女神と妹
五話目この辺からチェックが雑に…
「俺は成仏しちまったのか?」
俺は今真っ白な世界にいる。
「なんか見たことある部屋だな。」
「なーにしてんのよあんた」
目の前に20代くらいの女がいる。
「何って俺死んでしまってそれで、」
「そうじゃない!なんで死んでるんだって言ってんのよ!」
「いやっ、鬼に」
女がまたいらっとしている。
「話が通じないわね、あんたはここで死ぬ運命じゃなかったのよ!」
女がきれていらっしゃる。
「運命ってあんた誰?」
「私は運命の女神よ!あんたと会うのは二度目よ!覚えてないのこんな美人を!」
「自分で美人って言うやつなんか知らんよ、それに本当にあんたのこと知らないしな。」
また運命の女神はいらっとしている。
「もしかしてあんたが俺をこの世界に呼んだやつか?」
「そうよ!そうかあんた記憶を封印してたわね。」
「封印?どういうこと?」
「面倒くさいから自分で思い出して!」
女神が俺の頭を軽くたたく。
◆◆◆
(あれっ、俺自転で帰ってたんじゃなかったっけ?いやっ、後ろから車が来ていてあん時の車どっかで)
「どうも!私は運命の女神よん!よろしくね!」
「えっ、あっどうも、って女神様?本当に?どっきりじゃないのか?」
「本当よ。古田洋介さん、あなたは!死んでしまいました。」
「あっ、やっぱりそうなんですね。」
「あらっ受け入れ早いわね。」
「だってなんとなく覚えているもので。」
「まぁいいわ、でねっ、あなたはこれから元の世界でうまれかわってやり直すか、別の世界でうまれかわってやり直すかを選んでもらおうと」
「別の世界でお願いします!」
「即答やん!なんで!普通迷うよね、すっごく悩むよね?」
「まぁ前の世界は楽しいってことなかったし。」
「まぁそれでいいなら話を続けますね。」
女神がなんかちょっとひいてる。
「あなたがこれから生まれかわる世界は魔法ありのファンタジーな世界よ!」
「そりゃすごいな」
「反応薄いな、貴方に特別な力を授けます!」
「本当に!どんなチート?」
「そこはちょっと反応いいのね。でねっ、その力をあげちゃうかわりにお願いがあるのよ!」
「えっ、じゃぁ力いらないからお願いもいらない!」
「あんた!決断早すぎるわよ!まだなんも内容聞いてないでしょ!」
女神がいらいらし始める。
「女神様、怖いっすよ。」
「あんたのせいでしょ!とりあえず授ける力は「魂の解析」って能力よ!魂を取り込み記憶や経験を解析し自分の力にすることが出来るの!やばいでしょ!どうよどうよ!!」
女神がものすごい勢いでせまってくる。
「いやっ、すごいですけどそんなすごい力の代わりの条件ってなんですか?」
「それはね、来世であなたの妹になる子を守って欲しいの。」
「守るって何から?」
「まぁいろいろやばい奴らからよ」
女神がてへぺろっ感じで誤魔化してきた。
「・・・そうとうやばそうですね。」
「大丈夫よ!やばくなるのはその子が20歳になるくらいだからそれまでに強くなれば問題ないでしょ?」
「そうだね、まぁやってみようかな。」
「なら決定!よろしくね!」
「あっ条件つけていいですか?」
「何?可能ならいいわよ!」
「この能力が使えるようになるのを18歳からにして欲しいんです、この記憶もその時まで忘れるように封印してもらいたいんです。」
「はっ?意味わからないし!さっさと強くなっとけばいいじゃないの!」
「考えたんですが、チートな力って結局自分を鍛えるのがおろそかになっちゃうんじゃないかって、そのやばい相手を前にしたときにチートな力に頼った戦いしてたら上手く戦えないんじゃないかって思って。」
「なかなか考えてるのね、わかったは!貴方の運命を見たら大丈夫そうだしね。」
「ならそれでよろしくお願いします。」
「こちらこそ!頼むわよん!」
◆◆◆
「あーなるほどですね。」
「なるほどじゃないわよ!」
「だってもう死んじゃったし!それに運命の女神様も大丈夫って言ってたのに死んでるんだからどうしようもなくないですか?」
