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異世界転生したらヒロインや仲間が最強すぎて、なぜか護られています!  作者: 緑青白桃漠
第6章 久しぶりの学園生活とカルベル王国の反乱部隊!
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#86 正体がばれた二人と学園からの依頼?

お待たせしました。第86話公開です。午後の授業を受けた後、何やらレン君達がまた何かに巻き込またみたいですね(。>ω<。)


 お昼をレンの部屋で過ごした五人は、午後の授業の為、再び部屋を出ようとしていた。


「それじゃ、リオス、テオ、僕達は午後の授業に行って来るから、また留守番お願いね」

〈分かったよレン、寂しいけど、レンのベッドで待っているよ〉

「お前ら、またレンのベッドで寝るのか?」


 リオスとテオはレンの寝ているベッドに向かっているので、ファングが呆れながら見ていた。


〈良いだろう別に、レンの匂いがあるところが落ち着くんだよ〉

「ファング、リオスとテオ君はまだ子供なのよ」

「いや、どう見ても子供じゃないだろう」


 リオスは青年でテオは少年の姿をしているので、ファングが否定していた。


「人間の姿だと子供じゃないけど、ドラゴンになると子供でしょう。それにリオスとテオ君は強い所を見せないと、生きて行けない環境で育ったから仕方ないわよ。弱い者は強い者に喰われるからね」

「確かにそうだけど、何かこの二人を見ていると気に食わないんだよな。ずっとレンを気に掛けているし」


 リオスとテオにレンを取られる事が、ファングに取って一番気に食わなかった。


「仕方ないわよ。リオスとテオ君は、レン君の召喚獣何だから、それにレン君を親だと認識しているからね」

「それ言われると、何も言い返せないんだよな。リオス、テオ、絶対に問題を起こすなよ」

〈はぁ、俺と兄さんがそんなヘマするかよ。ファングは馬鹿なの?〉


 テオが挑発している。


「何だと、表に出やがれテオ!」

「ちょっとファング、喧嘩はやめて」

「そうよ、召喚獣相手にみっともないわよ」

「うるさい、彼奴には一発殴らないと気が済まないぜ」


 ファングの感情が爆発しそうなので、レンはファングに耳打ちして命令していた。


「それじゃ、リオス、テオ、僕達は行くね」

〈うん、気をつけてね〉

「ファング、行くよ」

「‥‥‥分かった。今行くよレン」


 ファングはレンの声に反応して、移動を始めていた。


「ファングがレン君の命令を、素直に受け入れているわ」

「仕方ないですよ、ファングはレン師匠の命令なら何でも聞きますから」

「ファングお兄ちゃんは、レンお兄ちゃんに操られるなら簡単に受け入れるダメ精霊だよ」


 三人はファングを罵倒していたが、ファングには聞こえてなかった。


 何か可哀想だな。命令が解けたら、確実にキレるな。とりあえず教室に着くまで、命令継続にしておくかな?


