#63 帰って来たフォード王国!
お待たせしました。第63話公開です。やっと帰って来た五人はフォード王国周辺で休む見たいですね(。>ω<。)
ここから第5章最終節、学園再開までのレン達の日常です。早く第6章学園編に戻りたいけど、まだまだ先ですね(^-^;)
クラーケンの大事件から一週間以上が経ち、五人はようやくフォード王国の港に着こうとしていた。
「やっと、帰って来たよ」
「そうね、色々あったわね」
「一時はどうなるかと思ったよ」
レン達がフォード王国に着くまで、それはそれは大変だった。クラーケン討伐の次の日は自衛団本部やレイン王国に呼ばれて、勲章を称えられて、多くの人前に公開処刑的な出来事が起こり、レンは非常に嫌がっていた。更に翌日は、街中のお祭りに招待されて、毎日がレン達を祝福しているのだった。
「あのままだと帰れない所だったよ」
レイン王国からは専属契約の騎士などの誘いがあったので、レンは毎日断っていた。
「確かにあれはキツいよな。あのままだと本当にレイン王国の騎士なる所だぜ」
「笑いごとじゃないよ、マッタク」
「でもどの道、クラーケン討伐をしないと帰れなかったから、目立つのはしょうがないわ。それに大量の資金も入ったしね」
クラーケン討伐の功績でレイン王国や自衛団本部からプラチナ化1000枚を受け取っていた。
「しかし、こんなに貰って良いのかな、プラチナ化1000枚とか僕達が持つ大金じゃないよ」
レンは断ろうとしていたが、アリスが強引に受け取っていた。
「良いのよ、クラーケンだから、この位は当然よ。なんせあの伝説の魔物を退治したんだから、それにこれだけあれば、何でも好きな物を食べられるし、暫くはマッタリ出来るわよ」
アリスは大金を見て、目が輝いていた。
「レン、アリスに言っても無理だよ。あいつはお金に眩んだ女だからって、イテー」
アリスがファングのお腹をパンチで殴っていた。
「ファング、何か言った?」
「あぁ、言ったぜ、アリスは金に眩んだ女だって、グフ、アリス、俺の中にカイトがいるんだぞ」
「そんなの関係ないわ、カイトもファングと同じになったんでしょう。それにカイトはファングの中で昼寝をしているでしょう」
カイトはファングの中で昼寝をしているので、ファングが特殊な信号を送らない限り基本的に起きる事はない。
「お前、相変わらず容赦ないな。カイトが泣くぜ」
「いちいちカイトを出さないでくれる。カイトはもうファングと一体化したんでしょう」
「はぁ、茶番は向こうでやってよ」
「酷いよレンまで」
ファングとアリスの喧嘩は見飽きていた。
「ファング、何か腹が痛いんだけど、またアリスさんと喧嘩したの?」
カイトが目覚めて、特殊な信号でファングと直接話していた。
「カイト、起きたのか、そうだよ悪いかよ」
「はぁ、こっちの身も考えてよね。折角気持ち良く寝ていたのに、ファングが受けたダメージの痛みで目覚めが悪いんだけど」
アリスのパンチで起こされたので機嫌が悪かった。
「本当に悪かったからそんなに怒るなよ」
「別に怒らないよ。どうせ僕はファングの一部だから、だけど喧嘩はなるべく止めてよね。レン君にいつか嫌われるよ」
「うるさいよカイト、イテー、お前、自分にも痛みが来るのにやるのかよ」
「当たり前だよ。だって僕は君なんだから少しは反省しなよ」
カイトに激しく攻撃されて、ファングがお腹を押さえて苦しんでいた。
「ほら、ファングのせいでカイトが起きて怒っているじゃん」
「うるさいよ、誰のせいでこうなっているんだよ。イテー、カイトも止めろよ。他の人に変な目で見られるだろう」
カイトはある程度、ファングにお仕置きをすると、再び寝ようとしていた。
「ファング、僕はまた寝るけど、港に着いたら起こしてよ。ファングの目を通して、色々見たいから」
「はぁ、分かったよ。てかもう直ぐ着くのにまた寝るのかよ」
「良いでしょう。今までこんなにゆったりしたの初めてなんだから」
「お前、何か王子やめたらぐーたらし過ぎだろう」
カイトがあまりにもマッタリ過ぎて、ファングを悩ます要因が増えていた。
「ねぇ、カイトはまた寝たの?」
「あぁ、そうだよ。全く王子をやめたら本当にやる気ないよな」
船の上で色々話していると、フォード王国の港が見えてきた。
いよいよ、僕達の大陸に帰って来たよ。うん、何か見慣れた人がいるような?
