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異世界転生したらヒロインや仲間が最強すぎて、なぜか護られています!  作者: 緑青白桃漠
第6章 久しぶりの学園生活とカルベル王国の反乱部隊!
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#90 強硬派と穏健派

お待たせしました。第90話公開です。今回はレン君達が出ない、かなり短いお話です。


 レン達がカルベル王国に出発する三日前。


「大変です。また我が軍の一部が引き抜きされました」


 会議場に一人の衛兵が慌てた様子で、入って来た。


「何だと、まただと言うのか? 陛下、もはや強硬派が動くのも時間の問題ですぞ」

「父上、他に手段がないのですか?」


 会議所内では、部隊の指揮官や多くの役職の人が集まり、深刻な状況だった。


「やはり、強硬派のスパイが入り込んでいるのか?」

「おそらく、そうでしょうな。まぁ、彼奴の事なら当然かぁ」

「しかし、彼は寄生されています。少年には罪はありません」


 陛下の青年が少年を助けられないか、会議場にいる全員に問いかけている。


「我だって分かっておるわ。だが少年に寄生しているのは実の父親、何て酷な事をしてまで国を手に入れたいのか」


 陛下と強硬派のリーダーには、何か深い因縁が覗えていた。


「なら、少年ごと殺せと言うのですか、私は罪のない人は裁けません」

「殿下の気持ちは分かりますぞ、しかしやらなければ、この発展途中の国は終わってしまいますぞ」


 陛下の側近に言われると、青年は黙り込んでしまった。


「まぁ、落ち着け。殺すかは少年の侵食度にも寄るだろう。今は戦争が始まった場合の被害を、最小限にするのが最優先だろう? 指揮官部隊は、配置の確認、それ以外は市民の避難経路の確保に努めろ」

「はっ!」


 陛下の号令で一斉に、動き出していた。


「父上、この国は本当に大丈夫なのでしょうか?」


 青年が心配そうに、陛下に尋ねていた。


「大丈夫だよ。そんなに心配するな。お前は信じた道を進め。それと、私の友人に助けを借りているから、少しは戦力になるはずだ」

「それって確か、リズワール王国にある学園でしたっけ?」


 青年が椅子に座りながら、尋ねていた。


「あぁ、そうだよ。今は学園長をやっていて、あの学園は普通の学園と違うのだぞ?」

「はぁそうなのですか?」


 青年は首を傾げて、何が違うのか全く検討が付かなかった。


「あの学園の特徴はギルドがあることだ。毎年精鋭の生徒達が卒業する、優秀な学園なんだ。特に実践に特化しているから、多くのモンスターなどの経験があるから、こうした戦争にも活躍してくれるはずじゃ」


 陛下は友人の自慢をしていたが、青年はふと疑問を感じていた。


「ちょっと待って下さい父上。学生を戦争に送り込むのですか? それはあまりに危険ではないですか? 生徒の家族には許可を取っているんですか?」


 青年は語気を強めて言っていた。


「落ち着け、確かにお前の考えは正しい。じゃが、生徒達はモンスターに立ち向かっているのだぞ。普通なら死を恐れてモンスターに突っ込まないだろう」

「確かに言われて見れば‥‥‥」

「それに、生徒達だって危険を承知して学園に入っているのじゃぞ。常に死と隣り合わせなのは生徒達だって分かっているだろう。だから今は、戦力になれる人材が必要なのじゃ」


