#70 変わり果てた家とレイジ兄さんの婚約者
お待たせしました。第70話公開です。久しぶりに戻って来たら、家が大変な事に‥‥‥レン君の家はどうなったの?(。>ω<。)
五人はリノワール平原を足早に抜けて、レンの家に向かっていたが、通り道にある家がほとんどなくなっていた。
あれ、この辺にはたくさん家があったのに、なんか庭になっているよ。
レンがいつも通る道の左側は家が根こそぎ無くなっていて、大きな柵で囲まれていた。
「誰か、この辺の土地を買収したのかしら、どんなお金持ちの貴族かな」
「さぁ、僕に聞かれても困るよ。ここ数ヶ月、アリス達と冒険していたでしょう」
「それもそうね」
五人は豪華過ぎる、庭に目線が行っていたが、レンの家に向かって歩くと家がなく、更地になっていた。
「えっ、僕の家がないんだけど?」
「レン、本当にここで合っているのか? 何もないだろう」
「道を間違ったのよ」
「間違ってないよ。僕も覚えているから」
「えっ、レオス君も合っていると言うけど何も無いわよ」
「確かに、これはどう言う事でしょうか?」
五人は考えていると、一台の馬車がやって来た。
「あなたがレン様ですね!」
「えっ、君は誰なの?」
「ちょっと、レン君から離れて」
突然、綺麗な少女が現れたので、アリスが引き離そうとしていると、ファングが叫んでいた。
「何で、クレアがいるんだ!」
ファングはカイトに操られて、つい口を滑らせていた。
「あっ、君がファング君ね、カイトお兄様と一つになった子だぁ」
「何でファングの中にカイトがいることを知って入るんですか?」
「だって私はリノワール王国第二王女のクレア・リノワールですから、それと君のお兄さんの婚約者ですよ」
「えっ、えー!」
クレアの爆弾発言で五人が叫んでいた。
「ちょっとレン君、君のお兄さんはクレア王女と知り合いなの?」
「知らないよ、そんな話は一切聞いてないよ」
レイジ兄さんとクレア王女が婚約者同士なんて、何かの間違いだと思っていた。
「それよりもここに居ないで、新しい家に行きましょうレン様!」
「ちょっと離して下さい、クレア王女。私達はレン君と歩いて行きます」
「なら、私も歩きますわ」
「クレア王女、馬車の方は」
「しまって構いませんわ。歩きますので、それと護衛も要りませんわ、すぐ目の前ですから」
「分かりました」
五人はクレア王女に案内されると、豪華過ぎる門に来ていた。
「さぁレン様、ここが新しい家ですわ」
「なっ!」
「うぁ凄いわ。どのくらいの家を買収して、庭や家を作ったの? しかも警備兵があっちこっちにいるわ」
門には警備兵がたくさんいて、警戒に当たっていた。
「あそこの建物は何ですか?」
「あれは警備兵や護衛達の家ですわ」
「へぇ、そうなんだ」
庭から離れた場所には、豪華過ぎる建物がいくつもあって、そこにはたくさんの警備兵や護衛、騎士団が住んでいた。
「本当にここがレンの家なのか? ずいぶん変わりすぎだろう」
「僕に言われても困るよ。つい最近レイジ兄さんに会った時は何も言ってなかったから」
フォード王国の港でレイジ兄さんに会っていたが、クレア王女に関する事は何も言ってなかった。
「さぁ着きましたわレン様」
「これが僕の家なの?」
広い庭を歩くと、そこは豪華過ぎ建物がそびえていて、周りの建物と比べ物にならないくらい凄かった。五人はクレア王女に案内されて、家の中に入っていた。
「レイジ様、只今帰りましたわ。今日は可愛い子達が来てますよ」
クレア王女が叫ぶと、レイジ兄さんの声が遠くから聞こえて来た。
「クレア、家の中では叫ばないでくれるかな? それと私はいつまでこの生活をするんだ‥‥‥レン! 本当にレンなのか?」
「レイジ兄さん、これはどう言う事ですか」
「うっ、それは色々とあったんだよ」
レイジ兄さんはレンに向かって、飛び付きたかったが、レンに言われて足が竦んでいた。五人はレイジ兄さんに案内されて、大広間に来ていた。
「レン、帰って来たのね」
「レン、無事だったんだな」