 ファングが騒ぎそうなので、レンは契約を発動させて、小さな声で契約印に命令していた。それから五人は学生寮から再び、学園の廊下に移動していた。


「それじゃ、また放課後で」

「待ってレン君」


 アリスが声を掛けていた。


「何かなアリス?」

「私も行くわ」

「いや、ダメだよね。レオス、またよろしく」


 レオスに頼むと、呆れた様子で魔法を使っていた。


「イヤー、レン君と一緒に教室行くの」

「アリスお姉ちゃんうるさい、行くよ」

「レオス頑張ってね」


 アリスの声が廊下に響いていた。


「相変わらず、騒がしい人ですね。あれでも首席なのが信じられませんけど」

「アハハッ、あれでも知識は豊富だから学年首席なのは間違いないね」


 アリスは入学式で演説するとき、先生から学年首席で入学した事を紹介されていた。


「それじゃ、俺様、授業に行きますね。レン師匠」

「うん、頑張ってね。行くよファング」

「‥‥‥あぁ、今行くよレン」


 レイスに挨拶を交わしてから、レンとファングは教室に向かっていた。


「それじゃ、ファング、僕の隣に座りな」


 レンに言われると、ファングは隣に座り正気を取り戻していた。


「レン。お前、契約印で命令しただろう」


 正気を取り戻した途端、レンに食い掛かっていた。


「うぁ、正気取り戻したらこれだよ。命令したけど何か問題でもあるの?」

「別に問題ないけど‥‥‥」


 レンの威圧感で、ファングが一瞬怯んでいた。


「なら大丈夫だね」

「大丈夫じゃないよ。彼奴ら、俺が操られているからって、言いたい放題だよな」


 ファングは操られていても、アリス達の会話を聞き逃してなかった。


「やっぱり、聞いていたんだ」

「当たり前だ」

「なら僕が契約印を使った理由分かるよね?」

「分かるけど、納得いかないよレン」


 ファングは自覚があるみたいだった。


「ファング、いちいちアリス達にムカッとしないの? 精霊なら我慢してよ」


 レンは小さな声で、ファングに耳打ちしていた。


「分かっているけど、彼奴らは絶対に、俺が怒るように仕向けているぜ」

「アハハッ、それは否定出来ないかも」


 何となく心当たりがあるので、否定出来なかった。


「彼奴ら、今度ギャフンと言ってやるぜ。ところで午後の授業は何だっけ?」

「ファング、予定表を見たのにもう忘れたの? 座学だよ」

「ウッエ、マジかよ。座学は苦手だぜ」


 二人が話していると、先生がやって来て午後の授業が始まっていた。


「それじゃ、午後の授業を始める。教科書を見ながら説明するからな」


 午後の授業が始まり、生徒達はメモを取りながら授業を受けていた。


「それじゃ、今日の授業はこれまで、次の座学の時に小テストをやるから、しっかり覚えてこいよ。赤点はキツい補習があるから気を付けろよ。それとレン・フォード、ファング・ドレイトは三十分後、生徒指導室に来るように、以上解散して良いぞ」


