友達と妹
二話目
俺も11歳になり10歳からやっている鍛練もきちんと続けているかいもありかなり体力も弓の腕もあがってきた。
今日は隣に住むイルと一緒に近くの草原に遊びに来ている最近はよくイルと剣の打ち込み練習や魔法の練習をやっている。
ちなみにイルは俺よりも少し背が低くちょっとぽっちゃり体型の子だ、ちなみに魔法の属性は土属性を使えるので土魔法で的を作ってもらい風魔法を当てる練習をやったりしている。
「イルっとりあえず剣の練習からするか?」
「そうだね、とりあえず軽く打ち込みやっていこうか。」
そう言って木剣を差し出してくる。
「ありがとよ」
互いに少し離れて木剣をかまえる。
「今日こそレイから一本取るよ」
「やってみな」
互いに飛び出し木剣を振るう。
カン、カン、カン
「よっと、レイ、魔法使うのは今日はありか?」
「ほっ、とりあえずまだなしかな、イルの魔法コントロールも信用出来ないしなっ!」
「なっ、そういうこと言うなよ。」
カン、カン
「せいっ」
イルが横に木剣を振るってくる。
俺はバックステップでかわしてすぐに隙をついて踏み込んで木剣を振るう。
カン!
なんとかイルが木剣を受けるがバランスを崩したので足をはらって倒す。木剣を倒れたイルにむけて。
「俺の勝ち」
「また負けたか」
「もっと足腰鍛えたほうがいいんじゃないかぃ。」
俺はニヤニヤしながらイルに言う。
「くっ、走るの嫌いなんだよなぁ」
イルが悔しそうに言う。
「一緒に冒険者になるなら頑張れよ、それにもっと鍛えて痩せたほうがあいつにも好かれるぞ!」
「好かれるってレイおまっ」
イルが顔を真っ赤にして慌てて起き上がる。
「ファナのこと好きなんだろ?」
「わわわわわっ、なななんでファナが出てくるんだよ!」
大慌てのイル。
(なんてわかりやすいんだ、まぁ11歳だしね、からかうの楽しいな)
ちなみにファナは村の治療院の娘で親父さんは普通の治療師だが、お母さんはハーフエルフの美人さんだ。俺が生まれたときに見た緑の髪の耳がとがっていた女性である。
ちなみにファナの歳は俺達の1つ下だ。
「ファナはお母さんに似て美人になるだろうからライバル多いから頑張れよ。」
「だっ、だからそんなんじゃっ」
「レイー!イルー!私達も誘いなさいよ!」
草原に声が響いた。
「噂をすれば。」
イルにニヤニヤしながら言う。
イルがまた慌てだす。
(んっ?私達?まさか!)
振り向くと走ってくる天使の姿があった。
カーナもファナについて来たらしい。もうすぐ4歳のカーナはやはり天使だ。最近父さんがカーナをかわいがり過ぎて嫌がられていたのを思い出す。
「よぉファナ、カーナも連れて来たんだな。」
「カーナちゃん暇そうにしてたしレイ達探しに行く?って聞いたら行くって言うから連れて来ちゃったわ。」
「そうかありがとな。」
「別にいいわよ、でもなんで私も誘ってくれないのよ!私も魔法の練習したいんだから」
「それはまぁなんとなくだ」
イルの方をチラ見する。まだ慌ているようだ。
(イルがあがって練習にならないからなんて言えないよな。)
「なんとなくってなによ」
「まぁ気にするな!それよりちょうどこれから魔法の練習するところだったんだ。」
「そうなの、なら私も一緒にやるわ。」
「レイお兄ちゃんカーナもやるー!」
「カーナはまだ早いよ。」
カーナの頭を撫でながら言う。
「カーナも出来るもん!」
「わかったわかった。」
また撫でながら言う。
「イルとりあえず的をいくつか作ってくれるか。」
「あっあぁはいはい。」
イルが地面に手を当てて地面を盛り上がらせて的を作っていく。
(土魔法って便利だよなぁ、家だって建てられそうだよなぁ。)
考えていたら作業が終わったらしく、イルから手が上がった。
「もういいよ!二人とも。」
「ありがとなイル!」
「ファナからやるか?」
「ならお言葉に甘えて。」
ファナは俺と同じ風魔法が使えるがそれと別に光魔法が使える、やはりエルフの血がすごいのだろう。
光魔法は回復系の魔法や補助系の魔法が多いらしい。
(2つの属性持ってるとかメチャクチャ羨ましい回復魔法とか出来たらソロでも冒険者やってけるよなぁ)
「ウィンド!」
ファナが手のひらを的に向け風をおこす、ファナはそこから風を絞って的に当てていく。
これはエリックから教えてもらった練習で風をしっかりと操る練習だ。この基本をしっかりと練習してからアローやランスなどの攻撃魔法を練習するように言われている。ファナは全部の的に絞った風を当てて壊していった。