レンは何かを発見して、目を細めると、嫌な人がいた。
何でレイジ兄さんがいるの?
フォード王国の港で手を振って、大声で叫んでいた。
「あれって、お前の兄貴だよな」
「うん、そうだね」
船がフォード王国の港に着くと、レンはうな垂れていた。
「レン、よかったよ生きていて。クラーケンが現れたと聞いて来たんだけど、これ以上行けないから心配したんだよ」
レイジ兄さんはギルドを通して情報を得て、わざわざフォード王国まで、空間魔法で移動していた。
「はぁ、心配かけてごめんなさい。でも僕は大丈夫ですよ。仲間や精霊達に護られていましたから」
「そうだね、レンは強いし、精霊達に愛されているから大丈夫だと思っていたけど、あまり私や家族を心配かけるな」
「はい、すみませんレイジ兄さん」
レンはレイジ兄さんに謝っていた。
「それにしても、レンが無事でよかったよ。本当なら空間魔法で迎えに行きたかったんだけど、レイン王国に行った事がないから空間魔法が使えなかったんだよ」
レイジ兄さんは空間魔法のプロなので、一度行った所は自由に往き来出来る。
「それで、レイジ兄さんはそれだけの為にずっと待っていたんですか?」
「そうだよ」
「はぁ、よく父様と母様に許可が貰えましたね」
「一生懸命説得したからね」
レイジ兄さんの行動に呆れていた。
「レン君のお兄さんは凄い事をするわね」
「まぁ、兄弟だから仕方ないだろう」
「レン師匠のお兄さんは相変わらず凄いですね」
三人は遠くから、三人を見ていた。
「それと、レオス、だいぶ大きくなったね。レンの為に頑張っているかい」
「はい、レイジお兄ちゃん、レンお兄ちゃんの為に頑張っています。クラーケン討伐の時も僕は頑張りました」
「偉いね。それでこそ、僕達の家族だよ」
「レイジ兄さん、あまりレオスを褒めないで下さいよ。危険な事をしたらどうするんですか?」
これ以上レオスを危険な場所に行かせたくなかった。
「大丈夫だよ。レオスも立派になったんだから一人で判断出来るだろう」
「それはそうだけど」
「レンお兄ちゃん、僕はもっとレンお兄ちゃんの役に立ちたい」
「ほら、レンも認めてあげなよ」
「うっ、分かったよ」
レイジ兄さんにおされて、レオスを引き続き仲間として行動させる事にした。
「それで、レイジ兄さんはこれからどうするんですか?」
「一応、レンの無事を確認したから、自宅に帰ろうと思って、それとレン、自宅に学園からの手紙が来ていたから渡して置くよ」
レイジ兄さんから手紙を手渡された。
「ありがとうレイジ兄さん、僕ももう少ししたら、一旦自宅に帰るよ。それとレイジ兄さんに受け取って欲しい物があるんだよ。アリス」
アリスを呼ぶとレイジ兄さんにプラチナ化500枚を渡していた。
「レン、この大金どうしたんだ」
物凄い大金にレイジ兄さんが驚いていた。
「それはクラーケン討伐の報酬ですよ、レン君のお兄さん。それといつもお世話になっている気持ちですから受け取って下さい」
「良いのかこんなに貰って」
「良いんだよ、たまには父上と母上に美味しい物を食べさせてよ。レイジ兄さんが今は家の稼ぎ出でしょう?」
「アハハッまさか、レンに早くも親孝行をされる何てな。分かったよ、これは有り難く受け取るよ。レン、帰って来たら、この大金で皆で食事しよう。それまではちゃんと父さんと母さんに渡して置くよ」
レイジ兄さんは大金を受け取ると、レンとレオスに軽く声を掛けて、空間魔法で帰って行った。
