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異世界転生したらヒロインや仲間が最強すぎて、なぜか護られています!  作者: 緑青白桃漠
第5章 長い夏季休暇中に巻き起こる冒険と新たな事件 最終節 学園が始まるまで遊び尽くす五人と新たな悩み!
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#69 トレンズの森で大苦戦!

お待たせしました。第69話公開です。残りの休暇を自宅で過ごす予定だが、帰りの道が前より‥‥‥さぁどうなる五人(。>ω<。)

ここから、レイス=レイビィスになるよ。のちにレイ=レイス&レイビィスから、レイ=レイスに統一されるけどそれはもう少し先のお話、とりあえず頭に入れておこう。

 コロッソ村の事件で五日程度足止めをくらい、五人はようやくフォード王国に戻っていた。


「はぁ、やっと戻って来たよ」


 自衛団などの厳しい事情聴取をから解放されて、喜んでいた。


「そうね、何とか誤魔化せたわね」


 五人はコロッソ村の殺人事件の犯人じゃない事が分かり、ある程度聴取を受けて、解放されるまで五日も掛かった。


「やっぱり、レイスが疑われたな。喋り方がアルビィスに似ていたからな」


 あれから色々と事情聴取をされて、自衛団がレイスを一番疑っていたので五日間も掛かった原因である。


「そうですね、僕がもう少し、喋り方の練習をすれば疑われなかったのですが」


 レイスはこれ以上迷惑を掛けないように、喋り方の練習をして本来の口調に戻すと、自衛団の人達は怒っていた。


「あれはまずいだろう、あの喋り方はワザと言ってました、何て普通は怒るよ。隠蔽工作だと見られるぜ」

「確かにそうですけど、皆さんにこれ以上迷惑を掛けたくなかったんですよ」


 レイスは四人に謝っていた。


「まぁ、最後は魔力検査で何とか誤魔化せたけどな」

「そうですね、これも魔神族レイビィスのおかげですよ。ありがとうレイビィス!」


 レイスはお腹を触りながらレイビィスに感謝していた。


「しかし、レイビィスは凄いよね。完全にレイスの魔力に変化させて、魔力探知に引っ掛からないようにしているんだから」

「それが魔神族の力何でしょうね。まだまだ隠された力や能力がありそうよね」


 レイビィスの力で五人は何とか、コロッソ村から出ることが出来た。


「コロッソ村はこれからどうなるの?」

「おそらく犯人は引き続き調査されるな。だけど俺達が疑われる事は無いぜ。おそらくレイビィスに変わっても姿はレイスだから大丈夫だよ。中身は違うけど」

「そうね、それに暫くすればコロッソ村はまた立ち直るわよ。だから安心して」


 ファングとアリスに言われて、レンはホッとしていた。


「レイス、ちょっとお腹を触って良い」

「えっ、別に構いませんよ」

「ありがとうレイス、ねぇ聞こえるレイビィス、僕達の為に色々やってくれてありがとうね。だから君がやった事はちゃんと反省してよ」

「レン師匠、レイビィスがごめんなさいって謝っているよ。償いは何でもするから、俺様をずっとレイスの中に居させてだって」

「そう、ならちゃんと償ってね」


 レンはレイスのお腹に手を当てるとレイビィスがお腹を動かしたり、レイスを通して謝っていた。


「しかし、かなり時間を削られたな。もうそんなに休みが無いぜ」


 夏季休暇がもう三週間くらいしか無いなので、どうするか聞いていた。


「こうなったら、僕の家に帰ろう! 残りはリノワール王国周辺で過ごそう。どのみち、そろそろ戻らないと行けないし」

「そうね、その方が良いわね。どのみちまた事件に巻き込まれるよりマシだわ」

「それもそうだな。ならリノワール王国に戻ろうぜ」


 残りの期間をリノワール王国周辺で過ごす事を決めて、ファングがリノワール王国に向けて歩き出そうとしたら、レン達が止めていた。


「その前にリノワール王国でパイリンゴジュースを大量に買わないと」


 以前、レイン王国の自衛団の船に乗っていた時にパイリンゴジュースについて聞いていたので、大量に購入しようと考えていた。


「おい、俺が今、リノワール王国に行こうとしたのに買い物かよ」

「アハハッ、レン師匠らしいですね。僕も買い物しながら、軽い物を食べたいですね。レイビィスが魔力と別に栄養分も奪うので、ちょっと補給です」


 レイビィスはレイスの魔力を貪って吸収している他に、栄養分も摂取しているので、レイスは常に二人分のカロリーを取る必要があった。

 

