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異世界転生したらヒロインや仲間が最強すぎて、なぜか護られています!  作者: 緑青白桃漠
第6章 久しぶりの学園生活とカルベル王国の反乱部隊!
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#89 三人の特訓!

お待たせしました。第89話公開です。クライブが新たな仲間に加えて、何やら出発前に確認するみたいですね(*´∀`*)ノ

 五人は双頭の黒竜に乗って、ファングの秘密基地に移動していた。


「なぁ、本当にやるのか?」

「さっさとやって、体がまだ馴染んでないから、ここでやるの」


 レンがフォレストになるように強要していた。


「ファングさん、抵抗してますね」

「多分、暴走が恐いんでしょう」

「レンお兄ちゃん、切れるかも」


 三人は遠くから、二人の様子を見ていた。


「リオスとテオ君は暫く休んで良いわよ」

〈なら俺と兄さんは日陰で休むよ〉

〈双頭の黒竜の姿で大丈夫だよね?〉

「まぁ、茂みもあるし、大丈夫でしょう」

〈分かった、なるべく小さく丸まっているから安心してよ〉

「何かますます、私が言わなくても賢いわ」


 リオスとテオは茂みが多い場所を見つけると、体を丸くして気持ちよさそうに昼寝を始めていた。


「暫く、二人の言い合いは続きそうね」


 アリスは長引く二人に呆れていた。その理由は今から朝に戻る。


「えっ、俺は遠慮するぜ。まだ体が変なんだよ。暴走したらどうするんだ」


 一夜が明けたが、ファングはまだクライブの肉体が完全に馴染んでいない様子だった。


「だから、特訓するんでしょう。僕もついているから安心してよ。それに明日、カルベル王国に出発するんだよ。不安定な状態だとファングを連れて行けないし、精霊の姿も禁止なんだよ。ファングは一人で留守番するの?」

「うっ、それはそうなんだけど、暴走して、レンを襲うのが恐くて」


 ファングは、自分の力に怯えていた。


「情けないわ。ならファングは留守番って事で良いかしら」

「それだけは勘弁してよ。レンに何かあったらどうするんだ」

「なら、特訓しましょう()()()()

「分かったよやれば良いんだろう」

「なら午後からファングの秘密基地で特訓ね。午前中は明日の整理しないと行けないから」

「はいはい、分かったぜ。はぁ不安だぜ」


 そして今に至り、二人は言い争っていた。


「ファング、腹をくくって早くなってよ。本当に置いて行くよ」

「分かっているけど‥‥‥あぁ分かったよなれば良いんだろう?」


 ファングは理由を付けて、逃げようとしたがレンの顔色が悪くなっていたので、ファングは諦めるしかなかった。


「さっさとなれば良いんだよ。体が悪かったらここで整えよう」

「そうだな。レン、しっかり俺が暴走しないか見てくれよな」


 ファングがレンに色々言うと、フォレストの姿に変わっていた。


「ドックン、ドックン、ドックン」


 三つの鼓動を打ちながら巨大な目が三つ、レンを見つめていた。


「ファング、聞こえる?」

「ドックン、ドックン、ドックン」


 レンはファングに声をかけたが、フォレストの鼓動しか聞こえなかった。


 うーん、巨大な目が三つ反応しているから、ファング、カイト、クライブは僕の姿を捉えている感じがするけど、肉体が不安定なのかな? それに普段なら鼓動が聞こえないのに表側まで聞こえているし?


 レンは手を動かすと、フォレストの目が動いていたので、レンを認識しているのが分かった。


 さてとりあえず、精霊印を使って確かめるかな。


 レンはフォレストに向かっていくつか命令していた。


「フォレスト、触手を出して、それから‥‥‥」


 レンは一通り確かめた後、考えていた。


 とりあえず命令はちゃんと従っているけど、何でずっと無言なの、ファング?


 レンはファングの声が聞きたかったが、ずっとフォレストの細胞の音しか響いていなかった。


「レン君、フォレストは大丈夫なの?」


 遠くで見ていたアリスが、心配そうに声を掛けていた。


「うん、大丈夫‥‥‥アリスそれ以上来ないで」


 アリスが近づこうとした時、フォレストの目はアリスに焦点を合わせて、触手を出そうとしていた。


「えっ、レン君が言うのなら、私達は遠くで見ているわね」


 レン君の焦った表情を見て、アリスはレンから離れていた。


 まさか僕以外、全て敵だと認識しているのか?