 先生の説明が終わると一斉に、生徒達が教室を出て行った。


「はぁ、やっと授業が終わったぜ」

「終わったって、ファングはほとんど聞いて無いよね。ずっと僕をチラ見して、気が引けるよ」

「良いだろう、座学は苦手何だから、それに聞いた内容はカイトがメモっているから大丈夫だぜ」


 ファングはカイトになすり付けていた。


「はぁ、カイトは良く断らないね」

「うるせぇ、カイトに怒られたよ。俺がバカだって分かっているから、仕方なくやってくれてるんだよ。補習されたら、レンの傍にいられないでしょうと言われたよ」


 ファングはカイトに色々言われて、若干落ち込んでいた。


「あぁ、そう言う事何だね。カイトにバカの烙印押されたんだ」

「レン、それ以上バカと言わないで」


 レンに追い打ちを掛けられ、ファングは更に落ち込んでいた。


「それよりも、僕とファングは何かやった?」


 レンは生徒指導室に呼ばれた事を、ファングに聞いていた。


「レン、急に話を変えないで、俺がバカに思われるだろう」

「えっ、事実だよね」

「うっ!」


 ファングは立ち直れないほど、ショックを受けていた。


「ファング大丈夫? レン君に言われたら、終わりだね。受け入れるしかないよ。座学は僕が何とかするから安心しな」


 カイトは落ち込んでいるファングを慰めていた。


「カイト、全然フォローになってないよ。座学をやってくれるのは嬉しいけど、レンにバカだと思われたよ」

「ファング、事実だから仕方ないよ。じゃあ何でメモを取らないの? 僕は色々勉強しているから、知識は豊富だよね」

「そうだけど、カイトは俺何だから、ちゃんとフォローしてよ」

「それは無理、外見は変えられるけど、中身は無理だね」


 カイトにキッパリ言われて、ファングは立ち直れなかった。


「ファング大丈夫? もしかしてカイトに何か言われた?」

「あぁボロクソ言われたよ。カイトは俺なのに何でフォローしないんだよ」

「いや、外見は変えられるけど、中身は無理でしょう」

「レン、お前もカイトと同じ事を言うのか」


 ファングは今にも泣きそうな表情を見せていた。


「とりあえずファング、生徒指導室に行くよ」

「そうだな。俺達、何かやったのかな?」


 レンとファングは、生徒指導室に向かって移動を始めていた。


「それは分からないけど、もしかしてリオスとテオが何かやらかしたのかな?」

「それはないと思うぜ。あの二人がレンの約束を破るのは考えにくいし」

「それなら良いんだけど」


 レンとファングは色々、思い当たりそうな事を思い出しながら、生徒指導室に来ていた。


「何か緊張するぜ」

「そうだね何を言われるんだろう」


 生徒指導室の前で一旦立ち止まってから、扉をノックして中に入っていった。


「失礼します」

「レン君!」

「レン師匠!」

「レンお兄ちゃん」

「えっ、何でお前らも呼ばれているんだ?」


 生徒指導室に入るとアリス、レオス、レイスがいた。


「私だって分からないわよ。急に私とレオス君が呼び出されたのよ」

「俺様もですよ、しかも俺様しか呼ばれないから不安で中に入ると、アリスとレオスさんが居てビックリしました」


 三人も呼ばれた理由に心当たりがなかった。


「ヨォ、全員揃ったみたいだな」

「ベリット先生、僕達に何か用ですか?」

「そうだぜ、お前らに話があるんだ。話す前に先生達が揃ってないみたいだな」

「えっ、他にも先生達が来るんですか?」

「あぁそうだぞ」


 ベリット先生に言われて五人は、不安な表情を見せていた。


「悪い待たせたな。ガハハハ」


 遅れて青年が一人、生徒指導室に入って来た。


「えっ、ファリブル先生」

「よう、レイス。そんな驚いた顔をして、どうした?」


 レイスに声を掛けていると、女性が一人また生徒指導室に入って来た。


「ファリブル先生、大声を出さないで下さい」

「えっ、クラック先生」


 アリスとレイスの担任がやって来たので、二人は驚いていた。


「フォフォフォ、皆揃ったみたいだな」

「うそ、学園長まで」


 学園長まで生徒指導室に来たので五人は、ただ事じゃないと悟っていた。


