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魂とスキル

八話目

俺はその後、飛び散った肉片から魔核を発見することができた。魔眼を使うと簡単に発見できたのである。

「魔眼ってすごいな、魔力流れや魔力の濃い場所もわかるなんて。」

『そこまでできるとは知らんかったが、とりあえず早いところ魂を吸収しろ。』

「わかったよ、腹へってんのか?」

俺は魔核を強く握って魂吸収を発動する。

吸収し終わると魔核がぼろぼろに壊れてしまった。

魂の解析により「突進」のスキルと「悪食」のスキルを獲得した。

突進は防御を考えず攻撃重視で突っ込んでいくスキルで攻撃力と速度が上昇するが防御力が落ちるスキルだ、カウンターに気をつけていけば使えるスキルだろう。

悪食はなんでも食べるスキルなのだがこの体は特に腹が減らないようなので使うことはないかもしれない。

まぁイノシシは前世でも雑食の害獣だったからな、どこの世界でもそういうスキルを持っているのかもしれない。


「魂少しは回復できたか?」

『まだまだ足りんぞ、もっと沢山くれ。』

「とりあえずまた近くの魔獣を倒しに行ってみるか。」

あらためて気配を探り中型の魔獣を見つけたので近くまでいく。

「この辺りのはずだが。」

『あれだな、蜘蛛の魔獣バトルスパイダーだな。』

前世でも見たことある様な黄色と黒の柄の蜘蛛がいる、だが2メートルくらいのサイズの蜘蛛である。

「パスで!」

『どういう意味だ?』

「気持ち悪い!無理!俺の住んでた山にはあんな魔獣いなかったぞ!」

『始めて見たのか?』

「そうだよ!」

『あんな小物より何倍もでかい蜘蛛はいるぞ!さっさと倒せ!』

「気持ち悪いな、なら遠距離攻撃でいくか!」

俺は手をかまえてウィンドカッターを3発連続で飛ばす。

バトルスパイダーに向かって飛んでいくウィンドカッターだったが一発は何かに当り消える次の一発はそれてしまい木に当たる、最後の3発目はバトルスパイダーに気づかれてかわされてしまった。

「なんで!」

『一発は奴の糸に当たって消えて、次の一発は糸で向きがかわったな。』

「バトルスパイダーって強いのか?」

『強くはない!だが糸は厄介だ。』

「ザイル、お前ならどう戦う?教えてくれ!」

『魂の為ならしかたないか、鬼火を使え、糸を燃やしてしまえば奴の動きを制限できて攻撃も当てやすくなる、だが奴は動きが早いから気をつけろよ。あと鬼火の火力注意しろよ、こめる魔力の量を間違えるなよ!』

「わかったよ!」

俺はこちらを見て身構えるバトルスパイダーに手を向ける。

ところがバトルスパイダーはすぐに木の後ろに隠れてしまった。

逃がすまいと身体能力向上を発動させ前に走り込もうとしたときである、踏み込んだ右足が引っ張られた。

一気に引き寄せられて木にぶつかる。

「がっ、なんだ」

『ちっ、お前すでに奴の糸を踏んでしまってたみたいだな、急いで焼き切れ!』

「鬼火!」

足元に火を発生させる。

『奴の出す魔粘糸は奴の魔力に反応して着いたり離れたりする糸だ!この辺りに奴は糸を広げて罠をはってやがったんだ!』

「あー、完全にはめられたな、ダメージでかくないけどやられるのはムカつくな。」

『熱くなるなよ。』

「・・・わかってるよ!」

右手をバトルスパイダーの隠れている方に向ける。

「ウィンドストーム!鬼火!」

俺はウィンドストーム風に鬼火をまとわせて辺り一面を焼き払う竜巻を発生させる。

『なかなかおもしろい技を考えるな!だがやり過ぎるなよ!』

「わかってるよ!部分鬼人化!剛力!」

火の竜巻にひるんだ隙に一気にバトルスパイダーとの距離をつめる。

バトルスパイダーは慌てて魔粘糸を放出してくる!

「あきらめろ!鬼火!」

目の前の魔粘糸を焼きそのまま力任せに腕を振り抜く!