「僕も何か食べたい」

「お前ら‥‥‥」

「良いじゃない、私も買いたい物があるし」

「アリスもかよ」


 ファングを除く四人が、買い物をしたいと言ったので、頭を押さえていた。


「アハハッ、僕も色々とみたいな」

「はぁ、カイトもかよ」


 五人はフォード王国の街中を歩き、めぼしい品を買いあさっていた。


「なぁレン、そんなに大量に買うのか?」

「えっ、そうだけど会計お願いします!」


 レンは大量のパイリンゴジュースを抱えて、支払いをするとファングを連れて人がいない所に来るとフォレストの中に入れていた。


「それじゃ、カイトこれを冷蔵庫に詰めて置いてよ」

「えっ、分かったけど、こんなに大量なの」


 パイリンゴジュースの量を見て驚いていた。レンはカイトに手渡すと足早にフォレストの中に出て、アリス達と合流していた。


「お待たせ、ちょっと待った?」

「大丈夫よ、それよりもファングがうな垂れてない」

「誰のせいだと思っているんだよ。この荷物も俺の中に入れるのかそうだろう。何でレンよりお前の荷物が多いんだよ」


 アリスが買った品を基本的にフォレストの中に締まっているので、ファングが怒っていた。


「ファングさんが、壊れていますよ」

「大丈夫よ、さぁ行きましょう()()()()

「俺は荷物入れじゃない!」

「レンとレオス君はちょっと待ってね。レイス君、荷物を持ってついて来て」

「分かりました」


 ファングは嫌がっていたが、強引にアリスが引っ張って人がいない所に連れて行った。


「ファングお兄ちゃん大丈夫かな?」

「アハハッ、多分大丈夫だと思うより」


 暫く待っているとアリスとレイスが帰って来たが、ファングが戻って来なかった。


「あれ、ファングは?」

「大丈夫よ、少しすれば来るわよ。ほら来たわ」

「げっ、何かファングが死にそうな表情をしているけど」


 ファングはふらつきながら、レンに倒れ込んだ。


「もう嫌、これ以上入れたら、マジで死ぬ」

「そんな分けないでしょう! さっさとやらないから、私が活を入れてあげたのよ」

「そうなんだ、あんまりファングを苛めないでよ。ファングは僕の精霊なんだから一応」


 ファングの顔色が悪いのでアリスに注意していた。


「レン、心の癒しだぜ。アリス、もうやるなよ」

「はぁ、レン君は甘いよ」

「アリスさんのやり方がまずいと思いますよ」

「何か言ったレイス君?」

「いえ何でも」


 アリスが睨むので、レイスが目線を逸らしていた。それから五人は街中を散策しながら、食べ物を買って食べていた。


「なぁ、レイス、何でお腹を撫でながら食べているんだ」


 食べながら時々、お腹を触っているので気になっていた。


「これはレイビィスに美味しいか確認しているんですよ。魔神族の好き嫌いが分かりませんからね。なるべくレイビィスの好物をあげたいと思っただけです」

「へぇ、そうなんだ。てっきり魔力と分解した栄養分かと思ったよ」


 アルビィスが適当に人々を襲っていた時に、そうかなと思っていたが、レイスが否定していた。


「僕もそう思っていたんですけど、レイビィスと一つになった時の最初の食事で、拒否していた食べ物があったんですよ。まぁ、僕は関係ないので食べましたけど、僕の胃袋にはもう一つレイビィスの胃袋があるみたいです。レイビィスは僕が口に入れた物や味を確認して、美味しいと分かると、胃袋にいく手前に形成された弁を動かして、レイビィスの胃袋に誘導されるみたいです。レイビィスの胃袋に食べ物が流れている時は、僕の胃袋には全然溜まらないのが難点ですけど、結局は共有されているので、どっちでも良いんですけどねアハハッ。ただほとんどレイビィスに持っていかれるので食べた気分になりませんよ。レイビィスは凄く嬉しそうに喜んでいますけど、ずるいですよね。食べているのは僕なのに!」