「ただいま、父様、母様、いま帰りました。それよりもこれはどう言う事ですか?」
「レイジ、レンに話してないのか?」
「アハハッ、レンには知られたくなかったけど、こんな家になったら無理だね!」
レイジ兄さんは全て話していた。
「そうですか、僕とレオスが出た後に、この周辺はクレア王女が買収したんですね」
「そうだよ、僕はダメだって言ったのに、強引にされたんだよ。おかげで僕達の生活は一変だよ。母さんと父さんは仕事をやめて、今はリノワール王国の公務などの付き添いをしているよ」
レイジ兄さんの説明を聞いて、レンが驚いていた。
「えっ、仕事をやめたんですか?」
「仕方ないだろう、私達は断ったんだが、クレア王女の家族に言われてしかなくやっているんだ」
「クレア王女の家族って、アレクス皇太子達ですか?」
「よく知っているな。どこかであったのか? えっそれは」
レンは冒険中の経緯を説明すると、マイクが頭を押さえていた。
「レン、お前の友達、ファングが、カイト王子なのか?」
「まぁ、そうですね。ファング、カイトに替わって」
「えっ、良いのかレン?」
「仕方ないよ。見せた方が早いから」
「分かった、カイト後は頼むよ」
レンに言われるとファングは目を瞑り、白と黒の光に包まれて消えるとカイトに変わり、マイク達が驚いていた。
「やっぱりカイトお兄様ですわ」
「クレア、顔が近いよ。初めましてレン君のお父さん、お母さん、僕はリノワール王国第二王子のカイト・リノワールです。レン君にはお世話になっています」
クレアはカイトの姿を確認していたが、カイトはレンの家族に挨拶していた。
「これが半精霊なんだね。クレアから聞いていたけど、凄いよ」
「まさか、カイト王子がお前の精霊になっているなんて」
レイジ兄さんは喜んでいたが、マイクの表情はどんどん曇っていた。
「レン、お前は何をしたいんだ。レイジでも頭を痛めているのに、これ以上悩みの種を増やすな」
「レン君のお父さん、違いますよ。僕がレン君に頼んだのです。だからレン君を責めないで下さい」
カイトが謝っていた。
「カイト王子、頭を上げて下さい。私はレンを叱っているだけで、カイト王子を責めてませんよ」
「それでも、僕が悪いことには変わりませんから、レン君を叱るのはやめて下さい。それに僕はもう王子ではないです」
カイトが謝るので、マイクは諦めていた。
「分かったよ。レンを叱ったりしないから、顔を上げて下さい。それよりも王子をやめたとはどう言う事ですか?」
「それはカイトお兄様が半精霊だからよ。私が説明するわ」
クレアがカイトの事を説明していた。
「そうか、そんな事になっているのか?」
マイクは更に表情が暗く険しくなっていた。
「カイト王子、これからもレンを護ってくれないか、この子は何をするか分からないから」
「それじゃ父様」
「あぁ、好きにすると良いよ。どうせ何を言っても無駄だろう」
「ありがとう、レン君のお父さん」
レンとカイトは喜んでいた。
「しかし、凄い家よね、レン君の家族は新しい生活に慣れたんですか?」
アリスが質問すると、レンの家族達は暗い表情をしていた。
「いや、慣れないよ。急に生活が変わったからね。特にマナーなどが大変だよ。この家にいる時は好きに出来るけど、外に出たら貴族らしい振る舞いをしないといけないからね」
「えっ、そうなの? なら学生寮に帰ろうな。僕、そう言うの無理だから」
レイジ兄さんの説明を聞いて、学園が終わるまで学生寮にいようと思っていたら、レイジ兄さんが止めようとしている。
「レン、それはダメだよ。ずっと学生寮にいるのは許さないよ。必ず休みには帰って来なよ」
「えっ、それはレイジ兄さんが決める事じゃないよね」
「だってレンがいないと、僕はこの生活に耐えられないんだよ。可愛いレンを見たいよ」
レイジ兄さんが駄々をこねるので、レンは頭を痛めている。
「いや、レイジ兄さんにはクレア王女がいるよね。なら二人で幸せに暮らしなよ」
「そうだけど、ここはレンの家なんだよ」
