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異世界転生したらヒロインや仲間が最強すぎて、なぜか護られています!  作者: 緑青白桃漠
第5章 長い夏季休暇中に巻き起こる冒険と新たな事件 最終節 学園が始まるまで遊び尽くす五人と新たな悩み!
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#75 決戦最下層に眠る、勇者リブロスVSレイス!

お待たせしました。第75話公開です。いよいよ最下層、お宝は見付かるのかな(。>ω<。)

 五人は魔方陣で最下層にやって来ると、ファングが驚いていた。


「嘘だろう。何で昔の勇者の一人がいるんだよ」

「誰なの、あそこに座っているのは」

「知らないのかよ。あれは勇者の一人、リブロス・リトル、格闘技の達人、ナックル使いだよ」

「あれが、リブロス・リトル、俺様も名前は知っていましたが、姿を見るのは初めてです」


 四人が驚くなか、レンは考えていた。


 ファングはさっき勇者達の一人と言っていたけど、勇者達はもう死んでいるはず、何で目の前にいるんだ?

 

 レンは疑問に思いながら、ファングに聞いていた。


「ねぇ、ファング、なんかおかしくない?」

「レン、何がおかしいんだよ」

「だって、勇者達はいつ頃現れたの?」


 勇者達の年代を聞くと、ファングは考えていた。


「それは‥‥‥! そんなはずは」


 ファングはリブロスの方を見て、驚いていた。


「そうですよファング、リブロスは年齢的に死んでいるはずですよ」

「それじゃ、あれは何なんだよ。全然ミイラ化してないだろう」


 ファングとレイスはリブロスの方を見ていると、死体が勝手に動き始めた。


「アハハッ、さすがだなぁ。そこの小僧、貴様らが、我の力を継承するものか」

「なっ、何で急に立ち上がるんだ」


 死んでいるはずの勇者リブロスが立ち上がり、五人が後ろに退いていた。


「見て、胸に魔方陣があるわよ。おそらく、魔方陣の力で生きているんだわ」


 リブロスの胸を見ると魔方陣が光っていた。


「ほう、貴様、魔法使いか」

「そうよ、何か文句あるの?」

「嫌、無いよ。貴様らは我に消されるんだからな」


 リブロスが手を翳すと、帰還の魔法陣が消えていた。


「嘘だろう。レン、どうする相手は伝説の勇者の一人だぞ」

「そうよ、どうするのレン君」

「レンお兄ちゃんどうするの?」

「僕に言われても‥‥‥」

「ここは、俺様にやらせて下さい」


 三人がレンに詰め寄る中、レイスが先陣を切って前に出でいた。


「レイス、お前正気か、相手は伝説の勇者の一人だぞ」

「分かっていますよ。だから俺様がやるんですよ。同じ格闘技で負けれません。それに相手は言いました、力を継承する者かと、だから俺様が勝って、新たな力を貰います」


 レイスの力説を聞いて、ファングが感動していた。


「レイス、お前って奴は、レン、レイスに任せようぜ」

「えっ、危険だよ。僕達も戦うよ」

「すみません、レン師匠、ここは俺様に任せて下さい」


 レンは心配していたが、レイスの熱意に負けて、送り出していた。


「ほう、我に対して一人で来るとは大した度胸だなぁ」

「俺様は負けるつもりはありませんよ」

「クククッ、なら部外者は見学だな」


 リブロスは手を翳すと、四人は透明な壁に囲まれていた。


「貴様、レン師匠達に何をした」

「クククッ、彼奴らは見届け人だよ。貴様が死ねば、透明な壁の中で、自爆して死ぬがな」

「そんな事は絶対にさせません」


 レイスはレイビィスの殺気を纏わせて、異様な雰囲気を出していた。


「クソ!」

「完全に閉じこめられたわね」

「レイスは大丈夫だよね」

「分からないわ、今は見守るしかないわ」

「レイス、絶対に勝って、俺達を救えよ」


 四人は密閉された空間から、レイスの戦いを見守っていた。


「ほう小僧、貴様、不思議な力を感じるな、名前は何だ」

「俺様はレイス・クライド、半魔神族です」