「はぁ、やっと帰ったよ」
「相変わらず凄いお兄さんよね」
「アリスはよかったのか、大金の半分を渡して」
「良いよのレン君の家族にはお世話になっているから、それに今から、良い印象を与えないと行けないでしょう」
「お前の印象は分からないけど、確かにレンの家族にはかなり世話になっているからな」
「ファング、何ですって」
「アリスさん、ファングさん、喧嘩は向こうでして下さいよ。確かにレン師匠には色々して貰ったから、あの位の大金を渡しても問題ないですね」
レンが自宅で滞在中は、ずっとレンの家に世話になっていたので、この位の大金では足りないと思っていた。
「多分、レイジ兄さんの事だから、大金で家を改装しそうだよ」
友達を泊める部屋がないので、大金を使って家を増築すると思っていた。
「それはないわよ。あったとしたら凄い太っ腹の家族だよ」
「いや、それがあるから恐いんだよ」
「もしそうなら、私達も家族して認めているのよ。そうすればレン君とうふふ」
アリスが変な妄想を始めていた。
「とりあえず近くの喫茶店に行こうか」
「あっ、レン君酷いわよ。私を置いていかないで」
五人は近くの喫茶店に足を運んでいた。
「はぁ、久しぶりの団欒だね」
「そうだな、久しぶりにゆったり寛げるよ」
ずっと移動や戦いだったので、こうしたお店は久しぶりだった。
「それにしてもファングは頼み過ぎよね。レイス君以上よ」
「うるさいな。俺だってレイスみたいは嫌だよ。そうカイトに言ったのに、色々食べたいって言うんだよ」
「ファングさん、酷いですよ。僕を毎回大食いみたいに言わないで下さい」
ファングは一つだけ頼もうとしていたら、カイトがファングの口を操って色々と頼んでいた。
「まぁ、カイトは王子だから、庶民の食べ物に興味があるんだよ」
王族と庶民では食べる物が違うので、カイトが興味を示すのは理解出来た。
「それもそうね。大金が入ったから別に良いわ。ただし全部食べなよ」
「食べるけど、何か食べ過ぎな気がするよ。まだあいつが腹の中に保存してあるんだから」
「えっ、ファング、あれを吸収してないの?」
クラーケンを吸収していない事を聞かされて、アリスが驚いていた。
「あれは、ファングとカイトの保存食みたいだよ」
「へぇ、そうなんだ」
五人が楽しく話していると、料理がやって来た。
「美味いなんだよこれ、マジで最高だよ。庶民はこんなに美味しいの食べているんだな」
カイトがファングの体を乗っ取って勢い良く食事をしていた。
「ファングがカイトに乗っ取られているけど良いのかしら」
「良いんじゃないの、喋り方がファングだし、ファングの精神を奪うんだから余程興味があるんだよ」
カイトが勢い良く食べている姿を見ていた。
「カイト、初めて食べるけど美味しい」
「うん、凄く美味しいよ。レン君がいなかったらこんな美味しい食べ物に出会わなかったよ。俺は今までこういった場所に普段来ないからレン君には感謝するよ」
カイトはレン達に感謝しながら、頼んだ料理を頬張っていた。
「あのう、カイトさん、時々お腹にパンチしているように見えるんですけど、何をしているんですか?」
レイスはカイトが時々お腹に、何かやっている仕草に気が付き聞いていた。
「えっ、これはファングを黙らせているんだよ。アハハッ、ファングが体を返せとうるさいから」