「うっ、それを突っ込まれると困るわね、だってイレギュラーな存在が出てきてたんだもん。」
女神がちょっと悔しそうな顔をしてる。
「とりあえずどうするといいんすか?」
「あなた前より言葉使い悪くなってない?私に対する敬いない感じ?」
「2回も死んだらこうなるんですよ、たぶん」
「うっ、とりあえずあなたはもう一度あっちの世界に行ってカーナちゃんを助けてもらいます!」
「えっまた行けるの?でも0歳からスタートか?そんなんじゃとても間に合わないぞ!考えてわかるよな!大丈夫か女神よ!」
俺は女神につめよる。
「近いわよ!それに文句に悪口ってひどくない?」
「気のせいだろ、女神様に文句や悪口なんて!さっさと元の世界に戻せよババァ」
「こらこら心の声がバシバシもれてるわよ!」
「おやっ?」
「おやっ?じゃないわ!」
「冗談は置いといてどうするといいんですか女神様?」
やはり女神はいらっとしている。
「あんた口悪いって言われない?とりあえず貴方には境界からあちらの世界に戻ってもらうから。」
「境界?」
「境界は世界と世界の境目のことよ、そこからどうやって?って思ってるでしょ?」
俺はうなずく。
「それはね、貴方に案内をつけるからそいつに聞いてもらおうかしら。」
なぜか女神がにやついている。
「その顔を見てると嫌な予感しかしませんが?」
「というかもう貴方の後ろにいるんだけどね。」
「へっ、?」
後ろを振り向き確認する。
誰もいないし何もない。
「どういうこと?」
女神がまたにやついている。
「隠れてないで出てきなさい!」
「ん?」
「ならもう消すわよ貴方の存在。」
『わかった、出るから待ってくれ、いやっ、下さい。』
突然俺の肩に違和感が出てくる。
何かが出てくる小さい何かが。
小鬼のマスコットみたいな奴が肩からでてきた。
『いつから気がついて?』
「最初からよ、てか一応神様なんだから分かるに決まってるでしょ!」
「おい!この気持ち悪いのなんだ!小さい鬼?」
「元鬼人よ、貴方を殺したやつよ!」
「はっ?なんでここにいるんだよ!しかもなんで俺にくっついてるんだよ!」
『お前を吸収しようとしたとき魂が混ざり合っただろう、その後に奴に魂を切られただろう、その時意識をお前に混ざった少しの魂にうつしたんだよ。』
「なかなか器用なことするわね。」
女神は感心している。
「感心するな!早くこいつを取ってくれ!」
「できなくはないけど貴方こいつがいないと赤ちゃんから始めないといけないわよ。」
「はっ?なんで?なんでこんな奴と行かないといけないの?」
「間に合わないから!以上!」
「なんでだよ!俺を殺した奴と一緒なんて無理に決まってるだろ!」
「ならカーナちゃんを助けられなくなってもいいの?」
「うっ、それは、だが!」
『俺の意思確認とかないのか?』
「あなたは黙ってなさい!消すわよ!」
「ややこしいから出てくるな!」
『へぃ』
「もう決定なんだから!諦めなさい!それに時間がないのよ!」
「時間ってなんだよ!魂なんだから関係ないだろ!」
「この空間はあっちの世界と時間が違うのいつまでもここにいるとカーナちゃんお婆さんになっちゃうわよ!」
「はっ?なんでそんな大事な話を今頃言うんだ!あんた女神様だろ!どうにかしろ!」
女神がムッとする。
「とにかく!これからあなたはあっちの世界に帰ったら徹底的に強くなりなさい!じゃなきゃカーナちゃんに会う前に殺されるから!」
「なっ、だからまだ話が!」
「このままだとタイミングがずれちゃう!てことで行ってこい!」
女神が手をむけたと同時にすっ飛ばされる。
「そうだ!最後に鬼人を倒した奴らとは関わっちゃだめよ!運命が変わるから!」
「ふざけるな!まだ話は終わってないぞ!この年増ー!!」
「不幸な運命に悩まされろ!クソガキ!」
こうして俺は何もない世界を魂のままさ迷っていく。
◆◆◆◆
レイリックが鬼人に殺される前にさかのぼる。
「お兄ちゃん達早く帰ってこないかなぁ」
私はお兄ちゃん達の帰りを家で待っていた、暇だ。