 アリスが一定距離離れると、フォレストは再びレンだけを見ていた。


 どうしようこのままだと、僕ここから動けないんだけど、何か良い方法ないかな?


 レンは腕を組んで悩んでいると、一つだけ試したい事を思いついた。


「あっ、そうだ。確か契約印は契約者が解除出来るんだっけ、やってみるかな?」


 レンは独り言をボソリと言いながら、手を翳すとフォレストから声が聞こえてきた。


「レ‥‥‥ン‥‥‥契約を解除‥‥‥しないで‥‥‥頼む‥‥‥レン‥‥‥」

「ファング、大丈夫なの?」


 ファングの声が擦れるように聞こえていた。


「ごめん‥‥‥レン‥‥‥体が言うこと効かなくて‥‥‥アリス達を近づかせないで」

「大丈夫だよ。アリス達は遠くで待機しているから」

「そうか‥‥‥すまない、クライブの肉体が‥‥‥まだ反発して‥‥‥うっ、あぁー」

「ファング!」


 ファングの叫びと共に、フォレストの体から触手が吹き出していた。


 フォレスト苦しいんだね。大丈夫だよ僕が傍にいるから。


 レンは、暴走するフォレストに近づき触れていた。


「レン君、フォレスト大丈夫なの?」


 フォレストの触手は、レンを包み込んでいたが、アリスは悲鳴をあげることはなかった。


「大丈夫だよ。フォレストは頑張って三つの肉体を一つにしているんだよ。これは混ざる時起きる現象だよ。僕が入ればアリス達に攻撃しないから、そこから動かないで」

「分かったわ、レン君を信じる」


 アリス達は遠くから、レンとフォレストを見守るしかなかった。それから暫く時間が経つと、触手も引き、フォレストの暴走は止まっていた。


 とりあえず暴走は収まったみたいだけど、心配だな。


 フォレストの鼓動は一定を保ちながら響いていたが、心配したレンはフォレストに触れていた。


「ファング、そろそろ声を聞かせてよ」


 レンが今にも泣きそうな声をすると、聞き慣れた声が響いてきた。


「レン、頼むからそんな顔するな。さっきは悪かったなレン」


 フォレストは触手を伸ばして、レンの頭を撫でていた。


「ごめん、ついファングが消えると思って」

「頼むから、その顔だけは見せるな。お前がそんな顔されると俺がアクト達に怒られるんだよ。頼むからそんな顔しないでレン」


 フォレストはレンを包み込むと、暫く周囲に見られないように隠していた。


「フォレスト、何をしたの?」

「フォレストの体を一部変化させて、お前を包み込んだだけだよ。ここなら好きなだけ泣けよレン、俺が全て受け止めやるから」

「ファング、ごめん」

「良いんだよ、悪いのは全て俺何だから。心配かけて悪かったな」


 レンは暫く、フォレストの作り出した空間で泣き崩れていた。


「レン君、大丈夫なの? 一時的にレン君が包み込まれて心配したんだからね」


 フォレストの中から、レンが現れるとアリス達が心配していた。


「大丈夫だよ。ほらフォレストもピンピンしているよ」


 レンが指さすとフォレストは体を呻らせて、アリス達に見せていた。


「あぁ、もう大丈夫だぜ。一時的にお前らを襲うとしたが、レンがちゃんと見てくれたから助かったぜ」

「なら、良いんだけど、気持ち悪いからその動作やめてくれる」

「お前、レンが心配してくれるのに、お前はあまり心配しないんだな」


 フォレストの無事が分かると、アリスはいつもの態度で接していた。


「だってレン君が入れば大丈夫でしょう。私はレン君が心配なの」

「何か扱い酷くないか、レンも何か言ってくれ」


 レンは苦笑いで誤魔化すしかなかった。


「アハハッ、まぁ良いんじゃない?」

「何が良いんだよレン」


 ファングは納得してない様子だった。


「さて、フォレストの体も完全になったから特訓しようか」

「レン、話を逸らすな」

「うるさいわね。私達はフォレストの特訓の為に来ているのよ。出来なかったらフォレストはここで一人で特訓しなさい」

「うっ、本当お前ら、俺の扱い酷くないか?」


 ファングは落ち込んでいたが、とりあえず特訓を始めようとしていた。


「レン師匠、具体的に何の特訓するんですか?」


 特訓の内容を聞かされてないので、レイス達が首を傾げていた。


「そうだぜレン、フォレストの体が完全になるようにするために、ここに連れて来たんじゃないのか? もう完全にクライブの力を操れるぜ」


 ファングはレンの特訓内容に不安になり、直接聞いていた。


「確かに、フォレストの体を完全にするために来たけど、もう一つあるよね。ファング、カイト、クライブは三位一体の状態何だから、三人それぞれの役割があるよね。息がバラバラだったら使い物にならないでしょう」


