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異世界転生したらヒロインや仲間が最強すぎて、なぜか護られています!  作者: 緑青白桃漠
第5章 長い夏季休暇中に巻き起こる冒険と新たな事件 最終節 学園が始まるまで遊び尽くす五人と新たな悩み!
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#68 間抜けすぎる魔神族の少年アルビィス

お待たせしました。第68話公開です。更新時間設定ミスでお手数掛けますm(__)m

さて、レン君達は謎の少年をどうするんだろうね(^-^;)

 男湯に入っていた四人は温泉を満喫した後、近くの休憩所で休んでいた。


「うっ、気持ち悪い」


 ファングはお腹を押さえていた。


「大丈夫ファング?」

「誰のせいなんだよ! 全部レンが悪いんだぞ」


 レンはファングに命令して、フォレストの中に温泉を作り上げていたので、ファングとカイトはかなり悲鳴を上げていた。


「ごめんね。どうしても毎日温泉に入りたかったから」

「別に謝るなよ。俺もレンの為なら何でもやると言ったしな」

「無理なら、温泉を吐き出しなよ」

「いや、大丈夫だよ。今カイトが温泉を循環させる機能を形成しているから、そのせいで細胞が安定してないだけだよ」


 ファングは辛そうな表情をしていたが、温泉を排泄しようとしなかった。


「なら良いけど、無理ならちゃんと吐き出しなよ」

「だったら最初から、あんな命令するなよ。俺がどんな苦痛を与えたか分かっているのか? しかも温泉を循環させる機能をつけるとか、俺達がお前達の体の垢などを食べろと言っているのか」