「ほう、聞き慣れない種族だな」

「さっきなったばかりのホヤホヤ種族ですよ」


 レイスは勇者リブロスに名前や種族を教えていた。


「あいつ馬鹿だろう。何で種族をバラすんだ」

「仕方ないわよ。だって馬鹿二人だから、正確にはレイの人格があるから三人よね」

「アリス、ちょっと言い過ぎだよ。レイスが聞いたら泣くよ」


 結界の中では、四人が色々レイスの事を話していた。


「なぁレイス、俺達、馬鹿呼ばわりされているぜ。レン様まで」


 レイス(レイ)の精神の中で三人が話していた。


「そうですね、レン師匠にギャフンと言わせないと無理でしょうね」

「仕方ない、レイ、絶対に勝てよ。レン様を失望させるな」


 四人に色々言われていたので、レイに頼んでいた。


「分かっているよ俺様が、負けるかよ。二人は俺様の中で、上手くコントロールしてよ。俺様は二人の虚像で作りかけの偽者だよ」

「そんな事ないですよ。レイは僕とレイビィスが作った人格だから頑張ってよ。レイは僕で僕はレイなんだから、ちゃんとレイスらしくやりなよ。君は僕の分身なんだから」

「そうだぜ。お前は俺様でもあるんだから、しっかり働けよレイ、いやレイス! 俺様を楽しませろよ」


 二人に言われて、レイは精神の中で抱きしめていた。


「ありがとう、レイス、レイビィス、俺様を生み出してくれて、絶対に勝って来るね。だけど、四人は相変わらず言いたい放題だな」


 四人が色々言っているので、レイス(レイ)は不満だらけだが、目の前の敵に集中していた。


「クククッ、まぁ良いか、小僧、我を楽しませろ」

「俺様が勝ちます」


 勇者リブロスが攻撃を仕掛けると、レイスは素早く動き、強烈なパンチを撃っていた。


「その程度では、我に当たらんよ」


 レイスは素早くパンチを出しているが、簡単に避けられてカウンターを喰らっていた。


雷衝懺擊拳(らいげきざんげきけん)

「ぐはぁ!」


 リブロスの強烈なパンチを直接喰らい、壁に激突していた。


「ふん、やはり見込み違いか、ならあの四人は消えてもら‥‥‥」

「アハハッ、良いぞ! もっと俺様を楽しませろ」


 レイスは不気味な奇声を上げていた。


「馬鹿な、直接攻撃を喰らったハズ」

「はぁ、良いね。俺様の体に刺激的だぜ。もっと俺様を頼ませてよ」

「良いだろう。簡単に倒れては困るからな」


 リブロスとレイスは激しい戦いが始まっていた。


「退屈よね」

「そうだな、レイスは不気味な奇声を上げているぜ」


 レイスの笑い声が響いているので、四人が退いていた。


「そうだね、あれ完全にレイスだよ。しかも、体の快感はレイビィスだよね」

「そうだな。一番たちが悪いパターンだぜ。あぁなったら、止められないな」


 レイスとレイビィスが表に出ていたので、四人は安心して見ていた。


「ねぇ、あぁなったレイスがリブロスに勝てると思う?」


 アリスが三人に聞いていた。


「多分、勝つと思うぜ。レイスは半魔神族だしな」

「なら、私達はフォレストの中で一服しない?」


 レイスが勝つと予想すると、アリスが提案していた。


「それ良いね。退屈だから、中でおやつにしようか」

「賛成、こんな退屈なら、中で話しながらおやつ食べた方がマシだよ」


 四人は話し終えると、三人はフォレストの中に入り、カイトも混ざって、五人でおやつを楽しんでいた。


 レン師匠、俺様の力を見て下さいよ‥‥‥! なっ、何でいないの?


 レイスは戦いながら、四人を見ると、ファング以外誰もいなかった。 


 俺様を差し置いて、おやつの時間にするな。はぁ、やばいお腹が空きそうだ。


 レン達が絶対フォレストの中で、おやつにしている事を確信しているレイスは羨ましそうに、ファングの方チラ見していた。


 やばいお腹が‥‥‥。レイス、レイビィス、我慢してよ。今は、目の前の敵に集中して。


 レイス(レイ)のお腹はおやつに反応して、活発に動き始めていた。


 しかも、ファングの目線が不自然だよ。俺様の動きに合わせ動いているし、ファングもフォレストの精神にいるの?


