番外編#4 反転する館?
お待たせしました。今回は話の途中の番外編です。
レン達は朝から外の練習スペースで、ファングとレイスの特訓に付き合っていた。
「ふぁ、相変わらず、朝から熱心で熱いね」
レンはファングに叩き起こされて、非常に眠たそうな表情をしている。
「レンは何で椅子に座って休んでいるんだ」
レンが中々特訓に加らないので、ファングが手招きしている。
「何で僕が朝から特訓に付き合うの? 一人でやってよ」
「お前、一人じゃないよ。見ろよレイスはレイの姿になって、早く力を制御しようと練習しているぜ」
レイスはレイの姿になって、魔法を的に向かって放っていた。
「レイスは学科が別だよね」
「お前、何で言い訳して逃げようとするんだ」
ファングは頭を押さえていた。
「なら、剣の練習をやめて、的に向かって風を当てる練習しなよ。全然やらないから、僕が教えられないよね」
「うっ、それは言わないでよ。俺だって頑張っているんだから」
「本当? 僕には出来ないから諦めたと思っていたけど」
「そんなわけ無いだろう」
ファングは必死に否定していた。
「なら良いけど、僕はレイに魔法を教わろうかな。あんな魔法を放てたら凄いよ」
レイは力を抑えても、目に見えない技や魔法を見せていた。
「無理に決まっているだろう。あいつは魔神族何だぞ」
「ファング、それは心外だよ。俺様はれっきとした人間だよ」
「嘘をつくな。どう見てもレイビィスの成分が濃いだろう。何だよその肌色と耳は、他にもレイビィスのパーツがあるだろう」
ファングが色々、指摘するとレイは顔色を悪くしていた。
「俺様が気にしているのに、何で言うんだよ。だからこうして、ゆっくり肌の色をレイスに合わせているんだろう」
「ファング、レイのこの姿は二人がちゃんといるよと、僕達に伝えているんだよ。そうだよねレイ」
「レン師匠の言うとおりだよ。この姿は二人の象徴だよ。やっぱりレン師匠は俺様を理解しているよ。肌色だけ何とか人間にするね。ファングは理解出来ないダメ精霊だね」
「何だと、もう一回言ってみろよ」
レイに色々言われて、ファングが怒っていた。
「二人とも喧嘩しないの? 練習やめるよ」
「ごめんレン」
「ごめんレン師匠」
二人はレンに謝っていた。
「レイ、あまりファングの言葉を鵜呑みしないでよ。僕はレイのありのままが好きだから」
「レン師匠、ありがとう。だけど、肌色だけは人間にするよ。ほら見てよ。レイスとレイビィスが喜んでいるよ。変な動きしているけど、気にしないで」
レイは複雑な動きをしていた。
「そうなんだ。だけど大丈夫なの? かなり激しく変な動きしているけど」
「大丈夫だと思うよアハハッ、レイス、レイビィス、落ちついて、俺様はお前ら何だぞ」
レイは自分の体に向かって、言い聞かせていた。
「大丈夫なのか?」
「まぁ、体はレイスとレイビィスだから大丈夫でしょう。ただレイは別人格だから、レイ本人は可哀想だね」
レイが落ちつくのを待ってから、レンはファングの魔法を見ていた。
「相変わらず、進歩がないね」
「そうだな。俺様がやった方が良いかな?」
ファングの様子を見た、レイが声を掛けていた。
「お前はレイビィスの力があるから、簡単に出来るだろう」
「レイビィスって誰ですか? 俺様はレン師匠から貰ったレイと言う立派な名前がありますよ」
「お前、都合が悪いと惚けるのか?」
「何の事ですか? 俺様は嘘は言ってませんよ」
「そうだね。レイは二人が融合して生まれたから、本来ならレイスとレイビィスは知らないよね」
「レンまで、レイの弁護をしやがって」
二人に言いたい放題されて、ファングはうな垂れながら魔法の練習をしていた。
「今日はこのくらいにしようか」
「そうですね。それじゃ俺様は戻るね」
「待て、次は絶対に負けない」