「まぁ、そうなるねアハハッ」


 レンは目を逸らして、笑っていた。


「お前は俺を穢しているよ。俺を私物化しているだろう。もう俺は人間でなくなったよ。完全に穢れた精霊だと思われるよ」


 ファングは弱々しく、嘆いていた。


「本当に悪かったから、ご褒美にファングの言うことを一つだけ叶えて上げるから良いでしょう!」

「えっ、マジで良いのか。ならそれでチャラにしてやるぜ。うっ、早く収まれよ」


 ファングはお腹を押さえながら喜んでいた。


「レン師匠、アリスさんがいない所でファングさんと約束して良いんですか?」


 アリスに見つかると、何かしらいちゃもんを付けるので大丈夫か聞いていた。


「仕方ないよ。ファングの機嫌を直すにはこれしか無いから。それに機嫌よくすればずっと温泉に入れるよ」

「それはそうですが、ファングさんのあの笑顔、かなり恐いですよ」

「うっ、まぁそんなに過度の注文は無いでしょう」


 ファングがかなり笑顔でレンを見ているので若干恐かった。


「さぁ、レン俺の中で休めよ。それと温泉の居心地を確認して」

「やっぱりそうなるんだね」


 ファングの言いそうな事は大体分かったいたので、レンはうな垂れていた。


「それじゃ、ちょっと近くのトイレに行って来るから、アリスが来たら事情を説明しろよ」

「分かりました」

「気をつけてね。マスター、ファング」

「うん、分かったよ。はぁ、行こうかファング」


 ファングは笑顔でレンをトイレの方に連れて行った。


「あれ、レン君とファングはどうしたの?」


 女湯から戻って来たアリスが二人がいない事に気付き、レオスとレイスに聞いていた。


「レン師匠とファングさんは‥‥‥」


 レオスとレイスはアリスは事情を説明していた。


「はぁ、成る程ね。レン君も凄い事を考えるわね。まぁ、ファングの機嫌を取るには一番効率が良いけどずるいわ」


 アリスは納得していたが、最近ファングの方がレンといる時間が長いので、気にくわない表情を見せていた。暫く待つとファングが笑顔で戻って来た。


「おう、アリス戻って来たのか」

「レン君は中にいるの?」

「あぁ、そうだぜ。再び入浴しているけどなカイトと一緒に」

「なっ、私も入れてくれないかな」


 レンがフォレストの中で入浴している事を知り、早く入りたくてウズウズしていた。


「いや、ダメ出し! レンが許すわけないだろう。それに今はお腹の調子が良くないからダメだ」

「えっ、ケチ、レン君ならどんな状況でも良いんだ」

「そんな目で見ても無駄だぜ」


 アリスはフォレストの中に入りたかったが、ファングに止められてうな垂れていた。


「仕方ないわ、とりあえず地下に遊び場があるみたいだから行ってみない?」

「おっ、楽しそうな物があるじゃんか、行ってみようぜ!」


 四人は地下の遊び場に向かって歩いていた。


「ファング、またアリスと揉めているの? カイトが詳しく教えてくれるから」


 さっきまで、アリスと揉めていた事を聞いていた。


「まぁ、色々な。カイト、あまりレンに言うなよ。今は入浴中たぞ」


 カイトがレンに外の状況を説明していたので、ファングが注意していた。


「ごめんファング、レン君がどうしても外の状況を知りたいと言ったから」

「そうか、やっぱり入浴しながら、外の様子を見たいよな」

「そうだよね。それについてはこっちでやって置くよ。ファングが見ている映像はレン君に確認して貰うから、ちょっとファングのお腹に違和感が起きるけど我慢してよ」

「あぁ問題ないぜ。ただし、外の奴らにバレない程度に腹を動かせよ」

「了解!」


 カイトはファングに了解を貰うと、お腹を波打つように弱く動いていた。


「レン、お湯の温度はちょうど良いか?」


 フォレストの中で入浴しているレンに聞いていた。


「うーん、ちょっとぬるいかな。温かく出来るの?」

「出来るけど、どのくらい上げるんだ」

「そうだね。あと一、二度位だね」

「了解、じゃあ温度を上げるよ」


 ファングに伝えるとフォレストの中では細胞が活発に動き始めて、膨大な熱量を発生させて、お湯の温度を上げていた。


「凄いよファング! はぁ、凄く気持ちいいよ。生き返る」

「それはよかったぜ。俺のお腹の中はお湯が沸騰しているくらいに熱いけどな」

「大丈夫なのファング?」

「レンはすぐに心配するよな。大丈夫だよ。アリス達が俺のお腹に触っても普通だから、絶対に火傷しないし、俺のお腹の中に温泉があるなんて他の人達には分からないよ」


 ファングが詳しく教えてくれるからレンは安心していた。


「そう、なら良いけど。それよりも周りがこう気持ち悪い細胞だと嫌だね。今度、周りの景色を一新しようよ」


 周りを見渡す限り、フォレストの細胞だらけなので、何かやろうと提案していた。


「いや、そんな事をしたら俺とカイトが死ぬよ。この温泉だって、俺とカイトが死ぬ思いで作ったんだからな。それに、お前が体を洗う時に使った石鹸の泡や体の垢などを取り込んでいるのは俺とカイト何だからな」


 温泉のお湯や石鹸、体の垢などは一度、フォレストの内部に流れると不純物だけ吸収される。吸収された後は温泉のお湯を綺麗に浄化して再び各温泉に分配する高度な技をやっていた。


「そうだね、おかげで気分が悪くなるよ。それに石鹸のせいで、細胞にダメージを喰らっているんだからね」

「ごめんファング、カイト、僕が余計な事をして二人を苦しめているなんて」


 レンが謝っているので、ファングは急いで話し始めた。


「謝るなよ。お前には色々と知って欲しいんだよ。別にレンを責めているんじゃないんだよ!」


 ファングは必死にレンに対して弁明をしていた。


「まぁ、おかげで俺とカイトの体はクジャグジャだけどな。温泉がある所だけ、レンの強制命令で体の作りが変わってしまったよ。おかげで尿意も感じないぜ。と言うか、そこだけ排尿出来ない作りにされたけどな」

「そうだね、僕も全く感じないよ。感じるとしたら、体を洗う場所で使った水と調理場で出る、水道水の排水だけだよね。しかも、水道水の水を体を洗う場所まで引っ張って、冷水と温水を作れとか酷だったんだからね」


 レンとアリスにほとんど改造されているので、二人は諦め気味に言っている。


「まぁ、周りの風景は無理だけど、何か床にタイルとか作って見栄えを良くするくらいで良いだろう」

「うん、それなら良いよ。ありがとうファング。さすが僕の精霊だね。大好きだよ」

「レン、俺、俺は‥‥‥」


 レンに大好きと言われて、泣き出しそうな声をしていた。


「えっ、ファング。もしかして泣いているの? 周りに不自然に思われるよ」

「大丈夫だよ。これは直接話しているから、表向きの表情は出ないよ。俺、レンに大好きと言われてスゲー嬉しいよ。だから、俺を捨てないで、俺の体を好きに使って構わないから」