 ファングの動きは明らかに不自然な動きをして、レイスを捉えると、機械のようにカクカクだった。


 はぁ、やるしかないか。お腹が空く前に倒さないと、レン師匠、俺様のおやつ残して下さいよ。


 レイスはお腹が空く前に、リブロスを倒そうと、本気で戦い初めていた。


「ファング、毎回進化してない。フォレストの中にいるのに、何でファングが見ている映像が見えるの?」


 フォレストの中で、五人はお菓子を食べながら話していた。


「俺がフォレストの中にいても、遠隔で操作出来るようにしたんだ。もちろんカイトも動かせるぜ。なぁカイト」


 今までフォレストの本体は寝ている状態だったので、ファングとカイトは色々試行錯誤して、フォレストの中でも本体をうごかせるようにしていた。


「そうだね、僕もファングの補助をしているよ」

「相変わらず、凄いわね。ますます化け物だわ」


 ファングとカイトが色々考えているので、アリスは驚くしかなかった。


「レン、どうかしたのか?」


 ファングが見ている映像を見て、固まっていたのでファングはレンに声を掛けていた。


「いや、レイスがこっちチラチラ見ているよ」


 ファングが見ている映像を見ながら、五人はお菓子を食べていたが、レンが映像を見て気付いていた。


「本当だわ。チラチラ見ているわ。多分、一人だけ、おやつの時間に入れなくて、恨んでいる目だわ」


 レイスがファング(フォレスト)の本体を見ている。


「仕方ないな。俺がレイスに言ってくるよ、お前のお菓子は残しておくと」

「いや、大丈夫だよ。レイスは分かっているから、終わったらレイスにたくさんあげて良いよね」

「はぁ、仕方ないわねレン君の頼みだから良いわ。だけどレイス君がお腹を空かせないか心配だわ」

「大丈夫だよ、彼奴ならやってくれるよ。俺達はここから、レイスを見守ろうぜ」


 五人はフォレストの中でお菓子を食べながら、レイスを見守っているのであった。


「アハハッ、我をもっと楽しませろ」

「くっ、いい大人が、こんな事をするんですか?」

「我は既に死んでいるが、ここを守護するためにはやもえないのだ」


 レイスはリブロスの攻撃を一方的に喰らっていた。


「なら、俺様はあなたを倒します。そして、俺様がリブロスの力を継承します」


 レイスはリブロスに向かって、言うと笑っていた。


「クククッ、アハハッ、笑わせるな、その程度の力で我を倒せるのか? 貴様に継承など出来ない」

「それは、やって見ないと分かりませんよ。桜花列瘴拳(おうかれっしょうけん)

「ぐはぁ、馬鹿な」


 レイスは二人(レイスとレイビィス)の格闘技と魔法を複合させて、強烈な一撃を与えていた。


「はぁはぁ、やばい限界だよ。グー、グー」

懺擊波動擊(ざんげきはどうげき)