「それはそうだけど、マナーとか僕はいりませんよ」
「それは大丈夫ですわ。この敷地内なら自由にして良いように言っておきますわ。それなら大丈夫ですよねレン様?」
「うっ、それなら構いません」
クレアに上手く丸め込まれて、レンはうつ伏せをしていた。
「クレア、ありがとう」
「良いですわ、折角可愛い弟が出来たのだから、レン様の頼みを聞かないとね」
「何かこの二人、似ているわね」
アリスが二人を見て頷いていた。
「ところでレイジ兄さんはクレア王女とどのように出会ったんですか」
「えっ、それは‥‥‥」
「レイジとは学園で知り合いましたわ。今はレイジと一緒にギルドを組んで依頼をやっていますわ」
レイジ兄さんとは年が若干離れているが、特待生で入学しているので、クレアはレイジに出会う事が出来た。
「えークレア王女がギルドの依頼をしているの」
クレアの言葉を聞いて、レン達が驚いていた。
「まぁ、そうだね。普通はあり得ないんだけど、僕が卒業後もずっとついて来るんだよ」
「それはレイジが逃げるからでしょう。私がたくさんアプローチしたのに全て、弟の事で逃げるんだから」
何かと言い訳をして、逃げていた事を知って、頭を押さえていた。
おい、レイジ兄さん、何で僕が優先なんだよ。
その後も、色々とレンの事が出て来るので、レンは恥ずかしかった。
「だってレンが可愛いから、クレアは好きになれないと言ったのに、強引に婚約を決めるんだよ。酷いよねレン」
「いや、レイジ兄さんが悪いと思うよ。それでクレア王女は今もギルドの依頼をしているんですか?」
「はい、やっていますわ。ほとんど私が蹴散らしていますけど」
「レン君、クレアは見た目は綺麗で可愛いけど、魔法は半端ないよ。おそらくSSSクラス並の実力はあるよ」
カイトがレンに説明をしていた。
「えっ、カイトそれは本当なの?」
「それは本当だよ。だけどいつもお城から居なくなっていたのは、レイジとギルド依頼をするためだったんだね」
「そうですわカイトお兄様、言ったら行かせてくれないでしょう」
「いや、普通は当たり前だろう。お前は国の王女なんだぞ! 何かあったら一大事だろう」
カイトはクレアに怒っていたが、反省はしてなかった。
「カイトお兄様はずるいですわ。半精霊なったから、自由に遊べますからね。レン様と色々遊んで羨ましいですわ」
「なんだとクレア、僕が心配しているのに」
「ちょっと、喧嘩はやめないか」
「黙っていて下さい!!」
マイクが止めようとしたら、カイトとクレアが怒鳴りつけたので、レンやレイジ兄さんが頭を押さえていた。
「レイジ兄さんは、クレアと似てませんか?」
「レンはそう思うのか」
「思うと言うか、態度が似ています。それにしても、これから生活が大変ですね。多くの貴族達や国の関係者が来るんでしょう?」
「それなんだけど、多分来ないよ。クレアは王族から離れるから、ごく普通の平民になるんだよ」
「えっ、そうなんですか?」
レイジ兄さんの説明を聞いて、レンがカイトに確認をしていた。
「そうだね。レイジが言っている事は正しいよ。クレアが平民の人を選んだ場合は、王族から離れる仕来りになっているから、クレアは平民扱いになるんだよ」
「それじゃ、この豪華過ぎる家は長く持たないよね」
家の維持費や警備兵などの資金はどうなるのか悩んでいると、レイジが答えを出していた。
「それについては心配しなくても大丈夫だよ。僕とクレアがギルドで大量の報酬を貰っているから、それにカイトとクレアの家族からこの敷地と家を渡されているから、家賃は無いんだよ。まぁ、警備兵や護衛などは国から勝手に来ているだけで、お金は払ってないよ。そうだよねクレア」
「はい、そうですわ。あそこで見た人達は国が雇っている人なので、一切お金は掛かりませんわ。あれはお父様とお母様が、護衛の為に付けたものですから、安心して下さいレン様」
クレアが呆気なくバラすので、レンはついて行けなかった。
「それじゃ、家は豪華になったけど、普通に生活して大丈夫何ですか?」