(はやっ、魔力操作上手すぎでしょ、俺より1つ歳下だからこの練習したのも俺より遅いはずなのに俺とそんなに変わらないくらいはやいじゃん。)
驚きながらイルに合図を送り次の的を用意してもらう。
「魔力コントロールまた上手くなってないかファナ?」
「ふふっ、お母さんからコツを教えてもらったのよ。ハーフとはいえエルフは風の扱いが上手いんだから。」
ファナが自慢げに言う。
「なるほどね、俺も今度聞いてみようかな。」
「ダメよ!やっと追いついてきたんだから!」
「そんな張り合うなよ、それに俺の方が早くからこの練習やってんだから俺の方が早いに決まってるだろ。」
ファナは負けず嫌いなのだ。
「次はカーナの番だよ!」
イルから準備が出来た合図があったみたいだがそれにカーナが反応した。
「おいおいカーナ」
俺がカーナに声をかけようとするとカーナが手のひらを的に向け
「ウィンド!」
大きい声で叫んだ、その瞬間ファナのとき以上の風が吹いた。
「「えっ」」
ファナと俺はカーナのしたことに二人そろって固まってしまった。
「レイ!風が強すぎるぞ!カーナを止めろ!」
的側にいたイルが飛ばされそうになってる。
「イルっ!壁を作って飛ばされないようにしろ!」
「カーナ!コントロールは出来るのか?」
「どうやってやるかわかんない!」
カーナもビックリしていて自分でやってることがわかってないらしい。
「カーナとりあえず落ち着いてゆっくりと手のひらから力を抜いていくんだ、ファナ!俺と二人でカーナの風を空にむけるぞ!」
ファナも俺の言った意味を理解しうなずく。
「「ウィンド」」
二人で手を向けて風をちらして空に向きを変えていく。
(カーナの風勢いが落ちない!?4歳なのに魔力が切れないのか?このままだと俺達の魔力が切れてしまうぞ。)
「カーナ目をつぶってゆっくりと体の力を抜いていくんだ、出来るかい?」
「レイお兄ちゃん!わかんない!」
(やばい、完全にパニックになっちまってる。)
風の勢いはまだ強くなっている。
(このままだと大きな竜巻が発生しかねないな、どうする、どうする)
「ファナっ!少し一人で耐えてくれ!」
「わかったから早くどうにかしてね、魔力がやばいわ!」
俺は魔法を止めてカーナに駆け寄る。
(魔力が漏れててカーナの近くまですごい風がふいてる。)
「ウィンドシールド」
俺は風をまとってカーナに近づいて行き後ろから抱き締める。
「落ち着いてカーナ、カーナなら大丈夫だから俺を信じてゆっくりと力を抜いていくんだ。」
少しずつカーナの緊張がとけていく。
風が少しずつおさまっていき消える。
(やばかった魔力がもう空になるとこだったよ)
カーナの近くの風はかなり強かった、シールドでそらさないと吹き飛ばされる勢いだった。
ファナもふらふらになっていた、どうやら魔力切れらしい。
イルは土壁に埋もれていた。
「カーナ大丈夫か?」
「お兄ちゃんごめんなさいごめんなさい。」
泣きながら謝ってきた。
「よかった、大丈夫みたいだね。体はきつくないか?」
「大丈夫だよ、きつくないよ。」
カーナが抱きついてきた。
(これだけの風をおこしたのに魔力が切れてないってのか?いったいどれだけの魔力を持ってるんだカーナは)
「ファナ!イル!二人とも大丈夫か?」
「あなたに回復魔法かけてあげたいけど魔力ないから無理だわ」
自分の体をよく見るとあちこち小さな傷ができていた。カーナの風が強すぎたせいで切れてしまったらしい。
「誰でもいいから助けてくれ」
土壁につぶされたイルが助けを求めている。
「とりあえずイルを助けにいくぞ」
ファナとカーナと三人でイルを引っ張り出す。
「イル大丈夫か?」
「レイいったい何があったんだ?とりあえず生きてるけど短い人生で始めて死ぬと思ったよ。」
「どうやらカーナの魔力が暴走したみたいだ」
「カーナちゃん凄かったわね。魔力のコントロールをしっかりと勉強すれば大丈夫だから一緒に練習しましょ。」
「ごめんね、イル兄ちゃんファナお姉ちゃん」
「大丈夫よ!カーナちゃん、私は怪我1つないし、イルも大丈夫でしょ?」
「もっ、もちろんですよ!全然怪我なんかしてませんよ!」
イルはけっこう怪我してるみたいだがまぁ大丈夫だろ。
「とりあえず今日のことは父さんと母さんには伝えておかないとな。」
カーナが不安そうな顔をしている。