 レイスの熱い熱弁を聞いて、アリスが若干退いている。


「何か凄いわね。あまり聞きたく無い内容だけど興味深いわ。だけど、お腹を触らなくても、話せるよね。レイス君が変態に見えるわ」

「えっ、そうなんですか。なら仕方ないですね。僕も変態は嫌だですから、お腹を触るのやめます」


 アリスに指摘されて、レイスは慌ててお腹を触る仕草をやめていた。


「それじゃ、そろそろリノワール王国に向かおうか、夕暮れ前には戻らないとね」

「そうね!」

「また、あの森を通るのか?」

「通らないと帰れませんよ」


 五人はフォード王国からフォード街道を歩き、トレンズの森にやって来た。


「うぁ、前よりも更に、植物がボウボウだよ」

「本当に整備する気あるのか?」

「これはさすがに凄いわね!」

「これは本当に道何ですか?」

「ここ通るの嫌だよ」


 トレンズの森からリノワール王国に続く道は大量の植物で道が塞がれていた。


「これ、今日中に帰れないよ」


 リノワール王国に帰る道はここしかないので、五人は技を繰り出しながら、前に進んでいた。


「何か俺達が道の整備してないか?」

「それを言ったら終わりだよ」


 ファングが気付いてはいけない事を言っていた。


「しかし、これをずっと続けるのも辛いですね。修業になりますけど、魔力とスタミナが奪われます」

「確かにそうよね。でもやるしかないわね」


 その後も植物をかき分けながら進んだが、全然進んでいる気配を感じなかった。


「はぁはぁ、もうダメ!」

「私もだわ」


 ファングを除く四人がへばっていた。


「何でファングさんは疲れないんですか? はぁはぁ」

「いや、俺は精霊だから疲れないよ。あまり無理するなよ」

「それにしても、本当にこの道は使っているの? 何か別の道がある感じがするけど」


 五人が通って来た道は明らかに、人が通った気配を感じなかった。


「絶対に別の道があるわね。だけど、通ってしまったものはしょうがないわ。今更戻るのも酷だわ」

「それもそうだね。ファング、飲み物を出して」

「はぁ、仕方ないな。カイト、飲み物を手渡せる状態にしろよ」


 ファングは服で隠しながら、お腹に手を突っ込むと飲み物を取り出して、四人に渡していた。


「ありがとうファング、うーん生き返るよ」

「さすがファングね。もうフォレストの姿にならなくても簡単に出せるのね」


 フォレストの姿にならなくても簡単に物の出し入れをしているので、アリス達が驚いていた。


「このくらいの大きさなら、いちいちフォレストになる必要ないだろう。俺も常に考えているんだよ、凄いだろう。フォレストの体内と俺のお腹を一時的にリンクさせて、取り出しているんだぜ」