 レンの説明を聞いて、アリスが頷いていた。


「確かに、レン君の説明も一理あるわね。フォレストになっても体がガクガクじゃあ意味ないし、三人それぞれの特徴もあるしね」

「そうですね、場所によってはファングさんの力が使えない所もありますから、三人の役割を確認した方が良いですね」

「僕も三人の意見に賛成だよ」


 四人が色々とフォレストの事を考えていた。


「お前ら、変な命令考えて無いだろうな」


 ファングは不安でいっぱいだった。


「僕達がそんな事しないでしょう」

「確かに、レン、レイス、レオスはしないけど、アリスは絶対にやるぜ」

「何ですって!」


 ファングに挑発されて、アリスが怒っていた。


「やっぱり図星だろう」

「レン君、フォレストに命令して、黙らせて」

「まぁまぁ落ち着いて、ファングもそんな事を言わないの。アリスだって心配しているんだからね」

「うっ、レンが言うのなら分かったよ」


 レンに注意されて、ファングは少し落ち込んでいた。


「さて、カイトに会うのは久しぶりだけど、一番はクライブかな? カイト、クライブ、君達も表に出てきな」


 レンが言うと、カイトとクライブの声が聞こえてきた。


「レン君、久しぶり。フォレストの姿で出てきたのいつ振りかな?」 


 カイトは久しぶりに表側に出られて、ちょっと浮かれていた。


「カイト、勝手に変な動きするな」

「あっごめんファング、僕達連動しているんだっけ、久しぶりだからつい浮かれちゃった」

「レン、昨日以来だな。昨日は本当に悪かった。許してくれと言える立場じゃないけど、俺フォレストで一からやり直したいんだ」


 ファングがカイトを叱っている傍で、クライブはレンに謝っていた。


「許すか‥‥‥それは僕じゃなくてファングだよね。僕に言われても困るんだけど」


 一番の被害者はファングなので、ファングの許しを貰いなと、クライブに伝えた。


「確かにそうだけど、契約者のお前に迷惑を掛けたから」


 クライブは弱々しい声で、時々息を切らしていた。


「レン、許してやれよ。こいつ意外とメンタル弱いんだよ。俺は許さないけどな。クライブはきっちりフォレストとして生きて貰うぜ。まぁクライブはもうファングだけどな」

「ファング、本当に悪かったな。こうして生きているのはお前のおかげだよ。俺はクライブ・ハンスだけど、ファング・ドレイクでもあるんだな」


 クライブはカイト同様に生きる決意をしていた。


「そうだぜクライブ、お前はカイト同様に俺何だから、しっかりレンを護れよ。だからレン許してやれよ」

「はぁ仕方ない。はい許したよ」


 レンは軽く受け流していた。


「レン、適当に言っただろう。まぁ良いけど、クライブこれで良いだろう」

「そうだな。何かお前ら見ていると、息があっているのが分かるよ。本当にレンはお前を見ているんだな」


 クライブはレンとファングの様子を見て、気づいた事を言っていた。


「当たり前だクライブ。レン以上に俺を見てくれる奴はいないぜ」

「確かにそうだな。ファング死んでもレンを護るんだろう?」

「あぁ、そうだよ。その為にもお前の力が必要なんだよ」

「ふっ、好きに使えよファング。何かお前らといると確かに退屈しないぜ。フォレストの中は退屈だけど、色々な所に連れてってくれてワクワク感が止まらないぜ」 

「クライブ、これからよろしくな」

「それはこっちの台詞だ。ファング、本当に悪かったな、お前を吸収しようとして」


 ファングとクライブが和解すると、新たな友情が芽生えていた。


 ファングとクライブ、和解出来たみたいだね。まぁ、余計な力が増えたけど仕方ないか。


 これ以上力は要らなかったが、ファングとクライブが和解出来ただけでも、よかったと思っていた。


「それでレン、お前の事マスターって呼んで良いか?」

「別に良いけど、呼び方の区別する必要あるの? 声は別々何だから、レオスの兄が出てきたらややこしいよ」


 レオスの兄もマスターと呼ぶので、仮に同時に言われたら、どっちが言ったのか分からなくなるので、あまりオススメ出来なかった。


「その時は呼び方変えるから良いだろう。俺はマスターと呼びたいんだよ。俺が新しく生まれ変わった証拠としてな」

「はぁ分かったから、好きにすれば」

「うん、ありがとうマスター」


 クライブが喜んでいる中、レンは頭を押さえていた。


「それじゃ、特訓初めて、僕達は小屋で休んでいるから」


 レンはアリス達を連れて、小屋に向かおうとしていた。


「レン、ちょっと待って、特訓の内容聞いてないし、何でお前ら小屋で休むんだ」

「そうだよ。僕達だけ特訓して、レン君達だけ休むのはずるい」

「マスター、僕達の特訓を見るのが契約者の役割じゃないの?」


 三人は納得しない様子で、レンを足止めしていた。


「ファング、触手を放してくれるかな? 僕は言ったよね、三人の役割を確かめなって、もしかして頭を使えない分けないよね。()()()()()()()()()()()?」