「せいぜい頑張りなファング、俺様は魔力制御など完璧になったから負けないよ」
ファングとレイはよく分からない勝負をしていた。練習を一旦やめて、食事の場所でレオスと合流すると朝食を食べて、再び練習スペースに戻っていた。
「レオス、魔法の本を読んだの?」
「はい、だから出来ると思いますよレンお兄ちゃん」
レオスは魔法の練習を始めていた。
「しかし、レオスが急に召喚獣扱いから、普通に戻りたいとか何があったんだ」
「さぁね、多分、冒険の中で色々気付いたんでしょう。レオスはアリスと同じ学科を目指して練習しているんだよ。多分、入学試験はお兄さんがやると思うけど、魔法科に入ればアリスの抑制になるよね」
レオスが学園で学びたいと、急に言って来たので、レンはレオスの指導をしていた。
「そうですね。アリスさんの行動を見れば分かりますよ。レオスさんが入れば、大丈夫ですね」
「私が何だって」
「ゲッ、アリス来たのか」
アリスが練習スペースにやって来たので、ファングとレイスの表情が暗くなっていた。
「当たり前でしょう。毎日来るわよ」
「いや、毎日来られたら迷惑だよ」
「それなら、ファングとレイス君もずっといるでしょう」
「ファングさん、何で余計な事を言うんですか」
レイスが小さい声でファングに言っていた。
「相変わらず、喧嘩になりそうな事を言うよな。今日はアクト達何するの?」
アリスが二人と話している間に、アクト達と会話をしていた。
【俺達はエレントが住んでいた森に遊びに行くよ】
【エレントが僕達に色々紹介するんですよ】
【私が、魅力を紹介するんです】
【レン、何かあったら直ぐに名前を言ってね。直ぐに駆けつけるから】
「分かったよ気をつけてね」
精霊四人はレンの回りを一周すると、エレントの案内で森の方に飛んで行った。
相変わらず、僕の回りを一周するしから行くんだね。それよりも何時まで喧嘩見たいな事をしているの?
アリスがファングに食い掛かっていた。
「レン、何とかしてよ」
「ファングさんが余計な事を言うからでしょう」
「アリス、許してあげなよ」
「それもそうね。ところでこれを見てよレン君」
アリスは一枚のチラシを見せていた。
「これは、最近出来た、ミラージュ館だね」
「ミラージュ館ってなんだ」
「ミラージュ館って言うのは、部屋の中に大量の鏡があって、出口を目指すゲームよ」
「へぇ、なんか面白そうですね。レン師匠、行ってみましょう」
「そうだね、行ってみようか」
五人は警備兵に伝言を伝えると、中心街にある噂の館に来ていた。
「うぁ、凄い人だね」
「まぁ、出来たばかりだから仕方ないわね」
「それにしても、かなり大きい館ですね」
「小さかったら簡単でしょう。このくらいの大きさだから楽しいのよ」
五人は列に並びながら、大きな館を見ていた。
「中から悲鳴見たいな声が聞こえるね」
館の中から多くの人達の声が響いていた。
「まぁ、中は鏡だらけで、途中で魔法で作った特殊エリアがあるのよ。そこでは、私達が逆さまになるのよ」
「へぇ、そんな場所があるんだ」
五人は早く順番が来ないかワクワクしていた。列に並んで、数時間が経つと、ようやくレン達の番がやって来た。
「いらっしゃい。一人金貨五枚の入場料を貰います」
「はい、五人分の金貨二十五枚ね」
アリスは袋から、五人分のお金を払っていた。
「それでは、扉を開けて入って下さい。出口はあそこから出ます」
女性店員さんが指差すと、出口の扉を見ていた。
「分かりましたありがとうございます」
「それでは、鏡の世界に行ってらっしゃい」
女性店員の掛け声で、館に入るとそこにはたくさんの自分が映っていた。
うぁ、凄い。本当に鏡だらけだよ。周りは鏡だらけで、既に迷路状態だった。
「レン君、どこにいるの?」
「レン師匠、どこにですか」
「レンお兄ちゃんどこ」