「本当、ファングはいつも弱音を吐くんだから、捨てたりしないよ。ファングは僕の親友だからね」

「うん、ありがとうレン」

「レン君は、ファングに優しいですね。僕も大好きですよ」

「えっ、カイト、やめて」


 ファングに攣られる形でカイトもレンに向かって、ファングと同じ意思表示をしていた。


「レン、カイトも同じ何だよ」

「そうだね。これからも宜しくねカイト」

「うん、ずっと一緒だよ。僕もファング同様に好きに体を使ってね」

「ありがとう、ファング、カイト。それじゃファング、僕はカイトとこのまま、入浴をしているから何かあったら言ってよ」

「あぁ分かったぜ。カイト、くれぐれもレンに変な事をするなよ」


 カイトはレン達よりも歳が離れているので、それなりの体付きをしているので、ファングが警戒をしていた。


「しないから安心してよ。相変わらずレン君に対して心配何だからな」


 ファングはカイトに忠告をすると、通信を切っていた。ファング達は地下の遊び場にやって来ると、さっそくアリスが先陣を切っていた。


「それじゃ、温泉と言えば卓球でしょう!」

「卓球ねぇ、意外と定番を持って来たな」

「それで提案何だけど、ちょうど四人だから、二対二のダブルスをやらない。それで、勝者はレン君に何かして貰うのはどうかしら?」

「おっ、それ良いな? やろうぜ‥‥‥うっ」


 勝者のご褒美がレンに決まると、ファングが突入蹲っていた。


「ファングどうしたの?」

「カイトが何か言いたそうだからちょっと待って」

「多分、カイトじゃなくてレン君だと思うは」


 アリスの感は当たっていた。


「ファング、何で勝手にいつも決めるの?」

「いや、決めたのはアリスだし、俺は悪くないよ」

「はぁ、どうせ僕がご褒美だから、ついアリスの提案に乗ったんでしょう」

「違うんだよレン」

「もう良いから、早くやりな。アリスの提案に乗って上げるから。ただし、ファングは後で説教ね」

「うん、分かったよ。だけど凄く嬉しいよ」

「はぁ、本当にこの四人は大丈夫なの? カイトも入れると五人だけど」


 レンは嫌な表情で渋っていたが、どうせファング達には通用しないので諦めていた。


「それじゃ、いつものあれで決めるわよ」


 ジャンケンの結果、ファングとレイス、アリスとレオスのペアで勝負する事になった。


「アリス、俺達の勝ちだな。レオスには無理だよ」

「そんな事は無いわよ。レオスのお兄さんに変わって貰ったから」


 試合が始まる前から火花を散らしていた。


「相変わらず、ファングとアリスさんは喧嘩になりそうな事を言いますね」

「そうだね。何でいちいち油を注ぐ事を言うのかな?」


 レオスとレイスが遠くの二人を見ながら話していた。


【ファング、俺達はちょっと外で遊んでくるよ】

「そうか、気をつけて行けよ」


 精霊四人は外の巡回をしに、飛んで行った。


「それじゃ、始めましょう」

「あぁ、いつでも来いよ」

「この二人熱すぎてやりにくい!!」


 ファングとアリスはレンを目当てに熾烈な闘志を見せているので、レオスとレイスが同じ事を考えていた。試合が始まるとファングとアリスは互いに譲らない攻防が続き、二人の熱い叫びが地下に響き渡っているのであった。レン達が地下で卓球が始まった頃、温泉施設の外では不気味な笑い声が響き渡っていた。


「アハハッ、スゲー、たくさん人がいるぜ。俺様の養分がたくさんだぁ。アハハッ、これなら早く完全な力を取り戻せそうだよ」


 青年は不気味な笑い声を上げると、温泉施設の中に入って行った。


「いらっしゃいませ。お一人ですか」

「あぁ、そうだぜ。じゃあな」

「お待ち下さい。料金を支払ってから‥‥‥うぁ‥‥‥」

「うるさいな、俺様に指図するから、消しちゃただろう」


 受付の人は不気味な青年に一瞬で消され、その様子を見ていた人達が一斉に悲鳴を上げていた。


「はぁ、うぜえなぁ。みんな俺様の養分になれよ。ダークスネークロックオン!」


 不気味な青年が魔法を唱えると、周囲を人達が突入動けない状態になっていた。


「誰か助けて‥‥‥うぁ‥‥‥ゲフ、はぁ、良いね魔力と養分が満ちるよ。さて次はお前だアハハッ」


 謎の化け物が次々に人間の体内に入り込み、魔力や養分を奪っていた。


【アクト、何なのあれ】


 外に出ようとしたら、偶然見付けていたのでアルトニスはアクトに聞いていた。


【俺に言われても困るけど、一瞬魔神族の姿が見えたぞ】

【私も見えましたわ】

【アクト、魔神族って】


 魔神族の姿を見て、アクトの表情が険しくなった。


【あぁ、かなりやばいな。魔神族は謎に包まれた種族だから体の作りや生活などあまり知られて無いんだよ。俺も初めてみるよ。魔神族は一説だと魔王の象徴とか言われていたけど、本当か知らないけどな】

【アクト、今はそんな知識は要らないの、それはレンさんに説明してよ】


 普通は契約者のレンに説明する内容なのに、エレント、アルトニス、エレナに言っていたので、問いただしていた。


【おっとそうだな。気付かれないように戻るぞ】 


 アクト達は化け物に見付からないように、レン達の所に戻っていた。


「うん、あれは精霊かな、アハハッ。あれについて行けば。俺様の器に辿りつくぜ。さてお前らもう要らないけど、とりあえずさっさと俺様の養分にさせて貰うぜ。めぼしい物を見付けたからな」