「まぁ、そう言う事になるね。僕とクレアが結婚式を挙げたら、普通になるよ。多分、父さんと母さんは普段の仕事に戻るよ。それまでは、多少マナーがあるけど理解してよ」
「分かりました。それで結婚式はいつ何ですか?」
「それは、二年後ですわ」
「はい、あのもう一度良いですか? 僕の聞きまちがえだと思うので」
「レン、二年後だよ! 僕達はまだ結婚式を挙げる年齢じゃないからね」
二年後と聞いて、頭を押さえていた。
「僕はやっぱり学生寮で暮らします。二年間も貴族みたいな事は出来ません」
「レン、それは大丈夫だよ! 結婚式が近くになるまでは貴族の人達は来ないから安心してよ」
「本当ですかレイジ兄さん」
「あぁ、本当だよ。そうだよねクレア」
「はい、大丈夫ですわレン様。今まで通りに生活をして下さい」
レイジとクレアに言われて、ホッとしていた。
「それで僕の部屋はどこにあるんですか?」
「あぁ、それなら案内するよ。レンの荷物も整理してあるから綺麗だよ」
レイジ兄さんに案内されて、二階に移動すると、大きな扉に来ていた。
「ここがレンとレオスの部屋だよ」
部屋を開けると豪華な部屋で、かなり広かった。
「ここが僕とレオスの部屋何ですか? ちょっと広すぎませんか」
「凄いよレンお兄ちゃん、二人用のベッドだよ。しかもフカフカで良い匂いだよ」
レンとレオスは部屋をくまなく見ていた。
「僕が使っていた品物はちゃんとありますね。レイジ兄さんが整理したんですか」
「そうだよ。レンが使い慣れた位置に置いたんだよ」
「そうですか、配置が同じなので気になっていました。それでレイジ兄さん、友達用の部屋はあるんですか?」
レイジ兄さんに聞くとあると言っていたので、案内されると二人は驚いていた。
「うぁ、凄いよ。僕達の部屋と変わらないんだけど、レオス、ファングとレイスを連れて来て、ファングはもしかするとカイトのままかも知れないけど呼んで来て」
「うん、分かったよ」
暫く待つとレオスがファングとレイスを連れて来た。
「レン、急にここに呼び出してどうしたんだ」
「そうですよ。急に言われたのでびっくりしました」
「アハハッ、ごめんね。それよりもファングとレイスが泊まる部屋だよ」
レンが指さすと、ファングとレイスは驚いていた。
「えっ、俺達二人でこの部屋を使うのか?」
「なんか広すぎて落ち着きませんよ」
ファングとレイスは豪華過ぎる部屋を確認していた。
「本当にここで、俺とレイスが寝るのか、レンの部屋じゃあダメか」
「えっ、折角友達用の部屋があるんだから、遠慮せずに泊まりなよ」
「そうだけど、やっぱりレンの傍が落ち着くよ」
「僕もレン師匠と一緒の方が落ち着きます」
「アハハッ、本当、レンの友達は仲が良いよね。分かったよ、ならレンの部屋にベッドを入れて置くよ。僕の空間魔法でやって置くから、下に戻っていなさい」
「すみませんレイジ兄さん、僕の友達がわがままで」
レンはレイジ兄さんに謝っていたが、気にしていなかった。
「戻って来たわね。どうだったの、ファング達が泊まる部屋わ?」
アリスに聞かれたファングは、泊まる部屋を説明するとかなり驚いていた。
「凄いわ。貴族の私でもそんな広すぎる部屋は無いわよ」
「アリスの家でも、こんなに広い部屋は無いんだ。それじゃ僕の家が異常なんだね」
「酷いよ、レン、折角私とクレアが考えて、あの広さを作ってあげたのに」
「レイジ兄さん、広すぎですよ。しかも、こんな街外れにこんな立派な家がそびえ立だけでも、目立つのに」
「良いじゃないですか、フォワード家の名前を目立たせる良い機会ですよ」
レイジとクレアがウキウキなので、何も言っても無駄だった。
「はぁ、もうやってしまったら取り返しはつきませんけど、僕は普通に生活しますからね」
「分かりましたわ。自由に生活して下さいレン様、何かあったら遠慮しないで、クレアお姉ちゃんに言って下さいね」
クレアが全然反省してなかった。
はぁ、なんかレイジ兄さんに似ていて疲れるよ。もう嫌だな、完全に目立って、これから僕の生活はどうなるの?