「はい、すみませんでした!!!」


 三人はレンの怒りを交うと、喧嘩を始めていた。


「お前のせいだクライブ、レンの役割ってなんだよ」

「ファングだってマスターを触手で引き留めたでしょう」

「二人とも喧嘩はやめて」

「何だとカイト、お前だってレンと居たいだろう」

「居たいけど、今は喧嘩している場合じゃないでしょう」

「うるせえ、お前は元王子みたいだけど、ならちゃんと頭を働かせろ」

「何だとクライブ、もう一回言ってみろ」


 三人が喧嘩する様子を、冷たい目で見ている人がいた。


 はぁ、ファング達は何をやっているんだ。あれで精霊なのが恥ずかしい。


 レンは暫く見ると、ファング達に言った。


「喧嘩する暇があるのなら特訓したら、本当に特訓が終わらなかったら、ファングの秘密基地にフォレストを置いて行くよ」


 レンが言うと、フォレストは慌てた様子で喧嘩をやめて、特訓を始めていた。


「相変わらず大変ねぇ」

「まぁ、あれくらい自分達で考えてくれないと困るよ」

「確かにそうですね、ファングさんはレン師匠に頼り過ぎですからね」

「レオス、リオスとテオを起こして、おやつにしようか」

「やったおやつ。今黒竜を起こしてくる」

「フォレスト、僕達はおやつにするからしっかり特訓してよ。ちゃんと残して置くから」

「分かったよレン、ちゃんと残してくれよな」


 フォレストに伝えると、レン達はファングの小屋に向かっていた。


「はぁ、さっさとやるぞ」

「そうだね。早くおやつ食べたい」

「俺だってお腹空いたぜ。モンスター食べたい」

「クライブ、レンに見つかったら殺されるよ」

「冗談だよ。お前らの記憶を見れば分かるよ。見つかったら本当に怖いんだな」


 記憶は共有されているので、ファングとカイトが過去に行った事を見ているので、レンの恐ろしさを理解していた。


「冗談でもやめろよ。俺達は後が無いんだから」

「そうだよ。契約解除されないのが不思議だよ」

「悪かったって、でもレンはお前らと契約解除しないと思うぜ」


 クライブはレンの考えを見抜いていた。


「クライブ分かった口を言うなよ。俺だって分かっているけど、怖いんだよ。レンの考えていることが全く読めないんだよ。それに比べて俺の事はすぐ見抜かれるし」

「それだけお前を見ている証拠だろう。違うのかファング?」


 ファングは顔に出やすいので、すぐにレンにバレていた。


「まぁ、そうだけど、やっぱりレンには敵わないぜ」

「確かに敵に回したくないな」

「そうだね。レン君は意外と細かい所見ているから、本当に油断出来ないよ」


 三人はレンの恐怖が焼き付けられているので、フォレストの姿の時は慎重に行動していた。


「それよりもレンの事を考えていたら、先に進まないぜ」

「そうだね。僕達の役割を決めないとまたレン君に怒られるよ」

「確かに、マスターに怒られるのは嫌だぜ。さっさとやろうぜ。お前らの能力、俺に見せろよ」

「お前もなクライブ」

「あぁ、俺の力見せてやるぜ」


 クライブはやる気満々だったので、カイトは不安だった。


「見せるのは良いけど、力を抑えてよ。余計な事して、レン君に怒られたくないよ」

「そんな事するか! マスターに怒られたくないぜ。あの笑顔本当怖いんだよ」

「分かるぜクライブ、レンは滅多に切れた顔しないから、何を考えているか分からないんだよ」

「確かに、俺が謝っていた時も、あまり顔色変えないから本当怖いぜ」

「はいはいレン君の事を言っていると、いつか見つかるよ。さっさと特訓しよう」

「それもそうだな、早くおやつにしたいし」