 アクト達は化け物に見つかっているなど、知らなかった。


「とう、やぁ」

「せい、とりゃ」


 地下の遊び場では未だに、熱いバトルが続いていた。


「アリス、いい加減に負けろよ」

「ファングこそ負けたらどうなの?」

「はぁ、荷が重いよ!!」


 二人のバトルが熾烈過ぎて、レオスとレイスの表情が重かった。


【ファング、大変なんだよ】

「うぁ、何だよアクト、行きなり現れて、一点負けただろう」


 突然目の前にアクトが現れたので、ファングが怒っていた。


【ファングさん、今はそんな場合じゃないんだよ】

「お前ら、少しは落ち着けよ」


 精霊四人は落ち着かない様子だった。


「ファング、どうかしたの?」

「アクト達、血相かいて来たんだよ」

「アクト達がねぇ。もしかすると本当に何かあったんじゃないの?」

「そうだな。アクト、分かりやすく説明しろよ」

【あぁ、分かったよ。あまり時間がないから言うぜ】


 アクト達から説明を受けると四人の表情が険しくなっていた。


「アクト、それは本当なの?」

【あぁ、間違いないぜ】

「魔神族なんかいるのかよ」

「いるわね、だけど魔神族に関する書物はあまり無いのよ理由は分からないけど」


 アリスは色々な書物を読んでいるが、何故魔神族に関する書物が少ないのか気にしていた。


「それよりも、今はここから出ようぜ。ここだと暴れられないぜ」

「それは無理だなアハハッ」

「誰だ!」


 声の方を見ると褐色の体をした少年が立ち塞がっていた。


「やぁ、俺様の器になる候補者達! 俺様は魔神族の王の息子アルビィス」

「へぇ、ずいぶん威勢が良いんだな。しかも自分から素性をバラすとわな」

「アハハッ、どうせお前らは俺様の完全復活の為の養分になるんだけどな!」


 アルビィスは挨拶を済ますと行きなり攻撃を始めて四人を捕まえようとしていた。


「うぁ、危ねぇなあ」

「何故、俺様の魔法が避けられるんだ」


 今まで楽に捕獲出来たのに、この四人は一瞬で避けられたので、アルビィスは驚いた表情をしていた。


「ファング、レン君には言わないようにね」

「あぁ、分かっているよ。レンに言うと絶対に突っ込むからな。カイト、レンには絶対に伝えるなよ」

「分かっているよ。安心して、レン君は温泉で寛いでいるから大丈夫」


 ファング達はアルビィスの攻撃を避けて、地下を走って逃げていた。


「アリスさん、このまま逃げたら、確実に捕まりますよ」

「分かっているけど、ここでは魔法が使えないわ」


 ファング達は地下にいるので、建物の倒壊を危惧していた。


「だけど、このままだといつか捕まるぜ」

「そうね、ならファングとレイス君に任せるしか無いわね」


 アリスとレオスは魔法を使えないので、物理攻撃が出来るファングとレイスに頼むしか無かった。


「どこに行った! 俺様の養分!」


 アルビィスが驚いて呆然としている間に、ファング達の姿が消えていたので、大声を出して魔法を撃ちまくっていた。


「あいつ、無差別に攻撃しやがる。このままだと俺達が生き埋めになるな」

「そうね、しかし何て魔力量なの? しかも禍々しい殺気だわ」

「アリス、観察しないでとりあえずやるしか無いだろう。全くクラーケンの一件で落ち着いたと思ったら今度は魔神族とか、レンはトラブルメーカーだな」

「レン君は何かしら引き付ける物があるから仕方ないよね」


 ファング達がレンをトラブルメーカーと勝手に決めつけていた。


「レイス、行くぞ! アリスとレオスは護衛な」

「分かりましたファングさん」

「仕方ないわね。レオス君、二人の支援をするわよ」

「了解、くれぐれも気をつけてよ」


 四人がそれぞれ、頷くとファングとレイスが飛び出していた。


「アハハッ、やっと出て来たな。さぁ、俺様の養分になれよ」

「誰がなるかよ。レイス行くぞ」

「分かりましたよファングさん、波動旋風(はどうせんぷう)

「なっ、がはっ!」


 レイスは素早く武術を使うと、アルビィスは激しく飛ばされて、壁に強打していた。


「これで、終わりだ」

「フッ! あまいな」

「何だと、そんなのありかよ」


 ファングは剣でトドメを刺そうとすると、アルビィスの体が煙状に変化していた。


「あれはフォレストと似ているわね」

「アリス、考え込むなよ」


 遠くでアリスが考えているので、ファングが怒っていた。


「今、考えているのよ。ファング、どこかにアルビィスの核があるはずよ。それをつけば倒せるわ」

「あの女、先に始末する必要があるな」


 アリスがアルビィスの弱点を見抜いたので、先に始末しようと煙状で襲うとしたら、レイスの風の波動で壁に流されていた。


「くっ、貴様!」


 アルビィスは煙状から、元の状態に戻ると、アリスからレイスにターゲットを絞って先に消そうと攻撃を始めていた。


「レイス、時間を稼げないか」

「えっ、時間を稼ぐんですか」

「今のあいつはお前しか見えてないから、その間にアリスと対策を考えるよ」

「分かりましたけど、早く戻って下さいよ。いつまで持つか分かりませんから」


 レイスに時間稼ぎを頼むとファングはアリスの方に走っていた。


「アハハッ、あいつはお前を置いて行ったのか、二人で掛かれば倒せたかもな」

「それは無理ですね。さっさの姿を見たら分かりますよ。だから、僕が時間稼ぎをして、あなたを倒す方法を考えるんです」

「アハハッ、俺様を倒す。無理だな魔神族は神なんだよ。どこまで時間稼ぎ出来るか、やって見ろよ」


 アルビィスは体を再び変化させながら、魔法をレイスに向かって襲い掛かっていた。


「ファング、何で戻って来るのよ」


 ファングが戻って来たのでアリスが怒っている。


「ちょっとレイスに時間稼ぎをして貰っているんだよ。それよりも分析した事を教えろ。色々考えていたんだろう」

「そうね、色々考えたわ。とりあえず、私が考えた事を話すわ」


 アリスはファングに色々と対策や提案を話していた。


「ふーん、あまり勝てそうな物がないじゃないかよ」

「仕方ないでしょう。魔神族を相手するの初めて何だから」


 魔神族を見るのは初めてなので、どんな攻撃が有効なのか検討が付かない中、レイスの声が響いていた。


「うぁ、ゲッ‥‥‥」

「レイス!」

「何なのあれは!」


 レイスの悲鳴が聞こえたので、振り向くとアルビィスが液体になってレイスの口の中に入っている様子を目撃していた。


「おい、嘘だろう、レイス」

「レイス君の中にアルビィスが入っていったわ」


 アルビィスはレイスの中に寄生すると、ドス黒い煙がレイスの体から吹き始めていた。やがて煙が消えるとレイスの体は褐色に変化して、アルビィスが付けていた、アクセサリーなどを身に付けた姿になっていた。


「アハハッ、最高だぜ。魔力がどんどん俺様に流れて来るぜ!」


 アルビィスはレイスの体を見ながら、膨大な魔力に酔っていた。


「てめえ、レイスを返せ」

「無駄だよ。そんな攻撃じゃ、君たちの仲間は助けられないぜ」

「ぐぁ、グフ、何で煙状になれるんだ。体はレイスのハズだぞ」


 レイスには悪いと思いながら、剣を振ったがレイスが煙状に変化したので、何故だと考えていた。


「アハハッ、俺様の力を宿しているからだよ。こいつの肉体には俺様の肉体が混ざっているからな」

「てめえ、卑怯だぞ」


 ファングは怒号を交わしていたが、アルビィスはレイスの体を使って攻撃を始めていた。それからはファング、アリス、レオスはレイスの攻撃を受ける状態が続き、かなり窮地に立たされていた。