そのままバトルスパイダーの胴体部に直撃、粉砕する。

そしてまたバトルスパイダーの体液が飛び散り頭からかぶる。

『なんでわざわざ飛び散らせる必要がある?もっときれいに勝てないのか?』

「力の入れ具合がわからないんだよ!まだこの身体にもなれてないし!」

『というかお前もしかして接近戦が苦手なのか?』

「苦手というか、弓が得意なんだよ。」

『そういえば初めて会ったときも弓を使っていたな、接近戦は確か自爆の魔法くらいだったな。』

「自爆じゃねぇよ!確かに接近戦は倒したり切ったりした感触が残って気分的に好きじゃないが。」

『お前は今とりあえず一人で戦っていかなきゃいけないってことわかってるか?接近戦ができないんじゃ話しにならないぞ!優秀な前衛がいなければ弓だけではこの先やっていけんぞ、もっと接近戦も鍛えろ。』

「わかったよ、強くなる為だしな。」

『よし、ならまずは火を消せ。』

火がかなり燃え広がってしまっていた。

「やべっ、どうするといい?鬼火ってどこまで制御できるんだ?」

『鬼火を出して他の火を集めるようにしろ、集まったら魔力を抜いていくんだ。魔力の操作くらいできるだろう?』

「わかった。」

俺は鬼火を出して周りの火を吸収していく。

集め終わり鬼火に手を向けて魔力を散らす。

「消火完了っと、次は魔核を探さないと。」

バトルスパイダーの魔核は尻の部分にあったので引き裂いて取り出す。

「やっぱ気持ち悪いな。さて、吸収っと。」

バトルスパイダーの魂を吸収する、獲得したスキルは「魔粘糸」だった。

(鉄の人の次は蜘蛛男かアメコミヒーロー目指すかな。)

「魂まだまだ足りないか?」

『フォレストボアより少しはましな魂だったな。』

「さて、次を探すか。」

あらためて気配感知を発動する。

するとこちらに近づいてくる気配がある、3匹一組で3方向から迫ってくる。

3匹じゃない、3人だった。

どうやら森の入り口にいた追っ手の兵士が俺がおこしてしまった火の竜巻を見て偵察に入って来たらしい。

「どうするか?」

『殺してしまえばいいだろう?何を言ってるんだ?』

「殺す必要なければ殺さないよ。」

『あまちゃんが、知らんぞ。』

とりあえず隠れて様子を見ることにした。

しばらくすると1組目が来た。

「この辺りだったろ?」

「確かこの辺だ。」

「燃えた臭いがするな。」

3人はキョロキョロ周りを警戒しながら調べていく。

「おい!これ魔獣の死骸か?」

「うわっ、グチャグチャじゃねぇか。」

俺が倒したバトルスパイダーの死骸を見つけて騒いでいる。

「やばくないかこの魔獣をこんなグチャグチャにしちまう奴がいるんだろ?早いところ他の連中と合流しないか?」

『こっちには気がついてないみたいだな、どうする?』

(情報が知りたいから魔眼を使って話を聞き出したいな。せっかくだし魔粘糸を試してみるか。)

『素早くやらないと他の組も来るぞ!警戒はおこたるなよ。』

(ダメなときはすぐ逃げるさ。)

俺は3人の兵士達に気づかれないように糸を飛ばしていく。3人の内2人には鎧に付けて後の一人には足に付ける。

準備ができたところで3人の前方に鬼火を出す。

「なんだっ!火か?」

「敵か?」

「気をつけろよ!」

兵士達は剣や槍を構えて警戒を強める。

注意が鬼火に向いたところで鎧に糸を付けていた2人を一気に引っ張り木に当てて意識を刈り取る。

「おい!お前達どうした!大丈夫か?」

気絶した2人に男が駆け寄っていく。慌てて油断したところを一気に糸を引き木の上から逆さ吊りにする。

「おわっ、なんだっ!」

「うるさいよ、こっち見ろよ。」

「えっ」

男が俺と目が合うと同時に魔眼を発動し男に催眠をかける。

「ザイル、かかってるのか?」

『おそらくな、何か話してみればわかるだろ?』

「初めてだからよくわかんないな、まぁとりあえず聞いてみるか。」

虚ろな表情の兵士に話しかける。

「お前達はこの森で何をしてるんだ?」

「我々はマークレ様に雇われている兵士です、マークレ様の命令で屋敷から逃げた召喚士と魔人を探しています。この森には魔人が逃げ込んだと言う情報がありこの森に来ました。」