一緒に行くと言ったが両親から許可がおりなかった。お兄ちゃんからも危ないからダメだと言われた。
「つまんないなぁーお兄ちゃん達今どこにいるのかなぁ」
窓から兄達が向かった森の方を見る。
両親は明日の準備で忙しそうだ。
(魔法でどの辺りか調べてみよっと、これくらいの魔法ならばれないしね。)
カーナはレーナ達との練習の時の以外魔法を基本的に禁止されている。暴走したら止められる者がいないからである。
だがカーナも10歳で魔力操作もかなり上達している。簡単に暴走しない自信があるのだ。
(気配感知系の魔法だけだし大丈夫でしょ)
カーナが庭に出でようとすると
「どこに行くのカーナ?」
レーナ母さんから声がかかる。
「暇だから散歩に行ってくるわ!」
「森には行かないのよ!わかってるわよね?」
「わっ、わかってるって!」
レーナを怒らせるといろいろ怖いことをカーナもわかっている。
以前怒らせた時は魔法で氷づけにされそうになった。
カーナは庭に出ると森の方に意識を向ける。すると
「カーナたん何をやってるんだ!」
今度はエリック父さんだ。
「お父さん!ビックリさせないでよ!何もしてないわよ!」
「そんなに怒らなくても」
エリック父さんが凹んでいる。
「ちょっと散歩してくるだけよ。」
「ならいいけど気を付けて行くんだよ、何かあったら大きい声で叫ぶんだよ!」
「何かあったら魔法使うから大丈夫よお父さん!」
「いやっ、カーナたんの魔法は強力すぎるからあまり使わないで欲しいんだけどね。」
「なら私が襲われてもいいのね?」
「上級魔法まで許可する!」
「ありがとうお父さん!」
カーナの喜んだ顔にエリック父さんがにやける。
「とりあえずあまり遅くならないように帰ってくるんだよ。」
「わかってますって。」
カーナはとりあえず村の外れの野原まできた。
「ここまで来れば大丈夫でしょ!」
カーナは集中し始める。
「気配感知!時空間感知!振動感知!風感知!」
スキルに三魔法を同時使用して森の中を調べていく。
カーナの感知能力は時空間感知のおかげで数十キロヤーレという脅威的な距離を調べることができる。
(あっ、イル兄とファナ姉発見!もう帰って来てるみたいね。)
「でもお兄ちゃんがいない、まだ奥かな」
さらに範囲を広め調べていく。
(お兄ちゃん発見!けっこう距離あるけど、もう一人は誰?かなり大きい人?)
そんなことを考えていると突然カーナのいる野原からでも見える大きな火柱が立ち上る。
「えっ、まさかあそこはお兄ちゃんがいるところじゃない!」
身体能力強化を発動し急いで家にむかい走り出す。
「お父さん!森がおかしい!お兄ちゃんが何かに襲われてる!」
カーナの慌てた様子に驚く両親。
「どうしたんだいったい、あいつら三人ならDランクの魔獣だって倒せるよ、あの森には強くてもEランクの魔獣が出るくらいだよ。」
「違うの!様子がおかしいの!イル兄とファナ姉戻って来てるけど、たぶん全力で逃げてる感じなの!お兄ちゃんは何か大きな人かわからない奴と戦ってるみたいなの!」
その話を聞いた瞬間両親の顔色が変わる。
「レーナは村人の避難を頼む、カーナは俺と一緒来てレイリック達の居場所を教えてくれ、ただしレイリックと合流したら戦闘はせずに逃げるんだ。」
「魔人か鬼人かしら?」
レーナはうなずきながらつぶやく。
「おそらくそうだろう。急がないとやばいぞ。」
エリックは部屋に戻り装備を整え戻ってきた。
「何その装備、見たことない装備だし、武器も防具もすごい魔法の力を感じる。」
「これは現役の冒険者だったころに使っていたものだよ、こんな村で出すことになるとは思わなかったけどね。」
「エリック、カーナとレイリックをお願いね。」
「わかってるさ、行ってくるよ!」
エリックが外に出て森の方にむかって走り出す。カーナもそれに続く。
エリックが森に入り少しするとイルとファナと会うことができた。
「二人とも無事か?」
「エリックおじさん!レイが今一人で戦ってます!」