「まずいわよ。このままだと、私達はアルビィスにやられて、魔力を吸われながら死ぬわ。そんな終わり方は嫌よ」


 アリスはアルビィスに寄生されて、死ぬのが嫌だった。


「俺だって嫌だよ」

「僕も嫌だよ」


 ファングとレオスも同じ事を考えていた。


「クッソ、俺達はここで終わるのか?」

「ちょっとレン君、ダメだって」

「うん、カイト何かあったのか」


 ファングが諦め掛けた時、カイトの通信が来ていたのに気付いた。


「レン君が体から出たいって言うんだよ」

「ファング、聞こえているんでしょう。さっさと僕を出して」


 入浴を終えたレンがフォレストの中から、出ようとしていた。


「レン、今は外には出せない。悪いけど」


 ファングはダメとレンに言い聞かせていたが、レンは納得していなかった。


「ファング、まさかだと思うけど、僕に隠し事をしてない」

「ドッキ!」


 カイトの表情が急に険しくなっていた。


「カイト、もしかして何か知っているの?」

「えっ、知らないよアハハッ‥‥‥ファング助けて」


 カイトはファングに助けを求めていたが、ファングもレンの恐怖で声が出し辛かった。


「そう、言わないなら契約破棄だね」

「待ってレン、言うから!」


 ファングは恐怖で声を震わせながら状況を説明した。


「ファング、何でそんな大事な事を隠すの? 僕に隠し事をしないと言ったのに、もう破るんだね」

「違うんだよ。レンを危険な場所に行かせたくなかったんだよ」

「それは、みんなの判断なの?」

「うん、そうだよ」


 ファングに質問をすると、レンは頭を押さえていた。


 多分言いだしはアリスだな。何となく分かるけど、ファングに隠し事をさせないでよ。


 アリスがほとんど言いだしの犯人なので、ファングを責めつつも許していた。


「それでレイスは、魔神族のアルビィスに乗っ取られているの?」

「あぁ、そうだよ。このままだと、俺達が殺されるよ」

「へぇ、レイスが魔神族のアルビィスに乗っ取られているねぇ」


 ファングにもう一度確認して、本当の事だと分かるとレンは不気味な笑みを見せて、考えていた。


「よし、それじゃアルビィスを僕達の仲間にしよう!」

「はぁ、お前正気か、あいつはたくさんの人達を殺したんだぞ」


 アルビィスを仲間にしようと考えていたので、ファングとカイトが反対していた。


「レン君、それは無理だよ。彼からは殺気を感じるし、種族間の見方も違うから仲間にするのは無理だよ」

「そうだぜ。仮に仲間にしても、彼は人をたくさん殺しているんだぞ! 仲間にしたら、俺達も捕まるぜ」

「それは大丈夫! 僕に良い考えがあるから」


 ファングとカイトは不安そうな雰囲気を出していたが、レンの提案を出すとファングが急に納得していた。


「成る程、その手があったぜ」

「でしょう、僕の言うとおりにやってよ」

「あぁ、任せろ! あいつの苦しむ姿が見られそうだぜ。あいつ生意気だから、俺が制裁を与えてやるぜ」

「それじゃ、終わったら必ずだしてよ」


 レンはフォレストの中に作った部屋に行き、寛ごうとしていた。


「あぁ、分かったぜ。だから今はゆっくり休んでいろ。冷蔵庫の中にある食べ物を食べながら見学していろ」

「ありがとうファング」


 レンの説明を詳しく聞いた後、ファングは実行しようとしていた。


「アリス、俺達の勝ちだよ」

「勝ちってどう言う事よ。どう見ても劣勢だよね」


 ファング達はアルビィスに乗っ取られている、レイスの攻撃を受けていた。


「もしかして、マスターに何か言われたの?」


 レオスの兄が質問していた。


「あぁ、そうだよ。レンにたくさん怒られたけど、レンに言われなかったら、思い付かなかったよ。アリス、レオス、覚えているだろう。レイスには俺の刻印が刻まれていること」