「効いてるみたいだな、マークレって何者だ?」

「マークレ様はこの国の伯爵様です。元々は国の中枢に着いていたのですが、国王が変わりこの田舎の領主に左遷されました。」

「なるほどね、お前は召喚が行われた時あの場所にいたか?」

「おりました。」

「あの時生け贄になった女の妹は知ってるか?」

「わかりませんが、マークレ様は沢山の女を奴隷商人から買ってますのでその奴隷のどれかにいるかもしれません。」

「屋敷のどこにいる?」

「わかりません。」

「使えないな、ちなみに召喚士はどうなった?」

「捜索してますがまだ見つかってません。」

「召喚はよくおこなわれているのか?他に召喚士は?」

「もう何度かおこなわれています、召喚士はあの逃げた男だけですが、マークレ様はまた闇ギルドに依頼して呼ぶと言われてました。」

「次の召喚士が来るまでどれくらい日にちはかかりそうだ?」

「わかりませんが、大きな街の方まで行かなければ行けないので早くても5日遅くても8日というところだと思います。」

「なるほどな、少しは時間があるな。」

『おい、そろそろ他の兵士達が来るんじゃないか?』

他の組の兵士達の気配を探るとだいぶ近くまで来ていた。

「そうだな、おい、お前達は突然大きな魔獣に襲われた、真っ暗でよく見えなかったが大きな魔獣だった、その魔獣は森の奥に逃げて行った、ただそう言え!」

「わかりました。」

男が虚ろな表情のまま答えるのを確認しその場を離れる。


とりあえず俺は洞穴の方に戻ることにした。

途中兵士達の気配を確認すると固まって街道の方に向かって行ってるのがわかった。

負傷者もいたので戻って行ったのだろう。余計な戦闘にならず一安心した。

そのまま洞穴に向かっていると近くに中型の魔獣の反応があったので行ってみる、そこにはフォレストボアがいた。

「ついでに狩っていくか?」

『そうだな、次はグチャグチャにするなよ。』

「わかったよ。」

気配を消して近くまで行き、鬼人化と身体能力向上を使い一気に首を狙い手刀を振り落とす。

フォレストボアは反応できずそのまま倒れてしまった。

「今回は綺麗に狩れただろ。」

『まぁまぁだな。』

「さてと、魔核はっと。」

俺が倒したフォレストボアから魔核を取り出し魂吸収をし始めた時だった。

『後ろだ!よけろ!』

突然の声に反射的に横に転がりこんだ。

すぐに起き上がり俺のいた辺りを見ると何か黒い影が通り過ぎて行くのが見えた。

「ザイル、なんだ今のは?気配感知には何も引っ掛からなかったぞ!」

『敵だ!コウモリの魔獣だ!』

「シャドウバットか?」

『いやっ、シャドウバットじゃないな、奴等ならそこまで気配を消せない。』

気配感知を全開にして警戒するが気配が感じられない。

「何かのスキルか?全く気配が感じられないぞ。」

『おそらくナイトバットだろう、スキルで気配を消してるんだ。お前の気配感知じゃ熟練度が低くて感知しきれんのだろう。』

「ならどうやっ、どわっ」

後ろから背中を攻撃された。

鉄の体の為血は出たりしてないもののダメージはある。

「くそっ、真っ暗な上に気配を消してるなんて倒しようがないぞ!」

『魔法を使え!』

「火を出したりしたら追っ手の兵士達に気づかれるぞ!」

『バカ、風だ!風感知や風の防御魔法くらい出来るだろうが!』

「・・・わかってるよ。」

俺はウィンドで風を起こし気配感知をする。同時にウィンドシールドを使い敵の攻撃に備える。

後ろから気配を感じそれに合わせて攻撃を仕掛ける。

鬼人化した腕を思い切り振りきる。

攻撃が当たったと思った瞬間、回避され逆に攻撃を受けて弾き飛ばされてしまった。