 フォレストは、レンがいる小屋の近くで特訓を始めていた。


「やっと特訓を始めたみたいね」


 小屋の外から音が響いているので、フォレストが特訓を始めたのが分かった。


「今まで何をしていたんでしょうね?」

「アハハッ、さぁ喧嘩でもしていたんでしょう」


 フォレストがようやく特訓を始めたので、レンはホッとしていた。


「レン君、フォレストの特訓させているけど、本音はクライブが二人に馴染むように仕組んだのでしょう」


 アリスはレンの意図に気付いていた。


「まぁ、それも一理あるけど、一番は三人の息が合うかだよ。息が合わなかったら、場所ごとに使えないでしょう」


 四人はお菓子を食べながら、話していた。


「確かに、折角万能なのに、三人の意見がバラバラで動けなかったら意味がありませんからね」

「まぁ、あの三人だとタイプが確かに異なるわね。特にカイトは一番浮きそうだわ。バカ二人に挟まれて大変そう」


 アリスが勝ってに、クライブをバカだと位置付けていた。


「いやクライブがバカか知らないけど、カイトが一番大変かな。クライブの指導をしないと行けないし」

「確かに、大変そうだわ。リオス、テオ、お菓子たくさんあるから遠慮しなくて大丈夫よ。ファングの分は残してあるから」


 リオスとテオが、お菓子を食べるのをやめていたので、アリスが説明していた。


〈えっそうなの、ならたくさん食べるぜ〉

〈ファングの分を取ってあるなら大丈夫だね。なら美味しく頂くよ〉


 リオスとテオは、ファングの分を残していたみたいで、アリスからファングの分が取っといてあると分かると、再びお菓子を食べ始めていた。


「本当、いつ見ても賢いよね」 

「そうだね、何かますます知識を持ちそうで怖いよ」

「それ以前に、最強の黒竜に近づいているわね」

「アハハッ、そうかも知れないけど、二人には悪気はないよ。僕の為に頑張っているんだから」


 四人はリオスとテオを見ながら、話を進めていた。それからおやつの時間が終わり、四人はフォレストの様子を見に行こうとしていた。


「リオスとテオは、ここで休んで良いからね」

〈うん、言葉に甘えてここで休むよ〉

〈レン、何かあったらすぐ呼べよ〉


 リオスとテオは、小屋の中で二人寄り添いながら、待機する事にしていた。


「さて、フォレスト特訓は終わったの?」


 フォレストはその場に漂いながら、待機しているので、レンは三人に聞いていた。


「あぁ終わったぜ見ろよ。これが三人の特訓の成果だ」


 フォレストは体を動かしたり、能力の一部を見せていた。


「へぇ、何か滑らかになったね。だけど気持ち悪い」

「レン、姿は変わらないんだから当たり前だろう」

「そうだね、だけど動きが軽やかだよ」

「当たり前だよレン君、全てファングに一任したから」

「俺とカイトはファングが動かしている神経を通して、サポートしているんだぜ。まぁ、体の構造など色々試行錯誤したけど、完璧になっただろう」


 三人は頭を使って、フォレストの最適化をしていた。


「へぇ、やれば出来るじゃない」

「当たり前だろう。カイトがいるんだから、カイトにメリットとデメリットを洗い出して、メリットだけを取り入れた最強のフォレストになってやったぜ」


 ファングが自慢していたが、レンは信用してなかった。


「へぇ、メリットだけねぇ。取り入れても三人の意識がバラバラになったら意味ないと思うし、やるのはファングだから性格が出ると思うんだけど」


 レンにボロクソ言われて、ファングは落ち込んでいた。