「大丈夫だよカーナ、父さん達には怒られないようにするから。」
「うん、ありがとうお兄ちゃん」
「とりあえず今日はもうみんな帰りましょう、くたくただわ。」
「そうだな、イルはファナを送ってから治療院で怪我を見てもらってくれ。」
「えっ、わっ、わかった!」
「ならイル、ファナまた明日な」
「「また、明日な(ね)」」
カーナを連れて家の方に歩いていく。
少し歩いてからカーナに話しかける。
「カーナは魔法使ったのは初めてだったのかい?」
迷いながらカーナが答えてくれる。
「初めてじゃなかったの、たまにお兄ちゃん達が練習しているのを見て自分も出来るかもって思って一人で隠れて練習してみたの、そしたら風が吹いたり土が盛り上ったりしたの。」
「土が盛り上ったりってイルのまねをしたってこと?」
「そうなの。」
(カーナは2つ属性があるってことか?でも両親は風と水の属性だけど?まぁあくまでも遺伝が濃厚ってだけだしそういうこともあるのか?)
「魔法が使えたことは誰かに言ってたりした?」
「言ってないの、お兄ちゃんを驚かせたくて誰にも言ってないの。」
(俺を驚かせたかったなんて可愛すぎるぞ天使よ)
「みんなすごくビックリしたよカーナの作戦大成功だったね。」
「やったなの!でもみんなカーナのせいでたいへんなことになっちゃって」
カーナが泣きそうになるが俺はカーナを抱き締めて頭を撫でながら落ち着かせる。
「大丈夫だよ、次はきっと上手くできるからカーナなら大丈夫俺もついてるから。」
「うん、カーナ頑張る、レイお兄ちゃんの為にも頑張るの!」
「よろしくねカーナ!さっ、お家に帰ろう」
□□□
家に着いてそうそう
「レイリックいったい何があったんだ?カーナたんが泣いた後の顔をしているぞ!誰が泣かしたんだ!」
すごい勢いでエリックが詰め寄ってくる。
「父さん、落ち着いてもらえると助かるのですが。」
エリックが俺の胸ぐらをつかんでくる。
「レイリックまさかお前か!」
「ちがっ、ちょ」
「あなたいい加減にしなさい。」
エリックの後ろからレーナがおもいっきりチョップを決めてくる。エリックの手が離れた。
「レーナ何をするんだ!」
エリックが振り向きながら文句を言うがすぐさま顔正面にレーナがチョップをいれる。
「息子を殺す気か?それにカーナが泣きそうになってるじゃないの!」
かなり本気のお母さんだ。
「すいませんでした。」
(こういうときのレーナ母さんなかなり怖いからなぁ口答え1つでもとんでもないことになるからな謝って正解だな。)
「それでレイリック今日は何があったのかしら?」
(そんな怖いテンションのまま質問しないでほしいな。)
「今日イル達と・・・」
□□□
今日のことを両親に話し終わった。
「そんなことがあったとは、二人とも無事でよかった。」
エリックがつぶやく。
(あなたのおかげで無事じゃなくなるところでしたよ。)
「それにしても複数の属性のことといい魔力の量といいちょっと引っかかることが多いわね」
やはりレーナ母さんも俺と同じところが気になっているらしい。
「なら今から教会にいってスキルや属性を確認しに行こう。」
エリックがやる気を復活させて教会に行く準備を始める。
(カーナの為なら本当に火の中だろうと水の中だろうと行きそうな父さんだな、まぁわからなくもないけど。)
「それもそうね今年4歳だしもうすぐ行く予定にしてたし行ってみましょう。」
そしてみんなで教会に行くことが決まった。
レーナ母さんも準備をすませて家族みんなで家をあとにする。
俺も自分のステータスを見たいと思っていたのでついでに見させてもらおう。
教会に着いて神父さんにあいさつをする。
「こんにちは神父様。」
「すみませんね神父様急に来まして。」
「いやいやっ全然かまいませんよ、今日はどうされましたか?」
「ちょっと予定より早いのですが娘のカーナの祈りとスキルの確認をしたくて来たんですよ。」
「かまいませんよ、じゃぁどうぞカーナちゃんこちらに。」
「はぃ神父様よろしくお願いいたします。」
神父に連れられてカーナが前に進んで行く。
「ではカーナちゃんお祈りをしましょう。」
カーナが膝まづいて祈りをささげる。それが終わるとそのまま石板のところに向かって行く。
カーナが石板に手をつき石板に文字が出る、両親が石板の前にすすんで行ったので俺もついて行く。
(さぁカーナのステータスはどうなんだ?)