「あの私達を呼び出して、何かあったんですか?」


 アリスが恐る恐る、先生達に聞いていた。


「フォフォフォ、募る話しをする前に、お前らさんは、あのクラーケンを倒したそうじゃな」

「はぁ、それには色々事情がありまして」


 クラーケンの事を知られ、先生達に怒られると思い謝っていた。


「レン・フォワード、別に怒っているわけではないぞ。お前らを称賛しているんだから」

「フォフォフォ、確かに担任が見ていたら、謝りたくなるわな。じゃが、お前さん達は、レイン王国を救った英雄何だぞ」

「学園長が言っているんだから、自分を誇りに思いな」


 先生達に褒められて、五人が照れていた。


「それで、ファング・ドレイト、レイス・クライド、お前さんからは不思議な魔力を感じるわ」

「えっ、何の事ですか?」

「そうですよ。ファングと俺様は普通ですよ」


 学園長に違和感を持たれて、ファングとレイスが動揺している。


「レン・フォワード、お前さんは黒竜や精霊を従えているみたいだな」

「えっ、そうですけど?」

「なら、この二人の正体知っているはずだ。生徒指導室なら他の生徒達には聞こえないし、私達だけの秘密にするから、話してくれないか? でないと、クラーケンを倒したつじつまが合わないんだよ」


 学園長やベリット先生に言われて、五人が小さな円を作ってコソコソ話し始めていた。


「ファングのせいでばれたでしょう?」


 アリスはファングに怒っていた。


「何で俺なんだよ」

「ファングがクラーケンを丸呑みするからですよね」


 レイスは、ファングが精霊の力を使った事を指摘していた。


「レイスだって、その耳はないぜ。どう見ても人間の耳じゃないし」


 レイスの耳は魔神族の耳だったので、ファングにばれるだろうと言われた。


「これは二人の象徴を残すためですよ。レン師匠にも言われましたからね。いつかバレるのは分かっていましたけど、まさかクラーケンでバレるなんて」


 レイスは自分の正体がバレる自覚はあったが、まさかクラーケンの一件でバレるなんて、想定外だった。


「レイス、何で俺を見るんだよ」

「だって、バレた原因はクラーケン討伐の件ですよね。仮にクラーケンの話が出なかったら、俺様の正体はバレてませんよ」

「うっ、確かにそうかも知れないけど」


 ファングは納得していないが、レイスが追い打ちを掛けていた。


「それに、俺様はバレても構いませんけど、ファングはレン師匠の精霊ですよね。レン師匠に迷惑を掛けるし、精霊が目の前にいたら大騒ぎですよ」


 レイスがアルビィスと融合していることは、先生達に説明すれば済む事だが、精霊に関しては多くの人に崇められる存在なので簡単にはいかない。


「確かにレイス君の言う通りね。レン君どうする?」


 ファングとレイスは申し訳ない表情を見せながら、四人はレンを見ていた。


「はぁ仕方ない。ファング、レイス、正体をバラすよ。レイスはアルビィスと入れ替わって、その方が説明し易いから」


 レンは諦めながら、二人に指示している。


「仕方ありませんね。全てファングのせいですけど、レン師匠に言われたら断れませんね」

「レイス、お前は嫌みか」

「レン師匠、俺様の正体をバラしますけど、これが終わったら、レン師匠の部屋で俺様と契約印を結んでくれませんか?」

「お前、話を逸らすな」


 レイスはファングを無視して、話を進めていた。


「えっ、ファングと契約印しているのに、僕と契約するの?」

「はい、レン師匠に保険を掛けて欲しいんです。俺様が人体実験や悪用されないように、レン師匠に管理して欲しいです」

「お前、俺と契約しているのに、レンに負担掛けるなよ」


 ファングが呆れた表情を見せていた。


「別に俺様が契約印を結ぶんで、レン師匠は何もしなくて大丈夫ですよ。ファングだけだとかなり不安なので」

「お前、ただレンとずっと居たいだけだろう?」

「そうですけど、何か問題でも? 俺様はアルビィスの力を借りて契約印を結ぶだけですよ。別にレン師匠を操る事はありません。むしろレン師匠に命令出来る人はいるんですか? 俺様は怖くて出来ませんよ。それに俺様は契約を結ぶ過程で、レン師匠に命令権を移すんで、俺様をたくさん扱き使って下さい」


