つ、この挑戦権は永久であり失われませんが強制力はありません。
一つ、『眷属の塔』は三十本であり、減ることはあっても増えることはありません。
一つ、『眷属の塔』はダンジョンであり『玉座の塔』の扉を開ける鍵です。
一つ、塔は私達担当の領地であり、その国の国土と証し占領は許されません。
一つ、ダンジョンの階層は眷属は五百、玉座は二千を最低ラインにしております。
一つ、ダンジョン外での皆様での殺傷行為は厳罰に当たります。どうしてもと言う場合はお申し付けください。
一つ、塔内、ダンジョン内の環境、厳密には階層ごとの環境がコンセプトごとに異なり、現れる魔物も違います。
一つ、ダンジョン内に存在する魔物は強い力を持っていることから、公平に各人に一つ先立つ能力を与えます。
一つ、皆様のバロメータはレベル制ではなく、地力プラス強化スキルによって増加します。
一つ、強化スキルにはレベル、いわゆる練度があり、鍛えれば強くなります。
一つ、人身掌握などの反則とみなされる魔法などはございませんのでご安心してください。
一つ、塔内にも生活している、いわゆる亜人と言う種族が存在しますのでご愛顧してください。
一つ、必要ならばルールは新規に追加されます。
……ああ、そうそう。重要なことを言い忘れてました。
半年に二、三度ダンジョンから、皆様がいる地上へ魔物たちを塔から送り込みます。そのレベルはその時々で違いますが、耐えきれなければ皆様の全滅もあり得ますのでご留意しておいてください。
そのほかにもありますが、各塔に説明書を用意しておきますので各々目を通しておいてください』
その各地域の言葉で説明をした王たちの性格は様々で、挨拶と一項だけ説明すると放り投げた王や漠然とした説明しかしなかった王。はたまた律儀に今ある全項目、王自身のルールまでも半日かけて説明した王、不正を嫌いどんな些細なことも見逃さない王もいる。
すべての王に当てはまるのが、全てが公平の上に立っており、強大な力を所持していること。ルールが同じであり、王であっても必要に応じて増えるルールに絶対遵守、反することはできない。
そして、映像の最後にこう言って締めくくった。
『では、私達全てが攻略されるまで、絶滅しないように気を付けて、私達の遊びに付き合って下さいね!』と。