「ぐはぁ!」

「クククッ、どうしたその程度かぁ」


 レイスは空腹感に襲われて、リブロスの攻撃に反応出来ず、直接擊を喰らった。


「どうした、その程度かぁ‥‥‥何だこれは、さっきの攻撃のダメージを修復出来ないだと」


 体を見ると、レイスの攻撃を喰らったダメージが、魔方陣の力で修復してない事に気付いていた。リブロスはレイスの攻撃が来る間、魔法でダメージの回復を始めていた。


「何で、レイスは急に動きが止まるのよ」


 フォレストの中で観戦している、アリスが大声で叫んでいた。


「多分、お腹が空いたのかもな?」

「ファング、冷静な判断しないで」


 ファングが冷静な判断をしているので、レイスは大丈夫か聞いていた。


「厳しいかもな。今のレイスは空腹状態で力が入らないな。何か食べさせれば別だけど」

「どう見ても無理だわ、結界が張ってあるし」


 レン達は結界の中に閉じこめられているので、食料をレイスに手渡す事が出来なかった。


「じゃあ、レイスはこのまま負けるの?」

「いや大丈夫だよ。レイスなら食事をしなくても、魔力を喰えば大丈夫だろう?」


 レイスは魔法を吸収して、エネルギーに変える事が可能である。


「でも、レイス君はどうやって魔力を吸収するんですか?」


 カイトが疑問を呈していた。


「そんなの簡単だよ。ワザと相手にぶつかって魔力を吸収するんだよ」

「ファング、そんな事をしたらレイス君が死ぬわよ」

「いや、大丈夫だよ。確かにダメージを受けるけど、レイスの能力忘れたのか?」

「あっ、確か、体を鋼のように硬く出来たよね」


 課外授業の時に見せてもらった事を思い出していた。


「そう言う事だぜ、だからレイスは負けないぜ。魔力を吸収して空腹を抑えるよ」

「本当かしら」


 レンとファングが大丈夫だと確信しているが、アリスは不満だった。だがアリスの不安は一瞬で消し飛ぶ事になる。


「グー、グー、グー」

「何だこの大きな音は」


 リブロスが傷を回復している中、周囲に大きな音が響いていた。


「ねぇ、貴様のせいで俺様のお腹が鳴り響いているんだけど、どうしてくれるの? 俺様のおやつの時間を返してよ。グーグー、あぁ、二人が餌を求めているよ」


 レイスのお腹は激しく、動いているため、複雑な動きをしていた。


「アハハッ、小僧、腹が減ったのかぁ、それは残念だな。なら今、楽にしてやるよ」


 ふらつくレイスを見て、リブロスは失望していた。リブロスは勢いよく、攻撃をすると、レイスはワザとらしい動きをして、全身に直接当たるように喰らっていた。


「ぐはぁ!」

「小僧、早まったか、やはり期待ハズレだな。これでトドメだ死ねぇ。殺僇炎衝拳さつりくえんしょうけん


 リブロスの炎の拳がレイスに直に当たったが、レイスは不気味な笑みをして、飛ばされていた。


「これで死んだか‥‥‥何だと!」


 レイスは死んだと確信したリブロスは、結界にいる四人を始末しようと移動した時、壁から這い上がる音がした。


「はぁ、良いね、お前の魔力最高だな。だけど一時的にしのぐ程度だな。やっぱり現物の食べ物を食べないと空腹感に襲われるよ。レイス、レイビィス、今はあいつの魔力で空腹をしのいでよ。‥‥‥うん、分かったよ、もう少し魔力を吸収すれば、空腹感を抑えられるんだね」


 レイスはお腹を触りながら、精神にいる二人に話し掛けていた。


「小僧、誰と話している」


 レイスがお腹を触りながら、他人事を話しているのでリブロスが聞いていた。


「さぁ、俺様は俺様ですよ。他に誰がいるんですか?」


 レイスの中には二人がいるけど、リブロスに話すことはなかった。


「まぁ良い、小僧面白い力を持っているみたいだな。なら貴様を殺して、その肉体を喰わせろ、そうすれば我は最強だぁ」


 リブロスはレイスの肉体を喰らって、力を得ようとしていた。


「残念ですけど、あなたは俺様に殺されますよ」

「何だと‥‥‥がはぁ、何をした」


 二人が話していると突然、リブロスのお腹に風穴が開いていた。


「さよなら、リブロス」

「小僧、我に何をした、答えろ」

「仕方ないですね。見えない闇の波動を撃ち込んだんですよ。俺様の得意な魔力を練りこんだ、強力な一撃はどうですか? あっ、一つ言っておきますけど、魔方陣を無効化しましたから、修復は無理ですね」 