 先生達が見ている中、レイスが熱く熱弁しているので、レンが困っていた。


「レイス君、熱く語るのは良いけど、先生達が見ているんだから、その辺にしたら? レン君も困っているわよ」


 アリスに言われると、レイスは正気を戻していた。


「はっ、すみませんレン師匠、つい俺様の気持ちが出てしまいましたね」

「うん、凄く熱く語っていたね。話の続きは僕の部屋で聞くから、先生達を待たせないでね」

「すみません、レン師匠。ファング、さっさと正体バラして楽になりましょう」

「お前、簡単に言うな」


 レイスがあまりにも軽い口調で言っているので、ファングは困っていたが、先生達に本来の姿を見せて、レンとアリスが事情を説明していた。


「フォフォフォ、なるぼな。お前さん達は夏季休暇中に色々巻き込まれて、今の姿になったのじゃな」


 説明を終えると、ファングとレイスはもとの状態に戻っていた。


「まさかファングが半精霊なんて信じられん」

「ベリット先生、私の教え子であるレイスだって、半魔神族何だぞ」

「実に興味深い二人ですわ。しかも、魔神と融合したレイス・クライドには興味がありますわ。魔神族はまだまだ分からない事がいっぱいだし、どこに住んでいるのか教えて欲しいです」


 先生達が驚いたり、二人に興味を持ったりしていた。


「クラック先生、二人に興味を持つのは構いませんけど、人体実験はさせませんわよ」


 アリスが怒っていた。


「フォフォフォ、無理も無い。その姿を見せられたら、研究したがる先生がいるだろう。だが安心せい、お前さん達を調べたりしないから、それにこの二人はレン・フォワードの所有物になっているんじゃろう?」


 学園長はレンの考えている事を見抜かれていた。


「えっ、レイスは所有物にしてませんよ。ファングは精霊として、契約しましたけど」

「レン師匠、俺様はレン師匠の所有物ですよ。今日中に契約すると約束しましたよね」


 レンの所有物になっていないので、レイスが怒っていた。


「いや、約束してないし」

「約束しました」


 レイスは納得していなかった。


「フォフォフォ、レン・フォワードの所有物になるのも時間の問題かな」

「はい、今日中にレン師匠のパートナーになります」

「だから僕は約束してないよ」


 レンの話を無視して、レイスが推し進めていた。


「それにしても、お前さん達はあのクラーケンを倒すだけはあるのう。そこでじゃ、お前さん達にやって欲しい事があるんじゃ」

「それって僕達に依頼ですか?」

「依頼と言うより、どちらかと言えば任務じゃな」


 学園長の突然の任務に五人は首を傾げていた。


「何で僕達何ですか?」

「それは、お前らを見れば分かるだろう。精霊に魔神族、古代魔法、そして黒竜まで従えているお前達なら、今回の任務に適しているからな」

「いや、普通は経験豊富な上級生を使いますよね」


 入学して、まだ数ヵ月しか経っていないのに、危険な任務をさせるのか、レンは疑問に感じていた。


「ふむ、お前達が疑問に感じるのは無理もないな。だが今回はまだ無名で実力がある生徒が必要なんだ」


 先生達は何か焦っている表情が見て取れた。


「ベリット先生、俺達を呼びだしたんだから、それなりの理由があるんだろう。何か焦っているように見えるぜ」


 ファングは先生達の顔色を見ていた。


「フォフォフォ、さすがベリット先生の生徒だな」

「滅相もありません。こいつは実技だけずば抜けているだけで、座学は聞いてませんよ。しかも、高等部で生徒会長を務めて数ヵ月で退学した、あのカイト・リノワールがファングの半身だって聞いた時は驚きました。ファング、カイトに座学を変わって貰う事はするなよ」

「何の事ですかベリット先生、アハハッ」


 ベリット先生に指摘されて、ファングは苦笑いで目線を逸らしていた。


「お前という奴は、カイトに悪いと思わないのか?」

「別に良いだろう。カイトだって、レンと居たいから協力しているんだよ」


 ファングの言い分を聞いて、ベリット先生が頭を押さえていた。


「フォフォフォ、お前さんはレンの精霊だから、常に傍に居ないと行かんな」

「さすが学園長、俺の事を分かっているぜ」


 学園長がファングの事を理解しているので、凄く喜んでいたが、ベリット先生は更に顔色を悪くしていた。


「こらファング、学園長に向かってなんて口の聞き方をしているんだ」

「良いだろう。俺の事を分かっていて、俺嬉しいんだから」

「はぁ、学園長すみません。私の教え子が無礼をして」

「フォフォフォ、まぁ良いでわないか、ベリット先生、話を進めるぞ」


 ベリット先生は学園長に謝った後、五人を呼んだ理由を話し始めた。


「ゴホン、お前達はこれから、私達と一緒にカルベル王国に行って貰う」

「えっ、カルベル王国ですか?」


 ベリット先生に言われて、五人が頭に疑問符を付けていた。


「急に言われても頭が追いつかないかも知れないが、今カルベル王国は穏健派と過激派の対立にあって、近日中に戦争が勃発する可能性があるんだ。そこでお前達は戦争が始まった時に過激派を一掃する手伝いをして貰う」