「なんでっ、完全に合わせてたと思ったのに、それにこの耳鳴りなんだ?」

『耳鳴りはあいつの出す念音波だ、完全にこちらの動きが読まれてるぞ、それにナイトバットじゃない、奴はデスバットだ!』

「すまん、デスバットってやばいやつか?」

『お前の住んでたとこにはいなかったのか?かなり強敵だぞ。』

「どうやって倒せばいい?」

『今のお前には無理だろうから全力で逃げろ。』

「なっ、とりあえず逃げながら考える!」

俺は身体能力向上を使い全力で逃げる。

逃げながらウィンドを発動し気配を探る、やはり簡単には逃げられないようでデスバットはぴったりとくっついて来ていた。

逃げながらウィンドアローを飛ばしてみるがやはり当たらない。

「やっぱ当たらないな、というかデスバット早くて逃げきれそうもないけど!念音波のせいか頭も痛くなってきたぞ!」

『洞穴にむかえ!そこで奴の動きを封じて戦え。』

「了解!それでいこう!」

俺は潜伏していた洞穴に向かっていく。

全力で逃げているが途中デスバットは回り込んで攻撃を仕掛けてくる、俺は攻撃をウィンドシールドを使い防ぎウィンドアローなどを使い牽制する。

「やはり当たらないな。」

走りながらなのとデスバットの回避能力が高いのとでかすりもしない。

ようやく洞穴が見えてくる。

洞穴に飛び込み俺はすぐ魔力をまだ流していない魔粘糸をあちこちに張りながら洞穴の奥へと逃げ込んでいく。

「そろそろ一番奥だな、この辺りでいいか。」

また風を起こして気配を探る。

デスバットとは少し距離が離れていた、どうやら警戒してすぐに入って来なかったようだ。

デスバットが洞穴中間くらいまで来たところで魔粘糸に魔力を流す。

「さてやってやりますかね。」

『何をやるつもりだ?』

「倒すから見とけよ!」

俺はデスバットが来る方向を向いて気配を探りながら両手をかまえる。

「風よ!我が前の敵を凪ぎ払え!狂え風よ!ウィンドバースト!」

デスバットに向かって詠唱魔法を発動させる。

突然の暴風によりデスバットは避けられず翼を切り裂かれ入り口の方に吹き飛ばされていく。

デスバットはそのまま事前に張ってあった魔粘糸にからまり捕らえられてしまった。

それを確認した俺は一気に走りより鬼人化して攻撃する。

デスバットは念音波を発してきたが糸に絡まり動けない為まともに当たりはしなかった、そのまま頭を潰してデスバットを倒す。

「どんなもんだ!なかなか上手いことやれたろ?」

『確かにそうだが、早いとここいつをかついで洞穴を出た方がいいぞ、お前の魔法で崩れそうだぞ。』

「えっ?」

そこら中の壁から嫌な音がし始める。

「やべっ!」

俺はデスバットの死骸を担ぎ上げ入り口に向かって走り出す。

すると奥の方から大きな音と共に洞穴が崩れ始める。

身体能力向上を全力にして走るが洞穴が崩れる速度も早い。

入り口が見えたところで今まさに自分の走ってる頭上の辺りが壊れてきていた。

「突進だ!」

俺は無我夢中に突進を発動して壊れていく入り口に突っ込んでいった。でかい岩にぶつかりながらも無理矢理脱出することに成功した。

「きっつい、体痛いぞ。」

『どうにか無事だったな。』

「さすがにあせった。潰されて死ぬとか冗談じゃない。」

『お前があんなところであんな魔法を使うからだ、結局全身泥だらけだな。』

「うるさいなぁ、倒せたんだからいいだろ?体はこれから川にでもいくよ。」

俺はとりあえずデスバットの死骸をかついで昼間の小川に向かうことにした。



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