「何だと、がはぁ、我が消えるだと、クククッ、アハハッ、さすがだ、なら我の力を受け取れ」


 リブロスは勝った暁に、力を授けようとしたが、レイスは断っていた。


「すみませんが要りませんよ。あなたに寄生されるのは目に見えていますから、あなたは自分より強い相手が現れたら、胸の魔方陣を相手に移す予定でしょう」


 レイスはリブロスの違和感に気付いていた。


「クククッ、アハハッ、小僧、面白い事を言うな。そんなわけ無いだろう。さぁ、我が消滅する前に我に触れろ」


 リブロスは消滅する体を動かしながら、レイスに近付いていた。


「そうですか、なら本当にさよならですね。勇者リブロス、あなたは勇者から、落ちこぼれた一人ですね。ダークサイクルスーム」

「貴様あぁ」


 レイスは闇魔法を使って、リブロスを消していた。


「さよなら、世界を救った勇者、ゆっくり眠りな」


 レイスはリブロスが消えた方を見て、黙祷をしている。


「オーイ、レイス終わったのか」


 いつの間にか、フォレストの中からレン達が出ていた。


「ファング、それに皆さん、無事でしたか」

「レイス、凄いよ。最後の魔法はレイビィスのでしょう」

「アハハッ、そうですよ。一つ前は二人の混合技ですよ」


 レンに聞かれたので、レイスが説明していた。


「それよりも、レン師匠、おやつ下さい。お腹ペコペコですよ。二人が激しく餌を求めていたから、辛かったです」


 レイスはお腹を見せながら、話していた。


「そうだね、ファング、レイスにお菓子をあげて」

「そうだな。それにしても分かりやすい腹だよな。ちゃんと胃袋が二つ動いているのが分かるぜ。早くお菓子くれって、胃袋を膨らませて、合図が来るよ」


 ファングはレイスのお腹を触って、二人の胃袋の動きを確認していた。


「ファング、俺様のお腹に触っていないで、早くお菓子を下さいよ。空腹で二人が暴れているんですよ。お腹を触って分かりますよね」

「分かったから落ち着けよ。ほら、食べなよ」


 ファングはお腹に手を突っ込んで、お菓子を取り出してレイスに渡すと、勢い良く食べていた。


「レイス、そんな勢い良く食べると喉を詰まらせるぜ」

「大丈夫ですよ。うーん美味しいです。二人も喜んでいますよ。はぁ生き返りま、ゴッホゴッホ、飲み物!」

「ほら、言った通りになった。ほら、飲み物だよ」

「すみません、つい美味しくてアハハッ」

「それだけ元気なら大丈夫だね」

「そうね、一時は心配したけどね」


 レイスが笑顔でお菓子を食べていたので、四人はホッとしていた。


「はぁ、美味しかったです。見て下さい、俺様のお腹が元気ですよ」

「レイス、いちいちお腹を見せて、二人の様子を言うなよ」


 レイスはお腹を見せながら、二人の状態を伝えているので、ファングが注意していた。


「えっ、この方が二人の状態が一番分かりますよ。俺様のお腹が二人の状態を表しているんですから」

「そうだね、二人の状態はお腹を見れば分かるよね。だけど、もう大丈夫だよ。だって二人はレイスになったんでしょう? なら見せなくても大丈夫だよね。二人の表情はそのまま、顔に出ているから」