 ベリット先生から任務の内容を聞かされ、任務の内容が壮大すぎて、五人は戸惑っていた。


「ちょっと待って下さい。何で僕達が行くんですか?」

「レン君の言う通りだわ。私達が何でカルベル王国の戦争に介入するんですか? 普通は高等部の生徒達か国の騎士団が行きますよね?」


 先生達の考え方があまりにも唐突すぎて、レンとアリスが反論していた。


「お前達の考え方は確かに正しい。だがお前達の事はカルベル王国の中では情報が行き届いて無くて、適任だと判断したのじゃ」

「それにお前らは、あのクラーケンを討伐したんだから、推薦されるのは当然だよな」

「うっ、確かにそうですけど?」


 学園長やベリット先生に言われて、五人は反論出来なかった。


「それじゃお前達は、三日後、各学科の先生達と一緒に行って貰うからな。もちろん私も行くから安心しな、レン、ファング」

「うっ、分かりましたけど、何でクラックとファリブル先生も行くんですか?」


 先生が一人同伴だと思っていたレンは、首を傾げていた。


「そんなの分かっているだろう。任務だからと言って、お前達だけ授業が遅れたらどうするんだ。お前達は任務をしながら個別の授業を受けて貰うからな」

「えっ、それはないぜ」


 ベリット先生の説明を聞いて、ファングがぐったりしている。


「ファング、何を弱音を吐いている。それでもレンに仕える精霊かぁ」

「ベリット先生、アリスと同じ事を言わないで下さい」

「何ですって、私はいつも忠告してあげているのに」

「アリス、溝撃ちはやめろよ」


 ファングが余計な事を言って、アリスからパンチを喰らっていた。


「でも、他の生徒達は誰が教えるんですか?」


 担任自ら同伴を務めるので、誰が学園にいる生徒達を教えるのか気になっていた。


「あぁ、その事なら、心配ありませんわ。初等部と高等部の先生達に頼んでありますので、貴方達が心配する必要はありますわ」

「へぇ、そうなんですか?」


 クラック先生の説明を聞いて、五人はうな垂れていた。


「任務しながら、授業とか鬼かよ」

「ファング、これも訓練だと思ってやれ」

「何か強引過ぎませんか、ベリット先生」


 レンとファングが頭を押さえていた。


「ガハハ、レイス、楽しい旅になりそうだな」

「そうですねファリブル先生、暑苦しいので、俺様から離れてくれませんか」

「酷いぜレイス、こう見えてまだ二十代何だぞ」

「知っていますけど、全然二十代に見えません」


 レイスはファリブル先生に絡まれていた。


「任務は受けますけど、過激派の首謀者は把握しているんですか? 僕達は穏健派の人達に会う事は分かりましたけど」

「うむ、それなんじゃが‥‥‥」

「何か問題でも?」


 学園長は何か言いずらそうだった。


「それが過激派のリーダーは少年らしいんだ。しかもカイトと同じくらいの子らしい」

「えっ、カイトと同じ何ですか?」


 ベリット先生の説明を聞いて、五人は驚いた表情を見ていた。


「だがなぁ、その少年は恐らく、魔道具を埋め込まれて、人体実験をされた可能性があるんじゃ」

「それってどう言う意味ですか?」

「それが学園で派遣している情報屋の話だと、過激派のリーダーの少年の目が死んでいたんだ。しかも日中で分かりづらいが、お臍付近で一瞬、淡い光が見えたと報告を受けているんだ」

「それって、過激派の少年は死んでいるんですか?」


 レンはショックを受けながら、先生達に質問している。


「いや、死んでいないわ。死んでいれば、魔道具で肉体に寄生は出来ないから、恐らく魂を封じてあるはずだわ」


 クラック先生の説明を聞いて、レンはホッと胸を撫で下ろしていた。


「それじゃ、助けられるんですね」

「助けられる可能性があるが、少年に寄生しているのは、少年の父親らしいんだ」

「えっ、何で自分の息子を器にするんだ」


 ベリット先生の説明を聞いていたファングが突然、怒号を飛び交わしていた。


「ファング、落ち着いて、私達も気持ちは同じよ。レン君だって、感情を押さえているんだから」


 五人は寄生された父親に憤りを感じていた。


「あのう、もし少年を助けられたら、僕にくれませんか?」

「うぁ、レンが魔王みたいな提案を出して来たぜ。グッフ」

「ファング、うるさい」


 レンがまた変な事を思いついたので、アリス達は頭を押さえていた。


「レン君、過激派の少年をどうするつもりなの?」

「えっ、状態にもよるけど、チームに入って貰うかなぁと思っているんだけど? 状態が良くなかったら、フォレストの一部で生きて欲しいかな?」

「レン、今何て言った?」


 最初の方は、良いことを言っていたが、最後に意味深な事を言っていたので、ファングが聞き返していた。


「だからフォレストの一部にしようと言っただけだよ。フォレストと融合させれば、彼は生きられるし償いになるよね」


 レンが悪魔みたいな笑顔で、ファングに話していた。


「レン、お前は先生達の説明を聞いたのか、それじゃ俺達も人体実験をしているのと同じだろう?」

「えっ、別に良いじゃん、ファングの戦力になるよね」


 ファングの説明に、レンは納得してなかった。


「フォフォフォ、お前さんは面白い事を考えるな。もし助けられるなら、私達も助けたいんじゃ。少年は何も悪い事はしてないからな。だが無事に助けた場合は、事情を取らせて貰うが、少年が瀕死の場合は、お前さんの所有物にして構わんぞい」