「赤黒い鬼が突然現れて私達を殺して魂を食べるって!」
「赤黒い鬼!?鬼人か!」
「鬼人?とりあえずレイを助けに行きましょう!」
イルがエリックにすがり付く。
「お前達は村に戻ってみんなと避難しろ!」
「でも!」
「でもじゃない!俺もお前達を守りながら戦うのは無理だ!」
「・・・わかりました。」
イルが涙を流しながら悔しそうに言う。
するとレイリック達がいる方から黒い炎と雷が舞い上がったのが見えた。
「なんて魔法だ、かなりやばい奴だな。」
「お兄ちゃんの気配がない、なんでないの?」
カーナが地面にひざをついた状態で青くなっている。
「なんだと!気配感知!風感知!」
エリックが集中する。
「確かに戦っているがレイリックじゃない。それに鬼人の相手もすごい強さだ。」
エリックは悩みだす。
「みんなで行くぞ、俺が危険と判断したらみんなすぐに逃げろ!行くぞ!」
「「「はい!」」」
急いで戦いおこなわれてる場所にむかう。
途中木々が吹き飛ぶ激しい音が森に響きわたる。
「戦闘が終わったみたいだ!急げ!」
戦闘の音が聞こえなくなっていた。
戦闘が合った場所についた、そこは木々が散乱し燃えていた。地面には大きな穴がいくつもあいており、激しい戦闘があったことを物語っていた。
「お兄ちゃん!どこ!返事をして!」
「レイー!どこだ!」
「レイリック!返事をしろ!」
「レイどこにいるのよ!返事して!」
みんなでレイリックを探してまわる。
「おじさん!これ!」
イルが叫ぶ。
「燃やしたあとか?鬼人とレイリックか?」
「エリックおじさん、これっレイの」
ファナがレイリックのちぎれ飛んだ腕を見つけて持ってきた。
「うそよ!うそよ!うそよ!!!」
カーナが泣きじゃくって叫ぶ。
「うそよ!うそよ!お兄ちゃんが死ぬはずない!死ぬはずないわよ!!」
カーナがファナからレイリックの腕を奪いとる。
「お兄ちゃん!私が治してあげるから!どこにいるの!お兄ちゃん!!」
その瞬間カーナを光が包み込む!
「なっ、これは!」
「カーナちゃん落ち着いて!」
「カーナちゃん!落ち着くんだ!」
「お兄ちゃん!お兄ちゃん!!どこ!!」
光が天にのぼる。
「これは暴走じゃない、覚醒だ!」
エリックは唖然としている。
「「覚醒?」」
「そうだ、カーナが力に目覚めたんだ!今カーナはレイリックを探してるんだ。」
光が収まっていく。
「お兄ちゃんの魂はまだあるみたい、だからまだお兄ちゃんを助けることは出来るはず!体は私がどうにかすれば!」
「カーナ落ち着くんだ!レイリックは死んだんだ、魂があったとしてもすぐに消滅してしまう!」
「私が魂を召喚すればいいのよ!」
カーナはレイリックの腕をかかげ、
「この腕の持ち主の魂よ!我が前に現れよ!リターナル!」
魂を召喚しようとするが何もおこらない。
「なんで?なんでなの?なんで何もおこらないの?お兄ちゃん!」
泣きじゃくるカーナをエリックが抱きしめる。
「落ち着くんだ!レイリックはみんなを守る為に死んだんだ、イルやファナ、村の人達、もちろんカーナもだ、わかるな?」
カーナが無言でうなずく。
「カーナ強くなれ、レイリックは誰よりもカーナが成長することを望んでいたんだから、お前は賢者だ、不可能を可能にすることができるかもしれない。」
カーナがうなずく。
「私は強くなって!お兄ちゃんを殺した鬼人族を滅ぼしてやる!そしていつか、お兄ちゃんをよみがえらせてやる!」
「僕も強くなる!強くなってカーナちゃんと一緒に鬼人を倒す!」
イルが叫ぶ。
「私も強くなる!二人と一緒に戦う!」
ファナも叫ぶ。
みんなの言葉を聞いてエリックはつぶやいた。
「強くなるのはいいんだが・・・滅ぼすのはちょっと」
エリックは頭をかかえる。
「みんなとりあえず村に戻るぞ。」
「「「はぃ!」」」
村に帰りみんなにエリックが代表して話をする。
レーナは泣きはしたものの胸をはりレイリックを褒め称えた。
後日レイリックの腕は埋葬され村のみんなから祈りがささげられた。