目立ちたくなかったのに、自分の家が目立っているので、今後の生活がどうなるのか不安だった。
「ところでレン達は夕食はまだ何だろう」
「はい、そうですが」
「なら、一緒に食事をしましょうか、シェフ、レン様達に料理を宜しくお願いするわ」
「畏まりましたクレア様」
クレアが専属の料理人に頼んで、暫く待つと豪華な料理が次々と出て来た。
「さぁ、レン様食べて下さい。帰って来たお祝いですわ」
クレアが笑顔で見ていた。
「うぁ、凄いわ。貴族の私でもこんな料理は初めてだわ」
「僕も初めてだよ、カイトどうやって食べるの?」
「普通に食べれば良いよ。うーん美味しいよクレア」
「カイトお兄様、レン様が先ですよ」
「えっ、ケチるなよ。僕もレン君の家族でしょう」
「そうですけど、カイトお兄様は精霊でしょう」
カイトとクレアが喧嘩をしていたが、レン達は食事を始めていた。
「うーん、凄い美味しいです」
「喜んでくれて、うれしいですわ」
「本当に美味しいわ。さすが専属の料理人ね。かなりの腕がないと専属には慣れないわ」
アリスが料理を見ながら、頷いていた。
「それで、レンとレオスは何時まで、居るんだ」
レイジ兄さんが見つめながら、聞いていた。
「そうですね、夏季休暇のラスト三日まではいる予定ですよ」
レンが言うと、レイジとクレアが喜んでいた。
「なら、今度、私と買い物に行きませんかレン様」
「クレア、僕がレンと遊ぶんだよ」
「レイジ様は、小さい時からレン様と遊んでいるでしょう」
レイジとクレアがレンの事で喧嘩していた。
何で僕の取り合いで喧嘩するの、友達が居るんだから他でやってよ。あぁ、恥ずかしい。
レンは目線を逸らしていた。
「すみませんが、僕はアリス達と冒険するので、付き合いませんから」
「レン、それは酷いよ」
「そうです、私はレン様と一日過ごしたいですわ」
「クレア様、レン君と一緒に過ごすのは許せません」
「ちょっと、部外者が入らないで下さい」
アリスも噛みついて収集が付かなくなっていた。
あぁ、何でアリスも混ざるんだよ。
これ以上、事態が悪化しそうなので、レンは渋々と快諾する事にした。
「レン君、何で快諾するの」
アリスが怒っていた。
「何でアリスが怒るの? これは家族の問題だから、僕が決める事だよ」
「それはそうだけど」
「それじゃ、レンいつ僕と過ごすの」
「レン様、何時ですか」
レイジとクレアがウキウキしていた。
「なら、僕達が学園に戻る三日前なら、予定をあけますから良いでしょう」
「うーん、分かったよ。僕も予定をあけるよ」
「私も予定をあけておきますわ」
レイジとクレアは凄く喜んでいた。
はぁ、なんか地獄の最終日を迎えそうだよ。
食事が終わると、レン達はアリスを見送っていた。
「それじゃ、レン君、また明日ね」
「うん、また明日、気をつけて帰ってね」
「多分、大丈夫よ。なんせこれですから」
門の前には、クレアが用意した馬車が止まっていた。
「アハハッ、そうだね。それじゃ気をつけて」
「ファング、レイス、レン君を宜しくね」
「あぁ、任せろと言いたいけど、この警備兵なら大丈夫だろう」
「そうですね、こんなに居ると大丈夫ですね」
見送りの門の前にはたくさんの警備兵がいた。レン達はアリスを見送るとレンの部屋に戻っていた。
「本当にベッドが移動してあるぜ。さすが空間魔法を扱えるお兄さんは凄いぜ」
部屋に入るとダブルベッドが二つあった。
「それにしても、なかなか落ち着かないよね」
突然、変わり果てた部屋についていけなかった。
「そうだな、貴族の俺でもこんな広い部屋は初めてだよ」
「僕もですよ。さすが王族生まれは考え方が凄いですね」
ファングとレイスが部屋を見ながら、話していた。
「カイトは王族だから、慣れているよね」
「そんなわけないでしょう。僕だって、中々慣れないよ。それに僕の部屋よりも広いよ」
カイトはファングの口を借りて喋っていた。
「そうなんだ、僕の家が異常なんだね。レイビィスはどうなの? 魔神族の王族生まれだから、このくらい広い部屋はあるの?」
レイビィスに確認すると、レイスの口を借りて喋っていた。
「いや、ないぜ。俺様も初めだよ。こんなに広い部屋があっても、特に使う所が分からないから、普通の部屋で過ごしていたぜ」
レイビィスにも確認して、自分の家が異常過ぎる事が判明して、頭を押さえていた。
「まぁ、気にするなよ」
「気にするよ。僕の家が常識外れだと分かったから、これからレイジ兄さんとクレア王女に色々されるよ」