「そうね、凄いわ」

「お前、気持ち悪いと思ってないか?」


 アリスが変な目で見ているので、ファングが噛みついていた。


「まぁまぁ、ファングは凄いよ。これなら、バレずに物の出し入れが出来るね」

「そうだろうレン、ただしお腹の大きさを超える物は、フォレストにならないといけないから気を付けろよ」


 レンに言われると何故か喜んでいる。


「うん、分かったよ。ファングも休憩しなよ。僕の飲み物あげるから」

「ありがとうレン、だけど大丈夫だよ、気持ちだけ受け取るぜ。俺も飲み物を買ってあるからな。カイト、さぁ渡して」


 ファングはカイトから飲み物を受け取ろうと、お腹に手を突っ込んだ。


「あれ、カイト、何で飲み物をくれないのかな?」

「えっ、それは飲んだからだよ。はぁ美味しかったよファングの大好きな飲み物! ほらファングも感じるよね、体に染み付く様子が、これで水分補給はオッケーだね」

「オッケーな分けないだろう! 俺の飲み物を返せ!」


 ファングはお腹に手を突っ込んだ状態で、フォレストの精神の中に行き、カイトと喧嘩していた。


「ファングは何をしているのかしら? お腹に手を突っ込んだまま固まっているわ」

「さぁ、カイトと喧嘩でもしているんじゃない。それにしても、変な姿でやらないで欲しいよ」


 四人がファングの姿を見て、色々と話していた。


「はぁはぁ、マジで死ぬよ。確かに水分補給は出来たけど、口がカラカラだよ」


 カイトが代わりに飲んで、水分補給は出来ているが、ファングの口は渇いていた。


「なら、残り少ないけどあげるよ」

「良いのかレン、うーん生き返るぜ。やっぱりレンは俺の支えだよ」

「だから、すぐに抱き付かないでファング!」

「相変わらずレン君には弱いんだから」


 五人は水分補給を終えると、リノワール王国の方向を見ていた。


「それにしてもまだまだあるわね」

「そうだね、何か地獄だよ」


 見渡す限り植物で埋め尽くされているので、どうするか悩んでいた。


「だったら、アクト達を使えば良いだろう。ずっと使って欲しい目線を送っているぜ」


 精霊四人がずっとレンを見つめていた。


「そうだけど、ここで精霊を使ったら、僕の魔力が奪われるよ。現に今こうして魔法などを使っているから、また枯渇するよ。精霊はあくまでも最後の手段ね」

「それもそうだな。アクト達、そう言うわけだよ」


 ファングが言うと、アクト達は納得しなかった。


【どう言う分けだよ。納得がいかないぜ】

【そうだね、僕達も手伝いたいよ】

「レン、どうするんだ?」


 ファングがレンを見つめる。


「いや使わないから、アクト達もそんな目で見ないの、とりあえず、あとどの位の距離があるか見てきてよ」

【はぁ、仕方ないな。レンの頼みならやるしかないか】


 精霊四人はレン達の手伝いをしたかったが、レンの命令で周辺を確認しに飛んで行った。


「相変わらず自由過ぎる精霊だよな」

「そうだね。それよりもレイスは魔神モードを使わないの? 折角レイビィスと一つになったからレイビィスの力をみたいなぁ」

「それ良いな、レイビィスの力を見る良い機会だぜ。レイス、やってみないか?」


 レイスの方向を見ると、嫌そうな表情をしている。


「どうしたのレイス?」

「レン師匠! レン師匠は僕よりもレイビィスの方が良いんですか?」

「どうしたの急に?」

「もしレイビィスの方が優秀なら、僕は裏側に回ると思って」


 レイビィスが優秀の場合、ずっと魔神モードで行動されると危惧していた。


「あぁ、成る程な、お前の気持ちは分かるぜ。もしレイビィスが万能なら、レイスを使う必要がないしな。そうなればレイスはレイビィスに体を乗っ取られた状態だしな」

「レイスそんな事を気にしていたの? 大丈夫だよ。レイスを消したりしないよ。だって体の持ち主はレイスでしょう。レイビィスの力はレイスの一部なんだから、自信を持ちなよ」