 レイスの表情を見ていたレンは、二人の表情が既に融合した体に現れていた事に気付いていた。


「えっ、本当ですか、俺様は二人の表情まで出来ていたんですね。俺様はちゃんと完全な半魔神族のレイス・クライドになったんですね」

「そうだよ。だからいちいちお腹を見せなくても大丈夫だよ。寂しくなった時に、僕達が触る程度で良いから、普段は普通にしてよ」

「レン師匠、ありがとうございます。俺様はちゃんとレイスになったんですね。もし寂しくなったら、言ってくれれば、人格を入れ替えますよ」

「うん、ありがとうレイス」


 レイスは改めて、自分の存在意義に気付き、レンに向き合っていた。


「それでレイス、リブロスから力を受け継いだのか?」

「えっ、それなんですけど」


 レイスは四人に説明すると、ファングが驚いていた。


「何だと、リブロスが体を奪うとしていたのか」

「そうですよ」

「そうか、勇者も堕ちる時は堕ちるんだな」


 レイスから、衝撃的な事を聞いて、落胆していた。


「仕方ないわよ。誰でも悪に染まる人はいるわよ。私達もいつかは闇に堕ちる可能があるんだからね」

「そうだね、人間誰もが善意じゃないし」

「それはそうだけど、もしこの事を知ったら大ごとだぜ」

「そうですね。だから、誰かが来る前に俺様が消しました」


 五人はリブロスの生きた道のりを見て、暗くなっていた。


「なぁ、俺達はリブロスみたいにならないよな」

「さぁ、そんなの分からないよ。だけどリブロスを見れば分かるよ。闇に堕ちれば、どうなるか」

「そうですね。僕達はリブロスみたいにならないようにするには、僕達の行動次第ですね」

「だから、こんな暗い話は終わりにしよう」

「そうだな、俺達には関係ないしな」


 リブロスの話をやめると、五人は直ぐに通常モードに切り替わっていた。


「それよりもお宝は」


 レンは目をキラキラさせながら、四人に聞いていた。


「どうするんだ、アリスが悪いんだぞ」

「そうですよ。アリスがレン師匠を唆すから、本気になっていますよ」

「何で私なのよ、確かに言いだしっぺは私だけど、あんな目で見られたら言えないわよ」


 三人が輪になって、コソコソ話している中、レオスが何かを見付けていた。


「レンお兄ちゃん、こっち来てよ」

「レオス、何か見付けたの?」


 レオスはリブロスが座っていた、椅子を指さすと後ろに宝箱があった。


「うぁ、宝箱だよ。本物だぁ」


 ゲームなどに出てくる宝箱が実際にあったので、レンは目をキラキラさせて、宝箱を撫でていた。


「でかしたわレオス君」

「お前、宝箱があってホッとしているだろう」

「そんな事はないわ、さぁ宝箱を開けましょう」


 アリスに言われ、宝箱を開けると巻物が一つあった。


「えっ、これだけなの?」


 巻物しかなかったので、レンはガックリしていたが、アリスは驚いていた。


「凄いわ。これはレイス君の物よ」

「えっ、俺様ですか?」


 アリスに言われて、レイスがポカンとしていた。


「アリス、その巻物、そんなに凄いの?」

「凄いわよレイス君、これはリブロスの技が記録した巻物よ。レイス君、これを持って見なさい、リブロスに認められれば光ハズよ」


 アリスはレイスに巻物を手渡すと突然、巻物に書かれた文字が光、レイスを包んでいた。


「えっ、何ですかこれ、頭にリブロスの記憶見たいのが流れます」

「何が起こっているのアリス」

「レイス君はその巻物にある技を受け継いでいるのよ」


 光が消えると巻物に書かれていた文字は無くなっていた。


「レイス、大丈夫なの?」

「はい、特に何もありませんね。アリス、これで技は受け継いだのですか?」


 特に変わった所がないので、アリスに聞いていた。


「いや、ちゃんと受け継いでいるわよ。ならリブロスが使っていた技をやって見なさい」


 アリスが無茶振りしていた。


「俺様、リブロスの技なんか知りませんよ」


 リブロスの技を知る人なんか、普通はいない。


「良いからやって見なさい。私が巻物に書いてあった技名を言うから」


 レイスは疑いながら、前に出るとアリスが技名を色々叫んでいた。


「えっ、何で俺様の知らない技が撃てるんですか?」


 アリスと言われると、何故かレイスの知らない技が頭に流れ込み、勝手に体が動いていた。


「ほら、ちゃんとリブロスの技を受け継いだでしょう。しっかり技名を覚えなさいよ」

「凄い、凄いよアリス、俺様リブロスの技を使っているよ」


 伝説の勇者の一人、リブロスの格闘技を修得して喜んでいた。


「やったなぁレイス、これでお前は更に強くなったな。ますます化け物だな」

「ファング酷いな。ファングだって化け物だよね」

「何だと」

「何ですか」

「また喧嘩しているわね」

「アハハッ、二人は似たもの同士だからね」

「違うぜレン」

「そうですよ。俺様はファングと、似たもの同士ではありません」


 ファングとレイスが喧嘩しているので、三人は呆れながら見ていた。


「はぁ、今回も残念なお宝だよ」

「レン、次は頑張ろうぜ」

「そうですよ。今回は俺様が新たな力を手に入れましたが、お宝は色々な場所にありますから、きっとレン師匠が想像するお宝がありますよ」

「そうね。世界は広いから、きっと凄いお宝が見付かるよ」

「レンお兄ちゃん、次も頑張ろう」


 四人がレンを励ますと、目をキラキラさせていた。


「そうだね、次は頑張ろう」

「レン君、元気になったね」

「やっぱり、笑顔のレンが一番だよ」

「そうですね、次は頑張りましょう」

「レイスは帰ったら修業だよ。あの音はちょっと迷惑だから」

「えっ、もしかして、お腹の音を聞いていたんですか」


 レイスは四人にお腹の音を聞かれて、顔を赤くして恥ずかしい表情を見せている。


「そうだよ。レンに言われて、フォレストの中に流していたがうるさいよ。だから空腹状態で修業な」


 ファングとカイトに頼んで、外の音をファング(フォレスト)の耳を通して、響かせていた。


「そんな、それじゃ二人が可哀想ですよ。二人が嫌がっていますよ」


 レイスは精神にいる二人を持ち出して、拒否していた。


「レイス、二人は関係ないよ。だって君がレイスだよね」

「うっ、確かに、分かりましたよやりますよ。はぁ、二人のせいで、とばっちりですよ」

「お前、二人に責めるのか?」

「いえそんなつもりでは、俺様は二人ですから、受け入れますよ」


 レンに指摘されて、レイスはガックリしていた。


「それじゃ帰ろうか」

「そうね、帰りましょう。今日は疲れたわ」

「僕も疲れたよ。魔法の練習は暫くあけて良いよね」

「うん、別に良いよ。疲れを取ってからやろうね」

「レイス、まだ落ち込んでいるのか?」

「落ち込んでいませんよ。今からお腹を空かして、早くお腹の音を調整するんですよ。そうじゃないと、俺様はいつまでもご飯が食べられませんよ」

「そうだな、まぁ頑張れよ」


 五人は楽しく会話しながら、自宅に向かって、もと来た道を戻っているのだった。

次回更新は未定です。温かくお待ち下さい。次回更新は番外編になります。間もなく第6章スタートです(。>ω<。)

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