「学園長、そんな約束して良いんですか? それこそ、人体実験をしている学園だと思われますよ」


 学園長の説明にクラック先生が反論していた。


「フォフォフォ、大丈夫じゃよ。彼は精霊に生まれ変わったと言えば解決するじゃろう。それに彼らを危険な任務に行かせるんだから、この子達の提案を受け入れるのも先生達の役割じゃぞ」

「それじゃ‥‥‥」

「フォフォフォ、お前さんの提案を受け入れようぞ。ただし助けられるなら、無事に助けるんじゃ。彼にはカルベル王国の裁きがあるかも知れんが、私達がサポートするから安心せい。その後はお前さん達に託すように手を回してやるぞい」

「ありがとうございます学園長」

「はぁ、学園長の気前の良さわ変わらないか」


 五人が喜んでいるなか、先生達が頭を押さえていた。


「それじゃ、お前らは三日後、我々と一緒にカルベル王国に向けて出発するから、準備と体調だけはしっかりやれよ」

「はい、分かりました。それとベリット先生、これを」


 任務の話が終わった後、レンはチーム対抗の名前が書かれた紙を渡していた。


「おう、チーム名の紙だなぁ。確かに受け取ったぞ。それとお前らは予選通過だからな。本戦から頑張れよ」

「それって‥‥‥」


 レンは、ベリット先生の表情を覗っていた。


「お前らの実力を見たら、他の生徒達がやる気を無くすだろう。それに一チームでも多く、本戦に出て貰いたいからな。お前らが予選に至ら、確実に勝ち上がるだろう」


 先生達から、危険人物扱いされていた。


「へぇ、そうなんだアハハッ」


 レンは四人を見ながら、不気味な笑い声をしている。


「レンが俺達を見ながら壊れたな」

「仕方ないわ。私達の実力を見れば、一目瞭然だからね」

「別に俺様達が、悪いわけでは無いんですけどね」

「レンお兄ちゃん、大丈夫かな?」


 原因は四人にあるのに、知らない振りをしながら、レンの目線を交わしていた。


「フォフォフォ、お前さん達にはチーム対抗でも期待しているぞい」

「はぁ、応援してくれてありがとうございます」


 先生達に挨拶をすると、五人は生徒指導室から出て廊下を歩いていた。


「はぁ、何か面倒くさい事に巻き込まれたよ」


 先生達の息苦しい場所から解放されると、五人は本音を漏らしていた。


「そうね。私達で過激派を止められるのかしら?」

「お前、変なフラグ立てるなよ。俺達は絶対に生きて変えるんだぞ」

「ファングまで、フラグ立てていますよ。今は俺様達で出来る範囲でやりましょう」


 五人は足早に学園から、レンの部屋に移動していた。


「それじゃ、レン師匠、俺様と契約しましょう」


 部屋に着くなり、レイスに攻められていた。


「アハハッ、やらないとダメ?」

「ダメです」


 レンは契約したくなかったが、レイスに左手を掴まれて、魔神語を唱えていた。


「レイス、今何語を話したの?」

「魔神語ですよ。よしこれでオッケーですね。レン師匠、俺様に命令して下さい。命令権が移行しているか確認したいんで」

「いや、その前に、今何語を話したの? 全く聞き取れなかったんだけど」

「私も興味あるわ。知らない言語があるなんて嫌だわ」


 レイスはあまり魔神語に付いて、語りたくなかった様子だったが、レンやアリスに言われたので、仕方なく話していた。


「はぁ、魔神語はアルビィスの生まれ育った言語ですよ。魔神族特有の言語なので、魔神族以外は解けません」

「えっ、それって‥‥‥あっ、ファング同様にはめられた」


 レイスの話を聞いて、レンは何かを悟り、床を叩いていた。


「これでレン師匠に一生尽くせますね」

「お前、俺と同じで容赦ないな」

「こうでもしないと、レン師匠と居られませんから」

「レン君、可哀想だわ」

「何で二人、意気投合してるの、アリスは僕のフォローしながら、納得しないで」


 レンは三人を見て諦めていた。


「レン師匠、魔神語の事は話しましたから、命令して下さい」

「命令するのは構わないけど、レイスが命令すれば簡単じゃ無いの?」


 レイスが命令すれば、命令権が移っているか一発で分かるのに、何故かレンにして欲しいと、頑なに言ってきた。


「そんな恐ろしい事、俺様は出来ませんよ」


 レイスは体をガクガク震えさせながら、暗い表情をしていた。


「お前、レンに嫌われるのが嫌なんだな」


 ファングがレイスに同情している。


「当たり前ですよ。レン師匠は俺様を助けてくれた恩人ですから、アルビィスもそう言っていますよ」

「別に、命令するくらいで、嫌いにならないけど」


 軽い命令をすれば、済む事なのに、レイスは頑なに拒否し続けている。


「レン師匠に言われても、俺様は命令したくありません。むしろ逆に命令してくれると俺様とアルビィスは喜んでやりますよ」

「レイス、変な事を言わないで欲しいんだけど、僕が悪いように聞こえるよ。それにアルビィスは本当にそれで良いの? 魔神族として屈辱じゃないの?」


 レンはあれこれ理由を付けて、契約を解除する方法を模索していた。


「はぁ、レン師匠は回りくどい事をしますね。なら、アルビィスに変わってあげますから、直接聞いて見たらどうですか?」

「変わってくれるんだ‥‥‥」


 レイスが提案すると、レンは嫌な予感しかなかった。


「久しぶりだなぁレン。お前は何でレイの提案を受け入れないんだ」


 アルビィスが出てきたが、最初あった頃と雰囲気が一変していた。


「お前、何か雰囲気変わったな」

「当たり前だファング、俺様はお前達と会って生まれ変われたんだからな。それに今の生活が凄く新鮮で生きた心地があるぜ。これもお前達に会えて、レイスの体をくれたお前らには感謝するぜ。特にレンには俺様とレイスを融合する提案をしてくれた恩人だからな」

「恩人って、あの時はレンの提案がなかったら俺達は、お前に殺されていたんだぞ」


 五人は温泉施設で楽しんでいた所を、襲われ死にかけていたので、アルビィスがやった事は未だ許せなかった。


「あの時は本当ごめんな。謝っても許してくれないだろう」


 アルビィスはあの時の過ちを思い出し、四人に頭を下げていた。


「アルビィス、謝るなよ。お前がレイスの中で償っている事は分かったから」

「お前にそう言われると、少しは償えているんだな」


 ファングに言われて、アルビィスは少し笑顔を見せていた。


「レン、こいつの気持ち受け入れてやれよ。レイスもそれを望んでいるぜ。むしろレイスの方はレンと居たいから、簡単に受け入れているだろうな」

「はぁ、分かったよ。受け入れてあげるよ。アルビィス、本当に良いんだね」

「あぁ、良いぜレン。やっとお前に管理されるんだな」


 アルビィスは凄く嬉しそうだった。


「アルビィス、これからもレイスを中でサポートしろよな」

「当たり前だファング、この命はレンに与えられたんだから、レンの為に一生尽くすぜ。だからレン、これからも俺様を扱き使ってくれよな。お前のおかげで、おいしい飯を鱈腹食べれるんだから」