 ファングが説明すると、アリスとレオスは納得していた。


「あぁ、その手があったわね」

「マスターも凄い事を考えますね」

「だろう、しかもアルビィスを仲間にするとか俺は反対だけど、力が手に入るからとか言うんだぜ」

「レン君らしいわね。だけどこれなら勝てるわね。さぁ、ファングさっさとやりなさい。私達は後ろで見ているわ」

「あぁ、それじゃ行って来るぜ」


 アリスとレオスに言うと勢いよく、飛び出していた。


「アハハッ、とうとう俺様におとなしく、その体を差し出す気になったか」

「はぁ、誰がお前に体を差し出すかよ。お前はもう負けなんだよ」

「はぁ、この俺様が負けるだと、笑わせるなアハハッ」

「お前の威勢も終わり出ぜ」


 ファングは右手を前に翳すと、レイスに向かって命令した。


「レイス、アルビィスの肉体を体内から絶対に出すな。それと契約印解除の魔法は絶対に使うなよ」

「アハハッ、貴様、頭がおかしくなったか」


 既に命令が発動している事などアルビィスは知らなかった。


「それはどうかな。さて、下準備も終えたからやるか、レイス、アルビィスを吸収しろ。全てお前のものだ」


 ファングが続けて、命令をするとアルビィスが苦しみ始めていた。


「くっ、ぐぁ、やめろ! 貴様何をした」


 レイスのお腹などが活発に動き始めて、アルビィスを吸収しようとしていた。


「お前はレイスに吸収されて、死ぬんだよ」

「俺様がこんな子供騙しにやらてたまるか‥‥‥何故こいつの体から出られないんだ、うっ、うぁ」


 アルビィスはレイスの体から出ようとしたが、ファングの契約印の力でレイスの体に押さえ付けられていた。


「悪いな、レイスは俺の契約印で結ばれているから、命令は絶対なんだよ」

「そうか、アハハッ、なら契約印を解除すれば‥‥‥うっ、うっ何故解除の魔法が唱えられない」


 ファングの契約を破棄しようと魔法を使うが、声を出す以前に魔法の呪文が頭から消えていた。


「無駄だよ。最初に俺が言った事を忘れたのか」

「貴様、あの時、適当に言ってなかったのか、うっ、うぁ。俺様がここで消えるだと、俺様は魔神族の王の息子なんだぞ! 魔力も膨大にあるのに、こんな契約印で俺様はやられるのか」


