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オムライス   (超短編)

作者: かまちゃん

「オムライス」             ナマイ×かまちゃん


これはナマイさんが語った例え話を、僕なりに文章にしたものだ。

・・・

ある日、僕、ミヤウチ、モリカワ、ナマイ、イトウ、スドウ

の6人がひとつのテーブルに集まっていた。

テーブルの上にはカゴ、おひつがあり、カゴには大量の卵が盛られ、

おひつにはごはんが入っていた。テーブルには塩と醤油さしもあった。

6人とも暗い顔をしていた。6人のうちの誰かがボソッと言った。

「また、たまごかけごはん、か…。」

6人全員がため息をついた。

僕たちは、このところずっと、たまごかけごはんを食べていた。

卵とごはんの組み合わせだと、どうしたってたまごかけごはんを食べることになる。

仕方ない。でも僕はもう、たまごかけごはんに飽きていた。

キツい言葉を使っていいなら、

僕は毎日毎日たまごかけごはんを食べるしかないってことに絶望していた。

その日、僕はパウチに入った調理済み食品をテーブルの上に乗せた。

「実は僕、茹でグリーンピースが1袋あるんだ。

未開封だよ。僕はもう、たまごかけごはんを食べたくない。

でも、僕が持っているのはグリーンピースだけなんだ。

これをおかずにしよう。正直言って、あまり美味しいもんじゃないけど。」

僕はグリーンピースは人気がないと思う。

僕が買った理由は、特売されていたのを見かけて、

調理済み食品だからと考えて、なんとなく2袋買ってみただけだった。

1袋を食べてみた結果、あまり美味しいもんじゃないと分かって1袋を持て余していた。

2袋買ったことを僕は後悔していた。

ミヤウチさんが、さりげなく白っぽい物体をテーブルの上に乗せた。

「僕は新玉ねぎを持ってきた。玉ねぎサラダにしてみんなで食べようと思ったんだ。」

モリカワさんは、少し迷っていたが、オレンジ色の物体をテーブルの上に乗せた。

「僕はニンジンを持ってきた。塩味の豆ごはんに、

玉ねぎとニンジンのサラダ。悪くない組み合わせだろう?」

僕は豆ごはんという発想に驚いたが、6人の中には首をひねる人もいた。

豆ごはんが苦手な人もいるらしい。

ナマイさんは首をひねっていたうちのひとりだが、

一瞬ハッとした表情になって黄色の紙箱をテーブルの上に乗せた。

「僕はバターを持ってきた。

バター醤油ごはんにしてみんなで食べようと思ってたんだけど、

全部ぶち込んでチャーハンしたらどうだろう。」

イトウさんもすかさず、何かをテーブルの上に乗せた。

それは発泡スチロールで出来た白いトレイで、

人間の手のひらのようなものが入っていて、トレイ全体がラップで包まれていた。

「僕は鶏ムネ肉。パサパサしがちで量も少ないと思ってたけど、

少しは肉が入っていた方がいいだろ?」

スドウさんは、途中からずっとニヤニヤしていた。

最後に、ゆっくりとおごそかな手つきで、

赤茶色のものが入った半透明の容器をテーブルの上に乗せた。

それを見て他の5人はどよめいた。

「僕はケチャップ。せめてオムレツを、と思って持ってきたんだ。

チキンチャーハンも悪くないけど、

僕としてはオムライスが食べたい。みんなはどうだい?」

その日、僕たち6人はオムライスを食べた。とてもハッピーだった。

・・・

ナマイさんが語ったのは、そういう例え話だった。

僕がこれから生きていくにあたり、自分でメニューを考えて、

それに必要な全ての食材を揃えるなんてことは、到底出来っこない。

それをやろうとしていたから、今までダメだったんだ。

僕はそう思ったのだ。


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