「レン、どこにいるんだ」
「えっ、僕はここだよ」
鏡が大量にあって、どれが本物の自分か見分けがついてなかった。
「レン君、本当にどこなの?」
「僕はここだよ」
「レン師匠が見えているのに、中々行けません」
五人はバラバラに行動していた為、迷路を彷徨っていた。
「これ、壊そうか」
「ダメよファング、壊したら弁償よ。これもゲームだから頑張りましょう」
「そうですね。頑張りましょう」
声は一定方向から聞こえるので、声を頼りに歩くとレンと合流出来た。
「やっとレンの所に来たよ」
「来たよと言うか、一緒に入ったのに何でバラバラになるの?」
「えっ、だって分かれ道があったら、行きたくなるじゃん」
「そうですよ。僕達はレン師匠の為に、出口を探していたんですよ」
「そうなんだ」
バラバラで行動する割には、レンがいなくなると騒ぐので、四人の行動が矛盾だらけで頭を痛めていた。五人は一緒に出口を目指して、二階に上がると、突然体が浮いて逆さまになっていた。
「何これ凄い、遠くに階段が見ているから、反対側に下りられるね」
「うぁ、何だよこれ、何でレンは冷静何だよ」
「イヤー、下が見えちゃう」
「凄いです。僕達逆さまですよ。だけど頭に重力が掛かるので変な気分です」
「僕も変な気分ですよ。逆さまで歩くの初めてです」
五人は逆さま状態でかなり苦戦していた。
「イヤー、動きたくないよ。ちょっとどこ触っているの」
アリスはスカートを手で押さえながらファングにビンタしていた。
「イテー、お前が歩かないからだろう」
アリスが中々歩かないので、四人は足止めを喰らっていた。
「レイス、レイビィスの力でアリスを押してあげて」
「はぁ、仕方ないですね‥‥‥うぁ、何だこれは、レイスの中で見ていたけどスゲーぜ」
レイビィスは逆さまの状態を楽しんでいた。
「レイビィス、喜んでないでさっさとやれよ。そしてレイスに戻れ」
「ファングは俺様に対して冷たいよな。そんなお前はサービスだよ。えっい」
「レイビィス、何をうぁ、グヘ」
レイビィスの魔法で押されると壁に激突されていた。
「それじゃ、アリス行くよ」
「うん、お願いレイビィス君」
レイビィスに頼むと奥まで移動して、特殊エリアを出ていた。
「ありがとうレイビィス、僕達も行こうか」
「そうだな。それじゃ俺様は戻るぜ」
レン、レオス、レイスは逆さま状態で歩くと、倒れているファングと合流してアリスの所に来ていた。
「イテー、あいつ絶対に許さない。レイス、レイビィスに変われ」
「えっ、レイビィスは出たくない見たいですよ。話しても無駄だって言っています」
「何だとレイビィス」
「妥当な判断ね」
レイビィスを出せと言っていたが、レイスが中々変わろうとしないので、ファングはうな垂れていた。
「何で変わらないんだよ」
「僕に言わないで下さいよ。レイビィスが拒否して、魔神モードになれないんですよ」
「ならレンが命令すれば出てくるよな」
「そうかも知れませんが、レン師匠が許すと思っているの?」
「うっ、多分許さないな」
レンが怒るのは目に見えていたので、やめていた。
ファングはいつも些細な事で切れるよな。メンタル弱すぎ。
ファングの様子を見ながら、レンは考えていた。五人は迷路に迷いながらも、やっと外に出ていた。
「やっと出れたよ」
「一時は酷かったわ」
五人は鏡の館を出ると色々振り返っていた。
「でも楽しかったよね。また面白いのがあったらこよう」
「そうね。またあったらね」
「それじゃレン、まだ時間あるから、街中で軽い物を食べようぜ」
「それ良いですね。ちょっとお腹が空きました」
「相変わらず、二人は食いしん坊だね。まぁ良いか、行こう皆」
鏡の館で楽しんだ後、五人は街中で寄り道しながら、帰宅しているのだった。
次回更新は明日です。温かくお待ち下さい(。>ω<。)