俺もわくわくしながらのぞきこむ。
称号:導かれる者、賢い者の卵
職業:狩人の娘
固有スキル:◆◆◆◆、◆◆◆◆◆◆
スキル:魔力操作、魔力鍛練、
魔法属性:火、水、風、土、光、闇、時空間
(・・・なんだこれ?石板バグってないか?めっちゃチートなんじゃねぇか?6属性なはずなのになんだ時空間ってどんな魔法だ?固有スキルもあるみたいだけどなんか隠れてるしなんだこれ?称号だって賢い者の卵ってこれは将来賢者ってことですか?)
たぶん俺の顔はひきつっていただろう、隣の両親も同じ顔をしていた。
「レーナ、レイリック、カーナのステータスのことは誰にも言うな、国にばれるとたぶん引き離される可能性が高いぞ。」
エリックがひきつった顔で言ってくる。
「そうね、これはまずいわね」
レーナ母さんも困った顔をしてうなずく。
「これって石板が間違ったりとかってないんだよね?てか称号って何?」
「「間違ったりってことはない(わ)」」
「称号というのは神に与えられたり王に与えられたりする事でステータスに刻まれるものだ。称号によっては特別な力をはっきする場合がある。」
「例え竜を倒したら竜殺しの称号が与えられて竜に対して攻撃が強くなったり防御が上がったりするのよ。」
「それよりもこれはいったいどういうことなのか帰って今後のことも含め話す必要があるな。」
エリックがレーナとうなずきあい神父さんのところにお礼をいいに行く。
そのすきに俺は石板に手をあてステータスを見る。
称号:導く者
職業:狩人の息子
固有スキル:
スキル:剣術、弓術、下級剣技、下級弓技、
武術鍛練、魔力操作、魔力鍛練、身体能力向上、
下級風魔法、
魔法属性:風
(うん、称号以外普通な感じだな。この称号導く者はつまりカーナを俺が導くってことだよな?カーナが導かれる者だったからな。)
「レイリック早く来い帰るぞ!」
エリックが呼んでいる。
「はぃ!すぐ行きます!」
走って行き神父さんに挨拶をし教会をあとにする。
家に帰りついてすぐ家族会議になった。
「とりあえず決まっていることは1つカーナのステータスについては絶対に他言無用だ。いいね?そしてカーナの魔法の練習はレーナが見る、もちろん基礎を完全にしたうえでの話だから当面魔法の発現はしないようにしなさい。でないとまたお兄ちゃんが大変な目に合うことになるかもしれないからね。」
エリックが珍しくカーナに対して真剣に話している。
「わかったの、でもお兄ちゃんの練習とか見に行ったりするのは許してもらいたいの。」
悲しそうな表情でカーナが言う。
「まぁそれくらいならいいだろう、人前では魔法は使わないって約束出来るなら自由に遊びに行くのはいいよ。」
「僕もちゃんと見てるから大丈夫だよ。」
「頼むぞレイリック。」
エリックの真剣な顔を見てうなずく。
「みんなでカーナを守りましょう!」
レーナが家族会議を締めくくる。
ちなみにカーナに前世の世界の話をそれとなくしてみたが、お兄ちゃんがおかしくなったと泣かれてしまった。
…転生じゃないようだ。