「レン師匠、僕はレン師匠の仲間でよかったです」


 レイスの存在を消したりしないと言われると、笑顔で答えていた。


「それじゃ、やりますね」

「うん、よろしくね、レイス! ただしレイスはレイビィスの中で見てないで、ちゃんとレイビィスを導いてよ」

「レイス、レンの言葉の意味を理解して、レイビィスの力を自分の物にしろよ」

「分かりました。それじゃ行くよレイビィス! 魔神モード切替」


 レイスはお腹を触りながら叫ぶと、黒い煙が全身から吹き出して、レイビィスと入れ替わっていた。


「アハハッ、俺様登場だぜ。はぁ、久しぶりだ外の空気は」


 レイビィスは表側に出られて喜んでいた。


「レイビィス、悪いけど君の力を見せくれないかな」

「うん、レン様が俺様に頼み事か?」


 レイビィスがレンの所に素早く移動して、レンの表情を見ていた。


「レイビィス、レンに向かって、何て口の聞き方なんだ!」


 ファングが怒っていた。


「あぁ、お前には聞いてないよ失せろ!」

「何だと」

「ファング、レイビィス、黙ってくれないかな。特にレイビィスはお仕置きが必要かな」


 レンの表情がやばい事を悟り、ファングとレイビィスが怯えていた。


「レン様、今のは軽いのりだよ」


 レイビィスは必死に弁明していたが、レンはレイスに命じていた。


「レイス、聞こえているよね。やっぱりレイビィス使えないから、今から罰を発動して」

「レン様、もう一人の俺様に何の命令を‥‥‥うっ、うぁ、何だこれ頭がぁ、やめろ俺様があいつに奪われるだと、やめろ!」


 レイビィスは頭を押さえて苦しんでいた。


「レン師匠の命令だから、さっさと僕に魔神モードの体を下さい」

「誰が貴様なんかに、うっ、やめろ、頼むから許してレン様!」


 レイビィスは精神から話す、レイスに敵意をむき出しにしていたが、レイビィスは為す術がなく、レンに助けを求めていた。


「レイビィス、反省するの?」

「するから許してレン様、俺様、消えたくないよ!」


 レイビィスが反省すると言うので、レイスに命令してやめさせていた。


「はぁはぁ、俺様、消えなくてよかった」

「レイビィス、反省したよね」

「うん、反省したから、もうしないよ。レン様の為に何でもやるから消さないで」


 レイビィスはレンの体に掴まり、謝っていた。


「なら良いけど、次もそんな態度なら、更にキツい罰があるから覚悟してね、()()()()()

「はい、気をつけます」

「やっぱりレンは魔神族相手だろうが、一番恐いな」

「そうね、レン君を敵に回すと恐いわ。おそらく魔王よりもたちが悪いわね」


 レイビィスの怯えを見て、ファングとアリスがコソコソと話していた。


「それじゃレイビィス、魔神族の力を僕達に見せてよ」

「うん、分かったよ。俺様の力をちゃんと見てよ」


 レイビィスはレンが指し示す方を見ると、一瞬で植物を切り裂いて、道を作っていた。


「えっ、今何をしたのレイビィス」


 あまりの早技で何が起こったのか、理解出来なかった。


「スゲー魔法だぜ」

「ファング、今の魔法なの? 何も見えなかったわ」


 ファングは精霊なので、レイビィスが放った魔法をくっきり見えていた。


「あぁ、こいつ、一瞬目が光った途端、黒いボール状が無数に現れて、植物を切り刻むと言うか、黒いボール状が触れたら、溶かされているようにも見えたぜ。とにかく凄すぎだよ」


 ファングは見た事を、身振り手振りで表現していた。


「呪文を唱えないで魔法を発動するとか、上級者レベルだわ。しかも目を光らせ発動とか、さすが魔神族だわ」


 アリスはレイビィスを見て、色々と考えていた。


「どうだレン様、俺様の力凄いだろう。たくさん褒めてよ」


 レイビィスは自慢しているので、レンは苦笑いで答えていた。


「アハハッ、そうだね。凄いよレイビィス、後でご褒美あげるね」

「えっ、本当、レン様! なら、もっとやるぜ」


 レイビィスが喜ぶと、次々と道を塞ぐ植物を蹴散らしていた。


「凄いわね。これなら楽にトレンズの森を抜けられるわね」


 レイビィスが道を作ってくれるので、四人は後ろからついていた。


「それにしても、アルビィスがレイスの体に寄生してくれてよかったよね」

「そうだな。あんな力を見せられたら、今頃俺達は死んでいたぜ」

「そうね、アルビィスがレイスの体に、寄生してくれて幸いだわ」


 もしアルビィスがレイスの体を出ていたら、今頃四人は生きているのか想像していた。


「レン様、どうですか俺様の力は」

「えっ、凄いよレイビィス、その調子でお願い。でも何で様呼びなの?」

「それはレン様が一番偉いからです」

「へぇ、そうなんだ」


 レイビィスが何回も自慢してくるので、レンはその都度褒めて、機嫌を損ねないようにしていた。それから暫くすると、レイビィスは疲れていた。


「あぁ、腹が減った。レン様、俺様ペコペコで力が出ないよ。何か食い物を寄こせ」


 レイビィスのお腹は鳴り響いていた。


「そうだね、ご飯にしようか、アリス良いよね」

「そうね、私達もお腹が空いてきたし、食事にしましょう」

「やった、早く飯にしようぜ。俺様ペコペコだよ。とりあえず一端、レイスに戻るぜ」


 アルビィスがレイスと入れ替わると言ったので、レンが驚いていた。


「えっ、そのままで良いよね?」

「いや、俺様は一端戻るよ。俺様が生まれ変わった姿を見て欲しいんだ。俺様は役目の終えたら戻るって決めたんだよ」

「ちょっと待て、お前、記憶が消えてないだろう。普通なら一端戻るとか言わないよ。それに生まれ変わったなんて言わないし、あの魔法の使い方を見れば変だと思うぜ」

「アハハッ、さすがファングだね。君が命令する前に特殊な魔法で防いだよ。だけど勘違いするなよ。俺様はお前達を襲う気なんかないぜ。レン様達を見ていると俺様が惨め何だよ。俺様が今までやってきた事はただの自己満足だと知ったんだ。だから俺様は決めたんだ、過去を捨てて、レン様に尽くせばもっと俺様を楽しませてくれると知ったからな。だからレン様、俺様を消したりしないで、頼むから、俺様の力を好きに使って良いから、こいつの体に寄生させてお願いだよ」