 陛下の説明を聞いて、青年は頷いていた。


「ですが、他に手助けしてくれる国はなかったのですか?」

「そうじゃな、本当ならそうしたいのじゃが、我が国はまだ発展途中で、各国々と同盟を組んでない事は知っているだろう」

「分かっていますけど、他に最善はないのかと‥‥‥」

「気持ちはわかる。じゃが今は私の友人に頼るしかないのじゃ、私の友人なら打開策を秘めた、人を派遣してくれるはずじゃ」

「分かりました父上。私も出来る範囲でやってみます」


 青年は陛下に挨拶すると、足早に会議場を後にしていた。


「はぁ、クラークスよ、お前の育てている生徒達が国を救ってくれと信じているぞ」


 陛下は早く増援が来る事を信じながら、仕事場に向かって歩き進めているのだった。


「何? 別の国から増援だと」


 とある建屋の中で、三人が話をしていた。


「はっ、陛下と殿下の会話を聞いた者からの報告です」

「ほぉーそれは間違いないな」

「えぇ、それはちゃんと我々が送り込んだ者の報告なので、間違いないかと」

「なら、いかが致しますか?」


 側近の男性が、リーダーと思われる人に尋ねていた。


「増援の足止めは、お前らに任せる。我はまだ完全に息子の体に馴染んでないからな」


 中年男性から淡い光が放つと、次第に少年の姿になり、お臍付近を確認するかのように、手で撫でていた。


「やはり、まだ抵抗しているのですか?」

「あぁ、だが確実に我の者になっている。魔力もちゃんと供給されるようになったからな。それに本来の姿で活動出来る時間も伸びつつある。今はこの姿で体力の回復に努めさせて貰うぞ! あぁちゃんと魔道具がお臍にある、フフフッ、アハハッ」


 寄生されている少年は、お臍に埋め込まれている魔道具を見ながら、不気味な笑みを見せていた。


「では、そろそろお休みになって、今は完全な体を手に入れて下さい」

「あぁすまない。お前には感謝するぞ、お前の提案がなかったら私の夢は(つい)出ていたからな」


 少年は部屋に入る前に、部下に感謝を言っていた。


「えぇ、事前に息子の病気を装い、彼のお臍付近に魔道具を埋め込み、貴方様が死んだら自動的に魂が移動するように、細工をして起きましたからね」

「そうだなアハハッ、お前には本当感謝するぞ、国を手にしたら、相当な地位をやろう」

「有難き幸せ。増援の方はこちらで始末しておきます」

「あぁ、頼んだぞ」


 寄生された少年が部屋の中に入った後、男性二人が部隊や増援の始末について話していた。


「それで部隊の方はどうなっている」

「えぇ、確実に部隊の人数は増えています。現在もスパイを送り込んで、部隊の引き抜きをして、こちらの戦力に迎え入れていますよ」

「ほぉ、なら部隊の戦力は引き継ぎ確保しろ。あの方の力が回復すれば、すぐに戦争を始める」

「はっ、そちらの方は、部隊指揮官に連絡しておきますよ」


 二人は不気味な笑みを零しながら、本題に入っていた。


「それで増援部隊の方は何か掴んでいるんだろう」


 中年男性は増援部隊の詳細な情報を、報告した青年から聞き出していた。


「えぇ、それなんですけど、どうやら国の増援部隊ではなくて、リズワール王国にある学園みたい何ですよね」


 青年の報告を聞いて、中年男性は驚いていた。


「ほぉ、学生を派遣とは、我々も舐められているな」

「ですが、リズワール王国の学園と言えば、ギルドが併用された有名な学園ですよ。精鋭の生徒達が送り込まれるかも知れません」


 中年男性は余裕な表情をしていたが、青年は危機感を表して、説得していた。


「私もあの学園の事は知っているが、確かにお前の意見は一律あるな。折角我々が有利な所を、学園の精鋭部隊で来られて、野望が終えたら意味がないからな」

「えぇ、まさしくその通りです」

「なら、増援部隊の始末はお前に一任する。抜かりのないようにな」

「えぇ、任せて下さい。私の信頼する部下達に行かせますよ」

「そうか、もう時期だな」

「えぇ、そうですね、我々の新しい国が」


 二人は不気味な笑みを見せながら、増援部隊を始末する計画を練っていた。だがこの二人の計画がこれから起こる、壮絶なバトルや危機に繋がっているなど、レン達や先生達はまだ気付く事はなかった。

 

次回更新は明日です。温かくお待ち下さい。

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