「レン、分かっているよ。いくらメリットだけ組み込んでも、扱えなかったら意味ないよな」

「ファング、そんな弱音吐くなよ。何の為に体を作り替えたりしたんだよ」

「そうだよ。レン君は厳しい事を言っているけど、レン君は僕達を心配しているんだよ」


 カイトとクライブがファングを慰めていた。


「そうなのかレン?」

「カイト、余計な事を言わないの、少しはファングに考えさせなよ」

「ごめんレン君、このままだとファングがダメになるから」

「レン、悪い俺がバカで」

「はいはい分かったから、落ち込まない。アリス、あれを頂戴」


 レンはアリスからお菓子を渡されると、フォレストに向かって投げつけていた。


「ウメー」

「うーん生き返る」

「何だよこのお菓子は」


 フォレストはレンが投げるお菓子を、頬張るとアリスのお菓子に酔っていた。


「相変わらず、ブラックホールのように吸い込まれるわね。どう言う作りなのか気になるわ」

「アリス、三人に可哀想だよ。フォレスト、美味しかった?」

「当たり前だ。はぁ力が回復するぜ」

「僕、もう幸せ」

「俺もだせ」


 フォレストは凄く、嬉しそうな声が響いていた。


「それじゃ、フォレスト、最後に確認しようか」

「あぁあれだな。良いぜ」


 レンはフォレストに命令して、精霊依を始めていた。


「へぇ、意外と前の姿と変わらないんだな」

「なるべく、前の姿に変化させてあるから違和感ないだろう」


 レンは体を確認しながら、ファングと話していた。


「スゲーこれが精霊依なんだ。何か気持ち良すぎておかしくなりそうだぜ」


 クライブは初めて精霊依になった姿に驚きながら、レンの魔力に酔っている様子だった。


「クライブ、凄いでしょう。これがレン君と精霊依になった姿何だよ」

「そうだぜクライブ、俺らは体をサポートするしか出来ないけど、ちゃんレンと同じ感覚を共有しているだろう」

「そうだな。何かこのままでも良いと思うぜ、こんな気持ち良すぎる魔力は初めてだよ」

「はぁ、何か精霊依になると、毎回同じ事を皆言うよね」


 精霊依になると精霊達は同じ事を言うので、何が良いのかレンは全く理解出来なかった。それから一通り動作などを確認すると、元に戻っていた。


「ふぅ、とりあえず問題なかったね」

「あぁそうだな。二人ともありがとな。中でゆっくり休めよ」


 ファングの姿に戻ると、お腹を撫でて二人に話しかけていた。


「さて、明日はいよいよ出発だから、今日は早めに帰ろうか。ファングは風魔法をさっさと覚えてね。いつまでサボっているの?」


 レンはふと思い出した事を、ファングに言うと声を詰まらせていた。


「うっ、それは言わないでよレン。別にサボっていたんじゃないんだからな」

「そうなの? なら僕に見せてよ」

「うっ、それは‥‥‥」


 レンに言われると何故か、ファングは声を詰まらせているので、見かねたアリスが声を掛けていた。


「はいはい、ならファングは特訓しなさい。私も付き合うわよ。レオスとレイスも軽くやって行くでしょう?」

「そうですね、軽く確認したいですね」

「僕も確認したい」

「なら、皆で練習しようか、ファングは僕が見るよ。ファング、暫くフォレストに慣れないんだから、剣の練習と合わせて魔法も見るよ」

「うん、分かったぜレン。好きなだけ、俺を扱いてくれよ」


 それから五人は夕方まで各自協力しながら、自主練習をやっているのだった。

次回更新は未定です。温かくお待ち下さいm(_ _)m

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