 アルビィスはレイスの体で藻掻きながら、倒れて苦しんでいた。


「やだ、消えたくない。俺様はまだやらないと行けないのに」


 アルビィスはレイスの体で苦しみながら、レイスの目から涙を流して藻掻いていた。


「死にたくないよな、誰だってそうだぜ。なら、俺と契約しないか、そうしたら助けてやるぜ」

「ふざけるな、誰が貴様と契約なんか、うっ、うぁ」

「早くしないと、消えるけどいいのか?」

「はぁはぁ、誰が貴様なんかと、うぁ‥‥‥分かったから、何でも聞くから、早くやめろ」


 アルビィスは消える恐怖に負けて、ファングに助けを求めていたが納得してなかった。


「いやダメだな。命令を解除したら、襲うつもりだろう。完全に襲わない意思を示せ」

「貴様、うぁ、分かったから、なら命令で攻撃するなと言えば良いだろう」


 アルビィスは限界が来て、ファングにあらゆる手を使って助かろうとしていた。


「ふーん、なら良いぜ! 解除してやるよ」


 命令を一部解除するとアルビィスは息を切らしていた。


「はぁはぁ、俺様がこんな契約印でこんな屈辱を味わうなんて」

「それで、俺の契約に従うのか」

「どうせ、断れば俺様を消すんだろう。貴様は鬼だ」

「はぁ、お前はたくさんの人達を殺したんだぞ! それに比べれば楽だろう。なんなら消えれば」

「待って俺様が悪かったから」


 アルビィスはファングの逆鱗に触れそうになっていたので、慌てて修正していた。


「それじゃ、今すぐレイスに変われ」

「貴様、分かったからそんな目で見るなよ。今変わってやるから」


 アルビィスはファングに睨み付けていたが、消される恐怖でレイスと入れ変わっていた。


「レイス、大丈夫かぁ」


 体は魔神族特有の褐色をしていたが、意識はレイスだった。


「ファングさん、僕は」

「大丈夫だよ。お前はちゃんと生きているから」


 レイスは涙目をしていた。


「そうですか、僕はファングさんの契約印で助かったんですね」

「あぁ、そうだよ。まさかこんな使い方をする事になるなんて想像が付かないよ」

「その提案がレン師匠何ですね。さすが僕が見込んだ事だけありますよ」

「そうだな。あとでレンに感謝しろよ」

「はい、分かりました」


 レンの提案で助かった事をファングから伝えられたので、レイスは笑顔で答えていた。


「ところでレイス、お前には酷な話になるんだけど良いか」

「えっ、何ですか」


 ファングがレイスに説明すると、険しい表情をしていた。


「そうですか、僕がアルビィスと一つになれと」

「あぁ、そんな顔をするな。お前が消えないように命令するから」

「分かりました、ファングさんを信じますよ。僕は一度精神の中にいますからアルビィスと決着をつけて下さい」

「あぁ、分かったよ」


 レイスは笑顔でファングを見ると目を瞑り、アルビィスと変わっていた。


「もう話は済んだみたいだな」

「そうだな。それじゃアルビィス、お前はレイスと一つになれ」

「なっ、貴様、俺様を消すのか」

「そんな事は言ってないよ。レイスとアルビィスが一つの体で運命共同体になるんだよ」

「それは俺様が消えるのと一緒だろう」


 アルビィスは難色を示していた。


「大丈夫だよ。お前を消したりしないから、安心しろ。なんならここでレイスに吸収されて消えるか」

「うっ、分かったよやれば良いんだろう。この俺様がこんな奴に」

「今なんか言ったか」

「いえ何でも、それじゃ行って来るぜ」


 アルビィスは屈辱を味わっていたが、契約印があるので渋々目を瞑りレイスがいる精神に行った。


「レイス君は大丈夫なの?」

「あとはあいつ次第だろうな。とりあえず見守ろうぜ」

「そうですね」


 ファング、アリス、レオスは眠ったレイスを見守っていた。


「貴様が、この体の持ち主だろう」


 アルビィスがレイスを見つけるとズカズカと近付いていた。


「君がアルビィスだね。僕はレイス・クライド、レイスと呼んで下さい。しかしファングさんから聞いていたけど、これが魔神族の体何ですね」


 レイスはアルビィスの体をマジマジと見ていた。


「貴様、俺様が恐くないのか」

「恐いと言われれば恐いですけど、アルビィスはファングさんに監視されているから、変な行動は出来ませんよね」

「へぇ、見抜かれているんだなぁ、貴様らのせいで俺様は屈辱だらけだよ。俺様は魔神族の王の息子なんだぞ」

「王の息子が何ですか、権力に縛られるから、的確な判断が出来なかったんでしょう」


 レイスに指摘されるとアルビィスは怒り狂い始めていた。


「貴様、俺様を侮辱して」

「それよりも、僕と取引しませんか」

「取引だと」

「そうですよ。アルビィスに取って良いと思いますよ。ごにょごにょ」

「なっ!」


 アルビィスは怒り狂っていたが、レイスが近づき、アルビィスの耳に取引の内容を言うと、態度が一変していた。


「貴様、そんな取引で良いのか」

「良いですよ、それで取引を呑んでくれますか」

「あぁ、良いぜ! なら、さっさとお前を寄こせ、アハハッ」


 アルビィスは笑いながら、レイスを取り込んでいた。


「相変わらず威勢が良いですね。さぁアルビィス、今から僕達はレイビィスとして生まれ変わりましょう」

「あぁ、良いぜ。そのかわり鱈腹魔力を喰わせろ! それと俺様を楽しませろアハハッ」


 レイスとアルビィスは一つになると精神を通して、本体から黒い煙が包み込み始めていた。


「ちょっと、ファング、レイス君大丈夫なの?」

「知るかよ、今は見守るしかないだろう」

「なんかやばい雰囲気だね」


 三人はレイスを見守っていた。やがて黒い煙が消えると本来の姿に戻っていた。


「うーん、何とか上手くいきましたね」


 レイスは立ち上がると、体をくまなく確認していた。


「レイス君だよね」

「そうですけど、俺様の体に何かありますか?」

「お前、アルビィスかぁ」


 喋り方がアルビィスなので警戒していた。


「違いますよ。俺様はレイスですよ、多分アルビィスと一つになったから、口調の一部がアルビィスになっただけですよ」

「何だよ。間際らしいな」

「レイス君、大丈夫なの体に違和感はないの?」

「うーん、特に無いですね。アルビィスが魔力を吸っているのは分かりますけど、これは取引なので気にしてませんけど」


 レイスはお腹を触って、アルビィスがレイスの魔力を吸収されているのを感じていた。


「何かファングとカイトみたいね」

「何だよ、俺を見て、俺をレイスと一緒にするな」

「なっ! 酷いですよ。アルビィスもそう思いませんか」


 アルビィスに問いかけるとレイスのお腹が激しく動いていた。


「やっぱり、ファングとレイスは似たものどうしね! しかも運命共同体が三人もいる仲間も凄いけどね」


 アリスはファング、レオス、レイスを見てため息を漏らしていた。


「よっと、ありがとうフォレスト!」


 レンはフォレストの中から出るとお礼を言っていた。


「レン君、お帰り」

「ファング、レイスは」


 フォレストからファングに戻るとレンに説明していた。


「レン師匠、俺様はこの通り無事です」

「へぇ、喋り方変わったんだ」

「そうですよレン師匠、俺様はレイビィスとして生まれ変わりました。今後はレイビィス・クライドと名乗りますけど、レン師匠達は今まで通りレイス・クライドでレイスと呼んで下さい。アルビィスにもそう伝えてありますから」

「そうなんだ。レイスが気に入ったなら良いよ」


 レイスが笑顔で見るので、あまり機嫌を損ねることが言えなかった。


「ところでアルビィスはどうなったの?」

「あぁ、それは、見てもらった方が早いですね。魔神モード切替、行くよアルビィス!」


 レイスが魔神モード切替と言うと全身から黒い煙が吹き出し包み込んだ後、黒い煙が風に流れて消えると、レイスは褐色の体つきやアルビィスが身に付けていた物をつけていた。


「アハハッ、俺様登場だぜ」

「お前はアルビィス!」


 黒い煙が消えるとアルビィスに変わっていたので、ファング達が警戒していた。


「そんなに警戒するなよ。もうお前達を襲わないから、俺様はもうアルビィスじゃない、レイビィスだよ。ちゃんと覚えろ!」


 アルビィスとファングが何回も言うので、アルビィス本人が怒っていた。


「悪い、ついお前がまた俺達を襲うと思ったから、悪かったよレイビィス」

「お前には色々と屈辱を味わったけど、もう気にしてないよ。なんせこの体を手に出来たからな。はぁ、凄いぜ魔力がどんどん流れてくるよ」


 アルビィスことレイビィスはお腹を触って、笑顔になっていた。


「何かレイスに似てないか」

「そうだね。仕草までそっくりだよ」

「まぁ、レイス君と一つになったから、レイスの態度が現れたんだわ」

「多分、そうだね」

「貴様ら、何をこそこそ話している」


 アルビィスがレイスと同じ事をしているので、四人が変な目線でこそこそ話していた。


「いや、何でもないよ! それで急に態度が変わったけど、レイスと何かやったのか」

「あぁ、そうだぜ。こいつは俺様に魔力を鱈腹食べさせてくれると言ったから、一つになってやったんだ。しかも魔力を吸収出来る機能とか素晴らしいじゃないかアハハッ。俺様はこいつの体で完全体を作ってやるぜ」