カイトは喋りながら、時々パンチをお腹に放ち、ファングを黙らせているので、四人は苦笑いしていた。
「よくパンチをして、吐かないわね」
「えっ、吐かないよ。一度入れば、全部あの空間に送られて消化されるだけだからね」
カイトは笑いながら答えていた。
「あまりファングを苛めないでよね」
「分かっているよ、だけどこれだけパンチをしているのに良く抵抗出来るよね。かなりの激痛が走っているはずなのに、俺も辛いよ」
「へぇ、そうなんだ、あんまり辛そうに見えないけど」
カイトが時々パンチをしているのをやめないので、ファングが可愛そうに思っていた。
「あいつ、絶対に許さない。どんだけ俺の腹に攻撃するんだ。マジでイテーよ」
食事が終わるといつの間にかファングと入れ替わっていた。
「まぁまぁ、ファング。カイトは君と一心同体なんだよ。ファングが抵抗しなければ済んだ事だよね」
「そうだけど、あいつは俺が頼んだ物を先に食べたんだぞ! 俺の楽しみを奪ったんだぞ」
ファングの大好物をカイトが変わって食べていたので怒っていた。
「はぁ、そう言う事なの。カイト、勝手にファングの楽しみを奪っちゃダメだよ。いくらファングを恨んでもそれはダメだからね」
ファングのお腹に手を当てて叱ると、カイトが合図して謝っているのが伝わっていた。
「ファング、カイトが反省しているみたいだから許してあげなよ」
「分かっているよ。さっきカイトが謝って来たから、アリス追加で頼んで良いだろう」
「はぁ、仕方ないわね。頼みな」
ファングはアリスに確認すると、大好物を頼んでいた。
「それでレン君、君のお兄さんから手紙を受け取っているんでしょう。見ましょうよ」
「そうだな、学園からって事は、そろそろ授業が始まる手紙だろう」
「はぁ、もう直ぐ学園が始まるんですね」
「仕方ないよ。僕達は学生何だから、それにまだ夏季休暇はあるよ、と言ってもあと一ヶ月あるかないかだけど」
クラーケンの事件で夏季休暇がだいぶ削られていた。
「ファング、魔法騎士科のスケジュールと授業開始の案内が来ているよ」
「えっ、見せてみろよ」
ファングは頼んだ料理が来ると、食べながら授業スケジュールを見ていた。
「うぇ、何で座学があるんだよ」
ファングがスケジュールの紙をレンに見せて指差していた。
「えっ、そんな事を言われても、困るんだけど」
「ファングはただ座学が嫌いなだけでしょう? 座学も立派な授業よ。全部が実技な分けないでしょう」
「うっ、それはそうだけど、俺はジッとしているのが苦手なんだよ」
「まぁ、ファングは体を動かす方が得意だからしかないよね」
「それもそうね。それでいつから始まるのかしら」
「僕とファングは先にやって、一日後にアリスとレイスの授業みたいだね」
五人が授業開始日を確認すると、アリスが異議を申し立てていた。
「何でレン君と同じ授業開始日じゃないの? これじゃ、レン君と一緒に行動出来ないでしょう」
「いや、アリスは学科が違うから無理だよね」
アリスが授業まで、ついて来るつもりだったので頭を痛めていた。
「しかし、授業開始まで、あと一ヶ月も無いわね。どうするレン君」
「とりあえず明日、ギルドに行ってから決めようよ」
「そうね、今日はゆっくり宿で休みましょう」
予定を決めると五人は暫く喫茶店で過ごした後、街中を散策して一日過ごしているのだった。
次回更新は未定です。温かくお待ち下さいm(__)m