 レイビィスは涙目で四人に訴えていた。


「レイビィスを消したりしないよ。ただし消すかはレイスが決める事だよ。もし君が過ちを犯せば分かるよね」

「うん、分かっているぜ。もうしないよレン様の命令には従うから」

「じゃあ、好きにすれば良いよ。人間を殺めたりしない限り自由に生きなよ」

「ありがとうレン様」


 レイビィスは喜んでいた。


「なぁお前は本当にレイビィスで生きるのか?」


 レイスと入れ替わる前にファングが尋ねていた。


「あぁそのつもりだけどなんか文句あるのか?」

「いやないけど、なんか素直に受け入れているから不思議だと思って」

「その事かぁ。俺様は同じ魔神族に封印されたんだよ。あまりに危険な存在だと、一族で危惧されたんだよ」

「お前、家族から追放されたのか?」

「そうだよ。だから俺様は復讐するために、人間を襲ったんだ。封印されている間に俺様の力は弱ったから、人間の魔力や養分を摂取して、本来の力を取り戻そうとしたんだよ。結局、貴様らの策にやられて、この状態何だろう! だけど、お前らに捕まって、色々と気付かされたから、今の俺様がいるんだよ。それに俺様の帰る所はないから、レイビィスとして、生きようと決めたんだよ。どうせ俺様の肉体は完全に人間のこいつと融合されて、元の姿に戻れなくなったから逆に都合が良いだろう」


 レイビィスは今にも泣きそうな声で、四人に言っていた。


「そうか、悪かったな。お前の過去を聞いて、だけどもうお前は一人じゃないぜ。お前には俺達がいるからな」

「そうだね、レイビィスは僕達の仲間で家族だよ。レイビィスが恐ろしい力を持っていても、僕達は絶対に見捨てないから安心してね」

「レン様、俺様一生レイビィスで生きて、皆に尽くすよ」


 レイビィスはレンを抱きしめて泣いていた。


「それじゃ、レン様、俺様は一端戻るぜ」

「うん分かったよ。食事が終わったらまた宜しくね」

「あぁ任せな。それじゃ行くぜ。レイス、後は頼むな!」


 レイビィスからレイスに変わると五人は食事を始めていた。


「それにしてもレイビィスは何故、僕と入れ替わったんでしょうね」


 またレイビィスと入れ替わるのに、何で面倒くさい事をするのか、疑問に思っていた。


「それはレン君の言葉を聞いてやったんだわ。レン君はレイス君に言ったよね。レイビィスはレイスの力の一種だって。多分、レイビィスはその言葉を聞いて、やっているのよ。やることがないなら自分は用済みだってね」

「僕は別にそう言う意味で言ったつもりはないのに、ごめんレイビィス」

「何でレン様が謝るんだよ。これは俺様の意思でやっているんだよ」

「えっ、何でレイビィスが出て来ているんだ」


 レンがレイスに向かって謝っていると、突然レイスの口を借りて喋っていた。


「何を驚いているんだ? 俺様はレイスであってレイビィスでもあるんだぜ。一時的に口を借りただけだよ。別にレイスを奪ったりしないから安心しろよ」

「いや、体を借りる事はだいたい分かっていたけど、突然だったからびっくりしたよ」

「そうか、悪かったな。話を戻すけど、あれは俺様が決めた事だから気にするなよ。それにレイスの姿でも俺様が表側に出るのは簡単なんだからな。基本的には魔神モードしか出る気はないけど、レイスの体を動かすのは簡単だからな」