 アルビィスは本音をレンに言うと、精神の中に消えて行った。


「あいつ、飯の事を話して普通消えるかよ」

「アハハッ、アルビィスは僕達が食べているご飯を凄く気に入っているんだよ。ご飯に有り付けるなら、多分何でもやる気がするね」


 アルビィスの動力源がレイスと似ているので、若干苦笑いしていた。


「どうでしたか、アルビィスも受け入れていましたよね」

「そうだね。レイが手回し、していたんでしょう」

「ドッキ、何の事ですか? それに俺様はレイではなくて、レイスですよ」

「はぁ、そう言う事にしておくよ」


 レイが慌てていたので、精神の中にいる二人と事前に練っていた事が見て取れた。


「それで、レン師匠。命令の中身決めましたか」


 レイスは笑顔でレンを見ていた。


「あくまでも僕が命令するんだね」

「当然です。レン師匠に命令する人がもしいるのなら、その人は命知らずです」


 レイスが意味不明な事を熱く語っていた。


 命令くらいで命を掛けないで欲しいんだけど。


 レンはレイスを見ながら呆れていたが、とりあえずファングを使って命令する事にした。


「それじゃ、ファングを床に押さえ付けて」


 レンは手を翳して、レイスに命令していた。


「レン、ちょっと何を言っているんだ。グガ、助けてギブ、ギブ、レイス、いい加減に離れろ、うぇ」


 ファングはレイスから離れる為、抵抗している。


「離れろと言われても、体が言うこと効かないので無理です」

「レン、レイスの命令権の確認が出来たんだから解除してくれ」


 ファングはレンに言っていたが、レンは何かを考えていた。


「フムフム、これはファングの罰に使えるかも、これでレオスを使わなくて済むかな?」

「オーイレン、聞こえているよな。早く命令を止めてくれ、頼むから、なぁレン。グェ、レイス頼むから力入れないで、マジで死ぬ」


 ファングはレンを呼んでいたが、レンはアリスと話し始めていた。


「ねぇ、ファングの罰ゲームに適してない?」

「そうねぇ、もう少しキツい罰でも良いかも」

「オーイ、頼むから助けて‥‥‥」

「ファングお兄ちゃん、ファイト」

「レオス、見てないで助けてくれ、グェ」


 三人はファングを観察していた。


「何かファング、痛そうに見えないわね」

「アリス、どう見ても痛いだろう。てか、体がどんどん床に強く押されるんだけど、レイスいい加減に力を抑えろ」

「無理ですよ。レン師匠の命令は絶対ですからね」

「ちょっとまて、何で目がオッドアイ何だ」


 ファングはレイスの目を見て、嫌な予感を察知していた。


「あれファング、気付いたんですか? どうやらレン師匠に命令されると、レイスとアルビィスが表に出るみたいですね。しかも力も二倍になるみたいですねアハハッ」

「アハハッ、じゃない。レン、頼むから早く命令を解除して、俺レイスに殺される」


 レイスの目を見て、ファングが騒いでいた。


「へぇ、命令するとアルビィスも活躍出来るんだ」

「レン、何関心しているんだ」

「レン師匠、俺様久しぶり活躍出来ていますよね」

「そうだね。レイが喋っているから、レイスやアルビィスの実感がないかな」

「アハハッ、仕方ないぜ、俺様はもうレイスの一部何だからな」


 レイの体でレイスとアルビィスが交互に口を借りて喋っていた。


「とりあえずファングが可哀想だから、そのくらいでやめようか」


 ファングがあまりに見苦しいので、命令を解除していた。


「酷いぜレン、俺で実験するんなんて」

「えっ、別に大丈夫でしょう? フォレストの時、体がバラバラになっても生きていたでしょう?」

「いや、フォレストと今の姿で比べないでくれよ。今は人間何だからな」

「へぇ、人間ねぇ」


 レンがファングを疑っていた。


「ごめん今のは謝るよ。だけど、人間の姿だと、お前達と同じ痛みを感じるんだからな」

「はいはい、分かったから、そんな顔しないの、何ならレイスの罰受ける?」

「いや、それだけは勘弁して」


 ファングがレイスを嫌がっている事に、レイスが怒っていた。


「酷いですね。俺様の愛を受け取らないんですか?」

「誰がお前の愛を受け取るんだよ」

「はいはい、喧嘩しないの? レイス君はこれでレン君の所有物になれたわね」

「はい、俺様凄く嬉しいです」

「俺は嬉しくないけどな」

「アハハッ、レオス飲み物用意しようか」

「うん、分かったよレンお兄ちゃん」

「さてと、レンとレオス君が飲み物を持ってくる間、私達は出発までの準備を考えましょう」


 レンの部屋では、五人が賑やかな団欒を作りながら楽しく話をしていた。それから五人は夜になるまで、出発前の三日間の予定を立てているのだった。


「あぁ、久しぶりにリズワール王国に戻って来たぜ」


 リズワール王国の検問所に一人の少年の姿があった。


「よし、通って良いぞ」

「ありがとさん、さてファングの奴、元気にしているかな。あの約束を果たしに来たぜ」


 少年は夕焼けのリズワール王国を歩きながら、宿に向かっていた。


「一人だなぁ。毎度あり」


 少年は宿に入るなり、代金を支払って、足早に部屋に入っていた。


「さてと、とりあえず今日は宿で休んで、明日ファングを探すかな。それと、仕事をやらないとな」


 少年は時々、不気味な笑みを見せた後、ベッドに入り軽い仮眠をしているのだった。


「それじゃ、レン君また明日ね」

「レン師匠、また明日です」


 学生寮の玄関前で、アリスとレイスがレンとファングに挨拶していた。


「アリス、レイス、また明日ね」

「お前ら、本当ギリギリまでいるよな。門限に間に合うのか?」


 学生寮には門限が設定されている為、時間がオーバーすると、それなりのペナルティーを課せられる。ただし学生ギルドなどの遠出は事前に申請を出していれば、ペナルティーはないのである。


「大丈夫よ。魔法でパッパッと行くから」

「いや、魔法を使う時点でアウトだろう」

「アハハッ、気をつけてね」

「レン君の方こそ、さてそろそろ行かないと、門限を迎えてしまうわね。レオス君が起きたら、私達は帰ったと言っておいてね」


 レオスは疲れたのか、リオスとテオが寝ている所に寄り添うように寝ていた。


「うん、伝えておくよ」


 アリスとレイスが帰った後、いつものようにファングがレンの部屋に入ってくる。


「何で僕の部屋に来るの? ファングの部屋はあそこだよね」


 レンはファングの部屋を指さして、誘導していた。


「確かに俺の部屋はあそこだけど、別に良いだろう」

「はぁ、何の為に、部屋を借りたのか分からないよ」


 ファングの為に、学生寮の部屋を借りたのにあまり使ってなくて、レンは頭を痛めていた。


「俺の部屋はフォレストになるための変身場所だろう?」

「いや違うし」


 ファングが勘違いしているので、レンは困り果てていた。


「レン、そんな俺と居たくないのか?」

「別に、そんな事を言ってないでしょう。たまにはファングの部屋で休んで欲しいんだよ。毎日居たら、不自然でしょう」

「別に毎日居ても、問題ないと思うんだけど」


 ファングがあまりにも、軽い考えなので、レンは頭を押さえていた。


「あぁ、そうですか、それじゃ、三人を起こして、夕食の時間だから」

「レン、何か怒ってないか?」

「別に怒ってないよ」


 レンはちょっとイライラしていたが、ファングが三人を起こしに行ったので、部屋の事はチャラにしていた。それからファングが三人を連れて来ると、レンと一緒に食堂に向かって歩き始めているのだった。

次回更新は未定です。温かくお待ち下さいm(__)m

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