 アルビィスはレン達に自慢していた。


「やっぱりレイス君と似ているわね」

「そうだね。完全体とか言っているけど、体の所有者はレイスなのに」

「こいつはレイス並みにバカだな」


 レン達が冷たい目線で見ていた。


「誰がバカだぁ。俺様はこの体で封印した奴を消すんだよ」

「それは無理な話だなぁ。お前の記憶はだんだんにレイスになるから、お前の過去は知らないぜ」

「貴様、何をうっ、頭がぁ! やめろ、貴様まぁ」


 ファングはレイビィスとして生きるように、アルビィスに命令を掛けていた。アルビィスは頭を押さえて苦しむと、やがて独り言を言っていた。


「俺様はレイビィス、俺様はレイビィスだぁ」


 アルビィスの憎しみの部分は消されて、レイスの記憶やアルビィスが持っていた善良な記憶だけを持って生まれ変わっていた。


「そうだぜ。お前はレイビィスだよ。これから俺達のために力をかせよ」

「あぁ、任せろ! 俺様がお前達を守ってやるぜアハハッ」

「ファング、これでよかったのアルビィスが可愛そうだよ」

「仕方ないよ。アルビィスは憎しみに囚われていたから、俺が解放したんだよ。見ろよ今のアルビィスはレイビィスとして生きようとしているぜ。こいつの帰る場所は無いんだから、新しい人生をあげようぜ」

「それもそうだね。今の姿を見ると生き生きしているよ」


 アルビィスからレイビィスに生まれ変わった姿を見て、レンは罪悪感があったが、レイビィスが嬉しい表情をしているのでこれでよかったと思い始めていた。


「それじゃレイビィス、レイスに戻れよ」

「ファング、いちいち命令するな。俺様に命令していいのはレン様だけだよ」

「何だと、お前を管理しているのは俺なんだぞ」


 レイビィスがファングに反抗していた。


「喧嘩しないの、これから宜しくねアルビィス、いやレイビィス」

「うん、これから宜しく、俺様は常にレイスの中で見ているから面白い事があったら俺様に変われよ。全部俺様が消してやるからアハハッ」

「はいはい、威勢だけはあるんだから、ゆっくりレイスの魔力を頬張りな」

「あぁ、そうさせて貰うよ。はぁ、魔力を鱈腹食うぞアハハッ。もう一人の俺様頼んだぞ!」


 レイビィスが通常モード切替と言うと、魔神モード切替同様の現象が起こり、終わるともとに戻っていた。


「フウ、結局アルビィスの記憶を契約印で改竄したんですね」


 アルビィスの中で見ていたので、ファングの行動が手に取るように見えていた。


「仕方ないだろう、あぁでもしないと、お前の体から出る可能があるから、完全に封じたんだよ。もうアルビィスの肉体はお前と一つになって機能しているだろう」

「確かにそうですね。アルビィスの鼓動が俺様と同じですからね。それに魔力の流れも共有してますからね。ただアルビィスに魔力を鱈腹喰わせていますが、結局は俺様と魔力を共有するんですけどね。アルビィスは魔力吸収が一番の快感で欲求何でしょう」


 体は共有しているので、アルビィスがレイスの魔力を吸収しても、結局は二人で使用するので魔力量は一定である。


「そうか、アルビィスは可哀想な奴だな」

「そうだね、レイス、これからはアルビィスことレイビィスを宜しくね」

「分かりましたレン師匠、俺様がレイビィスをしっかり育てますよ。さぁ、レイビィスたくさん魔力を食べな」


 レイスはお腹を触りながら、優しく語りかけていた。


「それにしても、レイスの喋り方が変わったから、かなり自己主張が激しい人に見られるね」

「えっ、そうですか、俺様は俺様に違和感ありまくりですよ」

「確かに、僕や俺じゃなくて俺様とか、何か威圧感があるよな。もうクラスで苛められなそうだな」

「本当ですかファングさん」


 レイスは目をキラキラさて、見つめていた。


「そんな目で見るなよ。それじゃ命令を全て解除するけど大丈夫だよな」

「良いですよ、アルビィスは完全に俺様と一つになったから体内からもう出られませんよ」

「分かった、それじゃ命令解除するよ」


 レイスに掛けた命令を全て解除していた。


「うーん、一つになったら体が軽いですね」


 レイスは体を色々と動かしていた。


「しかし、姿はレイスのままでよかったよ。あんな肌の色をされたら、先生達や家族に色々と言われるよ」

「そうですね。俺様もホッとしていますよ。ただ体の作りが共有されているから、レオスさんみたいな状態になりますね」


 排泄や排便などレオスと似ているので、何か対策はないか考えていた。


「へぇ、そうなんだ。なら先輩レオスに色々アドバイスを貰わないとね」

「はい、レン師匠、レオスさん宜しくお願いします」

「えっ、僕に聞いても対策くらしか言えないよ」


 レイスが迫って来るので、レオスが困っていた。


「はぁ、今はそんな話をしている場合じゃないでしょう。どうするの、後始末は」

「上手く乗り切るしかないでしょう。事情聴取をされてた時は、アルビィスはどこに向かって消えたで行くしかないよね」

「確かに、暫くすると自衛団やこの地域を管轄している国の騎士団が来そうだな。それにアルビィスの事を消さないといけないしな」

「そうですね、レイビィス、魔力を俺様に混ぜてレイビィスの魔力質を薄めてね」


 レイスはお腹を触りながらレイビィスに語りかけ、魔力質を変化させていた。それから暫くすると自衛団の人達がやって来て、コロッソ村にいる人達を一人一人と事情聴取をしているのだった。


次回更新は未定です。温かくお待ち下さいm(__)m次回更新は引き続き0時になりますm(__)m

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