 レイビィスはレンに伝え終わると、レイスの喋り方に戻っていた。


「レイス、違和感なかった?」

「違和感ありまくりですよ。勝手に口が動くんですから、意識ははっきり僕なのに、口だけ自由が効かなかったんですよ」


 口以外は自由に動いていたので、凄い違和感があった。


「へぇ、やっぱり俺と同じで運命共同体何だな。そんなに嫌ならレイビィスと相談して、仲良くやるしかないな」

「そうですね、レイビィスとは今度精神の中で会議をしますよ」

「それじゃレイビィス、レイスの体を自由に動かして見せてよ」


 レンが聞き慣れない言葉を発して、レイスの表情が曇っていた。


「レン師匠、何を言って、うぁ、体が勝手に引っ張られる、しかも口がぁ‥‥‥アハハッレン様凄いだろう、だけどやっぱり辛いな、この姿だと主導権はレイスだな」

「それだけ動かせれば充分だよ。もしレイスが危険だと感じたら手助けをしてね」

「任せて、こいつを失ったら俺様まで消えちゃうからな。しっかり通常モードをサポートするぜ、それじゃ、自由にしてやるよ‥‥‥はぁはぁ、酷いですよレン師匠、レイビィスの機能を確認するなんて、僕はそんなに役に立ちませんか?」


 レンの言葉を聞いて、レイスが怒っていた。


「万が一を考えただけだよ。レイスに死なれたら僕が困るでしょう。レイスは大事な仲間なんだから」

「レン師匠すみません、さっきは疑った事を言って」

「それじゃ、レイス、体をサポートされても口だけはレイビィスに奪われないようにしなよ」

「分かりました。それについては、今度精神の中でレイビィスと話します。どう言うふうに、すればレイスらしく出来るか考えるんです。そうだよねレイビィス、ほらレイビィスがお腹で相槌してますよ」