「まぁ、あの様子を見れば、当然かな」
「ファングはどっちの味方なの?」
家の事を色々と話し終わると、レイビィスの事を話していた。
「ねぇ、レイスはレイビィスと色々と話すの?」
「はい、そのつもりですよ」
「そうか、なら頑張れよ。お前はレイスでレイビィスなんだから」
「分かりましたよ」
「それじゃ、僕は寝るね。トレンズの森で疲れたから」
「それもそうだな、今日は色々あったな」
「そうですね」
「レオス、おいで、一緒に寝ようか」
「うん、レンお兄ちゃんと一緒に寝る」
四人は今日一日を振り返るとベッドに入って眠りについた。
「やっと来たなレイス」
レン、ファング、レオスが寝ている中、レイスは眠りながら、精神の中に来ていた。
「ごめん待たせたね」
「いや、大丈夫だよ。それじゃ話そうか」
レイスとレイビィスは二人の方針を話していた。
「えっ、僕と完全に一つになるんですか? しかも究極モードなんかあるんですか?」
「あぁ、そうだぜ、お前と俺様が表側に出た状態だぜ。そうすれば、俺様は完全にお前の物だよ。その証拠の紋章も刻まれるしな。簡単に言えば対の刻印だな。そうすることで、俺様は一生お前の中で生きられるしな」
レイビィスは究極形態になりたいと言っているが、レイスは嫌がっていた。
「そんな事をすれば、僕とレイビィスの自我がおかしくなりますよ」
「アハハッ確かにだけど、紋章を刻んだ方が安心だろう。俺様を拘束出来るし」
「そうかも知れませんが」
「俺様は完全にお前と一つになりたいんだ。俺様が復活した事が分かれば、お前達を巻き込む可能があるんだぜ。だから俺様は完全にお前の肌質の魔神形態を取りたいんだよ。お前は人間と魔神族のハーフと名乗れるようにな」
レイスが悠長しているので、レイビィスが色々と想定して、レイスが受け入れやすくしていた。
「レン師匠達が巻き込まれる可能性があるんですか?」
「あぁ、可能性は否定出来ないよ。俺様を封印した奴からが、俺様に気付いたら、何されるか分からないぜ。だから早くやって生まれ変わりたいんだ」
「分かりました。やりましょうレン師匠達を巻き込みたくありません」
レイスがやると言うと、レイビィスは不気味な笑みがこぼれていた。
「それじゃ、始めようか、レイスの精神を貰うぜ」
「うっ、うぁ」
レイビィスは勢いよく、レイスの中に入ると、全身から黒い物が包み込んでいた。次第にレイスの本体にも黒い煙が吹き出して、新たな体を形成されていた。
ふむ、完全に俺様の体になったかぁ。
謎の少年は新しい体を確認していた。
なるほど、顔はレイスで耳などはレイビィスを形成しているのか?
少年は自分の体をくまなく確認していた。
ちゃんと額に紋章を刻まれているな。
レイスとレイビィスが混ざった髪を捲りあげて確認していた。
さてと、体も確認したし、名前を決めるか。
少年は悩んでいた。
やっぱり、レン師匠に決めて貰うか、俺様じゃ決められないよ。それじゃ、もとに戻るかな。
少年は目を瞑ると全身から黒い煙が吹き出して、元に戻っていた。
「はぁ、何だ今の感覚は」
レイスは目を見開いて、体を確認していた。
「これが、究極モードだよ。不思議な感覚だろう。俺様とお前が形成した新たな人格だよ。まぁ、俺様とお前の人格が融合しただけど」
「レイビィスは僕を乗っ取るんじゃないのか、あの時不気味な笑みをしていただろう」
レイスはレイビィスの仕草を見逃していなかった。
「アハハッ、気付いていたのか、別に乗っ取るつもりはないよ。ただこれで、俺様の存在は消せたからな」
「どう言う意味だよ」
「もう入れ替わっても肌質や肌色はお前に近い色になるから、バレにくくなるんだよ。それにほら、紋章が刻まれたから、もう逃げられないぜ。多分、表側にはもう現れないから、俺様が寄生しているのは分からないぜ。どうだ凄いだろうアハハッ」
レイビィスは自慢していた。
「それよりも、究極モードの時の名前はどうするの?」
「それについてはレン様に委ねようぜ、勝手に決めて怒られるの嫌だから、俺様消えたくない」
「それもそうですね、それじゃ僕は寝ますね。これからは定期的に話しましょう」
「あぁそうだな。俺様の事で迷惑掛ける可能性があるから、お前と話して、対策練ろうぜ」
レイスとレイビィスが今後の事を決めると、レイスとレイビィスは精神の中で眠りについたのだった。
次回更新は明日の予定です。温かくお待ち下さいm(__)m未定に変わる可能もありますm(__)m