「アハハッ、そうなんだ。頑張って二人の意見をまとめなよ」

「はい、分かりましたレン師匠」


 レンはレイスにどん引きしていたが、レイスに任せる事にしていた。食事が終わると再びレイビィスに替わり、道を塞ぐ植物を切り刻みながら進んでいた。


「アハハッ俺様復活だぜ。エネルギーを大量に摂取したから俺様は負けないぜ」

「レイビィスが意味不明な事を言っているけど、大丈夫なのか?」

「私はレイス君の精神が混ざって、表側に現れたようにも見えるけど」

「確かに、まぁ体の持ち主はレイスだから、精神を犯されたのかも、レイビィスとレイスはイコールだしね」

「そうね、レイス君が混ざっていることで更にたちが悪いわ。だってレイス君のあの能力も加わったら、レイビィスは本物の魔神に近いしね」


 四人はレイビィスを見ながら、色々と話して、レイビィスの後ろをついて行った。


「はぁ、やっと出られたよ」

「そうね、さすが魔神族だけはあるわ」


 夕暮れ前に、トレンズの森を抜けて喜んでいた。


「アハハッ、生温いぜ。もっと俺様を楽しませろ」


 レイビィスは道を塞いだ植物に向かって叫んでいた。


「それにしても凄いな。一人で全部片付けるなんて、精霊の俺でも大変なのに」

「そうだね、アクト達はやりたかったみたいだけど」


 レイビィスを見ながら話していたが、精霊四人がレンの所に来て睨み付けていた。


【レン、酷いよ。俺達の出番がないだろう】

【そうだよ、僕達もやりたかったよ】

【私はレン様に力を見せたかったです】

【私もエレントと同じで、見せたかった】 

「ごめん皆、変わりに何かしてあげるから良いでしょう」

【なら俺達四人と一緒に寝かせろ、それで許してあげるぜ】

「えっ、精霊四人と寝るの」


 レンは嫌がっていたが、精霊四人が睨み付けていたので、しかなく受け入れると精霊四人は喜んで、レンの回りを飛んでいた。


「はぁ、とりあえず僕の回りを回らないでよ」

「なら、俺も良いだろう」


 ファングも精霊なので、アクト達と同様に一緒に寝ようと言っていた。


「ファングはダメだよ」

「えっ、俺も精霊だぞ、アクト達だけずるいよ」

「ファングは人間扱いだからダメ」

「酷いレン」


 ファングはレンを説得したが、オッケーをくれず、ガッカリしていた。


「ファング、我慢しなさい。自分で人間らしく生きると決めたんだから」

「ファング、頑張れ」

「何で俺がアリスとレオスに慰められるんだよ」


 ファングはアリスとレオスに慰められていたが、納得していない様子だった。


「レン様、さぁ俺様にご褒美を寄こせ」


 レイビィスはレンが言っていた事を忘れず、ご褒美を貰おうとしていた。


「そうだったね。何をして欲しいの?」 

「そんなの決まっているぜ、魔力を寄こせ」

「えっ、それで良いの?」

「あぁ、鱈腹魔力を食べたいです」

「そうなんだ。ファング宜しくね」


 レイビィスが魔力を食べたいと言うので、ファングに振っていた。


「レン、ちょっと待て何で俺なんだ! てかこいつレイビィスじゃなくて、レイスの欲望じゃないのか? レイビィスの口を借りてレイスが喋っているし」

「何を言っているのか理解出来ませんよファングさん? それにこの体は僕のですから喋れるのは当たり前です」

「ほら、表側に現れたなレイス!」


 一時的にレイビィスから主導権を借りて、レイスが喋っていた。


「これは僕とレイビィスが決めたご褒美ですから、さっさと魔法を下さい‥‥‥そう言うわけだよファング!」

「やめろ、レイビィスいやレイス来るな」

「逃げるなら、こうです。ダークチェンサー」

「グェ、離せ嫌だ来るな」

「さぁファング、俺様のお腹に魔法を撃て」

「誰がお前の腹なんかに」


 ファングが中々やらないので、レンは精霊の契約印でファングに命令していた。


「はぁ、ファング、レイビィスに向かって魔法をゴー」

「レン、やめて頼むから、イヤー」


 ファングはレンの命令に従って、黙々と魔法をレイビィスのお腹に放っていた。


「アハハッ、すげー本当に魔法を分解して吸収しているぜ。はぁ、ファングもっとくれ、これじゃ足りないよ。もっと俺様に魔法をくれよ」


 レイビィスはレイスみたいな発言をたくさん言いながら、ファングの魔法をお腹いっぱいになるまで、撃たせていた。


「ゲフ、俺様幸せ、こんなに大量の魔力を吸収したの初めてだよ」


 レイビィスはお腹を触りながら、満足しているが、ファングは死にそうな表情をしていた。


「はぁはぁ、マジで死ぬ。前よりも魔力を食べる量が増えてないか」

「仕方ないわよ、レイビィスの中にはレイス君がいるんだから食べる量は二倍でしょう」


 レイスとレイビィスはそれぞれ養分を補給しているので、摂取量は二倍である。


「うっ、確かに、それにしても酷いよレン、何で俺がこいつに魔法をあげるんだよ」

「えっ、ファングはレイスとレイビィスの保存食でしょう。前にファングがレイスに魔法をあげると言ったよね」

「言ったけど、それはレイスの時だろう? レイビィスが加わったらこの有様だぜ。これじゃ俺が死ぬよ」

「それは大丈夫だよファング! これはご褒美で限界まで食べただけで、普段はいつもの量で充分だよ」

「そうなのか、ならよかったぜ。それなら、大丈夫だな」

「結局、ファングがレイスの面倒を見るのね」


 嫌がっていたファングの態度がコロリと変わるので、アリスが呆れていた。


「はぁ、俺様幸せ、後はゆっくり中で味わうよ。それじゃレン様、何かあったらレイスを通して呼べよ。俺様、魔力の吸収に集中して、会話を聞いていないかも知れないから」

「分かったよ。レイスの中でお腹いっぱい食べなよ」

「うん、たくさん食べるよ。こんな天国みたいな体に寄生出来てよかったぜ」


 レイビィスは笑顔で喜んでからレイスに戻っていた。


「はぁ、ファングとカイトさんの魔力が染み渡りますね」


 レイスがお腹を触りながら、感想を述べていた。


「お前は鬼だよ。何で魔力なんだよ。もっと別の要求をしろよ」

「えっ、他に何があるんですか? 折角レイビィスにお腹いっぱい、魔力を食べさせてあげる機会が出来たから良いでしょう?」

「それはそうだけど、他に方法があるだろう」


 ファングは納得してなかった。


「ファング、レイス、話は後にしてよ。暗くなる前に戻るんだから」

「それもそうだな。この話は終わりにしようぜレイス」

「そうですね、見苦しいですから」

「アリスは帰ったら、家に帰るの?」

「そうね、レン君の家に行ってから帰るわ」


 五人はリノワール平原を歩きながら、リノワール王国のレンの家に向かっているのだった。

次回更新は未定です。温かくお待ち下さいm(__)mそろそろ番外編が来るかも?

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